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(報道発表)「個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案)」に対する意見の提出について

 社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=氏家 齊一郎・日本テレビ放送網社長〕は、9月27日夕刻、政府の個人情報保護法制化専門委員会が検討を進める「個人情報保護基本法制に関する大綱」策定作業に対し、報道機関の使命を担う民間放送事業者として、改めて“報道目的の個人情報を基本法の適用対象外にするよう要望する”旨の意見を以下のとおりまとめ、表明しました。

同「意見」は、民放連・氏家会長名で上記専門委員会の園部 逸夫委員長あて文面を付して提出しました。当日は、民放連・報道問題研究部会委員の林 樹三郎・日本テレビ放送網報道局次長が、内閣官房内閣内政審議室の小川 登美夫・内閣審議官に手渡しています。


平成12年9月27日
社団法人 日本民間放送連盟
「個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案)」に対する意見

 「個人情報保護基本法制に関する大綱案」を検討している政府の個人情報保護法制化専門委員会は、この1カ月間の審議のなかで、報道機関が重大な関心を寄せている「個人情報保護」と「表現の自由」の調整について、4つの方法を中心に検討を行ってきた。しかしながら、当連盟が繰り返し主張してきた、取材・報道・番組制作分野を「基本法の対象から全面的に除く」方法に関しては論議を十分尽くさないまま、最終案をとりまとめようとしていることにわれわれは極めて重大なる危惧を抱き、報道機関の使命を担う日本民間放送連盟会員198社の総意として、あらためてここに意見を表明する。

 特に、専門委員会の議論で、基本原則について法的な拘束力が実際に発動されることはないなどとして、報道機関への適用を求める意見が出されていることに大いなる懸念を抱くものである。
 言うまでもなく、「表現の自由・報道の自由」と「プライバシー・個人情報保護」は憲法上同等の重みで捉えられるべきであって、たとえ一部であっても、「表現の自由・報道の自由」を法律で規制することには強く反対する。われわれはこのことを再三にわたって主張してきたが、その考え方はこれまでの専門委員会の論議を聞くなかでも、いささかなりとも変わるものではない。

 園部逸夫委員長自らが、個人的見解としながらも、「表現の自由、学問の自由が戦争中に侵されたことを重視している。法律で規制するにはよほどの配慮が必要だ」と述べていることは、極めて重要な指摘である。残念ながら、法律は制定された途端に独り歩きし、予期せざる方向にいくことはこれまでの歴史が証明しており、それだけに、明解かつ万全の条文整備が必要である。

 先の大綱案(中間整理)に対するヒアリング等で述べてきたように、大綱案で示された各規律は相互に関連するものであり、ひとつの規律でも報道分野に適用されると、取材報道、番組制作の過程への不当な干渉を許す懸念が生じることは言うまでもない。また、個人情報保護の行動規範となる基本原則の順守を要請されるならば、取材報道活動の委縮は避けられず、情報提供者と取材側の信頼関係を確保することが困難になり、取材源の秘匿という報道の根幹を崩す恐れもある。
 表現の自由に関し、放送法は第1条において「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」としており、さらに第3条において、放送番組編集の自由を明確に定め、憲法21条の「表現の自由」を保障している。このことは放送局の活動に対し行政が関与することを、厳しく制限していると解すべきである。

 また、大綱案(素案)では、主務大臣の認定する「苦情の処理等を行う団体の認定」の条文が盛り込まれ、特に報道機関に対し苦情処理機関の設置を求める方向で検討が進められているが、このことは、行政の強い関与を意味する。放送界はこれまでも再三にわたり述べてきたとおり、放送にかかわる第三者の苦情処理機関として「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」を設立し、自主的に対応している。こうした自主的な対応を尊重すべきと考える。

 コンピュータ技術と通信技術の発達が急速に進む今日のIT社会において、個人情報保護法の制定は時代の要請であり、喫緊の課題であることは理解する。しかしながら一方、「表現の自由・報道の自由」が完全に守られているかどうかもまた、民主主義国家かどうかの基本的なメルクマールであり、「表現の自由・報道の自由」の論議が拙速であってはならない。将来に禍根を残すことのないよう、法制化の検討に当たっては、報道機関としての放送の意義や役割を十分に理解され、「表現の自由・報道の自由」がいささかなりとも侵害されることがないよう、強く求める。

以上

この件に関する問い合わせ:民放連[会長室]

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