会長会見

井上会長会見

【日 時】 平成26年11月20日(木) 午後2時~2時25分

【場 所】 民放連会議室

 

NHKのインターネット活用について

  • 記者:総務省が「NHKインターネット活用業務の審査ガイドラインをはじめとする制度整備案」、NHKが「インターネット実施基準要綱」と、それぞれ意見募集を行ったが、民放連が提出した意見のポイントをうかがいたい。
  • 井上会長:民放連は、NHKがインターネットを活用すること自体を否定しているわけではないが、NHKはどういうサービスを行おうとしているのか明確にしていない。インターネット実施基準要綱の冒頭に、インターネット活用業務の目的として「放送を補完すること」を挙げているのだから、NHKが今後認可申請する実施基準においては、「放送の補完」という目的を踏まえ、インターネット活用を抑制的な内容とすることを期待している。NHK本体だけでなく関連会社も含め、広告収入など民間の領域に踏み込むことは厳に慎んでいただきたいし、圧倒的な受信料財源を背景としてインターネット業務を無制限に拡大することは「放送の二元体制」の維持や「公正な競争」の観点から、避けていただきたいと考えている。NHKのテレビ放送の同時配信に関しては、受信料制度との整合がとれるのか疑問もある。まずは、NHKのはっきりとした見解を聞きたいと思う。
  • 記者:インターネット配信において、「放送の二元体制」は維持されるべきだと考えているのか。
  • 井上会長:民間放送は広告収入を基本としており、受信料収入を基本とするNHKとは、財源がまったく異なるし、成り立ちが違う。インターネットの世界は、プレーヤーの参入や退出が基本的に自由なので、免許事業でプレーヤーの数が限られている放送の世界とは事情が異なる。そのうえで、インターネットにおいても「放送の二元体制」を維持というのは、NHK本体や子会社・関連会社がインターネット活用業務において広告収入やそれに類した収入を得ることは将来的にも絶対にあってはならない、ということだと思う。新聞、雑誌、民放といったメディアがインターネット活用のビジネスモデルを試行錯誤している一方で、NHKだけが独占的な受信料収入をバックに、インターネットの世界で自由にプレゼンスを高めていくことは好ましくないのではないか。「放送の補完」という大前提で、インターネットを活用していただきたいと考えている。
  • 記者:NHKがインターネットで配信を行った場合、民放、特にローカル局にはどのような影響があるのか。
  • 井上会長:7000億円に迫る事業収入があるNHKがインターネット業務への傾斜を過度に強めていけば、ローカル局だけでなく、キー局も大きな影響を受ける。全国の視聴者がどのくらいインターネット経由で番組を見るかも未知数なので、現時点では民放局への影響を具体的に見通すのは難しいと思っている。
  • 記者:NHKは、会長も経営委員長もインターネット配信に前向きな発言をしているが、これをどう考えるのか。
  • 井上会長:NHKの意向を正確に把握していないので、どのようなことを実施したいのか分からない。NHKには、実施することの中身をもう少しはっきりと示していただきたい。

 

 民放のメディア価値向上に向けた検討について

  • 記者:民放連事務局に指示された「民放のメディア価値向上に向けた検討」の進捗状況についてうかがいたい。
  • 井上会長:専務理事を座長に、事務局だけでなく、会長・副会長社からも監修メンバーを出してもらって、これからの時代にローカル局がインターネットをどう活用できるのか等の検討を行ってもらいたいと考えている。今月中にも、第1回会合が開かれる予定だと聞いている。
  • 木村専務理事:放送とインターネットの問題は重要な検討テーマのひとつであり、これまでも民放連研究所等で研究しており、その蓄積も踏まえ、さらに調査・研究を行いたい。進化が速い分野なのでキャッチアップが難しいが、民放連会員205社の意向を踏まえ、検討していきたいと考えている。
  • 記者:NHKは同時配信について具体的な方法などを明らかにしていないが、在京キー5局の検討の中では、同時配信もテーマとして取り上げるのか。また、ビジネスモデルはどのようにお考えか。
  • 井上会長:キー5局の話ではあるが、同時配信については、今後の推移を見ないと何とも言えない。キー5局は現在、CM付き無料見逃し配信の検討を行っており、これがどのようにまとまるのか、そしてどのようなビジネスモデルが構築できるのか、現時点では分からない。民放としてはビジネスにならなければどうしようもないうえに、見逃し配信を行う番組のセールスをどうするのかといった、NHKとは異なる難しさがある。これは、同時配信の場合でも同じだろう。CM付き無料見逃し配信が実現したとして、それを踏まえて、その先の検討になろう。

 

4K放送への民放の取り組みについて

  • 記者:4K放送について、ローカル局の取り組みはどうなっているのか。また、4K放送導入のための費用は、どれくらいかかるのか。
  • 井上会長:4K対応の制作機材の導入は、なかなか進まないようだ。金額も高く、特に編集機材はキー局でも数が少なく、ドラマのように編集作業の多い番組は、簡単には作れないようだ。今後、そのような問題も検討していく必要がある。4K放送のための設備投資額については各社では当然検討しているが、即答できない。地上デジタル放送への移行と同じく、投資をしてもリターンがあるというものではなく、各局が自らの体力から考えてどれくらいの投資が可能なのか、どれくらいの番組を制作するのか、伝送路はどうするのか、などいろいろな課題があり、すぐにローカル局が4Kで番組を制作するのは難しいだろう。

 

今年1年を振り返って、また来年に向けて

  • 記者:今年1年を振り返った感想と来年に向けた抱負をうかがいたい。
  • 井上会長:広島の土砂災害や御嶽山の噴火、集中豪雨や大型台風の被害など、災害が多く発生した年であった。また、近々、衆議院の解散・総選挙が予定されている。そのような中、放送は報道機関としてのプレゼンスを示すことができた1年だったのではないか。地域の皆さま、視聴者・聴取者の皆さまに、正確に、できるだけ速く情報を伝えるという、ライフラインとしての役割を再認識した年でもあったと思う。総選挙では、各局に正確な報道をお願いしたい。来年は、テレビ・ラジオの価値の向上という取り組みをさらに続け、放送の有用性がより理解される年となってほしい。さらに、4K・8K放送も、技術的な課題を乗り越えて、視聴者により良いサービスを提供できるよう検討が進んでほしいと願っている。

 

 (了)

関連リンク Link