会長会見

井上会長会見

 

 

【日 時】 平成28年1月28日(木) 午後2時~2時30分

【場 所】 民放連 地下ホール

 

年頭にあたって

・記者:年頭にあたって、1年の抱負・所感をうかがいたい。

・井上会長:社会・経済環境やメディア環境が大きく変化しているため、これに民放連として的確に対応したい。特に昨年末に総務省から4K・8K放送の認定スケジュールが公表され、今年の秋にはBS実用放送におけるソフト(認定基幹放送事業者)の公募・申請が実施される予定であり、これへの民放としての対応を考えなければならない。ビジネスモデルもなく、リターンも期待できない中、厳しい経営判断が求められる。また、インターネットの急速な普及の中、昨秋から在京民放5社がTVerをスタートしたが、予想を超えて利用者が増加していると聞いている。今後、ここで得られたデータや経験を広く活かして、ローカル局のインターネット展開にも役立ててもらいたい。今年はオリンピックイヤーでもあり、NHKと協力して、視聴者・聴取者に感動をお届けしたい。また、自然災害、事件・事故に加え、国際的なテロ・紛争などに迅速に対応し、報道機関としての使命を果たすよう努力したい。併せて、取材・報道の自由の確保と、そのためにも自ら放送倫理を向上させていく変わらぬ課題にも引き続き取り組みたい。放送が視聴者・聴取者から信頼され、支持されるメディアであり続けるため、自主・自律による努力を一層重ねなくてはならないと考えている。さらに、景気の動向が不確かであり、広告主の動向把握やローカル局の経営課題への対応、ラジオの再価値化、放送コンテンツの不正流通対策なども今年の大きな課題だと考えている。

 

会長改選について

・記者:今年の6月が会長の改選期となるが、どのようにお考えか。

・井上会長:民放連の会長は、定款により「会長推薦委員会」によって推薦され、6月の定時総会と理事会で決定される。私から何かコメントすることはない。

 

報道番組のキャスター交替について

・記者:定評のある複数の報道番組において、相次いでキャスターの交替などが発表されたが、これは求められる報道番組の内容やスタイル、キャスター像が変化しつつあるのではないか。

・井上会長:各局の判断としか申しあげられないが、視聴者からの支持があり、信頼され、長く番組を続けてこられたキャスターの交替時期が、たまたま重なったのだろう。

 

NHKについて

・記者:NHKが1月20日に「平成28年度インターネットサービス実施計画」を発表し、リオ五輪で放送対象外の競技をリアルタイムで配信することなどを明らかにしたが、これについてどう考えるのか。

・井上会長:NHKのインターネットサービスは「放送の補完」であり、まずは放送でオリンピック中継を行うことを優先すべきと考える。そのうえで、NHKが同時配信する場合には、民放が生放送する競技は避けていただきたい。お互いに協力しながら、全種目を視聴者にお届けしたいと思っている。実験的に行われること自体は、問題ないと考えている。

・記者:籾井会長は新年の挨拶の中で、全国の地方紙と連携して地域情報の発信を強化するとの考えを明らかにしたが、これをどう考えるのか。

・井上会長: 正式に発表されたものではないので、コメントは差し控えたい。

・記者:NHKの平成28年度予算において、事業収入が7000億円を超えているが、これをどう考えるのか。

・井上会長:さまざまな経営努力の成果もあると思うが、民放からみればうらやましい限りだ。それだけの受信料を得られるのだから、視聴率重点主義はとらず、民放にはできない、NHKでしか作れない番組を作ってほしい。また、NHKの規模が大きくなり過ぎると、放送の二元体制を危うくすることにもなり兼ねないので、受信料のあり方、そして視聴者へのリターンも含め、考えていただきたい。

・記者:籾井会長は、職員への訓示や各所でのあいさつの中で、視聴率を重視するとの考えを示されているが、これをどう考えるのか。

・井上会長:籾井会長は番組に対する関心が高いのだろうが、先ほども申しあげたとおり、NHKには民放では作れないような番組をお願いしたい。

・記者:NHKの子会社を含め、ここのところ不祥事が続いているが、これをどうお考えになるのか。

・井上会長:コメントできる立場ではない。

 

視聴率調査について

・記者:ビデオリサーチが、今年の10月から関東地区の視聴率調査対象世帯を増やすほか、録画再生率やスマートフォンなどを通じた視聴実態も調査するための準備を進める方針を明らかにしたが、これをどうお考えか。また、民放のビジネスにどのような影響があるとお考えか。

・井上会長:現在は、スマートフォンなど、さまざまな手段でテレビを視聴していただいている。そういう視聴を全部集めれば、テレビの価値が向上するのではないか。調査コストとの兼ね合いもあるが、ビデオリサーチが低廉なコストで測定してくれるのならば、良いことだと考えている。さまざまなデバイスで視聴されていることが実証でき、それがマネタイズできれば、好循環となるのではないだろうか。

 

TVerについて

・記者:在京キー局5社共同のTVerがスタートして約3ヵ月を経過したが、どのように受け止めているのか。

・井上会長:アプリのダウンロードが150万を超え、当初の予想よりも速いスピードで普及しており、各局でもさまざまなメリットがあると聞いている。在阪社なども参加しており、放送本体への好影響もあるようだ。インターネットをどう利用していくかという実証実験としては、好事例だろう。

・記者:TVerのアプリのダウンロード数は、各社の配信事業のそれを超えているが、それらへの悪影響はないのか。

・井上会長:私が聞いた限りでは、各社とも好影響があるとのことだ。特に問題があったとは聞いていない。

 

ラジオについて

・記者:ビデオリサーチの聴取率調査によると、首都圏では昨年12月の聴取率が上昇しているが、これをどうお考えか。また、ワイドFM(AMラジオ放送のFM補完中継局)が開始され、さらにV-Lowマルチメディア放送が間もなくスタートするが、どうお考えか。

・井上会長:ワイドFMにより難聴、特に都市難聴が解消されたことが聴取率に反映しているのではないか。これが、ラジオが浮上するきっかけになればいいと思っている。多くのAM局がワイドFMを実施しているが、送信所を高い場所に設置できることから、津波などの災害時の対策にもなっている。V-Lowマルチメディア放送は新しいメディアなので、成功してほしいと思っている。

 

災害時の放送の役割について

・記者:東日本大震災からの5年を振り返って、テレビやラジオが果たしてきた役割をどのようにお考えか。

・井上会長:テレビ・ラジオは、ライフラインとしての力がある。被災地ではラジオが力を発揮したし、今、被災地でどのような被害があり、どのような苦労があるのかを日本中にアピールする力で、テレビにまさるメディアはないと考えている。

・記者:東日本大震災から5年を経過し、今後、放送が果たすべき役割をどう考えるのか。

・井上会長:現在、災害時の速報性という点では、放送よりもインターネットの方がまさっているのではないか。災害現場では被災者が送信者となり、情報を発信できる。そのような中、テレビ・ラジオがどう対応すべきなのかを考える必要がある。テレビやラジオが生き残っていくうえで大事なことであり、次世代の人たちに特に考えてもらいたい。

 

(了)

 

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