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(報道発表)中央教育審議会がまとめた「新しい時代を拓く心を育てるために」(中間報告)に対する民放連の意見

中央教育審議会がまとめた「新しい時代を拓く心を育てるために-次世代を育てる心を失う危機-」(中間報告)に対する民放連の意見について

(意見の概要) 今回の中間報告は、客観的な調査データや専門家による蓄積された研究に基づくことなしに、青少年の非行・犯罪の直接的な原因がメディアにあるとの方向で議論が進められている感があり、困惑を禁じ得ない。改めて言うまでもなく、青少年犯罪の根底には、家庭環境や家庭・学校教育の問題、社会状況等さまざまな要因・背景が複雑に絡んでおり、そうした犯罪がテレビ番組をはじめメディアに直接起因しているとの短絡した議論は、決して根本的な解決にはつながらないと考える。

もとより、この『中間報告』の主眼は、"家庭における過保護や過干渉など家庭教育の問題点を指摘し、具体的な提言を行うこと"に置かれたものであり、第2章の"家庭で守るべきルールの確立"に向けた提言として、「テレビやテレビゲーム、ビデオなどの視聴時間」や「子どもが視聴するテレビ・ビデオ内容に親が関与し判断すること」を求めている。しかしながら続く第3章において、特に「テレビ番組には過激な場面が多い」と決めつけ、こうした「有害情報から子どもを守る仕組み」として「テレビ番組の格付け事前表示やVチップの導入」や「法的規制のあり方への取組」について「前向きに検討を進めることを強く要望したい」との結論を引き出している点は、論理の矛盾である。 また、現在のテレビ番組は子どもに悪影響を及ぼしていると、わが国で子を持つ親のほとんどが感じているかのような印象を与える記述は、客観的かつ適切な調査データに基づくことなく、一面的な感想や印象的な評価だけを論拠にしたものである。こうした論法は、世論をミスリードすることにもなりかねない。

このように、本『中間報告』は、全体的な記述がテレビ番組の多くが有害情報であるとの前提に立っていること、また、この問題は表現の自由に関わる事柄であり、こうした論議のなされ方自体、言論・報道機関として看過できないこと、さらに、テレビメディアに関してのみ「Vチップ制度」など政策色の濃い具体的な記述が意図的に盛り込まれていることなど、問題点が多い。

番組の格付け事前表示やVチップ制度導入に関しては、一昨年の郵政省『多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会』においても議論され、多くの問題点があることから時期尚早であるとの結論が出されている。さらに、国内の研究者をはじめ放送局内の検討・研究においても、特にVチップ制度については、①格付け機関のあり方や格付け基準の設定の問題、②基準が曖昧なことによる格付けへの不満にどう対処するか、③膨大な放送番組に格付けする作業量の問題、④自ら番組を見ずに子どもの視聴を制限する親の責任の問題、⑤親よりも子どものほうが機械操作に卓越していることによる実効性の問題、などが指摘されている。 一方、すでに導入を決めている米国でもVチップ制度に対する評価は定まっておらず、その効果を疑問視する声は依然大きく、そうした実態などを充分、把握することなく議論を進め、導入について軽々に論じられていることに、大きな懸念を抱かざるを得ない。

最後に、「番組の格付け事前表示やVチップ制度の導入」は、むしろ、親がどのような番組を子どもに見せるかという判断や選択をふたたび機械任せにしてしまい、かえって"親の責任や家庭教育の回避"につながってしまう面が非常に大きいことを指摘しておきたい。

<付記> 本来、放送番組の内容は放送事業者が自主的に決定すべきものである。民間放送としても、番組に関する批判には真摯に耳を傾けつつ、より望ましい自主規制のあり方を常に検討している。目下、民放連が米国へ調査団を派遣し、番組の格付け・Vチップ制度導入の背景、運用の現状と問題点などを鋭意調べているのも、そうした取り組みの一環であり、その調査結果などを踏まえ、今後の対応策を打ち出したいと考えている。

以上
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