一般社団法人 日本民間放送連盟

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表彰番組・事績

2021年日本民間放送連盟賞

日本民間放送連盟賞は、質の高い番組がより多く制作・放送されることを促すとともに、CM制作や技術開発の質的向上と、放送による社会貢献活動等のより一層の発展を図ることを目的に、民放連が1953年に創設した賞です。

  • 番組部門

    ラジオ報道

    文化放送戦後75年スペシャル
    封印された真実~軍属ラジオ

    文化放送

    出演 アーサー・ビナード、プロデューサー 関根英生、構成 山田睦美、取材 石森則和

    戦時中、ラジオは自国民どころか他国民をも欺くプロパガンダの役割を担い、“人の心を狙い撃ちする爆弾”“姿なき武器”となった。さらには敵国のプロパガンダを聴かせないための妨害電波の放送(ジャミング)まで行ったというラジオの「負の事実」に迫る。 ラジオの歴史を丁寧に掘り下げるとともに、実際に当時の人々が聴いたラジオ放送やジャミングされた音を、いま、同じラジオを使って蘇らせる試みは斬新。「戦争とラジオ」をテーマに、ラジオの存在を考え直す意欲的な自己検証番組となっている。

  • 優秀

    隠された性暴力 ~28年前の少女からの訴え~

    北海道放送

    プロデューサー 山﨑裕侍、ディレクター 幾島奈央、ナレーション 堀 啓知、MA 西岡俊明

    かつて中学教諭から4年あまりにわたって性暴力を受けた石田郁子さん。28年が経過し、札幌市教育委員会が訴えを認め、教諭を懲戒免職処分とした。なぜ性暴力が隠され、被害者の苦しみが続くのか。石田さんの苦悩やその取り組みを通じて課題を明らかにしていく。 石田さんに寄り添い、信頼関係を構築したからこそ取材できたインタビュー、加害教諭との面談の音声。これらによって外からは見えづらい性暴力の実態、被害者の感情や葛藤、切実な訴えを描き出している。性暴力に対する理解を深められる番組。

  • 優秀

    SBCラジオスペシャル『Lost and Found ~家族と故郷を失った父と娘の10年~』

    信越放送

    制作・取材・ナレーション 三島さやか、ナレーション 萩原興洋、編集 吉田真教、プロデューサー 手塚孝典

    福島県大熊町に住んでいた木村紀夫さん・舞雪さん親子は、東日本大震災による津波で家族3名を亡くし、東京電力福島第一原発の事故のため自宅を離れ、長野県白馬村に移住した。父娘の10年をたどり、それぞれが思いを独白するかたちで2人の心の変遷を描く。 長い年月をかけ密着取材したからこそ引き出せた父親と娘の本音。それぞれの視点から心情の変化を描き、交差させる構成、音楽・効果音の使い方はすばらしく、胸に迫る。津波や原発事故の記憶を、長野県の放送局が伝え続けていくことにも意義を感じる番組。

  • 優秀

    KNBラジオ報道スペシャル 冷たい扉~記者が見た奥田交番襲撃事件~

    北日本放送

    取材・構成・語り 庄司幸寛、制作統括 堀田茂宏、編集 荒山知徳、ナレーション 上野 透

    2018年6月26日に富山市で発生した奥田交番襲撃事件。加害者の男は交番所長を殺害し、奪った拳銃で近くの小学校前にいた男性警備員を殺害した。なぜ事件は起きたのか。3年にわたり取材を続けてきた記者の“目”を通して、事件の深層を考える。 無差別に殺害された遺族の悲しさや悔しさ、加害者の心の闇が、丁寧に取材によって浮き彫りになっている。それらに触れながら取材を続ける記者の苦悩や葛藤が克明に伝わる。

  • 優秀

    知らないけど知っている~私たちの1.17~

    ラジオ関西

    プロデューサー 青木達也、ディレクター 西口正史、中澤純一、出演者 津田明日香

    阪神淡路大震災から26年が経過し、神戸市では震災経験者が半数となった。震災教育を受けて育った「知らないけど知っている世代」の津田明日香アナウンサーと、現役の高校生が、ワークショップや防災CMの制作を通じて、彼らだからできる“継承”を考える。 時間の経過による、災害の教訓を継承していくことの難しさに正面から向き合い、「どうすれば若い世代が当事者意識を持ち続けられるか」という命題に対し、一つの答えを提起する未来志向の番組。“経験していないからこそ伝えられる強み”に気づかされる。

  • 優秀

    歌えなかった校歌、歌い継ぐ。

    広島エフエム放送

    ナレーター 神原隆秀、プロデューサー 屋形英貴、ディレクター 森島隆宏、唐崎乃梨子

    昭和19年に広島市立中学校で作られた校歌。原爆で多くの教職員・生徒が亡くなり、楽譜も歌詞も焼失し幻となった校歌を2006年、OBたちが記憶をもとに復活させた。歌えなかった人々の想い、復活に尽力した人々の想い、校歌を受け継いだ高校生の想いを伝える。 丁寧な取材をもとに歴史に埋もれた事実を掘り起こし、「歌」を通して描いていくエフエム局ならでは構成となっている。“歌い継がれる校歌”というかたちで、原爆の悲劇や記憶がいまの高校生・若者につながるテーマ設定もすばらしい。

  • 優秀

    RBCiラジオスペシャル 首里城火災から1年 ~撮り続けた8時間の記録~

    琉球放送

    構成・ディレクター・出演 仲田紀久子、取材 今井憲和、出演 石崎雅彦

    2019年10月31日未明に発生した首里城の火災。首里城の目の前に住む石崎雅彦さんは、8時間にわたり焼けていく首里城をホームビデオで撮影し続けた。石崎さんの映像を通して、沖縄の人々にとって首里城がどのような存在だったのか、その想いに迫っていく。 火災当時の音と、撮影時の石崎さんの語り口から、当時の緊迫した状況や首里城に対する想いがありありと伝わってくる。1年をかけて石崎さんを取材し、その人柄や考え方を描くことで、物語に深みと広がりが生まれる構成となっている

  • ラジオ教養

    「BORDER」~ヒョーゴスラビアにおける県境とは?~

    ラジオ関西

    プロデューサー 安田晴彦、ディレクター 冨島隆則、出演者 谷 五郎、田辺眞人

    北を日本海、南は瀬戸内海に面する兵庫県は、摂津・丹波・但馬・播磨・淡路の旧五国の多文化を包摂し、「ヒョーゴスラビア連邦」とも称される。番組は、隣接する徳島・岡山・鳥取・京都・大阪の5府県との県境にパーソナリティーが赴き、周辺に暮らす人々の意識をインタビューで解き明かしていくとともに、専門家が県境の歴史をひも解く。 切り口が斬新で、県境で線を引くことで見えた矛盾をコロナ禍の移動につなげる点も巧み。語りのテンポが良く、面白くてためになる教養番組の成功例として高い評価を得た。

  • 優秀

    ふれられない日常 ~視覚障害とコロナ禍~

    青森放送

    プロデューサー 森内真人、企画・構成 山本鷹賀春、取材・ナレーション 夏目浩光、出演 小田垣妙子

    視覚障害と新型コロナウイルス感染症の問題は、行政やメディアに取り上げられず取り残されたと感じている当事者も少なくない。視覚障害者が自ら企画、取材し、出演する『RAB耳の新聞』が、1年以上にわたり取材を重ねて伝えた声と、視覚障害者の取り組みを紹介する。 長期にわたる取材と独自性に満ちた番組として、コロナ禍での対策が不十分な点を指摘し、見落とされがちな問題にしっかりと焦点を当てて掘り下げた内容が秀逸である。

  • 優秀

    「テレフォン人生相談」55周年記念!『加藤諦三、令和時代への提言』
    ~心のマスクを忘れるな~

    ニッポン放送

    出演 加藤諦三、プロデューサー 長濵 純、演出 宅野 淳、構成 松岡 昇

    1965年1月にスタートした同社の最長寿番組の年末特番。約半世紀にわたり担当するパーソナリティーが、なぜこれほど番組を続けて来られたのかなど歴史の裏側を心の面から解説するとともに、心理的成長と望ましい人間関係の大切さを伝える。 コロナ禍で見過ごされがちな心のありようへの言及が印象深い。状況への提言として優れた内容で、含蓄ある言葉が淀みなく語られるところに長寿番組の重みを感じさせる。

  • 優秀

    CRTラジオスペシャル 民藝運動が問いかける、美しい暮らしとは

    栃木放送

    プロデューサー 川島育郎、ディレクター 飯田絵里、ナレーター 若林芽育

    およそ100年前、思想家の柳宗悦らは無名の職人による日用雑器に美を見いだすことを「民藝」と名付けた。かつて栃木県の益子が陶芸家・濱田庄司によってこの民藝ブームの一拠点として発展を遂げ、バブル期をピークに衰退していった変遷をたどり、現在、再び民藝の精神を工芸品やプロダクトデザインに引き継ぎ、再生の道を歩む姿を紹介。 作り手であるクラフトマンや流通業者、私たち消費者が「美しい暮らし、本当の豊かさ」を考えるヒントとして「民藝」を伝える秀れた作品である。

  • 優秀

    The Voice of Generation Z~Z世代が問う原爆と平和教育~

    ZIP-FM

    企画立案 石原大至、プロデューサー 和田昌樹、ディレクター/構成 中根康尋、ナビゲーター・DJ 石井七瀬

    広島から名古屋に進学した現役の大学生であるナビゲーターの石井七瀬は、人々の原爆や戦争に対する意識の違いに違和感を覚える。広島での高校時代を振り返り、平和教育への疑問を恩師に直接問い、他大学の学生との対話を通して21歳の今の思いを考える。 原爆や戦争を若い世代の声で表現していることが好印象で、ラジオならではのリアリティが感じられる。恩師や他の学生との対話に時間をかけることでナビゲーターの成長がうかがわれ、若者視点の番組化に成功している。

  • 優秀

    阿波の民俗音楽と芸能を辿る~檜瑛司と阿波の遊行

    四国放送

    ディレクター 藤井俊男、パーソナリティ 福井和美、ゲスト出演 梅津龍太郎、檜 千尋

    徳島県で創作舞踊の普及に努める傍ら、県内各地に散らばる唄や踊りなど民俗芸能を調査した鳴門市出身の檜瑛司が遺した音源を基に制作されたCDアルバム『阿波の遊行』。収録された音源を中心に、親交のあったパーソナリティー、眠っていた遺物を世に出した次女、CD編纂に携わったミュージシャンの3人が思い出や今後の展望を語っていく。 構成に押し付けがましさがなく、考えさせる余白があり耳に心地よい。民俗文化の伝承は貴重であり、関係者の座談に故人の肉声や収録音源を交えた番組の意義は大きい。

  • 優秀

    永遠の平和を あるBC級戦犯の遺書

    RKB毎日放送

    取材・構成・演出 大村由紀子、選曲・編集 寺岡章人、ナレーション 山崎夕希子、朗読 佐藤 巧

    1950年4月、「石垣島事件」によりBC級戦犯として巣鴨プリズンで処刑された藤中松雄は21枚7,000字の遺書を残している。遺族でさえ、いまだに彼が何をしたのか知り得ない状況のため、日米に残る公文書を検証し、事件と裁判の実相を明らかにする。 知る人の少ない歴史の闇に果敢に切り込み、戦争がいかに人間性を奪い、個人の尊厳を損なうかという重いテーマを提示している。資料調査から構成、演出、効果の全てにおいて卓越した労作として評価を得た。

  • ラジオエンターテインメント

    サンドウィッチマンのオールナイトニッポン

    ニッポン放送

    出演 サンドウィッチマン、狩野英孝、エグゼクティブプロデューサー 瀬尾伊知郎、プロデューサー 冨山雄一

    東日本大震災の1週間後に放送された緊急特番から10年、東北に寄り添い様々なことに取り組んできたサンドウィッチマンが再び生放送に挑戦する特番。10年前の放送と交差しながら、ゲストと語るそれぞれの10年とリスナーの10年のメッセージを紹介していく。 ラジオの持つ力を感じさせるコメントを引き出したサンドウィッチマンの見事なパーソナリティぶりが冴える非常に優れた番組。震災という重いテーマを扱いつつも、エンターテインメントとして楽しめ、メッセージを伝える強さもあり高く評価された。

  • 優秀

    笑顔をつなぐ、ずっと・・三陸鉄道~被災地を走り続けた10年~

    エフエム岩手

    ディレクター 中村睦明、MC・レポーター 鷲塚由美子、ナレーション 畑中美耶子、出演者 冨手 淳

    毎月1回放送している三陸鉄道の応援コーナーの拡大版。震災直後の三陸鉄道が描かれた絵本の朗読から始まり、震災5日後に運転を再開、3年後に全線復旧を実現させた三鉄マンたちの貴重なインタビュー証言を通して、三陸鉄道復活の舞台裏を綴る。 三陸鉄道が復活するまでを丁寧に追いかけ、地元の人々を勇気づけている存在が心に響く。リアリティのある社員の声から当時の奮闘の様子が歴史の証言として伝わり、社員が防災を語る運動を今でも続けている姿がこれからの鉄道の未来を感じさせた。

  • 優秀

    ロヂウラベース

    エフエム富士

    プロデューサー 中島正史、ディレクター 野村祐一郎、構成作家 春間伸一、放送技術 佐々木健治

    人気バンドのベース担当・楢﨑誠が自らを「路地裏」と例え、陽の当たらない人にもスポットを当てる基地としたい想いをコンセプトに放送を開始。リスナーとのやり取りを大切にする生放送にこだわり、恥ずかしいことにも果敢にチャレンジし、自らの言葉で語る。 コロナ禍で発表の場を失った若者にその機会を設ける試みなど、インタラクティブ性が高く、若者を引き込むことに成功しており未来を感じさせる。音の持つ可能性を発信している姿勢が面白く、新しい時代のコミュニティを見出だしている。

  • 優秀

    音楽を見る喫茶店~もっきりや50周年~

    北陸放送

    制作・編集 宮下 潤、ナレーション 保坂友美子、出演 平賀正樹、岡本勝之

    50周年を迎えた石川県金沢市にある喫茶店「もっきりや」は、開店当初から金沢大学生を中心に賑わい、全国でも有数のジャズ喫茶として認知されている。生のライブにこだわるマスターの平賀正樹さんに店の歴史や地元のミュージシャンたちとのつながりを、実際に演奏されたジャズの名曲を交えながら伺い、「もっきりや」の魅力に迫る。 冒頭から最後まで喫茶店の雰囲気を感じることができる作りで心地よい。インタビューを中心に、ジャズの魅力だけではなく、喫茶店が文化を担ってきた側面が伝わってくる。

  • 優秀

    岡林信康・復活の朝 スペシャル

    FM802

    DJ 田家秀樹、ゲスト 岡林信康、ディレクター 鹿野明、プロデューサー 古賀正恭

    FM COCOLOで放送された番組。フォークの神様と呼ばれる岡林信康が23年ぶりに新作アルバムをリリース。制作に至った経緯や作品に込められたメッセージなどを長時間にわたってインタビューし、1968年のデビューから今日に至るまでの軌跡を辿る。 一人のミュージシャンの考え方や音楽性が変わっていく様を紹介する番組として構成が秀逸。岡林氏にしか紡げない言葉をDJが引き出し、フォークに興味のない人でも魅力を感じることができる作品。

  • 優秀

    ラジオドラマ ひろしまお好み焼のある風景

    中国放送

    プロデューサー 手島啓介、脚本 名切勝則、演出 立分美有、編集 黒元敬太

    原爆投下・終戦から75年という節目に特別番組として、昭和30年代の広島お好み焼きの思い出エッセイを募集し、選ばれた2作品をラジオドラマ化。中学3年生の青春群像劇と、祖母と孫娘の交流を軸に人間関係が濃密だった昭和の地域コミュニティを描く。 リスナーからエピソードを募集しラジオドラマ化するコンセプトは、リアリティが感じられ、広島の街に溶け込んだ「お好み焼のある風景」が伝わってくる。コロナ禍の今、「生きるということは迷惑をかけること」というメッセージが心に響いた。

  • 優秀

    スナック・ラジオ沖縄

    ラジオ沖縄

    企画 知名定勝、制作 波平勇気、出演 玉城美香、津波信一

    新型コロナウイルスの影響で客足が途絶え、危機的状況にあるスナックを応援しようと始まった「スナック・ラジオ沖縄」。リスナーと一緒にお酒を楽しみながらスナック談議に花が咲き、沖縄ならではの人間模様が繰り広げられる。 スナックの空気感がそのままで一緒に飲んでいる気持ちになり、夜の街を応援しようというラジオらしいインタラクティブな企画で良作。

  • ラジオ生ワイド

    IMAREAL

    エフエム北海道

    プロデューサー・パーソナリティ 森本 優、プロデューサー 片山亮輔、ディレクター 梅津厚汰、アシスタントディレクター 三浦彩愛

    金曜/18時~22時の放送。2017年4月に放送開始。出演者は森本優、金川紗耶(乃木坂46)、知(サイダーガール)。学生の居場所作りを目的に、同世代や親世代に向けて学生のリアルな声を発信。コロナ禍での学校生活を学生らの声を通して伝え、学生達の日常にラジオが入り込むよう制作している。 熱いラジオに出会えた。本気でやりたい番組を作るダイナミズムに感動する。徹底的にリスナーの悩みに寄り添うパーソナリティの計り知れない熱量に圧倒される優れた番組。

  • 優秀

    笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ

    ニッポン放送

    出演 笑福亭鶴瓶、上柳昌彦、プロデューサー 長濵 純、演出 高橋良一

    日曜/16時~17時30分の放送。番組はPodcastでも配信され、海外リスナーからのメールが多く届き、毎回、世界各地に住む日本人と電話でコロナ事情を聞くのが恒例となった。笑福亭鶴瓶とリスナーによる打ち合わせ無しのガチンコトークは毎回笑い声にあふれ、コロナ禍で日々頑張っているリスナーに勇気を与えてきた。 人との出会いを大切にするパーソナリティの人間力や、相方の上柳昌彦アナウンサーのプロとしての底力に感銘を受けた。生ワイドの面白さが凝縮されており聴きごたえがある。

  • 優秀

    鉄崎幹人のWASABI

    静岡放送

    出演 鉄崎幹人、大槻有沙、プロデューサー 藤浪由希子、制作ディレクター 山本真弘

    月~木/9時~12時35分の放送。毎年、夏休みの時期は親子で楽しめる内容を放送し、2020年の夏には新型コロナウイルスの影響で外出が出来ない親子に向け「WASABI親子夏休みスペシャル」を1週間にわたって放送した。 忘れられつつある日本昔話をテーマに、浦島太郎を多角的に掘り下げ、現代的な意味を探る構成は面白く、親子で楽しめる特集として優れている。

  • 優秀

    源石和輝!抽斗!特番 東日本大震災から10年 防災の抽斗!

    東海ラジオ放送

    パーソナリティ・取材・構成・プロデューサー 源石和輝、コメンテーター 新井伸夫、ゲスト 大和田新、山﨑武司

    月~金/15時~17時の放送。パーソナリティがアナウンサー生活26年の知識や経験を活かし、ニュース、エンタメ、ドラゴンズの旬の情報を伝える番組。東日本大震災から10年、私たちは震災から何を学んだのかを、被災地の当時や今を知るゲストとリスナーがそれぞれの10年を番組に持ち寄り、様々な記憶の抽斗(ひきだし)を開いていく。 復興の難しさを、体験者へのインタビューを通して生々しく再現し、あの日の気持ちが思いだされた。演出陣の綿密な事前調査が番組内で実り、巧みな構成である。

  • 優秀

    ナジャ・グランディーバのレツゴーフライデー

    MBSラジオ

    出演者 ナジャ・グランディーバ、チキチキジョニー、プロデューサー 西畑風雅、ディレクター 宮本祥吾

    金曜/18時~20時の放送。前身番組から数えて5年目となる今シーズンは、番組の一番の魅力ともいえる止まらない出演者3人の四方山話とともに、リスナーとの相互のリアクションを意識しながら週末の夜にゆったりと聴けるように様々なコーナーを設置。 パーソナリティの魅力ある個性的なキャラクターが前面に出ていて面白い。電車内でのアナログな聴取率調査は興味深い。

  • 優秀

    井坂彰のサタデーライブJAにしうわプレゼンツまだまだ終わらない
    オレたちの西宇和みかん―中晩柑(ちゅうばんかん)SP―

    南海放送

    ディレクター 吉尾亜耶、プレゼンター 井坂 彰、アシスタント 竹内愛希、リポーター 宇都宮郁美

    土曜/13時~16時の放送。柑橘の収穫、出荷が増えるシーズンにPRと生産者を応援したい思いから、中晩柑にスポットを当て特別番組として放送。中晩柑の旬や特徴、生産の裏側をはじめ、10代の目から見た中晩柑の魅力も紹介し、日常の中で柑橘が話題になる番組を目指して、柑橘の香りと柑橘愛に包まれた柑橘づくしの3時間を届けた。 地元の特産である中晩柑の大特集は、地域に根付いた制作姿勢がよく伝わり、ローカル局だからこそできる力作。PRだけではなく学びも盛り込み、巧く構成されている。

  • 優秀

    アサデス。ラジオ(branch)

    九州朝日放送

    プロデューサー 田原博幸、ディレクター 米嵜竜司、取材ディレクター 吉澤路久、中継ディレクター 乙部奈瑠美

    月~金/9時~12時44分の放送。福岡県内に展開する総合ディスカウントストアをテーマに3時間44分の生放送。今回はリスナーの「199円のカツ丼」に対する熱い思いをきっかけに、コロナ禍で生活の楽しみが少なくなっている中、買い物は楽しいと改めて感じてもらおうと企画し、リスナーや客の声を紹介しながらパーソナリティが実態調査する。 リスナーが番組をリードしていく異色のルポ番組で思わず引き込まれる。リスナーが主役のローカル局らしさがあふれる楽しい番組。こうした取り組みが広がることに期待。

  • テレビ報道

    すくえた命~太宰府主婦暴行死事件~

    テレビ西日本

    プロデューサー 永松裕二郎、取材・構成 塩塚陽介、編集 橋本謙二、音効・MA 新甫 宙

    2019年10月20日、福岡県太宰府市にあるネットカフェの駐車場で佐賀県基山町の主婦が遺体で見つかった。被告は被害者の知人女性と交際相手の2人。1カ月近く監禁し、虐待行為を繰り返した末に死亡させた。番組は1年半にわたり凄惨な事件の背景を追跡取材し、複雑な人間関係と身勝手な犯行、そして佐賀県警の怠慢をあぶり出した。 遺族や関係者への綿密な取材が再現シーンの信用性を高めるとともに、警察の体質を追及する執念を感じさせる。ローカル局の存在意義を示す調査報道として高い評価を得た。

  • 優秀

    たゆたえども沈まず

    テレビ岩手

    チーフプロデューサー 畑山 篤、プロデューサー 藤原哲也、ディレクター 遠藤 隆、取材 三浦裕紀

    2011年3月11日の東日本大震災から10年の経過を機に、地元ローカル局に残された膨大な記録映像を洗い直し、減災につながるよう津波の恐ろしさを伝える。震災直後に安否確認のためビデオレターを撮影した人々の今を取材し、被害者の10年間を見つめ直した。 映画のような構成で、静かだが、当事者たちが共に寄り添い生きてきた時間を感じさせ、記憶を引き継いでいく覚悟が見える。地元局としての目配りと丁寧な取材が光り、震災10年にふさわしい作品である。

  • 優秀

    BS12スペシャル「村本大輔はなぜテレビから消えたのか?」

    ワールド・ハイビジョン・チャンネル

    プロデューサー 佐々岡沙樹、檀乃歩也、石川朋子、ディレクター 日向史有

    ウーマンラッシュアワーの村本大輔は、原発や沖縄の米軍基地問題などを漫才のネタにし始めた2017年頃からテレビ出演が激減。現地に足を運び、ネタを探し続ける姿に密着するとともに、関係者への取材で現在のテレビ制作現場に漂う空気が浮かび上がる。 一人の芸人を通してテレビというメディアにまん延するタブーや奇妙な忖度が明らかにされ、テレビが伝えなければならないことは何かを考えさせる作品である。

  • 優秀

    SBCスペシャル まぼろしのひかり~原発と故郷の山~

    信越放送

    プロデューサー 手塚孝典、ディレクター 湯本和寛、ナレーション 宮入千洋、撮影 米山博昭

    福島第一原発の事故で何が奪われ、失われたのか。人々は何を取り戻そうとしたのか。長野県と縁のある人たちを中心に、帰還困難区域が解除されない町や村で生きる人々の現在とその軌跡をたどり、あらためて10年という歳月の意味を見つめる。 故郷を追われた人々の怒り、悲しみだけでなく、満州移民の歴史を重ねた国策による棄民や、就職の口利きで原発賛成派を増やしていった事実も描いており、制作者の視線の深さがある。貴重な証言も記録しており、東日本大震災から10年の作品として評価を得た。

  • 優秀

    おいてけぼり【9060家族】

    中京テレビ放送

    ディレクター・撮影 森 葉月、撮影 佐藤彩子、伴 尚志、編集 藤谷圭太朗

    愛知県内の市営団地で父(当時91歳)と暮らす女性(同52歳)は、35年にわたり自宅にひきこもっている。番組は、女性と家族の記録を通じて「8050問題」がはらむ課題を描き、社会に対策の必要性を強く訴えるとともに、いずれ「9060」になると警鐘を鳴らす。 「8050問題」を生きる家族の日常を知る貴重な記録であり、父親の死後も取材を継続できる関係性を築いていることが評価された。核家族などの戦後の家族が行き着いた現実を浮き彫りにした秀作である。

  • 優秀

    映像’21 ほっとけへん にしなり☆こども食堂の日々

    毎日放送

    プロデューサー 奥田雅治、ディレクター 木村富友佳、撮影 薮下卓義、ナレーター 髙井美紀

    川辺康子さんは大阪市西成区の団地で「にしなり☆こども食堂」を10年以上にわたり運営してきたが、食事を提供するだけでは根本的な解決にならないと実感し、家を借りて子どもや親と同居しながら生活の立て直しを図る試みを始めた。番組は、子どもたちが置かれた厳しい環境を描きながら、生活の再生の道筋を考える。 社会が「ほっとけへん」という思いを持ち続ける大切さが分かるとともに、貧困の連鎖を断ち切る答えは簡単には出ないことも伝わり、深く考えさせる作品である。

  • 優秀

    報・動・力「検証 ゲーム条例」

    瀬戸内海放送

    企画・取材・構成 山下洋平、ナレーション 白戸ゆめの、撮影 廣瀬祐季、池田冬樹

    2020年4月に施行された香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」。番組は、情報公開請求で開示されたパブリックコメントの原本を用いて賛成意見の水増し疑惑を詳細に伝える。さらに施行後も問われる科学的根拠の希薄さ、法令が家庭生活に介入することの是非、制定過程への疑問などについて、さまざまな声を集め、多角的に検証している。 丁寧な取材で俗信を振りかざす地方議会の劣化を浮かび上がらせ、制定を誘導した疑惑に対する問題意識からも報道機関の役割と責任を感じさせる調査報道として秀逸である。

  • テレビ教養

    おひさま家族~りんくん一家の17年~

    静岡放送

    取材・編集 中村 潔、構成 小川 満、撮影 三島乾児、ナレーション ayako_HaLo

    生後10か月のときに宣告された色素性乾皮症により、太陽の紫外線を浴びることができない清麟太郎くん。この病気に治療法はなく、年齢を重ねるにつれ、重度の神経障害が伴い、30歳になる頃にはほぼ死に至るといわれている。死と隣り合わせの難病と闘い続ける少年とその家族の日常を10年にわたって追った作品。 日差しの弱い朝夕の外遊びや、祖父の新聞配達の手伝い、家族の恒例行事となっているさくらんぼ狩りなど、日光を避けながらも明るく豊かな日常を過ごす麟太郎くんとその家族の姿は、家族の愛情と「生」へのありがたさを温かく、真っすぐに伝えてくれる。

  • 優秀

    あなたへ~東日本大震災から10年~

    テレビ岩手

    ディレクター 三浦裕紀、プロデューサー 遠藤 隆、撮影 田中 進、編集 秋山進吾

    東日本大震災直後、被災地では携帯電話もつながらず、安否を伝えることも難しい状況下で「今、伝えたいことを話してください」と始めたビデオレターの放送。震災から10年、ビデオレターに協力してくれた人々を継続的に取材し、その生活と街の移り変わりを定点的に映す。 ナレーションのないシンプルな演出によって、変わり続ける被災地の景色と、そこに暮らす人々の10年の想いをありのままに伝え、胸を打つ作品に仕上げている

  • 優秀

    ザ・ノンフィクション 生まれてくれて ありがとう~ピュアにダンス 待寺家の17年~

    フジテレビジョン

    ディレクター 松田恵子、音楽 日向敏史、プロデューサー・撮影 河村正敏、チーフプロデューサー 西村陽次郎

    ダウン症の待寺優さんは13歳の時からダンスに夢中。毎日6時間も踊るほどダンスに明け暮れ、次第にダンサーとして認められるようになる。番組はその17年の軌跡を追った。 ピュアにダンスを楽しみ続ける優さん自身や、憧れのダンサーと夢の舞台を実現していくまでの姿を捉える一方、“ダウン症”で注目を集めてしまうことへの葛藤、高齢となっていく両親の、優さんの生き方をめぐる意見の対立を映し出すことで、「自立への道」をめぐる光と影がリアルに描かれている。

  • 優秀

    チョコレートな人々

    東海テレビ放送

    ナレーター 宮本信子、音楽 本多俊之、プロデューサー 阿武野勝彦、ディレクター 鈴木祐司

    学生時代、障害者雇用の厳しい現実を知った夏目浩次さんは「障害者でも稼げる場所を作りたい」との思いを持つ。“失敗しても温め直せばまたやり直せる”ことから手がけたチョコレート事業が成功し、いまでは全国に事業所を拡大。最低賃金を保証し多様な人たちが働く場にもなっている。番組では、夏目さんのこれまでの17年間の活動を紹介する。 失敗をくり返しながらも強い信念で挑戦を続ける夏目さんの姿は、理想通りにいかない現実と苦闘するすべての人を勇気づけ、SDGsが一大ムーブメントとなる中、持続可能な社会とは何か考えさせられる作品。

  • 優秀

    1万人の第九2020 抱き合おう世界中の人々よ

    毎日放送

    プロデューサー 加藤美子、映像担当 露口三郎、音声担当 田中聖二、総合演出 岡田トモフミ

    新型コロナウイルスによって、数多のイベントが延期、中止となった2020年。37年間毎年開催されてきた「1万人の第九」の実現に向け、指揮者の佐渡裕さんは立ち上がった。番組は、人が集まることができず、飛沫の飛ぶ合唱は実施が困難とされる中、オンラインで投稿してもらう歌声による世界最大級のリモート合唱が実現するまでを描く。 番組最後の1万人を超える人々の歌声による「大合唱」はまさに圧巻で、コロナ禍における人々のつながり、音楽の力を強く感じる作品となっている

  • 優秀

    ある牛飼いの日々

    山口放送

    ディレクター 佐々木聰、撮影 山本健二、音声 綿野光士、EED 山本宏幸

    牛肉の輸入自由化にはじまり、伝染病の流行など、近年多くの困難により廃業する牧場が多い中、牛飼いの梶岡秀吉さんは、山口県美祢市の山間の牧場で250頭もの黒毛和牛を一人で育てている。「喜ばれる命のつなぎ方をしたい」と奮闘を続ける梶岡さんの日々の暮らしを13年にわたって記録した。 牛舎の環境や牛の体調、餌のやり方などに気を配りながら、毎日丁寧に牛の世話をする梶岡さん。農業が私たちのいのちを支えている大事な仕事だとあらためて感じさせる、教養番組にふさわしい作品に仕上がっている。

  • 優秀

    1031首里城の消防士たち~いま明かされる火災の真実~

    沖縄テレビ放送

    ナレーター 田口トモロヲ、構成 渡邊修一、ディレクター 與古田遼、プロデューサー 山里孫存

    2019年10月31日未明に発生した首里城火災。沖縄県のシンボル炎上のニュースは沖縄だけでなく全国の人々に衝撃を与えた。火災の発生状況と10時間以上にわたる消火活動、再現VTR、消火にあたった消防隊員のインタビューをもとに、多角的に火災の真相を探る。 二度とこのような焼失を起こさせないための記録としての役割を担いながら、美しい首里城が火炎の中で崩れ落ちていく様子、その様子をただ茫然と見つめる県民の姿、時刻を追って克明に捉えたカメラと構成は無駄がなく傑出している。

  • テレビエンターテインメント

    俺たち ウォーターボーイズ!!

    山口放送

    プロデューサー 佐々木聰、ディレクター 田村康夫、撮影 上田 翼、撮影・EED 山本宏幸

    山口県阿武町で2011年、町を盛り上げたいと若者たちが結成した男子シンクロチーム「ABUウォーターボーイズ」。人気は年々高まり、公演では観客がプールサイドを埋め尽くすほどに。モットーの“一生懸命”を届けようと挑戦するメンバーの5年間の記録。 個性豊かな登場人物それぞれの物語を織り交ぜながら、苦悩しながらも成長していく5年間の歩みを巧みに描いている。町を盛り上げるために本気で取り組む姿、町を挙げての応援に心が打たれる。時間をかけ“地域の頑張る姿”を追ったローカル局ならではの力作。

  • 優秀

    いまエールを送ろう どさんこドキュメント「夜明け」を紡ぐ

    札幌テレビ放送

    プロデューサー 山谷 博、ディレクター 松浦佳奈、中 政将、ナレーター 福地桃子

    名門、旭川商業高校吹奏楽部。新型コロナウイルスの感染拡大による部活動の休部や、相次ぐコンクールなどの中止により大きな目標を失ってしまう。悔しさや苦悩を抱えながらもあきらめずに音楽に打ち込み、その先にある“夜明け”を信じた高校生と先生の記録。 コロナ禍で目標を失いながらも一生懸命に努力する高校生。そうした中で託された“バトン”を後輩に引き継いでいこうとする3年生の姿、その想いに寄り添う先生の愛情に胸が打たれる。1年間をさまざまな音楽とともに描いていく構成は秀逸。

  • 優秀

    劇場の灯を消すな!Bunkamuraシアターコクーン編
    松尾スズキプレゼンツ アクリル演劇祭

    WOWOW

    プロデューサー 石川彰子、長坂まき子、加藤真規、総合演出 松尾スズキ

    新型コロナウイルスの感染拡大で劇場は危機的な状況となった。観客のいなくなった劇場で、演者が「マツノボクス」と名付けたアクリルボックスの中で歌い、踊り、演じる。再び観客が戻るその日まで“劇場の灯”を消さないために制作した劇場愛あふれる番組。 ソーシャルディスタンスを逆手にとった逆転の発想はシュールで斬新。コロナ禍で、エンターテインメントとして何ができるのか、その一つの答えを導き出している。作品としての完成度は高く、無観客となった劇場で、それでも演じたい演劇人の気概を感じる。

  • 優秀

    SBCスペシャル とうちゃんは茅葺師

    信越放送

    プロデューサー 手塚孝典、ディレクター 宮川伊都子、ナレーション 白井貴子、撮影 丸山清寿

    長野県小谷村で茅葺屋根を専門とする「小谷屋根」の3代目、茅葺師の松澤朋典さん。家族みんなが「とうちゃん」と呼んでいる。茅葺師としての1年を、家族とのつながり、四季折々の小谷の風景や伝統行事、新人の塚本留加さんの苦悩や葛藤も交え、描いていく。 伝統的な方法にこだわり、自ら茅をつくるところから屋根を葺くまでを、登場人物のエピソードとともに楽しく、面白く理解できる番組となっている。随所に出てくる美しい風景や太陽のきらめき、茅に真剣に向き合う姿は、閉塞感を感じる今、一層、印象的に映る。

  • 優秀

    FBCスペシャル2021 #田舎は好きですか ファインダー越しの僕のふるさと 

    福井放送

    プロデューサー 岩本千尋、ディレクター・撮影・編集 吉村拓治、構成・編集 秋山進吾、ナレーター 松田佳恵

    福井県では進学や就職で地元を離れる若者が少なくない。そんな福井にこだわり、写真を撮る20歳の友嵜雄太さん。何もないと思っていた田舎だが、カメラを向けると収まりきらない魅力で溢れていた。自分と向き合い、ふるさとの価値を発見していく1年を追った。 カメラのファインダーを通して故郷の魅力に気づき、人々との交流を深め成長していく若者の姿が、風景や写真の美しさとあいまって、爽やかで幸せを感じる番組となっている。コロナ禍で気持ちが沈みがちになる中、「何かに挑戦してみたい」と駆り立ててくれる。

  • 優秀

    田村淳のコンテンツHOLIC2021

    毎日放送

    プロデューサー 森 貴洋、演出 平岡大希、ディレクター 竹内成修、福井彩音

    クリエイターたちが本当に面白いと思うコンテンツを番組MCの田村淳さんにプレゼン。“テレビ界のタブー”を破り、他局のテレビマンが出演し、他局や他メディアのコンテンツを紹介してきた。復活特番となる今回は、テレビの未来、この番組の意義も考察する。 これまで知らなかった魅力的なコンテンツに気づける貴重な番組。テンポの良さや、“掟破り”の演出も面白い。テレビ番組に数多く出演する田村さんが、さまざまな媒体のコンテンツを俯瞰した上で、“テレビ愛”“テレビ番組の価値”を真剣に語る姿に惹かれる。

  • 優秀

    第∞世代 ~ここまでどうですか?~

    テレビ西日本

    出演者 かごしま太郎、わっしょい田中、ディレクター 阿部康之介、プロデューサー 緒方伸介

    次世代のテレビを担う若手タレント、若手制作陣が実験的に企画を実施。ツッコミ芸人小峠英二がVTRの改善点を見極める番組。今回は、芸人2人が博多駅から出雲市駅まで駅周辺の神社でおみくじを引き、運勢に応じて設定された駅数を進んでゴールを目指す。 今回の企画では、珍しい神社に辿り着いたり、偶然的なエピソードがあったりした点が面白い。新しい企画を生み出そうとする制作者・出演者の熱意が伝わってくる。

  • テレビドラマ

    浜の朝日の嘘つきどもと

    福島中央テレビ

    プロデューサー 斎藤裕樹、菅澤大一郎、監督・脚本 タナダユキ、出演 竹原ピストル、高畑充希

    売れない映画監督・川島健二は生きる希望を失くし、「死ぬ前に好きだった映画でも観よう」と南相馬市の古びた映画館『朝日座』に辿り着く。客から入館料をくすねるモギリ嬢の茂木莉子と一癖ある支配人の森田保三に出会い、映画館を手伝うことになる。ある日、三人はゆる~い“死に場所探し”に出かけるが、富岡町の帰還困難区域の雑木林を前に、森田は弟が自ら命を絶ったことを語り始め、川島の気持ちも揺れ始める。そんななか、街のために映画を作ってほしいと声を掛けられ、川島は構想を練り始める。 「福島のいま」を、嘘つきで癖のある登場人物たちを通して、やさしく視聴者に問いかける。緻密な構成、考え抜かれたセリフの数々が、クオリティの高いドラマに結実した。

  • 優秀

    コントが始まる

    日本テレビ放送網

    プロデュース 福井雄太、演出 猪股隆一、脚本 金子茂樹、出演者 菅田将暉、有村架純

    28歳の中浜里穂子は、売れないコントトリオ「マクベス」の熱心なファンである。1年前、里穂子がアルバイトとして勤めるファミレスに、春斗・瞬太・潤平がネタ合わせのために訪れたことが、マクベスとの出会いであった。自分の住むマンションの隣に彼らが同居していることを知り、里穂子は同年代の彼らにのめり込んでいく。初めてライブを観に行った里穂子は、マクベスが「解散」を迎えるという、驚愕の事実を突きつけられる。 若手実力派俳優をそろえ、失敗や挫折をめぐる心の機微をみずみずしく描いている。冒頭のコントの伏線が本編で回収される構成が秀逸で、連続ドラマの底力を見せてくれた。

  • 優秀

    ナイルパーチの女子会

    BSテレビ東京

    監督 瀧 悠輔、プロデューサー 戸石紀子、脚本 横田理恵、出演 水川あさみ、山田真歩

    大手総合商社に勤め、男性と肩を並べて活躍している志村栄利子の唯一にして最大のコンプレックスは、“女友達がいないこと”である。そんな栄利子の密かな楽しみは、同い年の主婦が綴る、人気のSNS「おひょうのダメ奥さん日記」を読むこと。ある日、栄利子は、近所に住んでいた日記の作者・丸尾翔子と偶然、出会う。栄利子と翔子は急速に親しくなっていくが、あることがきっかけで二人の関係は思わぬ方向へ進んでいく。 映像や色彩の鮮やかさが印象的なドラマである。仕事はできるが、孤独で親離れできない“痛い”ヒロインを演じる主役の演技力が、ドラマに説得力を与えている。

  • 優秀

    オトナの土ドラ その女、ジルバ

    東海テレビ放送

    プロデューサー 遠山圭介、松本圭右、雫石瑞穂、黒沢 淳、脚本 吉田紀子

    大手百貨店の物流倉庫で働く笛吹新。40歳の誕生日に祝ってくれるのは通販サイトのクーポンメールだけで、さらに元婚約者が上司として職場にやってくるはめに。淡い期待で買った宝くじに導かれるように、熟女バー「OLD JACK&ROSE」と出会う。ホステスの平均年齢70歳以上というこの店で「人生を変えたい!」とアララという源氏名で働き始める新。価値観の違いに衝撃を受けつつも、彼女の人生は少しずつ、輝き始める。 夢のない日々を送っていたヒロインが、どんどん生き生きとしていくさまを演じる、圧倒的な演技力がドラマの最大の魅力となっている。

  • 優秀

    大豆田とわ子と三人の元夫

    関西テレビ放送

    プロデュース 佐野亜裕美、演出 中江和仁、脚本 坂元裕二、演出 瀧 悠輔、音楽 坂東祐大

    大豆田とわ子は、これまでに3回結婚して3回離婚した、いわゆる“バツ3”。建設会社『しろくまハウジング』の社長に就任し、最初の夫・田中八作との間に生まれた中学3年生の娘・唄と暮らしている。社長就任と同時期に亡くなった母親のパソコンを開こうとしたとわ子は、パスワードが設定されていることに気付く。これがきっかけとなって、とわ子は元夫たちと互いに接点を持つことになる。 淡々とした日常の機微を丁寧に描きながら、巧みなセリフや予想外の展開を織り交ぜ、視聴者を惹きつけるドラマに仕上げている。

  • 優秀

    名建築で昼食を

    テレビ大阪

    プロデューサー 岡本宏毅、山本博紀、清水啓太郎、監督 吉見拓真、脚本 横幕智裕

    広告会社でコピーライターとして働きながら、カフェ開業を夢見る春野藤。そんな彼女が、ノスタルジックで可愛らしい「乙女建築」巡りを趣味とする中年の建築模型士・植草千明とSNSを通じて知り合い、名建築でランチを共にすることになる。二人で名建築を巡っていくうちに、藤は千明の一風変わった価値観やものの捉え方に興味を抱いていく。さらに、千明の何気ない言葉から、藤の気持ちもゆっくりと変化していく。 建築の美しさ・魅力を、俳優の演技を通して魅せる企画・構成が新しい。加えて、教養的な要素とドラマの要素を両立させることで、ドラマの新たな可能性を探っている。

  • CM部門

    ※各作品のタイトルは、「広告主名(非商業スポットは省略) 商品名/作品名(秒数)」の形で掲載

    ラジオCM第1種(20秒以内)

    ガオチャオエンジニアリング
    枝豆選別機/まめorだめ(20秒)

    山形放送

    ディレクター はらただし(U-fan)、ナレーション 松下香織、陣内倫洋、コピーライター 水谷正輝(フリーランス)

    だだちゃ豆の特産地・山形県鶴岡市にある企業で開発された枝豆選別機。機械が画像認識技術を活用し枝豆を選別する様子を、映像のないラジオCMとして「まめ」と「だめ」の2つの単語を機械的に連呼することで表現した。言葉の韻を効果的に用いてリズムを作り、「機械が素早く枝豆を選別する」という商品の特性を面白く伝え、強く印象に残るCMとなっている。

  • 優秀

    鹿島建設 CO₂-SUICOM/「決まり手」 篇(20秒)

    エフエム東京

    プロデュース 山口景子、演出 佐藤延夫(トビラ)、コピー 菅井章博(トビラ)、出演 松山信山(フリーランス)

    相撲の「寄り切り」「押し出し」「はたき込み」の決まり手のように、建設の世界には「吸い込み」という技がある。大気中の二酸化炭素を吸い込み、貯めこんだまま固まる環境配慮型コンクリート「CO₂-SUICOM」を大相撲の行司風に紹介するCM。環境保全をはじめSDGsに向けた取り組みが期待される中、BtoB企業が地球温暖化に配慮した革新的技術を生活者に親しみやすく伝えるつくりが評価された。

  • 優秀

    日本ゼオン 企業CM/「爆笑」 篇(20秒)

    エフエム東京

    プロデュース・演出 山口景子、コピー・出演 若杉幸祐(電通)、録音技術 越川博雅(エフエムサウンズ)、音響効果 鈴木隆弘(フリーランス)

    早口でゴムの成分をまくし立て、「オニ強くないっすか」と興奮するゴムおたく。分かりやすい説明はなく、ナレーションは「一体何が面白いのか。ゼオンに聞けば、きっと分かる」の一言のみ。リスナーは専門用語の連発に未知のゴムへの好奇心が湧いて、ついつい気になってしまう。高校生に人気の番組で放送することを前提に「〇〇おたく」というトレンドを上手に使い、心くすぐるストーリーに仕上げている。

  • 優秀

    栃木県 栃木県魅力発信CM/「告白」 篇(20秒)

    エフエム栃木

    プロデューサー 峯 佑輔、コピーライター 松本穂乃香(ディーイーシー・マネージメントオフィス)、ディレクター 中山佐知子(ランダムハウス)

    2020年「都道府県魅力度ランキング」で最下位になった栃木県。県と共同で、栃木の魅力を発信しようと企画した。ナルシスト感あふれる歌声で「憂鬱な僕は薔薇のような君が好きだ」と告白する男性。しかし栃木を漢字で書けないと聞くと女性は「憂鬱や薔薇が書けるより地味な栃木を大切にする人が好き」とポップに歌い上げる。地味とのネガティブな印象を、魅力を声高に叫ばないつつましい県民性という新しい魅力として表現した。

  • 優秀

    伊藤ハム ポールウインナー/げんかつぎ 篇(20秒)

    朝日放送ラジオ

    プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、コピーライター・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、プロダクションマネージャー 東 竜太(ビッグフェイス)

    試験当日。緊張している息子のとおるを送り出す母親が「これ持っていきなさい」と手渡したのは、ポールウインナー。呆れる息子に、すかさず母は「とおるは、とおるウインナー」とたたみかける。息子は「ありがとう」と安心した声で返事をする。どの家庭にもある試験当日の張りつめた一瞬の風景に、小さな笑いを入れ込むハートウォーミングな展開が評価された。

  • 優秀

    カッパ・クリエイト かっぱ寿司/レッツ☆ラレッツ 篇(20秒)

    朝日放送ラジオ

    プロデューサー 野本友恵、コピーライター・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、作曲・ディレクター 東 竜太(ビッグフェイス)、プロダクションマネージャー 中川 蓉(ビッグフェイス)

    「♪えび、たい、はまち、あじ、いくら」と、寿司ネタが次々にメロディにのって歌われる。20秒のCMになんと20種類以上の寿司ネタが紹介されている。店に行ったとき、たくさんネタがあって迷ってしまう高揚感や、あれもこれもたくさん食べた満足感をギュッとCMに詰め込んだ。テンポよく出てくる寿司ネタが、実際の回転寿司の風景へと結びつく演出が光るCM。

  • 優秀

    中央軒 長崎皿うどん/行きたい 篇(20秒)

    朝日放送ラジオ

    プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、コピーライター・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、プロダクションマネージャー 東 竜太(ビッグフェイス)

    「パリ行きたい、パリ行きたい」と女性。あきらめると「品川行きたい、品川行きたい」とさらに駄々をこねる。パリパリ品品(しなしな)から長崎皿うどんを連想させるも、お店は「パリにも品川にも、長崎にもない」大阪にあるというオチ。会話のテンポの良さによって、押し通されるナンセンスさもおかしみになる構成が秀逸。2人の会話が、商品訴求に留まらず、親しい人と気軽に訪れることができる店の雰囲気まで伝えた。

  • ラジオCM第2種(21秒以上)

    伊藤ハム ポールウインナー/なかなかの夫婦仲 篇(120秒)

    朝日放送ラジオ

    プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、コピーライター・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、プロダクションマネージャー 東 竜太(ビッグフェイス)

    夫婦で仲良くポールウインナーを食べている日常の1コマ。夫が妻に「ウインナーとソーセージってどうちゃうの?」と尋ね、妻はソーセージの中の一種がウインナーやと答える。そこから「〇〇の中の〇〇」という言葉をめぐって掛け合いが加速。最後は「伊藤ハムの中のロングセラー商品」で締め括る。息もつかせぬ会話のテンポと展開が絶妙で、120秒という長尺ながら、まったく飽きさせることなく聞き入ってしまう傑作である。

  • 優秀

    公共キャンペーン・スポット/盛岡弁(60秒)

    IBC岩手放送

    ディレクター 佐藤正昭(スリーエス)、ナレーター 加藤久智、出演 中谷眞也(盛岡弁で遊ぶ会主宰)

    盛岡弁を残す活動を続けている中谷眞也さんは、盛岡弁には「滑る」という言葉だけでも20くらいあるという。「つすっと滑る」「でらくらでらくら」。その言葉づかいで、盛岡の人は気象や地面の状態までわかるという。方言を守ろうとする自社の取り組みの意義を地元の人の豊かな方言でストレートに伝えた点が、高く評価された。言葉の多様性を伝えるラジオの役割も再認識させられる。

  • 優秀

    はごろもフーズ ローリングストック/ヒーロー登場 篇(30秒)

    ニッポン放送

    プロデューサー 矢部貴人、小林亮彦(ADKマーケティング・ソリューションズ)、ディレクター 高橋晶子、コピー 佐藤延夫(トビラ)

    場面はヒーローと悪者の対決シーン。ヒーローが「喰らえ!ローリング!ストーーーック!」と必殺技を決める。ナレーションが「ローリングストックとはいつもの食材を多めに買っておいて、食べた分だけ買い足す新しい備蓄方法なのだ」と解説する。最後に悪者が「お前の名は?」と尋ねると、企業のサウンドロゴが流れる。コロナ禍で注目されたお役立ち情報をわかりやすく伝え、商品訴求も実現した。企業名をオチにした構成も秀逸。

  • 優秀

    自社媒体PRスポット/「#音楽を止めるな」プロジェクト 時代の効果音 篇(90秒)

    J-WAVE

    プロデューサー 大谷恭代、コピーライター・ディレクター 佐藤延夫(トビラ)、出演・音響効果 坂井享太良(音ランド坂井)、エンジニア 宮越匡史(イー・ポップ)

    音響効果の仕事をする坂井さんは「音は時代によって変わる」と語る。コロナ禍で騒がしいオフィスの音は、静かなオフィスやテレワークの音に代わった。そして盛り上がるライブハウスの音は、使いづらくなったという。「なくしたくない、音がある」とその寂しさを伝え、コロナ禍で影響を受けたアーティストやライブハウスを応援するプロジェクトのメッセージを真っすぐに伝えた。コロナ禍により変化した生活を、音で考えさせてくれる。

  • 優秀

    公共キャンペーン・スポット/RADIO BERRY 無事故無違反チャレンジ
    「ライト点灯 16時から」 篇(40秒)

    エフエム栃木

    プロデューサー 田辺康雄、コピーライター 阿部友紀(電通)、ディレクター 杉山 茂(ファーストライン)、作曲・歌唱 せきぐちゆき(シンガーソングライター)

    2019年に人口10万人あたりの交通事故死者数が全国ワースト5位だった栃木県で放送した交通安全啓発キャンペーンの告知CM。デュエットで早めの車のライト点灯を呼びかける歌を歌い上げながら、ナレーションでその大切さを説いた。伝えたいメッセージをユーモアあふれる歌詞でシンプルに伝えることにより、ドライバーに対して適切に注意喚起・啓発を行い、何度でも繰り返し聴きやすい作品に仕上がっている。

  • 優秀

    自社媒体PRスポット/THE FIRST TAKE ラジオ(145秒)

    CBCラジオ

    プロデューサー・ディレクター 森合康行、ナレーター 渡辺美香(CBCテレビ)、音響効果 今井志のぶ(東海サウンド)

    最近人気の一発撮り動画、ファーストテイク。開局70周年告知の収録にアナウンサーが一発録りで挑む。緊張感に包まれる中、約8割を占める生放送の番組をネット配信するラジオは、毎日が「THE FIRST TAKE」であると語る。身近なアナウンサーが挑戦する姿や安堵のため息に、リスナーは一層の親近感を覚えるに違いない。小さなラジオドラマのような構成も巧みで、聴き手の心を確実に惹きつける。

  • 優秀

    中央軒 企業CM/CHOOSE OUR KING 篇(120秒)

    朝日放送ラジオ

    プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、 コピーライター・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、作曲・ディレクター 東 竜太(ビッグフェイス)

    歌を通じて商品と店名を訴求したCM。歌詞の中に「ちゃん」「ポン」「さら」といった言葉を巧みに織り込んで、ちゃんぽんと皿うどんという商品をアピールし、「CHOOSE OUR KING」「TUES(day) or 金」と韻を踏みながら、最後のサビの中央軒へとつなげた。リズミカルに繰り返されるたくさんの歌声が心地良く、知らず知らずのうちにお店の名前を覚えてしまい、思わず立ち寄ってみたくなる気分にさせられる。

  • テレビCM

    公共キャンペーン・スポット/ジェンダー不平等国で生きていく。(300秒)

    東海テレビ放送

    プロデューサー 繁澤かおる、コピーライター 山中康司(電通デジタル)、ディレクター 友久陽志(フリーランス)、撮影 福田健太郎(日本ビジュアル)

    記者は異なる性別・世代・立場の人にジェンダーの考えを問いかけ、日本社会の現実を見つめる。進まない女性の政治参加、男性社会の中で女性が抱える生きづらさ、共働きで家事と育児を優先する男性に立ちはだかる職場の無理解。「無関係な人はいない」「わたしも、あなたも、」というテロップから、自分事として向き合う制作者の覚悟が伝わる。その強い思いが、「ジェンダー平等国」への第一歩を踏み出す希望を抱かせる傑作。

  • 優秀

    佐井村 漁師縁組/サイ果ての村でサイ高の人生を。漁師縁組(60秒)

    青森放送

    ディレクター・ナレーション 内山 匠、カメラ 藤林国仁(アール・エー・ビー映像)、音声・ドローン撮影 成田星弥(アール・エー・ビー映像)、ドローン操縦 西塚 遼(アール・エー・ビーベストメンテナンス)

    本州最北端の下北半島にある青森県佐井村で、2016年から始まった養子縁組ならぬ「漁師縁組」事業。1000kmも離れた岐阜県から、「漁師になりたい」と移住した青年は本業の漁に、地元の祭に充実した生活をおくる。単なる移住促進ではなく、そこから始まる人生に焦点を当てた企画が秀逸。「漁師縁組」というキャッチコピーに、誠実な取材の成果を合わせて、CMとしてまとめた。

  • 優秀

    公共キャンペーン・スポット/「目を、背けないで。」(180秒)

    中京テレビ放送

    ディレクター 森 葉月、編集 青田 剛(スクラム)、音楽 須田佑樹(MIXX UP)、プロデューサー 横尾亮太

    街頭インタビューで一般市民の声を拾い上げながら、日本では約515万人が性被害を経験しているのに約8割の人が被害届を出せないでいる現実を伝える。被害者はいまも消えない傷跡、受け入れがたい現実と孤独感、なかったことにしたくてもできない心の葛藤を語る。その声に寄り添い、「目を、背けないで」と訴えるキャンペーン・スポットは無関心になりかねない社会に一石を投じ、強く心に残るメッセージを発信した点が特出している。

  • 優秀

    公共キャンペーン・スポット/京都知新キャンペーンスポット(150秒)

    毎日放送

    プロデューサー・ディレクター 本郷義浩、撮影 田中慶太郎(シネブレーン)、ディレクター 香川路代(フリーランス)、アシスタントディレクター 石原田千弥(フリーランス)

    従軍経験から平和への思いを強く持つ、大正生まれのガラスペン職人にスポットライトを当て、ガラスペンの制作技術だけではなく平和への思いまでも孫の世代へ継承していく様子を伝えた。京都知新プロジェクトで長期にわたり取材を続けたからこそ制作できた、社会性の高いCM。地域の魅力を発掘し広く伝えることで地域文化の継承・発展に貢献するという民放事業者の役割をキャンペーン・スポットで果たした点が評価される。

  • 優秀

    自社媒体PRスポット/Be colorful.rkb(60秒)

    RKB毎日放送

    プロデューサー 安田瑞代、辻中 輝(電通九州)、吉田洋晃(電通九州)

    テレビ画面に映るのは、さまざまな色が混ざりあうことなくお互いに溶け込む美しいマーブル模様。画面から色が飛び出し、これまで色使いが固定化されてきたボードゲームの駒や男女を表すピクトグラム、ランドセルなどがカラフルに変わっていく。視聴者の新しい当たり前を感じて「カラー放送から、カラフル放送へ」なりたいと伝え、ダイバーシティを大切にする民放事業者としての姿勢を効果的な表現で軽やかに、見事に表現した。

  • 技術部門

    災害情報カメラ収録システム「TOREZO」の開発 ~日本全国に広がる情報カメラ映像の自動送出を実現~

    フジテレビジョン

    研究・開発担当者 鈴木健司、峯 武史、松永政孝、岩﨑雅史

    耐災害性に優れたハイブリッドクラウド技術を活用することで、系列局が所有する全国の情報カメラ映像をキー局やクラウドで収録し、自動的に地震の揺れ映像を高速かつ高精度に切り出して送出できるシステムを開発・実用化した。 これにより、全国各地の映像を用いた迅速な地震報道が系列全体で可能となり、各局の人的負担や設備コストを削減しつつ、BCP機能の強化を実現するなど、テレビ報道技術の発展に大きく貢献した。

  • 優秀

    コンテンツ制作に特化した多人数リモート出演システム「TBS BELL」の開発

    TBSテレビ

    研究・開発担当者 石堂遼子、藤本 剛、生田史織、長島達哉

    既存のWeb会議システムでは対応が難しい出演者全員のマイク・カメラの一元管理や出力画面の自由なレイアウトなど、コンテンツ制作に適した機能を有する多人数リモート出演システムを、専用アプリが不要なブラウザ参加型で開発・実用化した。 これにより、コロナ禍での制作ニーズに応えてリモート出演の活用の幅を広げ、出演者側の負担も著しく軽減するなど、テレビ制作技術の効率化と高度化に貢献した。

  • 優秀

    地上波ニュース番組へ“ひとり”で“正確な”生放送字幕を付与!『もじぱ』

    TBSテレビ

    研究・開発担当者 松本隆矢、小林祥子、木村浩也、小沢冬平

    音声認識AIによって放送音声をテキスト化し、直感的なGUIと最適な音声モニター環境を組み合わせた迅速な手動修正により、正確な「文字」を「ぱっ」と出す字幕付与システムを開発・実用化した。 これにより、字幕付与のための人材育成や運用コストが合理化され、生放送番組への字幕付与が進展するなど、テレビ放送のバリアフリー化と制作の効率化に貢献した。

  • 優秀

    クラウドプレイアウトを用いた日テレ系ライブ配信システムの開発

    日本テレビ放送網

    研究・開発担当者 松本 学、須加知也、新井隆史、弘田真之

    既存の局内設備にクラウドプレイアウトをアドオンする構成により、地上テレビ放送の安定運行とセキュリティを担保しつつ、インターネット同時配信を実現するライブ配信システムを開発・実用化した。 これにより、きめ細かい蓋かぶせやCMのシームレス差し替えなどを実現しつつ、汎用性の高い同時配信のソリューションを提供し、テレビ送出技術の高度化に貢献した。

  • 優秀

    オンラインファイルベースシステムの開発で実現した時間軸とロケーションからの解放

    テレビ朝日

    研究・開発担当者 白波瀬武史、松本英之、高柳英晃

    テレビ局のワークフローを全面的に刷新し、スタジオ収録から編集、番組素材搬入、放送、アーカイブ、二次利用に至るコンテンツの流通を、スピーディーかつスマートに行うオンラインファイルベースシステムを開発・実用化した。 これにより、コンテンツ流通の時間的・場所的制約が大幅に緩和され、多方面へのコンテンツ展開が容易になるなど、テレビ放送業務のIT化と効率化に貢献した。

  • 優秀

    「超逆境クイズバトル!!99人の壁」リモート収録システムの開発

    フジテレビジョン

    研究・開発担当者 上田容一郎、若狭正生

    スマートフォンを利用した早押しボタンシステムと、リモート出演者への一斉連絡システムをクラウド上に構築し、既存のWeb会議システムと組み合わせて、多人数が出演可能なリモート収録システムを開発・実用化した。
    これにより、コロナ禍においても早押しクイズ番組を合理的に成立させるとともに、リモート収録の可能性を広げるなど、テレビ制作技術の高度化に貢献した。

  • 優秀

    FM回り込みキャンセラー及び混信波除去装置の開発

    山口放送

    研究・開発担当者 惠良勝治

    FM放送の放送波中継において、子局の送信波(親局と同一周波数)の受信アンテナへの回り込みをキャンセルする装置と、これを応用して、受信アンテナで受信した親局の信号から不要な混信成分を除去する装置を、それぞれ開発・実用化した。 これにより、コスト面で有利な放送波中継の適用範囲を広げ、小規模FM局やトンネル内再送信において周波数有効利用が期待できるなど、ラジオ送信技術の高度化に貢献した。

  • 技術奨励賞

    ラジオOTC送出システムの開発

    南海放送

    研究・開発担当者 吉川大貴、高橋 司、乗松義弘

    自動アナウンスシステムを備えたラジオOTC送出システムを自社で開発し、顕著な業務改善を果たした。

  • 特別表彰部門

    青少年向け番組

    FBCスペシャル 拝啓 連也様
    ~マスク越しの闘病20年~

    福井放送

    プロデューサー 稲木 聡、ディレクター 東海佳奈子、撮影・編集 冨田泰史、構成 日笠昭彦

    難病を抱えて育つ子どもとその親のありのままに寄り添い、長年の取材を続けた渾身のドキュメンタリー。難病との闘いの中で感染予防の生活を続けてきた連也さんの目に映るさまざまなことから、コロナ禍を生きる私たちに大切なことを気づかせ、連也さんの重みのある言葉から勇気を与えられる番組である。 ディレクターの連也さんへの思いと愛情が画面を通して伝わり、両者の間に構築された信頼関係も、人とのつながりや出会いが大切なことを教えてくれる。コロナ禍の今だからこそ連也さんを通して多くの視聴者に伝えたい、伝えられることがあるはずだ、という制作者の熱意と思いに感銘を受ける。長年にわたる取材を結実させて渾身の作品を制作した制作者の姿勢も高い評価を得た。

  • 優秀

    となりのテレ金ちゃん 壁の学校 総集編

    テレビ金沢

    プロデューサー 北尾美和、ディレクター 中崎清栄、構成・撮影 辻本昌平、タイトル 敦賀真弓

    タイトル「壁の学校」が示すとおり、金沢の伝統的な色壁に憧れて職人を目指す若者の姿を追いかけたドキュメンタリー。夢を追いかける中で味わう挫折や苦悩とどのように向き合いどのように乗り越えていくのか、多くの青少年がぶつかるであろう「壁」との格闘を描いている。 職人を目指す若者の姿がリアルに描かれており、日常生活では経験できない職人の世界についての知識を深める青少年向け番組のお手本のような作品。将来への不安や悩みを抱え、壁にぶつかっている青少年の励みになる力を持つ番組として評価された。

  • 優秀

    ザ・ドキュメント 学校の正解 ~コロナに揺れた教師の夏~

    関西テレビ放送

    プロデューサー 萩原 守、ディレクター 宮田輝美、撮影 小松和平、編集 井住卓治

    政府は2020年2月、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため全国に休校要請を発し、学校は同年夏にようやく再開された。コロナ禍は子どもたちだけでなく、子どもを支える教師たちにも多くの困難を与えている。子どもたちを感染リスクから守りつつ学習の機会をどのように保障していくのか、この状況の中で学校とは何か、教師とはどのような存在なのか。そうした問いを抱えながら奮闘する教師たちの苦悩を丁寧に描く。 自分たちを守ろうとする教師たちの苦悩を知ることで、他者の思いを知り、自分たちの状況を他者の目線で考えられるようになる契機を子どもたちに与えてくれる作品。

  • 優秀

    KRYさわやかモーニングスペシャル 僕をみつけた ~水で描く未来~

    山口放送

    プロデューサー 佐々木聰、ディレクター 松嶋 浩、ナレーション 原田かおり、MA編集 山本宏幸

    発達障害と向き合い、ウォーターアートという独自のパフォーマンスを発見し、その活動を通じて社会と結びつく主人公の姿を描いた作品。前向きな主人公の存在は、発達障害を持つ他の親から希望の光になる。 自分を見つけることの大切さや、人と認め合って支えあって生きていくことの大切さ、そして豊かさが描かれている。障害の有無にかかわらず、一人の人間として向き合うことの大切さを教えてくれる。コロナ禍の中で挫折しながらも前向きに創作活動を続けようとする姿は、この状況で苦しむ多くの視聴者に勇気を与える。

  • 優秀

    書道ガールズ 証 ~蟻高書道部2020夏~

    南海放送

    プロデューサー・ディレクター 松下和明、ナレーター 甲斐彩加

    「書道パフォーマンス甲子園」の二連覇を目指す高校生たちの熱い思いと重圧、苦悩を描いた作品。並行して心の病に襲われた生徒の葛藤と、さらにはコロナ禍で大会が中止となり代替事業に向けて頑張る姿を寄り添いながら描くことで、彼らの思いがストレートに伝わってくるドキュメンタリーとなっている。 コロナ禍で諦めと絶望を抱きながら高校時代を過ごさざるを得ない多くの高校生たちが、自己を投影させながら視聴し、勇気と感動と強い共感を得られる作品である。構成や編集も素晴らしく、作品としての完成度の高さも評価された。

  • 放送と公共性

    OHKアナウンサー出張朗読会
    ~地域と紡いだ10年の歩み~

    岡山放送

    実施責任者 篠田吉央

    岡山放送は、読書の楽しさを子供たちに届けようと地域の小学校などで朗読会を継続的に実施し、10年間で岡山・香川の全市町村を訪問した。各局で同様の取り組みが行われる中、ESD(持続可能な開発のための教育)という理念のもと、西日本豪雨被災地の小学校での朗読会やコロナ禍におけるオンラインでの開催、視覚障害者に向けた生活情報紙などの音訳、聴覚障害者に向けた手話つきの朗読会、オリジナル作品の制作など、様々な活動に発展させている。 放送以外の活動として地域社会に入っていく同局の取り組みは公共性が高く、コロナ禍で対面での会話が奪われている中、子供たちが心と思いを伝えていく力を磨く一助になっていて、「誰一人取り残されない読書環境」を目指す独自性の高い取り組みが評価された。

  • 優秀

    ピンクリボン活動の18年 おっぱい2つとってみた その前と後

    北海道テレビ放送

    実施責任者 阿久津友紀

    北海道テレビ放送は、2003年から乳がんの啓発活動「ピンクリボン活動」を取り上げ、番組やイベントで早期発見・治療の大切さを訴えてきた。がんと生きていく壁や差別などを取り上げたドキュメンタリー制作をはじめ、YouTubeやWEBメディアでの情報発信など放送だけに留まらない活動を続けている。 自ら乳がんに罹患したディレクターが、当事者としての問題意識を、冷静な取材者の視点で取り上げており非常に感銘を受ける。他の罹患者とも手を携えて病を乗り越えようとする取り組みは、この活動が公共性を帯びていくプロセスにもなっていると評価された。

  • 優秀

    県民の〝いのち〟と〝こころ〟を守る~新型コロナ下での取り組み~

    福井テレビジョン放送

    実施責任者 松枝隆一

    福井テレビジョン放送は、県民のいのちを守る取り組みとして、40年余り続くローカル報道番組「タイムリー福井」を生放送に切り替え、新型コロナの感染状況や様々な問題点についてゲストを迎えて意見を聞き、情報を発信している。また、コロナ禍で発表の場を奪われた高校生のために代わりの音楽イベントを開催するなど、こころを守る様々な取り組みを進めている。 地元の人々との一体感は地方局のあり方として注目に値する。放送の枠を超えて、県民にとって今、一番重要なことに愚直に取り組む姿勢が評価された。

  • 優秀

    中高年のひきこもりへの理解を進める報道活動

    山口朝日放送

    実施責任者 高橋 賢

    山口朝日放送は、中高年ひきこもりの実態を知ってもらい偏見や誤解を解くきっかけにしたいとの思いから取材をスタート。ローカルニュースの特集枠「シリーズひきこもり」は4年間で30本の放送を数えるなど報道活動を重ねてきた。番組を見た企業から受け入れの申し出があり就職して社会復帰を果たす人も出てきている。 小さな困窮者を社会につなげていくことも放送の果たすべき重要な役割のひとつである。社会の表に出てこない問題を丹念に調べあげ、事実に対して真摯に向き合う姿勢が評価された。

  • 優秀

    故郷と生きる。南海放送36本のラジオドラマが伝えてきたもの

    南海放送

    実施責任者 山内孝雄

    南海放送は、1953年10月開局の3か月後に平日のラジオドラマ帯番組を開始、4名の社員で始まった当時の熱気がDNAとして受け継がれている。ヒト、時間、コストがかかるドラマの制作において、社員がその多くを担うことで継続した制作を可能とし、1978年からは地域の歴史を題材にした特色あるドラマを制作、2021年までに36本制作している。 いずれも愛媛各地の歴史上の出来事や人物を掘り起こしたもので、ラジオドラマをスタート地点に、地元で様々な取り組みが始まるなど、地域活性化に大きく貢献している。さらには時を経てテレビドラマや映画に昇華してムーブメントとなるなど、民間放送が文化を産み育てている姿が評価された。