表彰番組・事績
2023年日本民間放送連盟賞
日本民間放送連盟賞は、質の高い番組がより多く制作・放送されることを促すとともに、CM制作や技術開発の質的向上と、放送による社会貢献活動等のより一層の発展を図ることを目的に、民放連が1953年に創設した賞です。
部 門 |
種 目 |
放 送 局 |
番 組 名 |
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番 組 |
ラジオ報道 |
最優秀 |
北日本放送 |
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優秀 |
STVラジオ |
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TBSラジオ |
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信越放送 |
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京都放送 |
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山口放送 |
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琉球放送 |
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ラジオ教養 |
最優秀 |
ラジオ沖縄 |
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優秀 |
STVラジオ |
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文化放送 |
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静岡放送 |
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CBCラジオ |
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朝日放送ラジオ |
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四国放送 |
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ラジオ |
最優秀 |
東海ラジオ放送 |
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優秀 |
エフエム北海道 |
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文化放送 |
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新潟放送 |
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FM802 |
FM COCOLO SUNDAY MARK'E 765「EIKICHI YAZAWA 50th Anniversary Special ~ My Way, Your Songs」 |
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RSK山陽放送 |
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エフエム沖縄 |
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ラジオ生ワイド |
最優秀 |
北陸放送 |
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優秀 |
青森放送 |
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TBSラジオ |
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信越放送 |
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朝日放送ラジオ |
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中国放送 |
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RKB毎日放送 |
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テレビ報道 |
最優秀 |
朝日放送テレビ |
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優秀 |
山形放送 |
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フジテレビジョン |
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テレビ信州 |
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北陸朝日放送 |
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山口放送 |
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長崎放送 |
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テレビ教養 |
最優秀 |
鹿児島テレビ放送 |
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優秀 |
山形放送 |
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BS−TBS |
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テレビ山梨 |
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北日本放送 |
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朝日放送テレビ |
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広島テレビ放送 |
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テレビ |
最優秀 |
テレビ静岡 |
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優秀 |
山形放送 |
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TBSテレビ |
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中京テレビ放送 |
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関西テレビ放送 |
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山口放送 |
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RKB毎日放送 |
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テレビドラマ |
最優秀 |
関西テレビ放送 |
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優秀 |
日本テレビ放送網 |
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フジテレビジョン |
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WOWOW |
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日本BS放送 |
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CBCテレビ |
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朝日放送テレビ |
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C M |
ラジオCM第1種 |
最優秀 |
エフエム栃木 |
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優秀 |
文化放送 |
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エフエム東京 |
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エフエム東京 |
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新潟放送 |
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朝日放送ラジオ |
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エフエム熊本 |
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ラジオCM第2種 |
最優秀 |
朝日放送ラジオ |
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優秀 |
STVラジオ |
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ニッポン放送 |
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J−WAVE |
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朝日放送ラジオ |
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朝日放送ラジオ |
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エフエム愛媛 |
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テレビCM |
最優秀 |
CBCテレビ |
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優秀 |
CBCテレビ |
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CBCテレビ |
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東海テレビ放送 |
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東海テレビ放送 |
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中京テレビ放送 |
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技 術 |
最優秀 |
テレビ北海道 |
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優秀 |
北海道文化放送 |
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TBSテレビ |
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TBSテレビ |
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日本テレビ放送網 |
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日本テレビ放送網 |
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テレビ朝日 |
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技術奨励賞 |
札幌テレビ放送 |
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特別表彰 |
青少年向け番組 |
最優秀 |
関西テレビ放送 |
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優秀 |
長野朝日放送 |
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読売テレビ放送 |
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山口放送 |
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福岡放送 |
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放送と公共性 |
最優秀 |
テレビ静岡 |
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優秀 |
信越放送 |
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東海テレビ放送 |
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山口放送 |
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大分朝日放送 |
部 門 |
種 目 |
放 送 局 / 番 組 名 |
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番 組 |
ラジオ報道 |
最優秀 |
[北日本放送] |
優秀 |
[STVラジオ] |
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[TBSラジオ] |
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[信越放送] |
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[京都放送] |
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[山口放送] |
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[琉球放送] |
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ラジオ教養 |
最優秀 |
[ラジオ沖縄] |
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優秀 |
[STVラジオ] |
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[文化放送] |
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[静岡放送] |
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[CBCラジオ] |
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[朝日放送ラジオ] |
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[四国放送] |
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ラジオ |
最優秀 |
[東海ラジオ放送] |
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優秀 |
[エフエム北海道] |
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[文化放送] |
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[新潟放送] |
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[FM802] FM COCOLO SUNDAY MARK'E 765「EIKICHI YAZAWA 50th Anniversary Special ~ My Way, Your Songs」 |
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[RSK山陽放送] |
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[エフエム沖縄] |
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ラジオ生ワイド |
最優秀 |
[北陸放送] |
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優秀 |
[青森放送] |
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[TBSラジオ] |
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[信越放送] |
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[朝日放送ラジオ] |
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[中国放送] |
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[RKB毎日放送] |
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テレビ報道 |
最優秀 |
[朝日放送テレビ] |
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優秀 |
[山形放送] |
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[フジテレビジョン] |
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[テレビ信州] |
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[北陸朝日放送] |
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[山口放送] |
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[長崎放送] |
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テレビ教養 |
最優秀 |
[鹿児島テレビ放送] |
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優秀 |
[山形放送] |
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[BS−TBS] |
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[テレビ山梨] |
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[北日本放送] |
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[朝日放送テレビ] |
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[広島テレビ放送] |
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テレビ |
最優秀 |
[テレビ静岡] |
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優秀 |
[山形放送] |
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番組部門
ラジオ報道
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優秀
先生たちが敵だった~夢を奪われた看護学生たち~
STVラジオ
プロデューサー 大針三治、ディレクター 岸本梨沙、ナレーション 佐藤宏樹、取材協力 小笠原淳
2021年4月、江差高等看護学院で教員による学生へ“パワハラ”があったとして、保護者らが実態解明を求めた。被害者の中には、自ら命を絶った学生もいた。番組では学生や保護者など被害者側だけでなく、加害者側である教員の声も丹念に拾った。取材を通じて浮かび上がったのは、加害者の資質だけでなく、組織的構造をめぐる問題点だった。
「正常な運営に生まれ変わった」と健全ぶりを主張する同学院の今にも迫るなど、地元ラジオ局として継続取材への意欲を感じる。 -
優秀
ドキュメント『荻上チキが見たウクライナ~見過ごされる声に耳を傾けて』
TBSラジオ
ディレクター 金井 渉、菅谷優駿、構成 野口太陽、プロデューサー 久保田聡平
2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。TBSラジオでは荻上チキが現地入りし、現地で必死に生きる人々や支援者の声に耳を傾け、連日さまざまな番組で取材報告を重ねてきた。本作品はその模様を再構成したもの。
警報音や亡くなった人を埋葬するための墓を掘る音から、侵攻の実相が切実に伝わってくる。番組を通じてわれわれも、今なお続く侵攻に向き合う必要を再認識させられる。 -
優秀
SBCラジオスペシャル 戦争を学び継ぐ~登戸研究所調査研究会
信越放送
プロデューサー 高島哲也、ディレクター 清沢康夫、ナレーター 飯塚敏文
爆弾や毒薬、細菌兵器の研究開発を行っていた謀略機関「登戸研究所」は、太平洋戦争末期、長野県南部へ密かに移転して研究を続けていた。終戦とともに証拠隠滅が徹底され、元研究員や地域住民には研究所に関する箝口令も敷かれていたが、1989年に地元の高校生が結成した「平和ゼミナール」の地道な聞き取り調査で、実態が徐々に解明されていく。
高校生の始めた調査が、隠された秘密になぜ辿り着けたのか。一連の活動を振り返りながら、地域における平和教育の意義を確認し、今後の可能性を展望した。 -
優秀
私は戦災孤児だった “駅の子”と呼ばれた私たちは、どんな存在だったのか
京都放送
制作 谷口直記、構成 西田那都花、出演 小倉 勇、ナレーション 澤武博之
駅で暮らす“駅の子”――そう呼ばれた戦災孤児の数少ない生き証人、小倉勇さん(京都市在住)の語りに焦点を当てた。小倉さんの証言から、何とか命をつないできた壮絶な個人史、そして戦争の悲惨さが生々しく伝わってくる。
ときに茶目っ気のある口調からは、ユーモアが感じられ、聴く者をより一層、惹きつける。地域で語られる“一級の戦時資料”を、地元ラジオ局の使命として収めた番組だ。 -
優秀
医療的ケア児とその家族 ~幸せへの支援、ひとつのかたち~
山口放送
プロデューサー 千田正秀、ディレクター 髙田知太郎、ナレーション 國本泰功、出演 森延深雪
生きていくために医療的なケアが日常的に必要な、「医療的ケア児」。医療技術の進歩に伴い、人口が増えているという。番組では、昨年1月に開設した山口県周南市にあるデイサービス施設「OZ(オズ)デイしゅうなん」を取材。痰の吸引器をはじめ、ケアにかかわるさまざまな器具の音が、ケア児の日々の暮らしを身近に想起させる。
行政が関連法の整備を進めたが、家族や施設職員へのインタビューからは、ケア児の教育体制の拡充など、社会全体で解決を図るべき課題が残されていることを実感させられる。 -
優秀
RBCiラジオスペシャル『ものが語る悲劇、対馬丸』
琉球放送
ディレクター・ナレーション・編集 仲村美涼、出演 渡名喜元嗣、外間邦子、アン・ライト
1944年8月、疎開船「対馬丸」が米軍潜水艦「ボーフィン」の魚雷攻撃を受けて沈没。多くの子どもが犠牲となった。生存者と遺族らは悲劇の伝え手として尽力してきたが、今や語り部はわずか4人に。番組では、記憶の継承という課題の糸口として、犠牲者や遺族が遺した3つの「もの」(日記、ランドセル、米軍潜水艦)を題材に取材を進めた。
年月が経過し、語り継ぐことが難しくなった戦争の記憶。ものを通じて何とか辿ろうという工夫からは、新しい報道の可能性に期待が高まる。 -
ラジオ教養
Basketball island OKINAWA ~沖縄バスケ100年の歴史~
ラジオ沖縄
企画・制作・ナレーション 杉原 愛、出演者 日越延利、安里幸男、張本文昭
沖縄にバスケットボールが伝わって100年。戦後、アメリカの影響を受けながら、身長の高い選手にも負けない沖縄らしいバスケを確立した。2023年のワールドカップ沖縄開催までの歴史を紐解きながら、沖縄バスケの魅力、バスケに対する沖縄の人々の思いに迫る。
幅広い取材によって、沖縄の文化に根差したバスケの独自性や「熱さ」が伝わる。歴史を経て確立した沖縄のバスケが、現在の日本代表の目指すスタイルと一致していく構成は鮮やか。ワールドカップ開催に向け、沖縄の人でなくても気持ちが高揚してくる番組。 -
優秀
こどものミライと不登校
STVラジオ
プロデューサー・構成 大針三治、ナビゲーター 吉川典雄、取材 阿波加雅子、鷲見萌夏
全国的に増え続ける不登校。しかしながら、その要因は学校や家庭の問題などが複雑に絡み合い特定は難しい。番組は不登校経験者や精神科医、学校や教育委員会などさまざまな関係者への取材を通じ、不登校の現状を伝え、その理由・背景を考えていく。
不登校の要因は「学校に行かないと不幸になる」という大人の固定観念にあるのではないか、とのメッセージが多角的な取材により伝わってくる。不登校の実情や課題解決に向けたヒントを北海道の事例から浮き彫りにする、ローカル局ならではのルポルタージュ。 -
優秀
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知っていますか?ロービジョン~0と1の間
文化放送
プロデューサー 白石仁司、ディレクター 塚本 茂、相笠淳一、構成作家 桐木啓子
ロービジョンとは「何らかの視覚障害で日常生活が不便になること」を指す。自らもロービジョンの文化放送・白石仁司さんが番組に出演。自身の経験やロービジョンの方々への取材を通じ、視覚障害は単純な「見える」「見えない」では割りきれないことを伝える。
当事者だからこそ語れる白石さんの具体的な説明によって、ロービジョンへの理解が深まる。障害にも程度があり1人1人症状が異なる。そうした多様性を理解したうえで、サポートや接し方を考える必要があることに、あらためて気づかされる貴重な番組。 -
優秀
SBSラジオギャラリー 方言アクセントエンターテインメント ~なまってんのは、東京の方かもしんねーんだかんな~
静岡放送
企画・取材・出演・ナレーション 野路毅彦、構成・プロデューサー 菊池 勝
北関東や南東北、九州中央部、八丈島、福井県東部、静岡県の大井川上流などでは単語に決まったアクセントがない方言が使われている。各地に点在するため、この「無型アクセント」こそ日本語の原型との説もある。番組はゲストとともにアクセントの妙を紐解く。
ローカルのラジオ局ならではのテーマ設定であり、ゲストとのトーク、インタビュー、専門家の分析を交え、方言やアクセントについて楽しく学べる番組。仮説を通して、日ごろ常識だと思ってきたことが必ずしも正解ではない、とのメッセージが伝わる。 -
優秀
CBCラジオ特集 わたしの居場所~みゆの物語
CBCラジオ
プロデューサー 菅野光太郎、ディレクター 名和あゆみ、編集 豊田昌郎、ナレーション 榊原忠美
若者たちの居場所づくりをするNPO法人のメンバー、みゆさん。家や学校で居場所をなくした寂しさから「パパ活」をしていた。番組はNPO活動を通じ、成長していくみゆさんに密着取材。その心の変化から、孤独を感じる若者たちに必要なことを探っていく。
「トー横キッズ」「グリ下キッズ」「ドン横キッズ」と呼ばれる子どもたちが性被害や犯罪に巻き込まれる今日的な問題に向きあった番組。みゆさんの思いや苦悩がリアルに描き出されている。人生を再び歩み出すまでの過程を、ぜひ若い世代に聞いてもらいたい。 -
優秀
笑い飯哲夫のしんぶん教室
朝日放送ラジオ
プロデューサー 梶原英明、西村晃介、ディレクター 小迫綾佑、構成作家 戸高米友見
お笑い芸人の笑い飯・哲夫さんが、毎週、小中学生に新聞の内容を分かりやすく教える番組。今回は、オランダに住む小学5年生に「うるう秒」にまつわる記事を解説する。
「親が新聞を読んで子に教える」範疇を超えず、詰め込みすぎない構成が良い。テンポよく、ユーモアを交えながら、子どもの目線や考え方を尊重する姿勢にも好感が持てる。大人にとっても、子どもにとってもニュースの理解が深まり、学びのある番組。 -
優秀
中四国ライブネット 全国で1000台突破!移動スーパーとくし丸~見えてきた、さらなるくらしの困りごと~
四国放送
ディレクター・構成編集 芝田和寿、アナウンサー 森本真司、ナレーター 中山千桂子、送出 中木光彦
軽トラックに生鮮食料品などを積んで“買い物弱者”を支援する移動スーパー「とくし丸」。創業10年で1000台を超えるまでに拡大し、高齢者の見守りや災害時ライフラインとしての役割も担う。移動スーパーの取り組みを通じて地域が抱える課題を考える。
昔ながらの移動販売の新たな形態である移動スーパーに着目し、社会の課題を浮き彫りにする視点がすばらしい。過去と現在、未来をつなぐ番組だと感じる。開業資金やサービス持続のための具体的な値上げ額を示し、ビジネスの実態に踏み込んだ点も評価できる。 -
ラジオエンターテインメント
音を拾って~僕らの演奏海~
東海ラジオ放送
企画・制作 宮田勝司、ナレーション・インタビュー 空木マイカ、出演 大表史明、プロデューサー 源石和輝
名古屋を中心に活動するアート集団「ゴミンゾク」。演奏する楽器はすべて海洋ゴミが材料で、製作を手掛けるのはリーダーの大表史明さん。奏でる音楽は海のような豊かさと穏やかさに包まれ、ゆったりとして澄みきった音の数々に耳を傾ければ、海に想いを馳せ、日ごろの暮らしを見つめなおすきっかけになる。
楽器の音のすばらしさに圧倒されるが、語りは押し付けがましくなく、そのバランスが心地よい。環境問題がさりげなく織り込まれていて好感が持てると高評価を得た。 -
優秀
JR貨物 presents Sound of Train 特別編
エフエム北海道
番組構成&NAライター兼ナレーター兼プロデューサー 高山秀毅、番組ディレクター 坂田太郎、ゲスト・ナレーター 市川紗椰
「貨物列車から生まれる音のドラマ。今夜も、あなたの街で走り続けています」をテーマにした5分のレギュラー番組の特別編。列車の走行音を主役にする。貨物列車のエンジン音、運転席の音や運転士による確認・喚呼の声など演出なしの生収録の音と最低限のナレーションで構成し、リスナーの想像力に委ねている。
収録する場所や内容にこだわりを感じさせ、作り手の熱意が伝わってくる。北海道と人と貨物の深い関わりが分かる構成で、鉄道ファンのみならず楽しめる優れた番組。 -
優秀
象のRadio~キャンティの時代
文化放送
プロデューサー兼編集 鈴木敏夫、プロデューサー 柿澤真理子、構成 山田睦美、ディレクター 相笠淳一
YMOの仕掛け人として知られる音楽プロデューサー川添象郎氏。日本のポップスに新たな方向性を切り拓いた功労者に「なぜ日本のシティポップスが世界で聴かれていると思うか?」など素朴な疑問の数々をぶつける。人との出会いを糧としたスケールの大きな彼の生き方は、ネットの世界で満足する現代とは次元が違う。曲とトークで疾走する55分間。
日本のポップス黎明期を牽引した川添氏の語りは聴きどころが満載で、その人生に圧倒される。構成がよく、音楽も名曲ぞろいで内容が熟慮されており、歴史的価値が高い。 -
優秀
石塚かおりのBrand new day ~FM927 にいがたの音スペシャル~
新潟放送
ディレクター 畠澤弘晃、パーソナリティ 石塚かおり、プロデューサー 吉井秀之
朝帯ベルト番組のコーナー「にいがたの音」では四季折々の音を放送。海、山、川などの自然界の音。伝統や産業、人々の暮らしの中から聞こえる音など多彩だ。過去1年間の放送から「もう一度聴きたい音」のリクエストをピックアップした総集編。
さまざまな自然の音は新潟らしさを印象づけるとともに、音から想像力を引き出すというラジオの豊かさを感じさせる。 -
優秀
FM COCOLO SUNDAY MARK'E 765「EIKICHI YAZAWA 50th Anniversary Special ~ My Way, Your Songs」
FM802
編成プロデューサー 藤原徹朗、番組ディレクター 奥野聖治、出演者 矢沢永吉、マーキー
日本のロック最前線を走り続ける矢沢永吉。音楽史に数々の金字塔を打ち立てたスーパースターのデビュー50周年を記念したFM COCOLOのスペシャルプログラム。彼をリスペクトする多士済々のアーティストのメッセージとともに、普段は聞けない話にも言及する。進行は、こちらもキャリア50周年の伝説的なDJマーキーが担当。
一人のミュージシャンだけで3時間の特集が組めるラジオならではの企画。豪華なゲスト陣もラジオ局への信頼があってのことであり、エンターテインメント力が光る。 -
優秀
OKYAAAMA!~大都会オカヤマな夜~
RSK山陽放送
プロデューサー 種艸智和、パーソナリティ 坂 俊介、はるにゃん、ディレクター 兼田真彰
パーソナリティの坂俊介アナウンサーと駆け出しアイドルのはるにゃんがトークとコーナーで盛り上げる地元の魅力発掘バラエティ。岡山県で頑張っている人やマニアックなことに挑戦している人、時にはスタジオを飛び出して珍しい店なども紹介。ほかにも全国からのメール投稿者のための大喜利コーナーやクイズ企画などさまざまな企画を用意する。
全体的にどこか懐かしい雰囲気が漂う。ラジオは若者のメディアであるという信念と文化が脈々と伝わっていることを感じさせる。振り切った勢いに好感が持てる良作。 -
優秀
「オキナワミュージックカンブリア」 CoccoとKiroro
エフエム沖縄
ディレクター・出演 西向幸三、出演 東風平朝成、伊是名優子
1990年代にデビューした沖縄を代表するアーティストCoccoとKiroroに焦点をあてた。このラジオ局は彼女らがまだ高校生の頃、ゲストに呼び、デモテープを放送していた。そんなデビュー前の秘話がインタビューで明かされる。ここでしか聞けない未発表のライブなど貴重な音源も紹介。
地元のミュージシャンとラジオ局との深いつながりが印象的。見出した関係者の興奮と目利きの力が伝わるとともに、ラジオ制作者の音楽に対する愛情を感じる力作。 -
ラジオ生ワイド
おいね☆どいね Holiday Special~境界線を考える~
北陸放送
企画・制作 宮下 潤、出演 川瀬裕子、西川章久、加藤 裕
火~金/13時~16時の放送。2023年5月3日の放送から。ホリデイスペシャルとして、物理的なものから心理的なものまでさまざまにある「境界線」のなかから、知的好奇心を満たす「県境」と「方言」、社会の風潮を考えさせられる「性」「成年」を取り上げ、その成り立ちや現状、解決しなければならない点などを当事者や専門家に聞いた。
硬軟織り交ぜた内容を身近な話題として面白く聴かせ、ラストの「Both Sides Now」には選曲のセンスが光る。派手さこそないが、上質でローカル局の誇りを感じる番組。 -
優秀
らじ丸にっち! ~つどって歩いて黒石編~
青森放送
プロデューサー 山本鷹賀春、パーソナリティ 夏目浩光、中継ディレクター 渡辺英彦、リポーター 成田洋明
日曜/12時~15時の放送。2023年5月14日の放送から。地元のニッチな話題をラジオのエンターテインメントとして伝える番組。この日は、ラジオと地元のウェブメディア「Aomori&You」の両方から参加を呼びかけるウォーキングイベントを急きょ企画。黒石市・こみせ通りの集合場所には、1時間程度でリスナーとフォロワーが10人ほど集まった。
情景と人物の描写が勝負のお散歩番組を、味のあるリポートで巧みに成立させている。イベント参加者の世代間ギャップも楽しい。 -
優秀
ジェーン・スー 生活は踊る
TBSラジオ
プロデューサー 吉田周平、刈屋瑛子、ディレクター 金井 渉、構成 稲原 誠
月~木/11時~13時の放送。2022年10月20日の放送から。3年ぶりに、お気に入りのスーパーマーケットに投票する「スーパー総選挙」を実施。この日、過去3回を大きく超える24844票を集めた投票結果を発表した。
ランキングの面白さだけでなく、リスナーからのメッセージを紹介し、コロナ禍で数少ない外出先だったスーパーへの感謝を伝える放送になった。生放送ならではの特性を生かした構成で、パーソナリティとスタッフの力量が伝わる。 -
優秀
Mixxxxx+(ミックスプラス)ヤングケアラーを考えよう・繋がろう
信越放送
プロデューサー・ディレクター 清沢康夫、ディレクター・パーソナリティ 生田明子、パーソナリティ 海野紀恵
月~金/13時~16時20分の放送。2023年5月1日の放送から。県の調査によると「世話をしている家族がいる」という子どもは身近に一定数存在する。この日は、家族の介護経験のある若者や専門家を迎え、ヤングケアラ―を軸に家庭内介護や子どもの福祉を考えた。
タイトルに「繋がろう」という言葉があることからも、「リスナーのすぐそばで寄り添えるラジオ番組でありたい」という制作者の思いが伝わってくる。 -
優秀
ウラのウラまで浦川です
朝日放送ラジオ
プロデューサー 今澤圭輔、ディレクター 小迫綾佑、構成作家 原口俊之、制作管理 淺尾武史
月~木/15時~17時25分または45分の放送。2022年6月22日の放送から。この日、鹿児島地裁が「大崎事件」の4度目の再審請求を棄却。大崎事件弁護団の1人で、番組のレギュラーコメンテーターをつとめる亀石倫子弁護士が電話出演し、事件と司法制度の問題点等を解説した。
この日の進行は番組パーソナリティとお笑い芸人のネイビーズアフロ・みながわの2人。リスナーを惹きつける熱い語り口や2人の当意即妙な掛け合いが魅力。 -
優秀
平成ラヂオバラエティごぜん様さま 5000回記念 超感謝祭
中国放送
プロデューサー 手島啓介、ディレクター 村山太一、森下朋之、出演 横山雄二
月~金/9時~11時40分の放送。放送5000回を迎えた2022年8月30日の放送から。この日は特別に5時間半の生放送。「おめでとう」の大合唱のなか、番組ゆかりのゲストが多数出演し、19年の歴史を振り返った。
「超感謝祭」をうたいながらも特別な企画があるわけではない。だが、思わず声を出して笑ってしまうこと数多の内容で、番組の普段の魅力が凝縮されている。良いチームが作り、良いリスナーに支えられると良い番組になるという好例。 -
優秀
仲谷一志・下田文代のよなおし堂
RKB毎日放送
出演 仲谷一志、下田文代、ミキサー 世利健太、ディレクター 実藤明子
月~木/16時~18時45分または17時30分の放送(当時)。2022年8月11日の放送から。前夜、4月19日に続く2度目の大火にみまわれた北九州市民の台所、旦過市場。消火活動が続く現地の様子を、商店街の副会長、被災した映画館の館主の声を交えて伝えた。
傷ついた人々にリアルタイムで応援の声が届く温かさは、ラジオならではのもの。現場から報告するパーソナリティの姿に、地域への愛情が感じられる。 -
テレビ報道
こどもホスピス ~いのち輝く“第2のおうち”~
朝日放送テレビ
プロデューサー 西 一樹、ディレクター 長谷川健、ナレーション 桂 紗綾、カメラ 神近伸彰
大阪市鶴見区の「TSURUMIこどもホスピス」は国内初の民間施設。訪れるのは人生の大半を治療が占める子どもたち。看護師や保育士の資格を持つスタッフが病院と連携しながら病気の子どもときょうだい、親のケアにあたっている。ここは決して悲しみに満ちた場所ではない。人の温もりに包まれながら懸命に生きる子どもと家族の姿を追った。
医療的ケア児にも遊びや楽しみの日常があり、こどもホスピスは生まれてきたことの幸福のためにあるとの主張が心にしみる。制作者の願いが明確に伝わり高い評価を得た。 -
優秀
でくのぼう ~戦争とPTSD~
山形放送
プロデューサー 結城義則、ディレクター・撮影・編集 伊藤 翼、構成 日笠昭彦、ナレーション 二又一成
山形県鶴岡市出身の黒井秋夫さんが持つ古いビデオテープには、無口で無気力、孫の呼びかけにも応えない生前の父の姿が映る。その死から25年、ベトナム戦争帰還兵の証言に触れ、父もPTSDではなかったかと考える。なぜ兵士たちは心を壊され、戦後の時間まで奪われたのか。いまも苦しむ遺族の姿、現存するカルテを通して戦争の実態に迫る。
PTSDの観点から戦場体験者の深い沈黙に分け入り、その苦しみを解き明かそうとする優れた番組。訓練で行う捕虜の「刺突」という言葉が戦争の残酷を浮き彫りにする。 -
優秀
ザ・ノンフィクション たどりついた家族2
フジテレビジョン
チーフプロデューサー 西村陽次郎、演出 蔵本卓大、ディレクター 「めざましテレビ」ニュース班、語り 芳根京子
2022年5月、東京・東新宿で3人の親子が暮らし始めた。日本人と結婚した長女を頼り、ウクライナから遠く離れた日本にたどり着いた。日本での暮らしになじんでいく子どもたちを見守りながら、母は故国に戻らなければならない理由を抱えていた。ロシアのウクライナ侵攻が始まって1年。東京の片隅で故郷の戦火に翻弄される家族をみつめた。
戦争の愚かさと、避難生活の苦しさや戸惑い、深い悩みとともに、地域とのつながりなど光の部分も丁寧に追った良作。日本への避難者が身近にいることを再認識させる。 -
優秀
チャンネル4 遺された戦争ポスター
テレビ信州
取材・編集・プロデュース 久和健一郎、撮影 滝沢義三、音効 渡辺真衣、語り 田中 泯
長野県阿智村には、戦時中、国民を戦争へ駆り立てたポスターが遺されていた。当時の村長が141枚を蔵の天井と梁の間に挟み込んでいた。戦時体制の強化、兵士徴募、戦費調達、物資の供出。日本が突き進んだ過ちを映し出し、声なき証言として現代に問いかける。
貴重な資料の発掘であり、宣伝班員の日記と宣撫工作の追跡も重要。戦時プロパガンダの実態と戦争の過ちを強く訴え、記録を残すことの重要性を考えさせる秀作。 -
優秀
HAB報道特別番組 沈黙の月「寺越事件」忘れられた母子
北陸朝日放送
プロデューサー 黒崎正己、ディレクター 中島佳昭、編集 牧田邦和、カメラ 前田国憲
「寺越事件」は発生から60年が経過。24年後に北朝鮮で生存が判明した息子の武志さんは拉致を否定し、母の友枝さんは拉致という言葉を飲み込んで訪朝を重ねてきた。政治に翻弄されてきた母と息子。世間から忘れ去られようとしている事件を記録し、平壌で撮影された映像や貴重な証言から、拉致被害者とは異なる道を辿った事件の本質や真実に迫る。
16年にわたる取材でこそ描けた老いていく母の姿が痛ましい。取材記録の厚みに圧倒され、伝え続ける責任感を感じる。政治の安直さも浮かび上がらせており秀逸である。 -
優秀
いろめがね ~部落と差別~
山口放送
プロデューサー/ディレクター 佐々木聰、撮影 山本健二、山本 透、EED 山本宏幸
全国各地の5000を超える被差別部落の一覧表がインターネット上に晒されている。2016年に部落出身者249人の原告団がリストを掲載した出版社を提訴し、裁判は今も続いている。山口県在住の川口泰司さんは、出自を明かして人権活動をしている原告のひとりである。当事者の声に耳を傾け、取材を通して私たちの中にある差別意識と向き合う。
差別の構造を知るべきという強い覚悟で「私たちの中にある差別意識の正体とは何か」に迫っている。誰もが差別する側になることをあらためて考えさせる優れた番組。 -
優秀
夢とアブラ
長崎放送
プロデューサー 中島三博、ディレクター 古川恵子、撮影 今村敏和、タイトル 増田香澄
1968年に発覚した「カネミ油症事件」。米ぬか油に化学物質PCBを混入させた企業「カネミ倉庫」内を初めてカメラが取材した。原因企業は事件にどう向き合ってきたのか。一方、被害者自身がタブー視してきた次世代被害。54年目にして始まった次世代調査は、子や孫に現れる皮膚の色が黒いなどの症状と新たな差別の恐怖への中で進む。
健康被害が次世代に続いている現実を取材し、取り上げた意義は大きい。原因企業にも焦点を当て、問題の複雑さと深刻さを粘り強く追った力作である。 -
テレビ教養
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優秀
口福の献立~お腹と心を満たす嚥下食~
山形放送
ナレーション 松下香織、ディレクター 沼沢 諭、プロデューサー 三浦重行
老化や病気で食べ物をうまく呑み込めない人のための嚥下食は、安全面が優先され、見た目は大事にされない。山形県の宿泊施設「うしお荘」の料理長、延味克士さんが作るのは、目でも楽しめる新しい嚥下食だ。採算性などの問題があるが、医療・介護従事者などへ少しずつ取り組みの輪が広がり始めている。
嚥下食を作るコストやリスクなどを多角的に紹介。介護の問題だけでなく、「人が食べるとは、どういうことか?」を浮き彫りにして、視聴者の視野を広げてくれる。 -
優秀
通信簿の少女を探して 〜小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今〜
BS-TBS
制作プロデューサー 初瀬川啓太、プロデューサー 尾賀達朗、企画・演出 匂坂緑里、構成 田代 裕
ディレクターが入手した古本に挟まれていた1枚の小学校の通信簿。持ち主の少女は敗戦から3年後の昭和23年に大分県別府市の小学校を卒業し、存命なら87歳。番組はその女性を探しはじめる。加藤登紀子さんや山田洋次さんらが語る引き揚げ体験を交えながら、知られざる地方都市の戦後を追った。
戦争にまつわる話だが、ミステリー小説のように視聴者を最後まで惹きつける構成がすばらしい。少女探しを縦軸に、外地からの引き揚げ者が歩んだ道をたどった一編。 -
優秀
ワタシ桑ノ集落再生人~限界集落で挑戦した11年~
テレビ山梨
プロデューサー・ディレクター・撮影 岩﨑 亮、ナレーター 新井田雅樹、MA 石井勇人、音効 田中 健
かつて養蚕で栄えた山梨県市川三郷町は、養蚕の衰退とともに少子高齢化が進む過疎の集落となっている。ここで使われなくなった桑の葉でお茶を作り、地域おこしに取り組む韓国人のハン・ソンミンさんの11年間に密着した。
バイタリティーあふれるハンさんの人柄がよく伝わる。ローカル局でなければできない、長期にわたる密着取材に今後も期待したい。 -
優秀
駅ナカ保健室 性教育は誰のものか
北日本放送
ナレーション 高川裕也、編集 岡山友行、取材 土井あゆみ、制作統括 本田隆生
富山駅で月に1度開かれる「駅ナカ保健室」で中高生の性の悩みの相談を受ける産婦人科医は、若者の性に関する知識不足に危機感を覚えていた。その背景に、一部の政治家や統一教会などの宗教団体が関与する「性教育バッシング」がある。性教育に関する政策が歪められてきた経緯を浮き彫りにした。
富山の取り組みを入り口に、日本の性教育の歴史と後退、さらに性教育バッシングを伝えるという構成。ジャーナリズムの力を感じるメッセージ性のある番組。 -
優秀
Q-1 ~U-18が未来を変える★研究発表SHOW~
朝日放送テレビ
プロデューサー 桒山哲治、平田翔子、安井一成、青山速己
「Q-1」は、探究に青春をかけたU-18が頭脳を武器に競い合う“知の甲子園”だ。今回は4組の高校生が、AIを搭載した新たな白杖、路線バスを使った新たな街づくりの政策などを9分間でプレゼン。大学教授やgoogleなどの企業経営者、経済産業省の官僚など総勢56人の審査員を相手に熱い議論を戦わせた。
研究・探究の世界と若者の未来を融合させたアイデアが秀逸。高校生らが大会後に審査員らとともに研究に取り組む姿に未来への希望を感じさせる。 -
優秀
幸せをあきらめない~由佳さんと家族 6年9か月のキセキ~
広島テレビ放送
プロデューサー 道閑慎一、ナレーター 西名みずほ、ディレクター 金丸真帆、構成 千野克彦
広島県在住のネイリスト、中野由佳さんは2016年に交通事故で脊髄を損傷し、車いす生活となった。由佳さんが手足が動かなくても夢をあきらめず、ネイリストに復帰し、結婚、出産するまでの6年9か月を追った。
障害を克服し、一つ一つ夢をかなえていく姿を丁寧に描いたドキュメンタリー。登場人物が皆自然体で、カメラを向けられていることを感じさせない雰囲気から、取材対象者との信頼関係が見て取れる。 -
テレビエンターテインメント
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優秀
やまがたZIP!スペシャル 空飛ぶ車いす~やりたいことをあきらめない~
山形放送
プロデューサー 結城義則、ディレクター・撮影・編集 渡部映治、CG 伊藤絵美、ナレーション 永田亮子
筋ジストロフィーを患い、車いす生活をしている加藤健一さんは、バリアフリー観光を広めるため、専用車いすで空を飛ぶパラグライダーに挑戦。さらに、障害者が車の整備を学ぶ就労支援施設を設立し、病気のため断念した自動車整備士の夢を実現させた。
病気を抱えながらも諦めない加藤さんとその仲間たちを描き、視聴者に勇気を与える番組。 -
優秀
不夜城はなぜ回る
TBSテレビ
企画・演出 大前健太、プロデューサー 上田淳也、チーフディレクター 白井秀知、編成 柳沢光一郎
夜中に煌々と明かりがついている建物の中では何が行われているのか。深夜に各所を探索するのが趣味という入社5年目のディレクターが、1日20時間、7年の歳月をかけて精巧な古民家模型を作る男性や、夜な夜なワゴン車でタイ野菜を販売するタイ人の男性らを取材した。
夜中に活動している人を追うという着眼点が面白い。ディレクターの取材力やこだわりが伝わり、次作にも期待したいと評された。 -
優秀
こどもディレクター
中京テレビ放送
企画・演出 北山流川、監修 上出遼平、プロデューサー 笠井知己、宮木千佳
言い出しにくいけれど、親に聞きたいことがある。そんな「こども」たちにカメラを渡し、「ディレクター」として自分の親を取材してもらった。そこに映っていたのは、テレビスタッフには撮ることができない、リアルな家族の姿だった。
「こども」というタイトルだが、登場人物がほぼ全員大人であるという意外性が面白い。子から親へのインタビューを通して、さまざまな親子の関係性や愛情が見て取れて興味深い。 -
優秀
マッチング♥ハウス
関西テレビ放送
プロデューサー 田中祥吾、西原久進、企画演出 吉村直暢、ディレクター 杉岡 亮
「人は家だけを見て恋愛ができるのか」をテーマに掲げるバラエティ。本気で恋人がほしい男女8人が、お互いを知る方法は「名前と年齢と部屋のみ」という状況下で、カップルの成立に挑んだ。
「部屋=個性」という着眼点が面白い。スタジオゲストが住人の顔を予想するイラストを見て、出演者の部屋を推測したり、部屋に対する本音が炸裂するトークは、展開を盛り上げる演出として効いている。 -
優秀
幸せフラガール
山口放送
ディレクター 山﨑真哉、プロデューサー 佐々木聰、撮影 山本健二、EED 山本宏幸
“瀬戸内のハワイ”と呼ばれる周防大島で生まれ育った“フラガール”の野口のあさんは、本物のフラを踊るため、高校卒業後にカウアイ島の大学へ留学した。そこで、周防大島からハワイへの移民の歴史を知り、故郷とハワイの結びつきを受け継ぐために奮闘している。
のあさんを中心に、周防大島とハワイの関係と日系人の歴史を描いた秀逸なドキュメンタリー。瀬戸内やハワイの穏やかな景色も美しい。 -
優秀
まじもん! ~福岡えこひいきクイズ~
RKB毎日放送
チーフプロデューサー 吉賀亜希子、プロデューサー 原田俊哉、ディレクター 後藤弘之、鈴木佑也
幅広い知識を持つ頭脳集団「QuizKnock」と福岡タレントチームが、福岡に関するクイズで対決するバラエティ。出題されるのは福岡在住者に有利でマニアックな問題ばかりで、しかもルールも福岡チームに激甘。さしものクイズ王たちも次第に苦戦を強いられていく。
本来であれば全く勝負にならないはずの対決だが、郷土愛にあふれる「えこひいき」による盛り上げが楽しい。 -
テレビドラマ
エルピス-希望、あるいは災い-
関西テレビ放送
演出 大根 仁、音楽 大友良英、脚本 渡辺あや、プロデュース 佐野亜裕美、稲垣 護
実際に起きた複数の事件から着想を得た社会派ドラマ。深夜の情報バラエティ番組を担当する女性アナウンサーと新人ディレクターが、殺人事件の犯人とされる死刑囚の冤罪疑惑を追う。さまざまな障壁がある中、真実に迫ろうとする二人の迷いや葛藤を描いている。
単純な勧善懲悪ではなく人間の弱さを描いている点や、新しい感性とプロフェッショナルな技術、批評性を合わせ持った点が高く評価された。登場人物のキャラクター造形が巧みで、俳優陣の演技もすばらしい。 -
優秀
ブラッシュアップライフ
日本テレビ放送網
プロデューサー 小田玲奈、榊原真由子、監督 水野 格、脚本 バカリズム、出演 安藤サクラ
交通事故で死んでしまったごく平凡な33歳の女性・近藤麻美。死後の世界の案内人に、来世は人間ではなくオオアリクイだと宣告される。「もう一度同じ人生をやり直して“徳”を積めば、人間に生まれ変わる確率が上がる」と聞いて、彼女は2周目の人生を選択する。近藤麻美の記憶を持ったまま、やり直しの人生がスタートする。
タイムリープものはドラマによくある設定だが、よく練られた会話と、それを際立たせる抑制された演出が秀逸。芸達者な役者を配した点も成功につながった。 -
優秀
silent
フジテレビジョン
プロデューサー 村瀬 健、演出 風間太樹、髙野 舞、品田俊介、脚本 生方美久
高校時代の同級生・湊斗と幸せな日々を送る女性・紬。高校時代に付き合っていた想と8年ぶりに偶然再会するが、彼は耳が聞こえにくくなっていた。
時代を代表するラブストーリーの趣がある、との評価を受けた。“今”を呼吸している若い作り手のみずみずしい感性が光る。俳優らの繊細な演技と丁寧なストーリー運び、細やかな表現で、視聴者を惹きつけるドラマとなった。 -
優秀
連続ドラマW フィクサー Season1
WOWOW
脚本 井上由美子、企画・プロデュース 青木泰憲、監督 西浦正記、出演 唐沢寿明、プロデューサー 村松亜樹
陰の存在であるフィクサーに焦点を当てたシリーズドラマのSeason1は、政治の世界が舞台。現職の総理大臣が交通事故に遭うところから物語がスタートする。政治家秘書や新聞記者など、さまざまな人物を操り暗躍する得体の知れない謎の人物、設楽拳一を中心に、人間や物事の表と裏が描かれる。
ベテラン俳優陣の演技を堪能できる大人のドラマ。緻密で無駄のない脚本の上手さも高く評価された。 -
優秀
BS11開局15周年スペシャルドラマ 恋は50を過ぎてから
日本BS放送
監督 松木 創、脚本 池田テツヒロ、プロデューサー 柿崎拓哉、村木美砂
マッチングアプリで知り合った50代の男女。見栄を張ってプロフィール欄に嘘を書き込んでいたため、初めて会った時には話を取り繕っていた二人だが、レストランでデートを重ねるうちに、次第に心を通わせ、正直な気持ちを語りあうようになる。
二人芝居の舞台のような仕立てのドラマ。さまざまな経験を重ねてきた大人同士の恋愛を主演の二人が好演し、味わいのあるラブストーリーとなった。 -
優秀
マクラコトバ
CBCテレビ
演出 吉村慶介、脚本 ニシオカ・ト・ニール、プロデューサー 下野賢志、内畠由貴、プロデューサー・演出 尾関美有
1話15分というオムニバス形式のショートドラマ。ベッドの上のピロートークが共通の設定で、若い男女のやり取りを通して、気持ちのすれ違いや心情の変化が描かれている。
登場人物やシチュエーションは違うが、各話とも男女二人の会話のみで進行するのが共通点。男女の駆け引きや女性の本音トーク、思いがけない告白などを、時にコミカルに、時にはシリアスに表現していて、15分ドラマの可能性を感じさせる。 -
優秀
日曜の夜ぐらいは...
朝日放送テレビ
企画・プロデュース 清水一幸、演出 新城毅彦、脚本 岡田惠和、出演 清野菜名
ヤングケアラーのサチ、タクシードライバーの翔子、ちくわぶ工場で働く若葉は、それぞれに生きづらさを抱えていた。バラバラに生きてきた3人がラジオ番組主催のバスツアーで知り合い、友情が芽生えていく。
俳優陣が等身大のキャラクターを伸び伸びと個性的に演じていて、魅力的な人物像に仕上がった。女性3人の連帯のかたちや日常を生きる喜びを丁寧に温かく描き、視聴者を元気づける。 -
CM部門
※各作品のタイトルは、「広告主名(非商業スポットは省略) 商品名/作品名(秒数)」の形で掲載
ラジオCM第1種(20秒以内)
最優秀三和住宅 企業CM/居留守(20秒)
エフエム栃木
プロデューサー 岡本明子、コピーライター 髙木 守(電通)、ナレーター ムラタニンニクン(ベリーズ吉本興業)、ベリー大坪(ベリーズ吉本興業)
鳴りやまないインターホンに「留守です」と応答し続ける男性。家にいる男性が留守だと答える滑稽な状況かと思いきや、「留守なんです!お隣さんは!」と見事に想像を裏切り、壁の薄い住宅の不便さを伝えることで自社商品の優位性を訴求した。20秒という短尺にキレのある意外な展開を作り上げ、プロフェッショナルな完成度の高い作品となっている。
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優秀
よみうりランド 企業CM/ジェットコースター 篇(20秒)
文化放送
プロデューサー 南 理子、ディレクター 見目幸伸、ミキサー 上原裕司、アカウントプランナー 吉田雄貴
遊園地でジェットコースターに乗っている男女の会話。「今朝ね、コーヒーに砂糖と間違えて塩入れちゃってさ!」「魚のコイって、恋するのかな?」と、男性の話がつまらなくても、ジェットコースターに乗る女性は「最高~!」と大爆笑。「つまらない人と行っても面白い」という、キャッチーでインパクトのあるコピーが秀逸で、誰と行っても楽しめる遊園地の魅力を効果的にアピールしている。
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優秀
聖教新聞社 企業CM/ただいま(20秒)
エフエム東京
プロデューサー 中村由美、プランナー 野田芳希(大日本印刷)、コピーライター・ディレクター 佐藤延夫(トビラ)、ミキサー 越川博雅(サウンズネクスト)
子どもが毎日発する「ただいま」には、短い言葉ながら、声の大きさやトーン、言い方などにさまざまな心模様が反映されている。気持ちを音で伝えるラジオの特性を活かした演出に「同じ一言に、毎日いろんな君を見てるよ」と優しいコピーを添えることで、何気ない言葉でも大切に受け止める、「言葉と、生きていく」という企業メッセージを効果的に伝えている。
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優秀
日本ゼオン 企業CM/同窓会 篇(20秒)
エフエム東京
プロデューサー・ディレクター 山口景子、コピーライター 若杉幸祐(電通)、技術 藤田ルリ子(大日)
残業中の男性が「やっぱり行けない」と、同窓会の会場にいる友人の女性に断りの電話を入れる。担当しているプロジェクトが忙しいと話す男性に、いつ頃終わるのかと女性が尋ねると、「今世紀中には…」と先の長い回答。日常的なシチュエーションを題材にして、100年先の研究開発に取り組む企業姿勢をユーモラスにアピールすることで、若者の興味関心を引くCMに仕上がっている。
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優秀
新潟県森林組合連合会 企業CM/いいきになってる(20秒)
新潟放送
ディレクター・録音 坂井 沖(BSNウェーブ)、ナレーション 近藤丈靖、坂部友宏、大塩綾子
二人の男性が不穏な空気で「こいつら最近いいきになってねーか?」「どいつもこいつもいいきになりやがって」と会話していると、途中で雰囲気が一転。「最高じゃねえか」「もっといいきにしてやろうぜ!」とテンションが上がり、「いい木を育て、いい森をつくる」とのコピーで種明かし。ダジャレでありながら、出演者の演技とナレーションで雰囲気にメリハリをつけ、繰り返し聴いても飽きない作品になっている。
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優秀
ニチレイフーズ 焼おにぎり10個入/恋の貸しカリ 篇(20秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、タレント 安川まり他
なにやら怒っている彼女に「怒ってんの?」と問う彼氏。「怒ってないよ!」と言いつつやはり怒っている様子の彼女に、彼氏は「でも、そのカリカリしてる顔、結構好きやねん」と一言。焼きおにぎりのカリカリした表面と女性がカリカリしているさまをかけた「カリカリ好きは一定数いる」というコピーが秀逸で、彼氏と彼女の会話から商品の特性を巧みに表現した。
配信期間は終了しました
(配信期間:2023年9月21日~10月20日) -
優秀
オオスキ現場市場 工業用品ネットショップ「現場市場」/急に欲しくなる?(20秒)
エフエム熊本
プロデューサー 髙瀬裕章、ディレクター 松下和浩(モノクロ)、MAミキサー 日田涼子(モノクロ)、コピーライター 赤石丈実(フリー)
「朝、急に『インパクトドライバーが欲しい!』『ブルーシート買わなきゃ!』って時があるじゃない?」と言う女性に対して、「いやぁ、ないけど…ある?」と返す相手の女性。女性が日常的に使用することのない工場用資材を朝から欲しがるというありえないシチュエーションで笑わせながら、個人でもネットから気軽に購入できる企業サービスの利便性を分かりやすく訴求した。
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ラジオCM第2種(21秒以上)
最優秀中央軒 企業CM/記者会軒 篇(120秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、音楽 東 竜太(ビッグフェイス)
メジャー移籍を決めた野球選手の記者会見。選手は大阪を離れると通えなくなってしまう「中央軒」がどうしても頭から離れない。「移籍を決めた理由は?」「メジャーからの提示のほうが中央軒(≠好条件)だったので」などと、気づけば記者の質問にすべて「中央軒」と回答してしまう。記者会見のリアルな雰囲気と、あの手この手で出てくる店名、記者のテンポのよいツッコミが見事で、店名を強く印象付けることに成功している。
配信期間は終了しました
(配信期間:2023年9月21日~10月20日) -
優秀
公共キャンペーン・スポット/街の音は道しるべ 一人で歩くということ(120秒)
STVラジオ
プロデューサー 坂上 貢、ディレクター・録音・編集 中林純子、出演 山田英雄 (鍼灸マッサージ治療院「あおぞらの空間」)、ナレーション 北本隆雄(札幌テレビ放送)
視覚障がい者の山田さんは、自宅から職場まで白杖を使い一人で歩く。「コンビニがあります。自動ドアの開いた音がするので」「この音が頼りなんですよね」。山田さんの声と街の音によって、視覚障がい者が街中を歩くときに抱く不安や地域住民の温かさを追体験できる。音声メディアの特性を効果的に利用し、視覚障がい者にとってさまざまな街の音は重要な道しるべであることをリスナーに伝え、公共キャンペーンの目的を遂げている。
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優秀
自社媒体PRスポット/ニッポン放送0時時報_支出 篇(55秒)
ニッポン放送
プロデューサー 西尾佳奈子、飯島 誠、プランナー・コピーライター 新井奈生(電通)、ディレクター 酒井美希子(ミックスゾーン)
就職活動中の男性が一日の終わりに、企業を回った今日の支出をひとりで読み上げる。「地下鉄、缶コーヒー、牛丼、お賽銭…1000円」。いよいよ就職活動を神頼みにした「うまくいかなかった日」。そんな日の深夜午前0時に「それでも明日は来ますから」と、ラジオが時報で新しい一日の始まりを告げる。時報というラジオならではのクリエイティブで、いつでもリスナーに寄り添う媒体の特性を優しく巧みに表現した。
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優秀
自社媒体PRスポット/こどもみらいプロジェクト「おしごと幼稚園」 篇(80秒)
J−WAVE
プロデューサー 大谷恭代、コピー・ディレクター 佐藤延夫(トビラ)、エンジニア 越川博雅(サウンズネクスト)、ナレーション 大森華恵(ビッグフェイス)
「やだ、幼稚園に行きたくない」と泣いてぐずる、年少さんになったばかりの小春ちゃん。1か月が経って慣れてくると余裕が出てきて声も明るくなり、「おしごと幼稚園で、泣かなかった?」とパパを気遣い話しかける。「そんな子供の感性が、きっとみたことのない未来をつくる」というメッセージに子どもの可愛らしい声が相まって、広く共感を呼ぶ作品に仕上がっている。
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優秀
中央軒 長崎皿うどん/11種類 篇(60秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)
中央軒の長崎皿うどんには11種類もの具材が入っていて、その具材に特化・着目したCM。11種類の具材を11名の出演者が代わる代わる声で表現し、それを一つのCMにすることで皿うどんの魅力を伝える。11人を聴き分けて、というアイディアが秀逸で、思わず集中して聴いてしまい、なにより「中央軒」という店名が印象に残る。内容はシンプルながらもギミックに凝った作品の訴求力が抜きん出ている。
配信期間は終了しました
(配信期間:2023年9月21日~10月20日) -
優秀
ニチレイフーズ ミニハンバーグ/他意のない子供の手紙 篇(60秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、タレント このか(ジョビィキッズ)
子供が母親に向けた感謝の手紙。母親がお弁当を作る際、「これは手作りよ」「これはニチレイさんのハンバーグよ」と正直に言うのは、「手料理と思っていたものが買ってきたものだった」というオチのラジオCMが多いからだと話す。母親のような根強いリスナーの存在からラジオCMの宣伝効果を訴求しつつ、「根強く愛されています、ラジオもニチレイのハンバーグも」と結び、それぞれの良さにあらためて気づかせる巧みな構成が光った。
配信期間は終了しました
(配信期間:2023年9月21日~10月20日) -
優秀
レクサス松山城北 企業CM/「助手席」 篇(60秒)
エフエム愛媛
コピーライト・ディレクター・録音・編集 津島真吾
父娘は、かつて一緒にドライブに出かけたことを回想する。娘の指定席は助手席だったのに、あの日は後部座席に座って、隠れて泣いていた。そして迎えた結婚式の日、バージンロードで控える父と娘。隣で泣く娘に、父は「幸せになれよ」と送り出す。FM放送ならではのステレオ機能を活かした音の振り分けで、登場人物を臨場感豊かに描きだした演出が秀逸。どちらの立場で聴いても共感を得られる、きれいで整った構成が際立っている。
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テレビCM
最優秀公共キャンペーン・スポット/「人生100年時代を考える」~きぬさんは“看護師”一筋80年(180秒)
CBCテレビ
構成・プロデューサー 大園康志、ディレクター 横山朋未、撮影 馬場勇樹(エヌティーピー)、編集 杉江寿樹(CBCクリエイション)
主人公の池田きぬさんは98歳の現役看護師で、三重県津市のサービス付き高齢者住宅で働いている。太平洋戦争で看護要員を務めた彼女は、この道一筋80年。若い人のようには動けないが、笑顔とプライドを持って働く姿には圧倒的な存在感があり、入居者も後輩の看護師たちも勇気をもらっている。人生100年の時代を考えて「定年制に反対」と語るきぬさんのメッセージを、生き生きと働くその姿にきちんと重ねた構成が見事な作品である。
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優秀
自社媒体PRスポット/残す、伝える。~CBCドキュメンタリー on YouTube~(240秒)
CBCテレビ
プロデューサー 荒木庸輔、ディレクター 田原健太郎(CBCクリエイション)、撮影 馬場勇樹(エヌティーピー)、音声 平田直輝(ティーブイエスネクスト)
YouTubeチャンネル「CBCドキュメンタリー」をPRするCM。自分の意志に反して声が出たり体が動いたりしてしまうトゥレット症と闘う若者や、67歳で性別適合手術を受けて女性になった市議会議員の姿などを伝える。YouTubeの特性を活かし、オンデマンドでいつでも見られるように「残して」、届くまで「伝える」。自社の公共的役割をYouTubeのPRに落とし込むことで差別化を図り、伝えることの大切さを訴求した点が秀逸である。
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優秀
名古屋大学×TARVO×名声会 喉頭摘出者の音声再生プロジェクト/声をとる。あなたのために。(180秒)
CBCテレビ
構成・プロデューサー 大園康志、ディレクター 脇田亜彩香、撮影 馬場勇樹(エヌティーピー)、音声 佐藤里恵(ティーブイエスネクスト)
名古屋大学病院と名古屋大学は連携して、咽頭がんや喉頭がんなどで失った声を再生できるアプリを開発している。開発の際には、声帯摘出者が使う電気喉頭の録音が重要になる。命を救うために手術で「声を取る」ことと、アプリ開発のために「声を録る」ことをダブル・ミーニングにして、「声をとる。あなたのために。」と訴えかけ、ハンディキャップのある人々に新しい可能性を提示する、社会的意義の高い作品である。
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優秀
愛知県/優しいAI ~愛知県 持続可能な農業への現在地~(97秒)
東海テレビ放送
プロデューサー・ディレクター 服部篤幸、カメラマン 森恒次郎(東海テレビプロダクション)、ナレーター 富田望生(イーコンセプト)、構成 橋本吾市(スクワイア)
愛知県はスマート農業普及推進計画を策定し、「AI」を搭載したドローンやロボットを農業に活用している。しかし、農業には「AI」の力だけではなく、安全で美味しい農作物を作る生産者の「愛(AI)」も欠かせない。AIが活用される様子や生産者の農作物への愛情を伝えながら、CM内のテロップは「AI」→「愛」→「愛知」と繋がっていく。未来志向のテーマ設定と、メッセージを分かりやすく届けている点が優れている。
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優秀
公共キャンペーン・スポット/かわるPTA(330秒)
東海テレビ放送
プロデューサー 伏原健之、プロデューサー・ディレクター 岩佐雄人、ディレクター 髙木日菜乃、編集 中谷文彦(エキスプレス)
PTAは、いつしか同調圧力やしがらみにとらわれ、時代の変化についていけずに、組織のあちこちから悲鳴があがる。「かわるPTA」をテーマに、退会した保護者、PTA会長が抱く危機感、活動の効率化・外注化、解散したPTAと先生の思いなどを提示して、時代の変化に即したPTAのあり方を問いかける。多くの保護者の潜在的な疑問や葛藤を明らかにした着眼点が独創的で、社会に課題を投げかけるメッセージ性が際立っている。
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優秀
豊川市 市制施行80周年PR/豊川市制80周年記念キャンペーン「豊川って豊かだ」(240秒)
中京テレビ放送
プロデューサー 神農貴洋、安達浩蔵(CTV MID ENJIN)、構成 赤星賢一(CREATIVE FIRM PICKEL)、ディレクター 阿部 恵(フリーランス)
2023年に市制80周年を迎える愛知県豊川市の記念キャンペーンCM。演歌歌手の山川豊さんが「豊川豊(とよかわ・ゆたか)」に改名して、ピンクの髪色のリーゼント姿で登場する。バラやトマトといった特産品、文化遺産としてのお祭り、山・川・海の大自然、充実した子育て支援などを紹介して「豊川市は豊かだ~」と畳みかける。ユニークなコンテンツで地域の魅力を楽しく伝えようとする気概が感じられる作品に仕上がった。
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技術部門
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優秀
少人数で安価な視聴率データと番組内容の可視化・DXツールの自社開発
北海道文化放送
研究・開発担当者 杉本歩基、田中琢也
視聴率や番組、SNSなどの各種データを、データベースの複雑な設計や管理を要さずに、ダッシュボードとして可視化するシステムを、少人数で安価に開発・実用化した。
これにより、コンテンツ価値の可視化やコンテンツ内容の改善につながる分析を実現したほか、社内で個人差があったデータ分析のクオリティを平準化するなど、放送業務におけるDX推進に貢献した。 -
優秀
放送映像メタ付与AIプラットフォーム及び活用システムの開発
TBSテレビ
研究・開発担当者 苑田翔吾、山中健太、武田侑祐、大西陽一
顔認証、音声認識、文字認識の3種類のAIで放送映像を解析して、生成したメタデータをクラウド上に蓄積するプラットフォームを構築するとともに、これを活用した放送映像の検索システムとテロップ監視支援システムを開発・実用化した。
これにより、放送映像の検索や誤テロップの検知を迅速に行うことが可能になり、業務負担の軽減を実現するなど、テレビ放送業務の効率化と高度化に貢献した。 -
優秀
オンライン完パケ納品システム メディアブランチの開発
TBSテレビ
研究・開発担当者 半澤 秋、進士雅一、依田 純、河村浩司
地上波に限らず、さまざまな完パケ素材の納品を一元管理して納品状況を可視化するとともに、記録表およびキューシートの作成やQCチェック機能などを実装したオンライン納品システムを開発・実用化した。
これにより、納品の時間的・場所的制約を解放して利便性を向上させ、メディアレスによる省資源化も実現するなど、テレビ放送業務の効率化とサステナビリティに貢献した。 -
優秀
ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継
日本テレビ放送網
研究・開発担当者 篠田貴之、渡邊勇二、佐々木聡史
約100台のカメラを用いたグリーンバックが不要なボリュメトリックビデオ技術と、写実的な背景CGおよびリアルタイムの観客映像を組み合わせることで、撮影不可能だったアングルからの自由視点映像を即時に生成し、臨場感のあるプロ野球中継を実現した。
これにより、革新的でダイナミックな映像表現を視聴者に提示するとともに、スポーツ中継の可能性を広げるなど、テレビ制作技術の高度化に貢献した。 -
優秀
AIモザイク編集ソフト「BlurOn」の開発 ~働き方改革と適切な個人情報保護の実現~
日本テレビ放送網
研究・開発担当者 加藤大樹、浜崎英人、高橋真二、中村 瞬
AIによる高精度な被写体検出およびトラッキングをクラウド処理し、その処理結果をキーフレームとして出力させることで自由な調整や設定、加工を可能とする自動モザイク編集のプラグインソフトウェアを開発・実用化した。
これにより、適切な個人情報保護のためのモザイク処理にかかる業務負担の軽減と所要時間の短縮を実現し、ポストプロダクション業務の効率化に貢献した。 -
優秀
自動スイッチングシステムの開発
テレビ朝日
研究・開発担当者 森山顕矩、吉武佑祐
音声解析およびAIによる表情などの映像分析と、単純な動作とならない切り替えタイミングや頻度、キープ時間などを定量化した独自のアルゴリズムとを組み合わせて、カメラ映像のスイッチングを自然かつ自動で行うシステムを開発・実用化した。
これにより、スイッチャーの無人運用が可能となり、少人数での番組制作や業務負担の軽減を実現し、テレビ制作技術の効率化に貢献した。 -
技術奨励賞
マスター運行のリモート支援システム(AToM)の開発
札幌テレビ放送
研究・開発担当者 小川秀樹、星野 隆、大竹知幸
マスターの運行業務をリモート環境から支援するシステムを自社で開発し、顕著な業務改善を果たした。
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特別表彰部門
青少年向け番組
ザ・ドキュメント ウクライナ、9×9の歌 明日をつくる子どもたちへ
関西テレビ放送
プロデューサー 萩原 守、ディレクター 井上真一、撮影 竹田光彦、編集 宮村泰弘
ロシアによる侵攻以来、ウクライナの人々が国外に避難し、日本にも2000人以上が暮らしている。そのうち約400人は18歳未満の子どもたち。勉強もままならず、周囲の言葉がほとんど分からない中で過ごす時間は、彼らに何をもたらしているのか。
ウクライナでは算数の九九(くく)の暗記や、それに向けた勉強時間が少なく、日本の学校に通う避難者の子どもたちの計算スピードは遅くなりがちだった。ウクライナ語の教材を作成し支援している京都教育大学の黒田教授が思いついたのが、“ウクライナ語の九九の歌”を作ること。教え子の学生やウクライナ出身の留学生が集まり、計画がスタート。勉強への不安を口にしていた避難者の少年は、紆余曲折を経て九九の暗記に取り組み、最後にその成果を披露し、自分の思いを口にする。
侵攻からまもなく1年になろうとする中、避難者の現状や、それを支援する人たちの姿を描く。日本にいても戦争は決して他人事ではなく、身近にその影響が存在するのだという気づきを与えてくれる番組と高く評価された。 -
優秀
はじけろ!青春 特別編 高校放送部と一緒に番組作っちゃいましたスペシャル
長野朝日放送
プロデューサー 小林明子、ディレクター 原山翔太、ディレクター 田中 亮、企画 林 直哉
部活や学校生活に全力を注ぐ仲間の姿を高校放送部が取材し、2分半の動画作品にまとめ、レギュラー放送している『はじけろ!青春』の特別編。企画から出演・制作技術まで高校生と放送局が一緒に取り組んでいる。
2022年度の番組に参加した8校の生徒がこれまでの作品を振り返りつつ、放送部のことをよく知らない運動部代表のゲスト、齋藤崇人さん(バスケB1リーグ・信州ブレイブウォリアーズ初代キャプテン)とトークを繰り広げる青春バラエティ。
高校生が生き生きと活動している姿や手作り感が楽しく、元気が伝わる。同年代の青少年に見てほしい番組。 -
優秀
こどもちょうせんバラエティ いろりろ
読売テレビ放送
プロデューサー 田中瑛人、プロデューサー 山崎舞子、ディレクター 村井ゆみ、構成 たむらようこ
番組キャラクターの「りろりろ」が地球の楽しいことを発見する形で、大テーマ「動く楽しさを伝える」に沿った各コンテンツで構成する未就学児向け番組。
専門家が“ハカセ”に扮し、子どもたちに遊びの幅を伝える「あそびラボおしえてはかせ」、子どもたちが夢のメニューを作る「こどもシェフ」、関西ならではのお笑いを通してコミュニケーションを醸成する「おわらいじゅく」。「シノビーと、1ぷんチャレンジ」やダンスコーナーでは体を動かす楽しさを、「ほめたいかい」では自己肯定感と自発性を、絵本やアニメのコーナーでは想像力の刺激を、それぞれ育む。
ターゲットが明確で、さまざまなアプローチで子どもの好奇心に応え、自ら身体と頭を動かすよう工夫されている。親と子が安心して見て遊べる良質の番組。 -
優秀
熱血テレビスペシャル 俺たち ウォーターボーイズ!! ~15歳 僕は見つけた~
山口放送
プロデューサー 佐々木聰、ディレクター田村康夫、撮影・EED 山本宏幸、撮影 上田 翼
3000人が暮らす山口県阿武町。2011年、過疎が進むまちを盛り上げようと、有志の若者たちがシンクロナイズドスイミングチーム『ABUウォーターボーイズ』を立ち上げた。
そんな大人たちのチームに、2018年、新たに高校生が加わった。15歳、高校1年生の「たくちゃん」。チーム史上最年少メンバー。考えや感情を、自信をもって表に出せないことにずっと悩んでいた。そんな自分を変えたいと、勇気をもって飛び込んだ。
メンバーたちはそれぞれにたくちゃんを支え、練習を重ねた彼は変化を見せ始め、周囲もそれを見守る。そしていよいよ、初公演の日が来た。 内気な性格の高校生が社会人になるまでの6年間の成長を追いかけたドキュメンタリーは、人との関わりの大切さを教えてくれる。地域の活性化につながる面も含めて評価された。 -
優秀
リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~
福岡放送
構成 日笠昭彦、プロデューサー 尼﨑拓朗、ディレクター 岩浦芳典、編集 田中宏治
2022年4月、福岡市内にオープンしたリンゴ飴専門店の「あっぷりてぃ」。スタッフは、補聴器をつけた難聴の人たち。店内には音声認識ソフトが設置され、注文は指さしで行う、全国でも珍しい「難聴の人が働きやすい店」。“何度でも失敗していい”を掲げ、聴覚障害のある人たちが一から店作りを行った。
「なんちょうなんなん~♪」、福岡市の「難聴の子を持つ家族会 そらいろ」が難聴理解促進動画を制作。難聴に関する「課題→解決→期待」が、口ずさみやすい歌詞とかわいらしいアニメ映像で表現され、子どもから大人まで、気軽に楽しみながら知ることができる。
難聴の人たちの社会的な自立や理解を深める活動を紹介する内容で、番組を見る青少年や視聴者も前向きになれる。 -
放送と公共性
イーちゃんの白い杖 25年継続取材と全国発信プロジェクト
テレビ静岡
実施責任者 橋本真理子
テレビ静岡は、全盲の少女イーちゃんが重度障がいの弟とともに苦難を味わいながらも成長し、就職、結婚を経て幸せを掴む25年間を取材し続けた。継続的なニュース報道に加え、映画化、自主上映会の開催、DVD制作、配信など、全国発信に尽力した。
入社当時から強い問題意識を持っていた取材者と、ハンディを持ちつつも他者を思いやる心を持った取材対象者が、長年の取材を通じて築いた強い信頼関係が感じられる。「障がい者が生きやすい社会は、みんなが生きやすい」との信念のもと、二人がタッグを組んで、イーちゃんとその家族が生きる姿を世界に発信しようとする意気込みが評価された。 -
優秀
満蒙開拓・不都合な史実を語り継ぐ~ドキュメンタリー制作とアーカイブの活用~
信越放送
実施責任者 手塚孝典
信越放送は、2002年から満蒙開拓、中国残留日本人孤児をテーマに計12本のドキュメンタリーを制作し、現在も取材を継続している。戦後75年を契機に、平和学習のためのライブラリー事業にも精力的に取り組んでいる。
長らく口を閉ざしてきた開拓民、青少年義勇軍の証言を集めて番組化し、多くの人が知らなかった歴史を後世に残した。学校や地域での平和学習に番組アーカイブを活用してもらい、制作者自身が講演するなど、主体的に平和活動に取り組んできたことが評価された。 -
優秀
キャンペーン「かわるPTA」
東海テレビ放送
実施責任者 岩佐雄人
東海テレビ放送は、各学校のPTAが共通して抱えるさまざまな問題に着目した。地道な調査報道によって、PTA会費が備品の寄付を通じて学校の「第二のサイフ」となっていること等を明らかにし、夕方のニュース番組で放送した。
記者自身の体験から、強制的にPTAの役員や係を担わされる現状に疑問を抱き、報道につなげたことはまさにジャーナリズムの原点と言える。PTA役員や保護者の協力を得ながら、その悩みや葛藤をリアルに伝え、問題提起に取り組んだことが評価された。 -
優秀
平和を求めて 50年の放送活動
山口放送
実施責任者 佐々木聰
山口放送は、かつて人間魚雷「回天」の訓練基地があった瀬戸内にあり、現在も米軍岩国基地を抱える山口県の放送局として、戦争と平和をテーマに取材を継続し、1970年代から多数のドキュメンタリー番組を制作した。
半世紀にわたり制作された番組には、戦争の被害者・加害者であった人々の証言が生々しく記録されている。基地に縁のある地域性と真摯に向き合い、歴代の記者たちが世代を超え、使命感を持って戦争の取材に取り組み続ける放送局のDNAが評価された。 -
優秀
子ども食堂応援キャンペーン「笑顔のおむすび」
大分朝日放送
実施責任者 伊藤信哉、野田奉伸
大分朝日放送は、2022年から大分の子どもたちの応援キャンペーンに取り組んでいる。子ども食堂、フードバンク、生理の貧困などの課題を継続して報道するとともに、フードドライブの実施、フードバンクの支援など、自らも多角的な活動を展開している。
子ども食堂の報道を契機に、シングルマザーの悩みを掘り下げて伝えるとともに、行政に対して自らが問題提起を行い、手探りながら支援活動に取り組んでいる。地域の社会活動を繋ぎ、課題解決に貢献するプロデューサーであろうとする社の姿勢が評価された。
審査講評 / 最優秀受賞のことば

KNB報道スペシャル 統一教会と富山政界
北日本放送
ナレーション 陸田陽子、編集 荒山知徳、構成 数家直樹、制作統括 河原哲志
全国有数の「保守王国」とされる富山県。安倍元首相の銃撃事件を契機に行った綿密な調査報道を、集大成としてまとめた。明らかになったのは、理想とする社会を実現するため、旧統一教会の関連団体が素性を隠して、富山政界に深く入り込んでいる実情だ。
取材を受ける政治家の言葉からは、“後ろめたさ”が伝わってくる。本来の政治、そして政治家のあるべき姿を社会に鋭く問いかける秀作である。