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(報道発表)日本弁護士連合会の”人権機関設置構想”に対する見解の発表について

 社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=氏家 齊一郎・日本テレビ放送網社長〕は、11月10日、日本弁護士連合会〔日弁連〕が10月に公表した”人権機関設置構想”に対して、以下のとおり『見解』をまとめ、公表しました。


平成12年11月10日
(社)日本民間放送連盟
日本弁護士連合会の"人権機関設置構想"に対する見解

 日本弁護士連合会〔日弁連〕は2000年10月5日、6日の第43回人権擁護大会で、「政府から独立した調査権限のある人権機関の設置を求める宣言」を採択するとともに、「人権委員会設置法に関する要綱試案」を公表した。日弁連がこれまでメディアの活動ならびに「表現の自由」「報道の自由」に十分な理解を示していたにもかかわらず、今回の要綱試案や論議の中では、こうした配慮がほとんど無くなってきていることを、当連盟は大変憂慮すべきことだと受けとめている。

 今回示された要綱試案によると、まず人権機関は、「政府から独立」とはいいながら、極めて強い調査権限等を有し、準司法的な権限をもった行政機関として位置付けられている。内閣の管轄になっており、その経費が国家予算でまかなわれることなどからみても、同機関は明らかに国家権力の一部を構成しており、「公権力」そのものとみなさざるを得ない。メディアに関しては、要綱試案において、同機関の調査等に応じなかった場合には、罰金刑が科されるほか、警察による現行犯逮捕、令状なしの捜索・押収、事前検閲の危険性、取材源の秘匿が侵される恐れがあるなど、「表現の自由」にとって看過できない重大な問題を含んでいる。人権機関は、その権限の行使いかんによっては、メディアを断罪する機関として機能するおそれさえある。

  メディアによる人権侵害が許されるべきでないことはいうまでもないことであり、当連盟も放送基準・報道指針等の策定、報道記者研修会の開催、さらにNHKとの共同による自主的第三者機関「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」の設立など、自主・自律的活動を拡充してきている。こうした活動により、各社の現場における取材・制作活動に人権尊重の精神は着実に浸透している。

  日弁連は、その会則で「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」ことをかかげるとともに、「(弁護士の本質は)自由であり、権力や物質に左右されてはならない」として、公権力からの自立をうたっている。こうした使命や役割は、メディアとも共通するものであり、それゆえにこそ、日弁連は国民の知る権利に奉仕する「報道の自由」に深い理解を示し、メディアに対し公権力の介入を許すような動きには断固たる姿勢を貫いてきた。事実、昨年の第42回大会で、メディアに報道評議会などの設置を提言するとともに、日弁連自身の課題のひとつとして「市民、マスメディアと協力して報道の自由を守り、権力機関からの介入や干渉を防ぐため、調査、研究する」ことをかかげた。ところが、今回示された要綱試案では、「人権機関」に過剰に期待するあまり、メディアに対する「公権力の介入」を安易に許す姿勢を示している。こうしたことは、これまでの日弁連の歩みを振り返る限り、到底理解できない。

  憲法で保障された「名誉・プライバシーなどの個人の人権」と「表現の自由」が対立する局面が出てくるとしても、その解決はできうる限り市民とメディアの間の自律的な関係によるべきであり、BRCを設立した趣旨もまさにそこにある。BRCの歴史はまだ浅く、その存在が一般市民に十分には知られていないこともあり、その機能が十全に発揮されているとは必ずしもいいがたいが、当連盟はNHKとも協力してBRCの機能が十二分に発揮できるように努めることを、この際あらためて表明しておきたい。

  今回の大会において採択・公表された日弁連の「政府から独立した調査権限のある人権機関の設置を求める宣言」ならびに「人権委員会設置法に関する要綱試案」で提案されている人権機関については、憲法で保障された「表現の自由」を侵害するおそれが極めて強く、特にメディアへの対応に関し、抜本的な見直しを求めたい。

以上

この件に関する問い合わせ:民放連[業務部]

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