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(報道発表)自民党の青少年有害社会環境対策基本法案に公開質問状を提出

 社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=氏家 齊一郎・日本テレビ放送網CEO・会長〕は、12月14日、本年度第2回「放送と青少年問題特別委員会〔委員長=亀渕昭信・ニッポン放送社長〕を開催し、自民党が次期通常国会への提出を検討している「青少年有害社会環境対策基本法案」について、改めて反対していく基本方針を確認しました。まず12月14日、自民党に対し公開質問状を提出するとともに、自民党法案をさらに検討したうえで、できるだけ早期に正式の意見書をまとめて公表します。


2001年12月14日
亀渕昭信・「放送と青少年問題特別委員会」委員長コメント

自民党が次期通常国会への提出を検討している「青少年有害社会環境対策基本法案」は、青少年健全育成という美名のもとに、憲法で保障されているマスメディアの表現活動の自由を行政の監視下に置こうとするものであり、断じて認めることのできない内容である。

同党は昨年、青少年にとって何が有害かを総理大臣が判断し、マスメディアを含む事業者に対して指導、勧告を行う内容の法案(旧法案)を検討し、先の通常国会への提出をめざしたが、マスメディア界や有識者の強い反対などにより、提出を見送るにいたった。

同党の「青少年を取り巻く有害な環境対策の推進に関する小委員会」(田中直紀委員長)が現在検討している法案(修正法案)は、事業者が設立するfile「青少年有害社会環境対策協会」を通じて、各分野の”主務大臣”が事業者を監視する仕組みとなっているが、マスメディアに対する行政の介入となる点では旧法案と本質的に同じ問題をもつ。また、内閣総理大臣が強い監督権限を有する「青少年有害社会環境対策センター」が直接マスメディアに介入する点は、旧法案とまったく変わっていない。

民放連は、12月14日、「放送と青少年問題特別委員会」を開き、今後の対応を検討した。その結果、まず同日、自民党小委員会に対し公開質問状を提出して回答を求めるとともに、憲法・メディア法研究者の方々などの意見も伺って修正法案の内容を十分に検討、できるだけ早く正式の意見書を公表することとした。

以上

2001.12.14
自民党「青少年有害社会環境対策基本法案」への質問事項

1.この法案はなぜ必要か。

 この「青少年有害社会環境対策基本法(案)」は、なぜ必要なのか。その根拠となる立法事実は何か。また、仮に必要だとしても、言論・表現機関を対象外としていないのは、なぜか。

2.「基本法」は、基本理念の立法化に留めるべきではないか。

 法案名が「基本法」となっているにもかかわらず、事業者に対する「青少年有害社会環境対策協会」設立・入会の努力義務、さらには同対策協会が行う苦情処理、助言、指導、勧告の手続き等についてまで詳細に規定している理由は何か。「基本法」であるならば、掲げるべき基本理念を定めるに留め、その基本理念に照らして特に問題のある分野について、適切な「個別法」または都道府県条例等で対応すべきではないか。

3.規制対象を「事業者が供給する商品・役務」としているが、具体的にはどのような範囲を想定しているのか。

 都道府県条例では、規制の対象を「図書」「映画」「玩具」「興行」などと限定的に列挙している。法案において、規制対象を「事業者が供給する商品・役務(サービス)」と無限定に広げている(第六条等)理由は何か。同時に、規制対象の範囲を具体的に明示されたい。  また、すでに放送法による規制下にある「放送番組」も規制対象に含まれるのか。含まれるとすれば、その理由は何か。

4.「青少年有害社会環境対策協会」は自主規制機関ではないのではないか。

 事業者、事業者団体、「青少年有害社会環境対策協会」が行う青少年有害社会環境の適正化に関する基本的な事項を国が定める(第十条第2項第三号)とあるが、その内容としてどのようなものを想定しているのか。また、基本的事項を国が定める以上、同対策協会は自主規制機関とはいえないのではないか。

5.主務大臣が助言、指導を行う判断基準は何か。

 主務大臣等が「青少年有害社会環境対策協会」に対し助言、指導を行う(第十七条)場合、その判断基準は何か。「青少年有害社会環境」の定義(第二条第2項→注参照)がそれだとすれば、基準としてあまりに曖昧であり、恣意的な行政措置が行われないのか。

(注)青少年の性もしくは暴力に関する価値観の形成に悪影響を及ぼし、または性的な逸脱行為、暴力的な逸脱行為もしくは残虐な行為を誘発し、もしくは助長する等青少年の健全育成を阻害するおそれのある社会環境

6.主務大臣の勧告、公表は言論・表現の自由への介入とならないのか。

 主務大臣等は、「青少年有害社会環境対策協会」の業務運営が著しく不適切であると認めるときは、その改善に必要な措置をとるべきことを勧告する(第十八条)とあるが、「いちじるしく不適切」かどうかは何を根拠に判断するのか。また、主務大臣による勧告は、特にそれが同対策協会が行う個々の判断にまで及ぶ場合、主務大臣による事業者への直接介入に等しく、マスメディアの分野においては言論・表現の自由への介入とならないか。
 さらに、同対策協会が正当な理由なく勧告に従わないときは、その旨を公表するとある(第十九条)が、これは一種の行政罰であり、マスメディアに行使することは憲法第二十一条に抵触しないか。

7.「青少年有害社会環境対策センター」が行う苦情処理とは何か。

 「青少年有害社会環境対策センター」が青少年有害社会環境に関する苦情を処理する(第二十一条第2項第二号)とあるが、これは、どのような場合にどのように行われるのか。それが法案で規定されていないのはなぜか。
 また、内閣総理大臣が強い権限をもつ同対策センターがマスメディアにも直接介入するのは、なぜか。

8.異議申し立てを認めないのはなぜか。

 法案では、主務大臣の助言、指導、勧告等に対して「青少年有害社会環境対策協会」や事業者が異議を申し立てる手続きを規定していない。行政が誤った判断を行った場合に、マスメディア等が受けた不利益に対する救済措置が盛り込まれていない理由は何か。

以上、至急ご回答願いたい。


この件に関する問い合わせ:民放連[番組部]

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