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(報道発表)“自衛隊法改正案”に関する民放連『報道委員会見解』について

 社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=氏家 齊一郎・日本テレビ放送網会長〕の報道委員会〔委員長=氏家 齊一郎・同〕は、10月24日、国会審議中の「自衛隊法の一部を改正する法律案」について、以下の『報道委員会見解』をとりまとめ、参議院外交防衛委員会委員長に手渡すとともに、同委員会委員ならびに内閣委員会・国土交通委員会の各委員および参議院議長、各政党党首、内閣官房長官、防衛庁長官に伝えました。


2001年10月24日
自衛隊法改正案に関する民放連・報道委員会見解

 今国会で審議中の自衛隊法改正案に含まれる「防衛秘密」の新設は、取材・報道の自由を侵害しかねない内容を含んでおり、われわれはこれに強く反対する。
 改正案第96条の2は「防衛秘密」の要件として、①別表4にかかげる事項、②公になっていないもの、③防衛上特に秘匿することが必要であるもの――の3つを挙げている。別表4は自衛隊の運用、運用に関する見積もり・計画・研究など、およそ防衛にかかわるすべての情報が列挙されており、あいまいかつ無限定である。また、防衛秘密を漏らすことを教唆、扇動した者も処罰の対象とし、自衛隊員のみならず、報道機関を含む広範な人々に処罰が及ぶ危険性がある。この条項が恣意的に運用された場合、例えば、航空基地の周辺住民への騒音被害の実態を追及するために、航空機の運用状況や騒音に関する性能などを自衛隊関係者に取材した場合においても、防衛秘密を漏らすことを教唆したとされる危険性さえある。
衆院における審議を注視してきたが、政府は沖縄密約漏洩事件(1971年)の最高裁判例を挙げ、「通常の取材活動が自衛隊法改正案第122条4項の教唆に該当することはない」と答弁するのみで、取材・報道の自由が侵害されない根拠は全く明確にされなかった。防衛秘密の指定や運用は法文上も、専ら政府による判断に委ねられている。
 安全保障の観点から、一定の防衛にかかわる情報が秘匿を要することは理解できる。しかし、「軍事機密」を理由に取材・報道の自由が不当に抑圧された例は世界史上枚挙に暇がなく、秘匿の必要に関する基準や判断が当局者によって専断されることの弊害は大きい。第二次世界大戦中の日本において、「軍機」の名のもとに情報の自由な流通を妨げられた結果、国家運営を誤り、多大の被害を人々にもたらした歴史をわれわれは忘れてはならない。また、米国において、ニューヨークタイムズ紙が「国防総省秘密報告」を暴露することによって、ベトナム戦争の泥沼から米国を救ったことも記憶に留められるべきであろう。
 1985年に国会に提出され廃案となった"スパイ防止法案"に対して民放連は、「拡大解釈を招く抽象的な規定が多く」「精密な構成要件を欠いている」として立法化に反対した。今回の改正案についても、われわれは同様の懸念を持っている。情報公開の流れを阻害し、取材・報道の自由を侵害し、国民の知る権利を抑圧する「防衛秘密」関連条項を法案から削除すべきである。

以上

この件に関する問い合わせ:民放連[番組部]

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