会長会見

井上会長会見

【日 時】 平成28年3月17日(木) 午後3時~3時30分

【場 所】 グランドアーク半蔵門3階「光の間」

 

3期目への抱負

・記者:6月の定時総会・理事会で、引き続き3期目となる会長に推薦される予定となったが、抱負をうかがいたい。

井上会長:放送界は曲がり角にあると感じており、そのような状況にあって、就任以来私はテレビ、ラジオの媒体価値の向上を目標としてきた。今後とも、それは変わらない。ラジオはワイドFMやV-Lowマルチメディア放送など、新しい時代へ向けたスタートがきれた。テレビは、地上デジタル放送に完全移行したのも束の間、インターネットとの連携や4K・8Kへの対応など、難問が山積している。技術がどのように進歩しても、放送の媒体価値の向上に引き続き努力していきたい。

 

「放送法」をめぐる議論について

・記者:「放送法」をめぐる一連の議論について、どのようにお考えか。

井上会長:「政治的に公平である」ことや「報道は事実を曲げない」といった放送法第4条の規定は、放送の根幹となる大原則である。私たちは常日頃から、この大原則に最大限に留意して放送活動を行っているということを、まず申しあげたい。第4条の性格については、立場によってさまざまな意見があることを承知しているが、民放連としては、放送法は放送事業者の自主・自律を旨とする法律であり、番組内容に関わる行政処分や行政指導は望ましくないという言い方を、常にしてきた。放送は、災害や大事故が発生したときに、情報をただちに広く伝達するという社会的使命を有している。それを考えると、行政が電波を停止させるといった事態は、あってはならないと考えている。

放送というものは、例えれば森のようなもので、その中には曲がったものなどいろいろな木があり、それが集まって、私たちを楽しませてくれる森を形成している。個々の木だけを見て森全体を見ない、ということではなく、全体を見て判断していただきたい。

もちろん、放送事業者は自律的に、より良い放送に取り組むことが必要である。各局には番組審議会が設置され機能しているし、BPOも非常に厳しい意見を述べる存在だ。放送事業者自身は自主・自律を旨として、自らが定めた番組基準から逸脱しないよう努力しており、非常事態に至ることは、私は想像していない。

・記者:今回の高市総務大臣の発言によって萎縮しかねない雰囲気が、報道現場に広がっているのではないか。

井上会長:一連の議論の中で、視聴者の存在という点が抜け落ちているように感じる。放送法の解釈とは別の視点だが、あまりに不公平な番組を放送すれば、視聴者は離れていってしまう。常に視聴者のことを考えて番組を制作していれば、現場は萎縮などしないのではないか。

・記者:政府の「統一見解」では、番組全体とは一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断する、としている。この考え方は、検閲につながるものではないのか。

井上会長:先ほどの木と森の例え話でも述べたが、ある木の曲がり具合が良いと思うのか、悪いと思うのかは個々の判断であるし、私たちがどう考えて放送したのかを、きちんと述べて反論することもできる。個別の番組がどうだと言われても、全体を見ていただくしかない。

・記者:最近、例えばドラマ番組の中の一部のシーンや表現を切り取って問題視するといった風潮も見受けられるが、どうお考えか。

井上会長:私は、自分の会社では常々、単眼ではなく複眼で物事を見るように求めてきた。自分たちは広い視野でこう考えて番組を作ったと、きちんと説明できれば問題ないのではないか。

 

「i-dio」について

・記者:3月1日にスタートした「i-dio」(V-Lowマルチメディア放送)への期待について、お聞かせいただきたい。

井上会長:私も早速視聴してみた。まだスタートしたばかりで、受信端末など、いろいろと難しい面もあるだろうが、新しく踏み出されたジャンルで成功してほしいと思っている。

 

テレビ番組のインターネット配信について

・記者:NHKがインターネット配信の検証実験の結果を発表したが、これについてどのようにお考えか。

井上会長:民放事業者もテレビ番組のインターネット配信への取り組みを各社で検討しており、興味を持っている。NHKの実験では遅延や権利処理などの問題もあったようだが、大きなトラブルはなかったと聞いている。民放事業者にはビジネスモデル、つまりどうやって収益を得るかという課題があり、NHKは財源、つまり受信料をどうするかという課題がある。これからのNHKの対応を注目したい。

・記者:タイムシフト視聴の増加に抗するため、インターネット配信を考えているのか。

井上会長:在京キー5局では現在、TVerを実施しているが、権利処理などが非常に大変だと聞いている。現在は実験段階だが、もう少し先に進めたいと考えている。違法動画配信対策とあわせ、インターネット配信により、視聴者が番組を見る利便性の向上についても努力するので、こうした取り組みをご理解願いたい。

 

BPOについて

・記者:最近、BPOには、当事者間で直接話し合えばよいような案件が寄せられているように感じるが、どのようにお考えか。

井上会長:放送について何か意見を言おうとするとき、「BPOがある」という認識が世の中に定着してきたことの表れだろう。その中には、ご指摘のようなケースもあるのではないか。

 

4K・8K放送の権利保護方式について

・記者:BS4K・8K放送の権利保護方式として、「コピーネバー」の議論があるようだが、どのようにお考えか。

井上会長:違法動画配信が増加しており、放送事業者を含めた権利者では、これを抑えるためのキャンペーンを実施しているが、根絶するのは難しい。4Kは非常に高精細であり、4K放送の権利保護方式をどうするかについては、関係者で検討されていると聞いている。

 

広告費について

・記者:電通が発表した「2015日本の広告費」によると、地上波テレビ・ラジオ広告費は前年比で減少しているが、インターネット広告費は増加している。消費税率の引き上げも控えており、広告収入の増加のため、どのような取り組みを行うのか。

井上会長:民放連でも、インターネットの利活用や、広告媒体としての放送に対する広告主の意識などに関する調査・研究を行っている。

・木村専務理事:昨年、民放連では「民放のメディア価値の向上に向けた検討」を行った。今後も、民放各社に有益で参考となる研究を続けていきたい。

 

(了)

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