表彰番組・事績
2024年日本民間放送連盟賞
日本民間放送連盟賞は、質の高い番組がより多く制作・放送されることを促すとともに、CM制作や技術開発の質的向上と、放送による社会貢献活動等のより一層の発展を図ることを目的に、民放連が1953年に創設した賞です。
部 門 |
種 目 |
放 送 局 |
番 組 名 |
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番 組 |
ラジオ報道 |
最優秀 |
北日本放送 |
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優秀 |
山形放送 |
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エフエム東京 |
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山梨放送 |
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MBSラジオ |
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山口放送 |
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熊本放送 |
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ラジオ教養 |
最優秀 |
ラジオ沖縄 |
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優秀 |
STVラジオ |
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文化放送 |
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山梨放送 |
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CBCラジオ |
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MBSラジオ |
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南海放送 |
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ラジオ |
最優秀 |
信越放送 |
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優秀 |
秋田放送 |
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エフエム東京 |
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福井放送 |
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京都放送 |
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南海放送 |
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RKB毎日放送 |
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ラジオ生ワイド |
最優秀 |
山梨放送 |
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優秀 |
山形放送 |
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ニッポン放送 |
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北日本放送 |
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大阪放送 |
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中国放送 |
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南日本放送 |
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テレビ報道 |
最優秀 |
信越放送 |
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優秀 |
北海道放送 |
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フジテレビジョン |
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東海テレビ放送 |
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関西テレビ放送 |
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広島ホームテレビ |
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琉球朝日放送 |
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テレビ教養 |
最優秀 |
ワールド・ハイビジョン・チャンネル |
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優秀 |
山形放送 |
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新潟放送 |
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CBCテレビ |
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毎日放送 |
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山口朝日放送 |
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九州朝日放送 |
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テレビ |
最優秀 |
信越放送 |
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優秀 |
さくらんぼテレビジョン |
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TBSテレビ |
世界ふしぎ発見!レギュラー最終回 38年のありがとう! 40000時間から厳選 世界ふしぎ発見!ベストワン映像 一挙大公開スペシャル! |
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CBCテレビ |
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関西テレビ放送 |
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南海放送 |
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福岡放送 |
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テレビドラマ |
最優秀 |
関西テレビ放送 |
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優秀 |
TBSテレビ |
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日本テレビ放送網 |
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WOWOW |
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東海テレビ放送 |
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琉球放送 |
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C M |
ラジオCM第1種 |
最優秀 |
朝日放送ラジオ |
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優秀 |
文化放送 |
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エフエム愛知 |
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朝日放送ラジオ |
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山口放送 |
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エフエム熊本 |
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エフエム熊本 |
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ラジオCM第2種 |
最優秀 |
ニッポン放送 |
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優秀 |
文化放送 |
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エフエム東京 |
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エフエム東京 |
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静岡エフエム放送 |
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朝日放送ラジオ |
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朝日放送ラジオ |
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テレビCM |
最優秀 |
毎日放送 |
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優秀 |
テレビ東京 |
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東海テレビ放送 |
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読売テレビ放送 |
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山口朝日放送 |
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技 術 |
最優秀 |
TBSテレビ・WOWOW |
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優秀 |
北海道文化放送 |
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日本テレビ放送網 |
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テレビ朝日 |
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フジテレビジョン |
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毎日放送 |
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ラジオ沖縄 |
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技術奨励賞 |
東海テレビ放送 |
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特別表彰 |
青少年向け番組 |
最優秀 |
BS朝日 |
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優秀 |
長野放送 |
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テレビ大阪 |
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南海放送 |
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南日本放送 |
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放送と公共性 |
最優秀 |
関西テレビ放送 |
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優秀 |
北海道テレビ放送 |
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CBCテレビ |
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読売テレビ放送 |
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山口放送 |
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番組部門
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優秀
YBCラジオドキュメント 戦争とPTSD ~でくのぼうの子どもたちは告発する~
山形放送
ナレーション 安藤 勲、朗読 小坂憲央、取材・編集 伊藤 翼、構成 結城義則
第二次世界大戦の戦地で心に深い傷を負い、故郷に生還した兵士たち。戦場での望まぬ殺人や、敵襲への恐怖などによって心が壊され、生還後の家族との絆までもが奪われた。戦後80年近くを経てもなお、亡き父との関係に苦しみ続けている家族を通じ、戦争の悲惨さを伝える。
元兵士と、その遺族の苦しみを丹念な取材による証言や資料から浮かび上がらせ、問題をなおざりにしてきた日本政府や社会をあらためて問い直す秀作。 -
優秀
関東大震災特別番組 「福田村事件」~暴走することばの群れ
エフエム東京
プロデューサー 延江 浩、原田洋子、ディレクター 氏家美佳、構成 林 園子
「福田村事件」を書籍化した辻野弥生氏の語りを中心に、集団の中の個人が「正義」に駆られて残酷な加害者になりえるという構造を解き明かす。歴史上の「事件」として検証するのみならず、SNSでの個人攻撃やヘイトスピーチなどに見られるように、集団による暴力は今も続いていることを指摘する。
丁寧な取材で多面的にアプローチしたことで、事件を立体的に捉えることに成功し、いま私たちにできることをあらためて問う効果がある良作。 -
優秀
リスタート~ギャンブル依存症回復への道~
山梨放送
プロデューサー 荻野弘樹、ディレクター 秋山幸江、依田 司、ナレーション 小松千絵
WHOが病気として定義し、誰もがかかりうる「ギャンブル依存症」。その実態と、回復をはかる依存症の人たちの現実を描く。依存症は個人の性格だけに起因できるものではなく、その人を取り巻く環境がその人に対して与えるプレッシャーや孤独感によるところが大きいことを明らかにしている。
当事者の率直な語りと専門家によるエビデンス。さらに意外なデータから、偏見の強い依存症を正しく、興味深く伝えた良質な番組である。 -
優秀
流言飛語百年~関東大震災と現代のヘイト
MBSラジオ
制作 亘佐和子、技術 田中貴久、選曲 相良 希、ナレーション 西村麻子
関東大震災における流言飛語で引き起こされた朝鮮人虐殺。精力的な取材で、いまだに差別感情が消えていないことを真正面から取り上げる。ヘイトスピーチが勢いを増しているのはなぜか。100年前から現代につながるデマとヘイトの系譜を考える。
100年を経過してもなお、独自の解釈で憎悪する人の差別意識、それに説得力を持たせてしまう誤った正義、本腰を入れられない政府の変わらなさを痛感させる意欲的な番組。 -
優秀
捕鯨の現在地
山口放送
プロデューサー 千田正秀、ディレクター 高田知太郎、ナレーション 河野康子、出演 岸本充弘
今年(2024年)5月、新たに製造された世界唯一の捕鯨母船「関鯨丸」が下関から出航した。IWC脱退後、再開された商業捕鯨を巡り、「関鯨丸」の出航により地元で高まる期待と課題を丁寧に描く。
日本における商業捕鯨を取り巻く状況を詳細に描いており、捕鯨にかかわる多様な人たちが一丸となって困難な課題に取り込む姿が伝わってくる。 -
優秀
真実を求めて~免田事件が問い続けるもの~
熊本放送
取材・構成・ナレーション 江上浩子、編集 山下桂一、朗読 宮脇利充、アドバイザー 牧口敏孝
2023年は日本で初めて確定死刑囚が再審無罪となった「免田事件」の判決から40年。34年以上、死の恐怖と闘いながら獄中で過ごした免田栄さんの知られざる足取りを浮き彫りにする。新聞・テレビの元記者たちの証言、膨大な資料や所蔵書籍を検証し、免田さん自身が公判調書を自ら書き写し、裁判を理解していったことを紹介する。
冤罪事件はなぜ起きたのか、真実を求めて調べた免田さんの足跡はジャーナリズムそのものであり、時間をかけて検証するジャーナリズムの役割の大きさを示している。 -
白線と青い海~早川さんと饒平名さんの730(ナナサンマル)~
ラジオ沖縄
制作・取材・ナレーション・パーソナリティ 竹中知華、出演 早川 亨、饒平名知昭、プロデューサー 西中 隆
1978年、沖縄の道路を一夜にして右側通行から左側通行に変えた交通変更で一緒に働いた仲間を探してほしいという電話がきっかけ。前半は、困難と思いつつ呼びかけた生ワイド番組のダイジェスト。後半は、当時の取材音源も交え、運命の日の朝となった県民にも知られざる「730大作戦」を伝える。
歴史がリアリティを伴い再現され、人間ドラマに胸が熱くなる壮大なドキュメンタリー。歴史的な記憶を保存し、広く伝えることに大きな意義があるとして高い評価を得た。 -
優秀
マイ・カントリー・ホーム~わたしの夢、みんなの夢~
STVラジオ
プロデューサー・取材・構成 大針三治、出演 JUN、ナレーター 明 逸人
児童養護施設出身のシンガーソングライターJUNさんに密着。施設長は音楽活動で夢を追う姿が子どもたちの希望だと話す。彼女の半生を通じて施設への理解を深めてもらうとともに、少子化が進む日本では社会全体で子どもを育てていくことが大切と訴える。
苦悩や葛藤を昇華したJUNさんの言葉や歌声と、彼女を温かく育んできた施設や働く人々の子どもたちへの思いがよく描き出されている。お互いを見つめ、大切な存在として認めることの大切さ、自分の居場所があることの大切さをあらためて認識させる秀作。 -
優秀>
小松左京クロニクル~「日本沈没を探す旅」特別編 初語り
文化放送
プロデューサー兼出演 鈴木敏夫、技術 上原裕司、ナレーター 鈴木純子、構成 山田睦美
原作と同じ1973年に制作したスピンオフドラマ『ここを過ぎて悲しみの都へ』の音質を向上させて半世紀ぶりに再放送。原作と異なり、日本が沈没することを知らない市民が総理大臣の発表会見以降、翻弄されてゆく物語となっている。しかし、このラジオドラマには原作者の小松左京が伝えたかったことが込められていると子息の実盛氏は語る。
技術の進展を実感させる。日本があった海原を漂い提起される「日本人とは?」「故郷や国、国土を失うことは?」が現在でも近未来を暗示する重要な問いかけで秀逸である。 -
優秀
ピースフィールド 地雷のない大地へ~日本人技術者 30年の挑戦~
山梨放送
取材・構成・ナレーション 和泉義治、構成・編集・プロデューサー 依田 司、制作統括 荻野弘樹
山梨県南アルプス市で建設機械メーカーを経営する雨宮清さんは、30年にわたり地雷除去機の開発に取り組み、膨大な時間と資金を投入。世界の紛争地に入り込み、何を見て、何を感じてきたのか。彼は誰もが笑顔で暮らせる世界の実現を真剣に追い求めていた。
モノづくりに対する思いや哲学が描かれ、同じ機械で農耕もできるようにするのは現地を見た発想にほかならない。構成が巧みで、現場感と地元に戻っての講演、サッカーチーム応援がつながっており、いま伝えなければならないことを伝えている。 -
優秀
CBCラジオ特集「20年目」
CBCラジオ
プロデューサー 藤塚卓洋、ディレクター・構成 森理恵子、取材協力 太田哲太郎、取材協力 秦 融
2003年に起きた湖東記念病院事件で「人工呼吸器のチューブを外した」と自白した女性。無実を訴え続けながら12年間服役。再審の扉を開いたのは、元裁判官の矜持と自戒を抱く弁護士、獄中から両親に送られた350余通の手紙で無実を感じ取り、光をあてた地方紙の記者たち。社会の仕組みの実情を浮き彫りにし、法は誰のためにあるのか、問いかける。
冤罪を生みだす原因とメカニズムを追い、検察、司法の旧弊をあぶり出す。依存的心理に被害者の発達障害が加わり冤罪が仕立てられたプロセスがよく分かる力作。 -
優秀
マンデースペシャル「そこに、父がいた。母がいた。」
MBSラジオ
出演者 山本一清、ナレーション 西 靖、手記朗読 水野晶子、制作・構成・演出 今道 彰
大阪市に住む74歳の男性。2023年に96歳で逝った母の手記に父親が「特攻の生き残り」との一節。わずか2行の軍歴「仙台陸軍飛行学校入校/召集解除ヲ命ゼラル」の間に何があったのか。関係者への聞き取りなどから少しずつ浮かび上がる当時の様子。過酷な訓練と終戦直後の自決未遂、母との運命的な再会など知らなかった父母の物語があった。
取材力とプレゼンテーションに優れている。時代の香りが感じられ、戦中戦後の生活を知る貴重な資料であり、過去を理解する上で個人史のもつ可能性や力を感じさせる秀作。 -
優秀
薫ちゃんへ~認知症の妻に贈るラブレター~
南海放送
取材・構成・制作 寺尾 隆、ナレーション 新山純子、ラブレター語り 小川貴弘、ドラマ出演 桝形浩人
パートナーが認知症になっても二人で生きる意味。金森さん夫婦の愛の物語を通して考える。認知症のパートナーを、愛し続けることが、できますか? その日が来たら、あなたはどう向き合いますか?
読み上げられた妻への思いを聞くことで、人として生きることの深みを感じさせる。綺麗事だけではない介護とどう向き合えばよいのか、前に進む勇気を与えてくれる。 -
こてつのびんびんサタデースペシャル~Dr.北村 性の課外授業~
信越放送
プロデューサー 丸山隆之、ディレクター 中嶋直哉、ミキサー 森田貴雄
長野県住みます芸人「こてつ」(北村智/河合武俊)がパーソナリティを務めるトークバラエティの1時間拡大版。「性」をテーマに真剣に向き合おうと北村の父親である産婦人科医・北村邦夫氏をゲストに招き、性の悩みや性教育などを共に考える。2人の男の子を子育て中のタレント小林知美も母親としての向き合いや悩みを北村医師に質問。
Dr.北村がエンターテイメントにあわせながら「持ち物よりも持ち主」など内容のまとめも入っており、まとまった形で成功させたいという制作者の思いを強く感じさせる。 -
優秀
ABS開局70周年特別番組 花子の、はなみち。
秋田放送
企画・取材・編集・構成 利部昭勇、ナレーション 酒井茉耶
芸能生活65年の民謡歌手・小野花子は、活動拠点を秋田に置き秋田民謡の土臭さを表現し続けた。2018年に日本民謡協会は花子の長年の活動に対して民謡名人位の称号を贈り、2020年には秋田県文化功労者に選ばれた。77歳を超えて体への負担が大きくなってきたが、お客さんの拍手と笑顔が私を生かしてくれていると言いながら、花子は舞台に向かう。
器用にふるまえなくても夢をまっすぐ見つめ愚直に頑張ることが幸せなのかもしれないと気づかせてくれる。「歌っている以上完成はない」という言葉も印象深い。 -
優秀
FMフェスティバル2023 サザンオールスターズ45周年!「サザンとわたし」スペシャル
エフエム東京
総合プロデューサー 内藤博志、プロデューサー 藤村裕紀、ディレクター 原田 昂、アシスタントディレクター 橋本里奈
リスナーの人生とサザンオールスターズの楽曲が交差した思い出やエピソード「サザンとわたし」を募集。それらを数々の名曲と共にパーソナリティの住吉美紀が届けた。加えて桑田佳祐のロングインタビューも実現。
聞き手である住吉美紀の技術が素晴らしい。桑田佳祐の曲作りプロセスの話は記憶に残る本格的なインタビューで、印象に残るパンチラインが続出。「人生をかけて残像をエキスにする」とまとめる住吉はすごい。サザンに対する愛情を感じる力作。 -
優秀
FBCラジオスペシャル「輝く!ゴールデンエイジふくい~生きる喜び 歌にのせて~」
福井放送
企画制作・取材・構成演出・編集 重盛政史、リサーチ・取材・ナレーション 松田佳恵、プロデューサー 松村和也
音楽経験がほとんどない高齢合唱団の歌声がなぜ感動を与えるのか? 代表曲「この街で」に団員たちはどのような思いをのせているかを追った。人生を運動会で例えると最終コーナーを回り来賓テント前を通過しゴール直前を走っている。彼らには時(とき)が残り少ない中に高齢合唱団の宿命の「別れ」が常にありながら日々歌に向き合っていた。
団員の生きざまを見せることで若者もその土地で生きていく素晴らしさに気づかされるのではないか。高齢だからこそ一瞬一瞬を精いっぱい生きる姿に輝きが感じられる良作。 -
優秀
ラジオ屋 諸口あきら 流れ者の唄
京都放送
プロデューサー 伊藤 健、構成・制作・ディレクター 小林秀野、構成 松永良平、ナレーション 遠藤奈美
俳優、カントリーシンガー、ラジオパーソナリティと多彩な活動で知られる諸口あきらは、かつて同社でパーソナリティを担当。リスナーが保管していた貴重な音源から当時の歌と喋りを聴かせる。共演していた山崎弘士アナが自らのエピソードを交え振り返る。
テンポよい語り口、味わいある歌声での進行も心地良くエンタメ力が光る。 -
優秀
ラジオドラマ「うっちゃり横綱道 前田山英五郎」
南海放送
プロデューサー 松下和明、取材・脚本 江刺伯洋、ディレクター・編集 乗松佳洲彦、キャスティング協力 新名真裕美
愛媛県唯一の横綱・前田山英五郎を主人公にドラマと現在の取材パートで構成。親方として高見山を外国人関取第1号に育て相撲界国際化の先駆者になったことや、引退セレモニーのために男相撲の土俵に女性力士を上げたり、相撲部屋に初めて洋式ベッドを導入するなど伝統を重んじる相撲界で革命的であった姿に迫った。
今の閉塞した時代にこの人物を取り上げる意義を感じさせる。シニアから若いリスナーまで気づきを与えることができた好感が持てる良作。 -
優秀
空想労働シリーズ サラリーマン
RKB毎日放送
企画・脚本・演出・編集 冨士原圭希、音楽 松隈ケンタ、出演・アドバイザー 別府あゆみ、出演 関 智一
昭和98年(≒令和5年)、突如として出現した「会獣」の前に蹂躙される労働者たち。立ち向かうRKB(=労働環境防衛保障)はピンチを迎える。人々の前に現れた巨人「サラリーマン」は残業時間など多くの制約を抱えながら、労働者のため会獣に立ち向かう。
テンポ感よく、構成の中で一ひねりあるところが面白い。昨今話題のネタが会獣の名前等に上手に織り込まれており、楽しく切なく心に響く。特撮ドラマの特徴が生かされた展開はクオリティが高く、機知に富んでいて素晴らしい。 -
はみだし しゃべくりラジオ キックス
山梨放送
パーソナリティ みほとけ、塩澤未佳子、ディレクター 佐藤かおり、プロデューサー 依田 司
火曜/13時~16時30分の放送。2024年5月21日の放送から。ピン芸人とラジオキャスターの2人の女性がパーソナリティを務める。この日は「リセット」をテーマに、長篠の戦いや座禅体験、源氏物語の作者・紫式部の晩年などの話題でトークを展開した。
ベテランの男性と年下の女性のコンビが多い生ワイド番組の新しい形の一つを示している。女性2人のパワーバランスが非常に良く、お互いの話を引き出しあいながら進行し、各コーナーも時事的な話題から歴史まで幅広く魅力的な内容であることが評価された。 -
優秀
オーレオーレ!「知ってほしい!里親制度」
山形放送
プロデューサー 門田和弘、ディレクター 大島裕彦、パーソナリティ 奥山知寿子
土曜/12時50分~15時の放送。2023年10月28日の放送から。この日は里親制度の啓発イベントが行われているショッピングモールから公開生放送。実際に里親になった夫婦から子どもとの関わり方など具体的なエピソードを交えて話を聞いたほか、山形県の担当者による制度の解説なども行った。
経験者の体験談を通じて、人を育むことの素晴らしさや難しさについて考えさせられた。養子縁組との違いなど、里親に関する人々の認識を改める点で有益である。 -
優秀
霜降り明星のオールナイトニッポン
ニッポン放送
プロデューサー 田口真也、ディレクター 野上大貴、アシスタントディレクター 菊田知史、構成 畠山 健
金曜/25時~27時※の放送。2023年8月11日の放送から。この日は、相方のせいやが休演したため、急きょ、粗品が1人2役をこなし、まるで粗品が2人存在しているかのような掛け合いがSNSでも大きな反響を呼んだ。(※=土曜/午前1時~3時)
映像のないラジオだからこそできる仕掛けと、それを見事にやり切ったトーク力、スタッフのチームワークが素晴らしい。どのように放送したのか、謎を謎のままにしておいたのもこの番組らしい。 -
優秀
でるラジ『氷見を元気に!富山を元気に!能登にも届け!』
北日本放送
パーソナリティ 鍋田恭子、リポーター 佐藤栄治、ゲスト 室井 滋、ディレクター 寺崎英幸
月~金/12時40分~16時の放送。2024年5月24日の放送から。この日は氷見市の海沿いにある商業施設から全編生中継。自社のパーソナリティが勢揃いしたほか、レギュラーコーナーを持つ地元出身の俳優・室井滋がフル出演し、『能登半島』の熱唱やトークなどで被災地にエールを送った。
室井の優しい話し方と人との接し方が印象的で、被災者らの前向きな思いをうまく引き出している。心の復興にラジオがもたらす力を感じさせる番組と称えられた。 -
優秀
OBCグッドアフタヌーン!金曜お昼は、めっちゃ方正!
大阪放送
プロデューサー 横井宏司、ディレクター 手島 隆、出演者 月亭方正、露の紫
金曜/11時~14時の放送。2024年5月17日の放送から。パーソナリティは月亭方正と露の紫の2人の噺家。この日は「あなたの幸福感・達成感」をテーマにメッセージを募り、番組の公式Xでは「うまい棒の好きな味」のアンケートを実施。ゲストコーナーでは間寛平を迎えて吉本新喜劇の秘話やマラソンの話などを聞いた。
噺家2人によるトークの安定感が際立っており、幅広い年齢層に楽しんでもらえる内容になっている。どこを切っても大阪の匂いがする番組作りは、さすが大阪と思わせる。 -
優秀
週末ナチュラリスト
中国放送
プロデューサー 増井威司、ディレクター・構成 村山太一、大橋綾乃、パーソナリティ 岡 佳奈
土曜/7時~10時55分の放送。2024年3月2日の放送から。この日はトランスジェンダー当事者と、トランスジェンダーの娘を持つ母親との対話を中心に、LGBTQについてリスナーとともに考えた。
センシティブなテーマに正面から取り組み、学ぶところが多い。当事者と彼らを受け入れる側など、いろいろな立場の人たちのきれいごとではない声が聞けることで、リスナーに新たな気付きを与えている。 -
優秀
てゲてゲハイスクール→ハウスpresents「出張!福島がいく かごんま修学旅行」
南日本放送
プロデューサー 岡田祐介、アナウンサー 岩﨑弘志、ディレクター 後藤 剛、パーソナリティ 竹之内雄太
日曜/15時~16時55分の放送。2023年11月5日の放送から。この日は毎日放送の福島暢啓アナウンサー(宮崎県出身)を迎え、MCの岩﨑弘志アナウンサーとともに鹿児島市内で「大人の修学旅行」を実施。その様子を移動も含めて放送した。
中継先でのハプニングをすべて笑いに変える両アナの技量に感服させられる。お互いの役割分担がうまくできており、笑いを生み出すための構成が優れていると称賛された。 -
SBCスペシャル 78年目の和解~サンダカン死の行進・遺族の軌跡~
信越放送
プロデューサー 手塚孝典、ディレクター 湯本和寛、ナレーター 古畑あずみ、撮影 仲田周平
1945年に現マレーシア・ボルネオ島で起きた「サンダカン死の行進」。日本軍の無謀な移動命令によって、英豪軍の捕虜約2,400人のほか、日本兵や地元住民などが死亡した。元捕虜の親族や、戦犯として処刑された日本軍司令官の遺族など関係者20人余が戦跡をめぐり、真実と向き合った葛藤と軌跡を追った。
戦争の加害者と被害者の和解のテーマに深い感銘を受ける。第二次世界大戦の報道が年々縮小される中、取材を長年続けて埋もれていたテーマを見いだしたことが絶賛された。 -
優秀
アイヌとヘイト~文化振興の陰で~
北海道放送
プロデューサー 山﨑裕侍、ディレクター 中原達也、撮影 谷内翔哉、編集 山村行世
2024年1月に札幌市で開かれたマイノリティへの差別に抗議する集会、50年前にアイヌ古来の結婚式を挙げた女性の思い、警察から不当な扱いを受けたと訴える刀剣研磨師などを取材し、アイヌに対する差別やヘイトの現状に迫っている。
地元局の役割と責任を感じさせる非常に意欲的な番組。ヘイトに対するメディアの事なかれ主義的な対応が目立つ中で、この問題を正面から取り上げ、ジャーナリズムのあるべき姿を示していることが評価を得た。 -
優秀
最期を選ぶ ~安楽死のない国で 私たちは~
フジテレビジョン
ディレクター・撮影 山本将寛、プロデューサー 濱 潤、構成 石井成和、編集 宮島亜紀
2019年、難病のALSを患う京都の女性が薬物を投与されて死亡し、関わった2人の医師が嘱託殺人の疑いで逮捕された。難病に苦しみ、安楽死が認められているスイスを目指している人々を取材するとともに、同国で家族に見守られながら安楽死する場面にも立ち会い、“最期を選ぶ”という選択肢について考えた。
非常に重いテーマを若いディレクターが等身大で取材し、安楽死を望む人たちの心情に踏み込んだ力作。実際に安楽死する瞬間を捉えた映像のインパクトも大きい。 -
優秀
ひまわりと登山靴
東海テレビ放送
ディレクター 足立拓朗、プロデューサー 圡方宏史、阿武野勝彦
2014年の御嶽山噴火で息子を失った父親が、遺品のカメラに残された写真を頼りに、彼とその恋人が登った山やデートスポットをたどる旅に出る。御嶽山の登山道の規制がすべて解除され、噴火1分前に彼らが写っていた場所に行きつくまでの9年間を追った。
息子を思う父親の気持ちが十分に伝わり、心を揺さぶられるパワフルな番組。自然現象の恐ろしさを示す噴火直後の映像なども強い印象を与える。 -
優秀
ザ・ドキュメント 引き裂かれる家族 検証・揺さぶられっ子症候群
関西テレビ放送
ディレクター 上田大輔、プロデューサー 萩原 守、宮田輝美、撮影 平田周次
乳児が激しく揺さぶられることで硬膜下血腫などを引き起こす「揺さぶられっ子症候群」(SBS)。2010年代に入り、大阪を中心にSBS事件での逮捕・起訴が急増していた。生後間もない長男を激しく揺さぶって虐待したと疑われた父親とその家族を5年半にわたって取材している。
冤罪によって引き裂かれた家族の苦しみがよく描かれている。現状を伝えることで将来における同様の被害を防ぎたいという制作意図も明確で完成度が高い。 -
優秀
原爆資料館 閉ざされた40分 ~検証G7広島サミット~
広島ホームテレビ
編集 田中実生、取材 ANN取材団、ディレクター 斉藤俊幸、プロデューサー 立川直樹
2023年5月、史上初めて被爆地・広島で開催されたG7サミット。核保有の3カ国を含む首脳たちは原爆資料館を40分にわたり視察したが、その様子は完全非公開だった。情報公開請求で入手した「幻の計画案」では、視察は計1時間の予定だったことも明らかに。なぜ隠されたのか、首脳たちは何を見て何を感じたのか、空白の40分に迫る。
異様な情報抑制を問題視したことは非常に価値がある。批判的なトーンではなく冷静に検証する姿勢をとることで、核廃絶をめざす広島の平和への覚悟が強く伝わる。 -
優秀
誰のために島を守る ~自衛隊配備 その先に~
琉球朝日放送
ディレクター 塚崎昇平、撮影・編集 下里一馬、プロデューサー 謝花 尚
台湾有事を念頭に、与那国島、宮古島、石垣島への自衛隊の配備・強化が進んでいる。台湾との交流を願う与那国島の町議会議員や、自衛隊配備の賛否を問う住民投票の実施を訴える石垣島の若者らの姿を通して、自衛隊の強化が住民による自治や活性化に支障をきたしていないか、島の守りは誰のためなのかを考える。
自衛隊の配備・増強に反対であれ賛成であれ、いかに住民を苦しめているかがよく伝わる。国境の島々が抱える問題を沖縄県以外の人たちにも強く認識させると評価された。 -
#つなぐひと~わたし、義肢装具士になりました~
ワールド・ハイビジョン・チャンネル
プロデューサー 横山直子、及川哲郎、ディレクター 長沢孝至、語り 佐藤寛太
人口わずか400人の小さな町の義肢装具会社には、多くの若者たちがいきいきと働いている。なぜ、この若者たちが職業として義肢装具士を選び、この仕事に積極的に向き合うのか、その理由を追求していく。
身体に障害のある人の現実に目を向けさせるだけでなく、健常者にとっても“体とは?”を考えさせる。真に教養の目を開かせる番組として高い評価を得た。 -
優秀
第2の家~あなたの再出発、手伝います。~
山形放送
プロデューサー 三浦重行、ディレクター 齊藤 正、語り 松本光生、構成 日笠昭彦
約20年間、実家にひきこもっていた45歳の男性、大人への絶望を感じている女子高生など、行政の枠組みから外れ、支援を受けられない人々が自立するため、次の一歩を踏み出すための居場所を提供する「第2の家」。そこにやってくる人々それぞれの事情と支援者たちの苦労と努力を描く。
取材対象者の活動を長年にわたり追いながら、感動の押し売りではなく淡々と分かりやすい構成と進行により、視聴者に親近感をもたらし、身近に感じさせる秀作。 -
優秀
日本人妻 大原芳子さんの場合~北朝鮮帰国事業と新潟~
新潟放送
プロデューサー 吉井一善、撮影 古堀博信、構成 菊池 豊、語り 永田亮子
北朝鮮帰国事業(1959年から1984年)の出港地となった新潟を背景に、日本での差別に苦しみ、帰国船に乗った在日コリアンの夫と新潟に残ることを決めた日本人妻が運命に翻弄される姿を描く。
当時のラジオ番組の録音テープを効果的に使い、帰還者とその妻の当時の心境を伝えることで、その時代の環境を含めた状況を立体的に捉えることに成功している。教養部門にふさわしい番組である。 -
優秀
盗るな 撮れ ~罪と少年とケーブルTV~
CBCテレビ
プロデューサー 有本 整、ディレクター 柳瀬晴貴、カメラマン 荘司和也、編集 竹内雅文
少年院の仲介により、小さなケーブルテレビ局に入社した元非行少年の半年間に密着。美談としてでなく、少年を信じようとしない社員や、失敗を繰り返す少年、周囲との深刻な軋轢を捉えることでリアリティを感じさせ、非行少年の社会復帰や自立が難しい現実を映し出す。
大きなメディアが小さなメディアを取材するという構図の中で、メディアというものの意味を考えさせられる。 -
優秀
俳句×SDGsの未来教室
毎日放送
演出・プロデューサー 水野雅之、チーフディレクター 松岡活美、構成・出演 夏井いつき、南麻理江
季節と切り離せない俳句とSDGsを組み合わせ、ひとつの身近な言葉を、それぞれの視点から見ると全く違ったものに見えてくるという効果を紹介する。高校での出張授業を通じ、物事は決して正解が1つではないということを体感させる。
俳句に「取り合わせ」という技法があるが、SDGsとの組み合わせは、まさに俳句的。豊富な情報を盛り込みながらも、強引さがなく、全体を通して丁寧に制作された優れた番組として評価された。 -
優秀
国近さんの日記 ひきこもり40年、それから・・・
山口朝日放送
撮影・ディレクター・プロデューサー 高橋 賢、撮影 山本健二、音効 渡辺真衣、テロップ 乾香代子
約40年間のひきこもり生活から抜けて社会復帰をはかる国近さんを7年にわたって追い、彼をサポートする人たちの活動を描くとともに、遅れている行政の問題を提起する。「社会の一員として、底辺でもいいから引っかかっていたい」という国近さんの言葉が胸を衝く。
淡々と進む演出は押し付け感がなく、視聴者の印象を当事者たちの言葉と人柄に委ねたことで、番組の主旨をより効果的に伝える良作。 -
優秀
軽バンガール ~私がこの道を進むワケ~
九州朝日放送
制作統括 野村友弘、プロデューサー 吉住啓一、ディレクター 伊藤彩香、ナレーター 児玉育則
会社勤めに適応できず、寝食ができるように改造した自動車(軽バン)で、気ままに日本中を回る26歳の女性。多様性が持てはやされる中、普通に生きることを強いられる同調圧力に、誰しも一度は感じたことがあるであろう違和感と閉塞感を浮き彫りにする。多様化する価値観との狭間で悩みながらも力強く生きる現代の若者の姿を描く。
これまでのZ世代の描かれ方とは異なり、今の日本社会に生きづらさを抱えて生きる若者たちの苦悩を、巧みな構成で視聴者に伝えることに成功している。 -
SBCスペシャル 寅や
信越放送
プロデューサー 手塚孝典、ディレクター 宮川伊都子、ナレーター 宮入千洋、撮影 吉野雅貴
『男はつらいよ』の寅さんが好きで、赤髪に黒縁メガネ、ダボシャツに腹巻、首から下げたお守りがトレードマークの女将が営む宿「おせっかいゲストハウス 昭和の寅や」。2022年のオープンから女将と家族らの2年間を描いた泣き笑い騒動記。
時間をかけ取材対象者との信頼関係を築いたからこそ見えてくる「寅や」を舞台にしたありのままの人間ドラマの圧倒的な面白さ、魅力に惹きつけられる。番組の進行とともに自然に「寅や」と、その家族を応援したくなる演出、見終わった後の爽快感がすばらしい。 -
優秀
オイシイものドキュメント 密着!山形人情グルメPART4
さくらんぼテレビジョン
プロデューサー 太田 健、ディレクター 杉田元気
グルメサイトの口コミなどから、知る人ぞ知る人情溢れる魅力的なお店をピックアップ。ディレクターが1人で取材交渉からカメラを回し続け、料理だけでなく、その店にまつわる何気ない日常や人生を探っていくローカルグルメドキュメントバラエティの第4弾。
映像から、あたかもお店を訪れているような距離の近さが感じられ、地元で愛される温かい雰囲気が伝わってくる。どの店も地元愛に満ち溢れ、これを見た視聴者自身も地元に自信が持てる、ローカル局ならではの地域密着番組。 -
優秀
世界ふしぎ発見!レギュラー最終回 38年のありがとう! 40000時間から厳選 世界ふしぎ発見!ベストワン映像 一挙大公開スペシャル!
TBSテレビ
プロデューサー 福間寛子、藤田慎一、チーフプロデューサー 國分禎雄、演出統括 宮岡義徳
「歴史と遊ぶ」をコンセプトに世界各国の遺跡や絶景を巡り、その国が誇る文化遺産や習慣、歴史を掘り下げる教養バラエティのレギュラー最終回。番組開始から38年で170の国と地域で取材。40,000時間に及ぶ映像から各ジャンルのベストワンを一挙公開する。
単純な総集編にとどまらず、出演者や視聴者にスポットを当て、番組そのものの存在意義に立ち返る構成は秀逸。いまは見ることができなくなった貴重な映像の数々を残し、あらためて伝えることに“テレビにしかできない力”を感じさせる。テレビ史に残る名番組。 -
優秀
ハートフルワールド特別編
CBCテレビ
プロデューサー・ディレクター 下野賢志、ディレクター 大武知広、島越翔平、構成 八木晴彦
日本各地のディープな街をディレクターが1人で突撃取材。出会った人の人生を伺いながら温かい物語を探っていく。特別編では「横浜の寿町」「多摩川の河川敷」「愛知の保見団地」「岐阜の金津園」で、一歩踏みこんだ先に見えてくる“ハートフル”を伝える。
粘り強い取材によって、テレビではあまり見られない社会の一面を浮き彫りにしている。ヒコロヒーの自然なスタジオコメントで、ハードな映像も受け入れやすくなっている。 -
優秀
知らないのは主役だけ
関西テレビ放送
脚本 金沢知樹、プロデューサー 近藤 匡、演出 酒井椋平、出演 錦鯉
“何も知らない主役”の日常を2カ月間隠しカメラで撮影して紡ぐリアルとフィクションが混在した新感覚ドラマ。今回、知らないうちに主役に抜擢されたのは、お笑い芸人の錦鯉・長谷川。先が読めない、演技を超えた究極のリアリティショーとなっていく。
ドッキリとドラマの融合というコンセプトが斬新で、今までになかった画期的なバラエティ。キャスティングもハマっており、コンビ愛をテーマに笑いと感動に包まれる。 -
優秀
海外クルーを呼んでみた。
南海放送
エグゼクティブプロデューサー 松下和明、チーフプロデューサー 白石優子、演出 石井伸吾、演出 乗松凌太
海外クルーを通じて国と文化の違いやニッポンの新たな魅力を発見するバラエティ。フィンランドとインドの2カ国から愛媛県にクルーを招き、母国に魅力を紹介するPR動画の制作を依頼。独自の目線で撮影し、日本とは異なる予測不能の展開になっていく。
外国人目線のロケ番組というコンセプトに“今の時代”を感じる。地元出身の出演者が一生懸命、魅力をPRしていく姿にも好感が持てる。2カ国のチョイスが絶妙で、それぞれのクルーの特徴、面白さがにじみ出る。 -
優秀
地元検証バラエティ福岡くん。東福岡高校徹底解剖SP
福岡放送
ディレクター 白澤篤人、プロデューサー・演出 羽田野雅裕、チーフプロデューサー 高橋航太
福岡県のあんなことやこんなこと、頼まれてもいないのに根掘り葉掘り調べまくる検証バラエティ。今回は県民に「ヒガシ」の愛称で知られ、サッカー、ラグビーなどの全国制覇多数。福岡が誇るスポーツ強豪校、東福岡高校を徹底解剖する。
ディレクターの主観的な仮説も交え、淡々としたナレーションで東福岡高校の実態をひたすら深掘りしていく構成に、率直に面白さを感じる。地元密着バラエティでありながら、他のエリアの視聴者が見ても十分に楽しめる。体育祭の部活対抗リレーは圧巻。 -
春になったら
関西テレビ放送
監督 松本佳奈、脚本 福田 靖、音楽 福島 節、プロデュース 岡光寛子、白石裕菜
「3カ月後に結婚する娘」と「3カ月後に病で世を去る父」を1クール=3カ月という連続ドラマの特性を活かし、リアルタイムで見せるホームドラマ。物語は2024年の元旦、3カ月後の結婚と、3カ月の余命を娘と父がそれぞれ同時に発表することから展開していく。互いの幸せを願うからこその衝突などを軽やかに描きながら、春になれば訪れる、父娘の“はじまりと終わり”を題材とした。
見事な脚本、丁寧な演出、そして俳優陣のナチュラルな演技などによって、死を単に悲しいものとして捉えるのではなく、生命のサイクルとして清々しく描いている。笑いあり、涙ありの温かく豊かなドラマであり、人生の機微や日常の尊さを見いだすことのできる血の通った番組として高い評価を受けた。 -
優秀
VIVANT
TBSテレビ
原作・演出 福澤克雄、プロデューサー 飯田和孝、出演者 堺 雅人、阿部 寛、役所広司
主人公の乃木憂助が勤める商社で、海外企業への巨額の誤送金が発覚。事案の責任者である乃木は返金を求め、すぐ現地へ飛ぶが――。大規模な海外ロケ、迫力のあるカーアクションに銃撃戦、主役級の俳優を揃えた豪華なキャスト陣などを通じて描く、本格的なスパイドラマだ。
圧倒的なスケール感に加え、視聴者の興味を繋ぐため、スピーディーかつ先の読めない展開が巧みに仕掛けられていることが評価された。さらに、地上波放送の枠に留まらず、配信を通じ、世界のコンテンツとの勝負を目指す姿勢が強く感じられることも賞賛された。2025年配信開始予定
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優秀
最高の教師 1年後、私は生徒に■された
日本テレビ放送網
プロデューサー 鈴木 努、秋元孝之、脚本 ツバキマサタカ、演出 鈴木勇馬
高校教師の九条里奈は、勤務する学校の卒業式当日、何者かに突き落とされる。地面に叩きつけられそうになる瞬間で、なぜか1年前の始業式にタイムリープし、担任するクラスの教壇の前に九条は立っていた――。自身が迎える1年後の未来、そして世界を変えるため、躊躇なく生徒たちの暗部に踏み込み、クラスで蔓延る陰湿ないじめなどの問題に対峙していく。
生徒を単に注意するだけでハラスメントと言われかねない昨今、強い覚悟を持って生徒と向き合う九条の姿は、萎縮しがちな教育現場に対して強烈なメッセージを投げかけているとして評価を得た。 -
優秀
連続ドラマW 湊かなえ「落日」
WOWOW
原作 湊かなえ、監督 内田英治、脚本 篠﨑絵里子、プロデューサー 村松亜樹、出演 北川景子
新進気鋭の映画監督・長谷部香は、新人脚本家・甲斐真尋に新作映画の脚本を依頼する。そのもととなるのは15年前、引きこもりの男性が自分の家族を死に至らしめた“ある事件”。判決が確定した事件をなぜ映画にしたいのか、事件の裏に隠された深い真実とは――。衝撃的なミステリーと人間ドラマが交錯しながら、真相に迫っていく。
巧みな構成と堅実な演出で的確に物語を紡ぐことによって、次の展開への興味を強く引きつけられ、良質な映画を観たような充実感や深みを味わえる。2008年から続く「連続ドラマW」の看板にふさわしい力作である。 -
優秀
おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!
東海テレビ放送
プロデューサー 松本圭右、渋谷未来、古林都子、脚本 藤井清美、演出 二宮 崇
時代とともに移り変わる常識や価値観に日々振り回され、取り残される、昭和生まれの“おっさん”が本作の主人公である。会社でも家庭でも浮いた存在であったが、愛する家族のために自分の価値観をアップデートすることに決め、奮闘する姿を描いた。原作は練馬ジムの人気漫画だ。キャストには原田泰造、富田靖子、松下由樹などベテランのほか、中島颯太ら若手も起用し、演出は説教臭くならないホームコメディとした。
幅広い世代にメッセージを届けることに成功している。おっさんが現代の多種多様な価値観を受け入れていくプロセスが、ごく日常的に描かれている点が支持された。 -
優秀
琉球歴史ドラマ「阿麻和利 THE LAST HERO」
琉球放送
監督・撮影・編集・脚本 土田豪介、製作統括 小濱 裕、プロデューサー 高良 誠、歴史監修 賀数仁然
沖縄の子どもたちに、地域の歴史に興味を持ってもらいたいという思いで制作が始まった「琉球歴史ドラマ」の第三弾。主人公の「阿麻和利」は琉球王国に反旗を翻した人物として知られてきたが、近年の研究を通じて、領民に慕われていたことなどが分かってきている。
後世に琉球の歴史を残したいという作り手の意志が伝わる意欲作であり、ローカル局としての矜持が感じられる。佐久本宝をはじめ、多くの沖縄出身者で構成された俳優陣の演技も等身大で健闘していると評価された。 -
CM部門
最優秀中央軒 企業CM/「あますことなく」篇(20秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、キャスティング 東 竜太(ビッグフェイス)
大阪市内を中心に、ちゃんぽんや皿うどんなどを提供する中央軒の企業CM。ちゃんぽんが気になる方は左、皿うどんが気になる方は右、とナレーターが紹介すると、左のスピーカーからはちゃんぽん、右からは皿うどんの魅力を説明する声が同時に聞こえてくる。ラストは3人が声を揃えて、「中央から、中央軒」と店名で締める。2大看板メニューの魅力を、ラジオだからこその工夫であますことなく伝えきる、技巧を凝らした見事な作品。
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優秀
トンボ鉛筆 受験生応援/書きなれた文字 篇(20秒)
文化放送
プロデューサー・ディレクター・コピーライター・音響効果 南 理子、プランナー 高橋知之、ミキサー 上原裕司、アカウントプランナー 橋本庸介
鉛筆の筆記音を背景に、「特別な文字」「書きなれた文字」とナレーションが流れる。すると、始めてください、という声と紙をめくる音が聞こえ、試験会場に場面転換する。「書きなれた文字から、まずは始めよう。平常心でいられる」という言葉とともに、再び筆記音が始まる。自分の名前という、特別で、書きなれた文字から書き始めることで緊張を解きほぐそうと伝える受験生応援広告。受験生でない人もハッとする内容で、リスナーを引き込んでいく力を持っている。
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優秀
自社媒体PRスポット/「かけ声A」 篇(20秒)
エフエム愛知
クリエイティブディレクター 高岸 良、コピーライター・ディレクター 石本香緒理(AO CHAN)、プロデューサー 河合信城(アストロランド)、ミキサー 坪井大樹(ビー・ブルー)
市場で聞くような威勢の良い「やすいよ、やすいよ」というかけ声や、相撲の行司の「のこったのこった」の声に、「お求めやすい」「記憶に残った」と続け、「勝負できるCM企画と放送枠をご提案」と、エフエム愛知でCMを流すことを訴求する。段積み構成により2種類のかけ声を利用してサービスの強みを紹介しながら、ラジオらしくリズムをつけており、完成度が高い。
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優秀
カクヤス 企業CM/「1本」 篇(20秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、キャスティング 東 竜太(ビッグフェイス)
野球中継を観戦している男女。2人とも「1本がほしい」と願っている。ホームランを待っているのかと思いきや、ナレーターが、カクヤスはお酒1本でも無料配達してくれることを紹介する。中継の音からは、「カキーン、打ったー」とホームランが出た様子。同時に、インターホンの音がして、カクヤスがお酒を届けてくれた。ホームラン「1本」とお酒「1本」がうまく成立していて質が高い。野球中継でよく放送されるという、タイミングもうまく練られたCM。
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優秀
竜崎温泉ちどり 企業CM/背負うものがデカすぎる 篇(20秒)
山口放送
プロデューサー 高橋謙司、ディレクター 千田正秀、企画 大村英亮、出演 竹重雅則
病院で名前を呼ばれる、オオタニショウヘイさん。待合室の患者たちは、えっ、本物?、とザワザワする。男性が「はい」と返事をすると、周りからは落胆の声が漏れる。超有名野球選手と同姓同名の彼にはあるあるの展開のようで、「背負うものがデカすぎる」とうなだれる。ナレーションは、そんな時でも温泉に入れば辛い気持ちが洗い流せる、と竜崎温泉ちどりを紹介。遊び心を加え、思わず笑ってしまう内容でありながら、しっかりと温泉という商品に着地させている点で高く評価できる。
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優秀
オオスキ現場市場 企業CM/工具あるある(20秒)
エフエム熊本
プロデューサー 髙瀬裕章、ディレクター 松下和浩(モノクロ)、MAミキサー 日田涼子(モノクロ)、コピーライター 小林 幹(フリー)
先輩と後輩が、「バールのようなもの」は結局バールじゃないのか、と会話している。後輩が工具の通販サイト「現場市場」で検索すると、200件以上もバールのようなものが出てくるという。ニュースでよく聞くフレーズでリスナーの関心を引き、現場市場の品ぞろえの良さを伝えている。導入と宣伝したいサービスの相性をよく練り、広告効果を高めた良質なCM。
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優秀
車検のコバック 企業CM/結婚記念日(20秒)
エフエム熊本
プロデューサー 髙瀬裕章、ディレクター 松下和浩(モノクロ)、MAミキサー 日田涼子(モノクロ)、コピーライター 宮崎英明(フリー)
夫婦が結婚記念日について話す。夫は、車検の時期と結婚記念日が近いから絶対に忘れない、と甘い声でささやく。すると、妻は、不機嫌そうに「そんな風に覚えるから、結婚記念日が2年に1度になるんじゃない」と嘆く。夫と妻の声のトーンにギャップがあり面白い。2年に1度という車検の特徴をネタにして、ユーモラスな企業CMに仕上がっている。
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最優秀
公共キャンペーン・スポット/ラジオ・チャリティ・ミュージックソン 白杖体験 篇(120秒)
ニッポン放送
プロデューサー・ディレクター 高橋晶子、プロデューサー 飯島 誠、クリエイティブディレクター・プランナー・コピーライター 山本 修(電通)、ナレーター 野島健児(青二プロダクション)
白杖を使う視覚障がい者の生活をリスナーに疑似体験してもらうため、ステレオ音声を上手く活用して左右に音を振り分けて白杖の音が一つ一つ違うことや、障害物にあたる音などを工夫を凝らして表現している。音の出る信号機から流れている小さな音を紹介するなど音声だけで想像力をかき立てるラジオの特性を活用しており、最後の「音のチカラで、誰もが安心して過ごせるために」というメッセージも秀逸で耳にも胸にも響く。
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優秀
サッポロビール サッポロ生ビール 黒ラベル/ほしをえがこう 篇(80秒)
文化放送
プロデューサー・ディレクター・コピーライター・音響効果 南 理子、プランナー 佐藤寿夫、ミキサー 上原裕司、アカウントプランナー 浪花寛人
星の描き方は人それぞれ違うが、描く線の音を聴かせることでその違いを表現しているのが興味深い。一筆書きしたり定規を使ったり流れ星にしたりとさまざまな描き方を紹介して、リスナーに自分はどう描くかを想像させることで、サッポロビールの星型のブランドロゴや「丸くなるな、星になれ」というブランドメッセージを強く印象づけることに成功している。
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優秀
群馬県 子宮頸がん予防ラップ/ねえねえ知ってた?(60秒)
エフエム東京
プロデューサー・ディレクター 中村由美、コピーライター 井田万樹子(フリー)、音楽制作 谷 道忠(ヒッツコーポレーション)、協力アーティスト ♯KTちゃん
子宮頸がんの予防についてラップでテンポよく伝えるCM。若者の聴取者が多い『SCHOOL OF LOCK!』内で放送し、Z世代の半数以上が使っているTikTokでもPRするというターゲットを明確にしたメディアミックスの展開が高く評価された。軽快なラップが耳に残りやすく、子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)という言葉や、ワクチン接種と検診の大切さを知ってもらうにはインパクトのある格好の手法である。
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優秀
聖教新聞社 企業CM/ニカラグア手話(75秒)
エフエム東京
プロデューサー 中村由美、コピーライター 中山佐知子(ランダムハウス)、ディレクター 佐藤延夫(トビラ)、プランナー 野田芳希(DNP大日本印刷)
1980年代に中米ニカラグアの聴覚障がいの子どもたちは、手話の存在すら知らなかったが、仲間に気持ちを伝えるために自分たちの手で全く新しい手話を発明した。本作品は「言葉のビッグバン」と呼ばれるこの事例の経緯を紹介しつつ、最後に「言葉と、生きていく。」という企業メッセージにそつなく繋げており、説得力をもってリスナーの心に届く内容となっている。
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優秀
自社媒体PRスポット/先輩へ(50秒)
静岡エフエム放送
プロデューサー・ディレクター・コピーライター・編集 原 壮俊、ナレーション 安田信章、出演 鈴木愛実、牧村一穂
新年度直前に放送されたCMで、挨拶と感謝の大切さを伝える自社媒体PRスポット。お世話になっている自社の先輩パーソナリティに、後輩2人が先輩の番組にサプライズのCMで登場してお礼を伝えている。先輩が普段、話を聞いてくれたり、出演した番組を褒めてくれたりしたことへの感謝を、ストレートな言葉で収録しており、ラジオというパーソナルなメディアの特性を活かした作品である。
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優秀
中央軒 企業CM/「私たちは考えました」 篇(60秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、音楽 東 竜太(ビッグフェイス)
「私たちは考えました」というCMが多い理由を考えるというメタな視点から始まり、そんなことをCM内で考える暇があるなら企業名を連呼した方がいいのではと考えたり、いったん考えることをやめたりと先が気になる巧みな構成でリスナーを引きつける。一度だけ企業名と商品名を伝えることで逆にそれを際立たせるという演出も見事で、考えることの向こう側を垣間見るような非常に考え抜かれた作品である。
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優秀
カクヤス 企業CM/「ファミリーストーリー」 篇(90秒)
朝日放送ラジオ
プロデューサー 野本友恵、アシスタントプロデューサー 村上正道(フリーランス)、プランナー・コピー・ディレクター・キャスティング 森田一成(ビッグフェイス)、キャスティング 東 竜太(ビッグフェイス)
久しぶりに実家に帰ってきた娘と父親の微妙な距離感を、90秒とは思えない作りこまれたストーリーで伝えており思わず引きこまれる。お酒をめぐって二人の考えが一致する心温まるオチで締めるのかと思いきや、コミカルな2段階目のオチが待っており、そこでカクヤスの出番となる。実に効果的にカクヤスの存在価値を伝えており、好感度の高い作品である。
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テレビCM
ダイエー 企業CM/「ずっと一緒」 篇(30秒)
毎日放送
プロデューサー・ディレクター 榛葉 健、編集 坂本 勉(カムコンフィデント)、デザイン 小澤一代(カムコンフィデント)、ナレーター 上田純子(ワイワイワイ)
神戸市で創業したスーパーマーケット・ダイエー。能登半島地震を受け、阪神・淡路大震災で被災者のライフラインとして奮闘した同社を紹介するCMを制作・放送した。当時の写真や、創業者発案の「ずっとあなたと一緒です。」と伝えるポスターを映像に使用し、ダイエーの企業姿勢を視聴者の心に訴える。CMは阪神タイガースの日本一を特集する特別番組に合わせて放送し、かつて阪神と日本一を競った福岡ダイエーホークスの親会社としての気概も感じる。ストーリーとタイミングにおいて、この上ない作品と言える。
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優秀
自社媒体PRスポット/開局60周年 テレ東CM(150秒)
テレビ東京
プロデューサー 本間かなみ、代情明彦(AOI Pro.)、青木 堯(AOI Pro.)、演出 副島 凜(AOI Pro.)
浮気した夫を殴るためボクシングを始める妻、バラエティ番組の企画に悩む新人AD、毎日同じことをして平凡に暮らすおじさん、それぞれが少しずつ関わり合う全5話のショートドラマで、テレビ東京の開局60周年を周知する。テレビ東京の新しいタグライン「ちょっといい明日のために」を軸に3人の暮らしを描いている。視聴者に対する自社の姿勢を盛り込み、かつ、社員の士気も上がる周年事業にふさわしい作品である。
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優秀
公共キャンペーン・スポット/#ハタチ #学生 #いま(390秒)
東海テレビ放送
プロデューサー 圡方宏史、ディレクター 髙木日菜乃、編集 髙見 順(東海テレビプロダクション)、撮影 中根芳樹(東海テレビプロダクション)
大学生の目線で社会問題を見つめなおす公共キャンペーン・スポット。就活、世代間ギャップ、戦争、震災など、彼らの悩みは日本が抱える問題に直結している。実際に大学生が就活会場、戦争経験者との対話の場、能登半島地震被災地といった現場に行き、自身の目や言葉で取材する姿を追った。若者という切り口ながら様々な世代を取りあげ、実際に大学生が現場を体験するという、じっくりと作り込まれたスポット。
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優秀
公共キャンペーン・スポット/「ま、いっか」で寛容に(240秒)
読売テレビ放送
プロデューサー 小林耕太郎、ディレクター 古井林太郎、撮影・ディレクター 花ノ木淳志(エキスプレス)、編集 望月公介(ytv Nextry)
障害をもつ人が働くカフェ、子どもたちが遊ぶスケートボードパーク、長距離トラックドライバー、不登校になりフリースクールに通う中学生の4者を取材し、寛容さを持つことの重要性を伝える。障害者スタッフがミスをしてしまったり、スケートボードの音がうるさくても、「ま、いっか」と自分や他人に対して寛容さを持って対処する。適切な対象者に丁寧な取材をした構成でテーマを掘り下げる良質な作品である。
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優秀
公共キャンペーン・スポット/yab SDGsキャンペーン「むかしばなしから学ぶSDGs」(60秒)
山口朝日放送
プロデューサー 佐原昭浩、CMプランナー 山下明仁(コンテンツスタジオ変)、ディレクター 廣瀬聖香(コンテンツスタジオ変)
昔話を読み聞かせするお母さんとそれを聞く小さな女の子。桃太郎を読んだ後、女の子は「大きい桃はちゃんと食べたの」と聞く。同様に、マッチ売りの少女に対しては「マッチ使い過ぎ。無駄はダメ」、一寸法師には「お椀の船はリユースだ」と言い、最後に「わらしべ長者はSDGsのお話だ」とまとめる。誰もが知る昔話を利用し、女の子の素直で鋭い発言とそれに困るお母さんの表情で、コミカルにSDGsを考えさせる手法が見事。
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技術部門
放送局が開発したテクノロジーを製品化 映像伝送ソフトウェア「Live Multi Studio」の開発
TBSテレビ・WOWOW
研究・開発担当者 藤本 剛、馬詰真実、原 拓、石村信太郎
映像・音声・制御信号の伝送ソフトウェアを、プロトコル開発から製品化まで自ら手掛けて実用化した。複雑な操作が不要で簡単に接続でき、超低遅延を含む複数の遅延量の映像を一対の帯域・機材で安定して伝送可能など優れた特長を持つ。
これにより中継制作現場における機材、要員、回線などの効率化を実現し、リモート制作の活用に資するなど、テレビ制作技術の高度化に大きく貢献した。 -
優秀
業務改善を目的とした報道用WEBアプリケーションの自社開発
北海道文化放送
研究・開発担当者 杉本歩基
放送だけでなく、動画配信やSNSへの投稿など業務が増加している報道現場の課題を解決するため、配信用ニュース動画の簡易作成や、FAXで届くリリースを自動認識して記者の取材を支援するアプリケーションを、少人数で安価に開発・実用化した。
これにより、ローカル局の限られた人員とコストの中においても報道現場の業務改善を実現させ、テレビ放送業務の効率化とDX推進に貢献した。 -
優秀
新しいビデオペンの開発と多機能化
日本テレビ放送網
研究・開発担当者 岸 楓馬、三浦祐樹、篠田貴之
番組におけるCG演出の高度化を進めるにあたり、入力装置として直感的な操作が強みであるビデオペンに着目し、民生機を用いた社内開発と操作画面の工夫により、多機能なビデオペンシステムを開発・実用化した。
これにより、専門の技術者でなくとも直感的な操作によって多様なCG演出を簡単に行うことが可能になり、テレビ制作技術の効率化と高度化に貢献した。 -
優秀
ネイティブ版縦型動画変換システムの開発
テレビ朝日
研究・開発担当者 吉田純也
AIの活用により、横型の放送用映像素材を適切に縦型に切り抜く、テロップを縦型動画に再配置する、元素材の同一映像部分を探し出して同期させて編集するといった機能を備えた、スマートフォン向け縦型動画の自動作成システムを開発・実用化した。
これにより、編集ソフトによる手作業を解消し、現場の負担なく訴求力の高い動画の大量配信が可能になり、放送関連業務の効率化とテレビ放送への接触促進に貢献した。 -
優秀
クラウド技術をフル活用!コンテンツ2次利用推進システムDACXの開発
フジテレビジョン
研究・開発担当者 平 洋太、米岡充裕、永田祐之、山川愉生
現行の業務フローの問題点を洗い出し、アジャイル開発によって、高速・高機能なエンコード、6種類の帯域の素材同時プレビュー、地上波データとの連動による自動的な字幕付与などの機能を備えたシステムを開発・実用化した。
これにより、放送用コンテンツの2次利用における素材準備業務の一元管理と、作業の大幅な省力化を実現し、配信等の2次利用向け業務の効率化に貢献した。 -
優秀
指揮者主導の総合制御 生オーケストラ、生合唱、事前収録合唱動画を同期するシステム開発
毎日放送
研究・開発担当者 田中聖二、市川充史
手首に装着した小型振動センサーで指揮者の動きを解析し、合唱動画の再生速度をリアルタイムに調整するシステム「FUTTE-Me」を開発した。
これにより、事前収録された合唱動画を生オーケストラと生合唱に同期させ、場の空気感を踏まえた指揮者の即興的な感情表現を実現することが可能となり、テレビ制作技術の高度化に大きく貢献した。 -
優秀
ひかり電話によるラジオ中継を行うためのルータ制御装置の開発
ラジオ沖縄
研究・開発担当者 西原正太郎、金城信秀
ラジオ中継回線の光回線移行に際し、専用の中継装置ではなく、市販ルータと既存のIPコーデックを利用して、ひかり電話で音声を伝送する方法を考案し、複雑なルータの設定を簡単なボタン操作で行うことができる装置を開発・実用化した。
これにより、高価な機器や技術知識がなくとも光回線による番組中継が可能になり、少人数での番組制作や業務負担の軽減を実現し、ラジオ制作技術の効率化に貢献した。 -
技術奨励賞
市販のマイク付きBluetoothイヤホンをインカムヘッドセットとして使用するための変換装置を開発
東海テレビ放送
研究・開発担当者 梅村允康
Bluetoothイヤホンをインカムのヘッドセットとして無線接続するための変換装置を開発し、中継業務の環境改善と効率化に貢献した。
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特別表彰部門
バトンタッチ SDGsはじめてます #142「青鳥特別支援学校 夏の挑戦」
BS朝日
プロデューサー 茂木あや香、平野束紗、演出 田中雄一、ディレクター 岡崎 遼
SDGsに取り組む人々を取材し、誰もが明日から一歩踏み出せる気持ちとなる“バトン”を届ける番組。知的障がいのある生徒が通学する東京都立青鳥特別支援学校のベースボール部は、東京都高等学校野球連盟から初めて加盟を認められ、第105回全国高等学校野球選手権の予選に連合チームで出場した。主に安全面から、知的障がいのある生徒が硬式野球を行うことへの反対は根強く、ほとんどの生徒が挑戦の機会すら与えられていない。
久保田浩司監督の熱意や部員の生き生きとした表情を映し出している。また、連合チームでの参加を受け入れた他校の生徒たちと「チーム」になっていく様子などを描いており、多様性を重んじる社会を生きていく青少年に見てほしい番組として高く評価された。 -
優秀
NBSフォーカス信州 伝え続ける-86歳の戦場カメラマン-
長野放送
ナレーター 毛織華澄、撮影 吉川勝義、ディレクター・プロデューサー 伊藤晴彦
長野県諏訪市に住む報道写真家の石川文洋さんは、ベトナム戦争時に「戦場カメラマン」として戦地に赴き、戦争の実態を伝える写真を発表していた。86歳の今、ウクライナやガザなど、世界が再び戦禍に見まわれていることを憂い、若い世代に自身の経験を伝えることに力を入れている。2024年3月には、沖縄の学生とベトナムを訪れ、今なお残る戦争の爪痕と戦後復興の現場を歩いた。戦場を知る石川さんの言葉とともに、それを受け止めた若者たちの想いを伝えた。
石川さんと若者たちの交流をとおして、戦争を繰り返さないためには、過去の戦争と向き合うことが大切と伝えていることが評価された。 -
優秀
やさしいニュース
テレビ大阪
ディレクター 大倉彬義、プロデューサー 児島太一
タイトルの「やさしい」には、「分かりやすい=易しい」と、弱い立場にある人に寄り添い、社会の問題点をあぶり出したいという意味の「優しい」を含んでいる。奈良県橿原市のカレー店には「げんきカレー」と呼ばれる助け合いシステムがある。店で食事をした大人たちは、カレー1杯と交換できるチケットを購入して置いていき、地域の子どもたちはそれを使って、無料でカレーを食べることができる。見知らぬ子どもたちのためにお金を支払う大人たちの思いや事情を取り上げ、社会の温かさを伝えた。
地域で子どもの育成を支える取り組みを取材したことに加え、子どもにも分かりやすいニュース番組をレギュラー放送し続けている姿勢が評価された。 -
優秀
いきものだいすき~自閉症のアニマル画家 石村嘉成
南海放送
プロデューサー 荻山雄一、ディレクター 乗松凌太、ナレーター 森山未來、取材 高木 奏
愛媛県新居浜市に住む石村嘉成さんは自閉症の画家で、幼い頃から大好きな生き物たちの姿を版画やアクリル画で優しく、かつ力強く表現してきた。そこには、「負けないぞ 負けるな」「自分のままでいい」など、見る人を元気づける言葉が添えられている。そんな彼の人生と思いのほか、2023年に開催した個展に向けて自己最大の作品に挑む様子などを丁寧に取材した。
母との死別を経験しながらも、自分で考え、行動していく石村さんの姿からは、青少年が今後生きていくための学びを得られると称された。 -
優秀
どーんと鹿児島 語り継ぐこと~高校生が見つめた奄美日本復帰70年~
南日本放送
ディレクター 北原由美、プロデューサー 布袋貴代江、カメラマン 牧 尚聖、ナレーター 末永安佳梨
2023年、奄美群島が日本に復帰して70年を迎えた。さまざまなイベントを企画してきた地元高校生のグループ「アンナコト」は、島の歴史を学ぶために、島々の語り部から話を聞き取る活動を開始。初めて聞く奄美の歴史を多くの人に伝えたいと思い、語り部の体験談をまとめ、中学校などへの出前授業を始めた。
高校生の目線から、語り部たちによる貴重な証言を記録している。高校生たちが自分たちの言葉で語る姿が印象的で、取材者が高校生たちと信頼関係を築いているからこそ引き出せた内容だと評価された。2024年11月配信予定
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14年にわたる関西地区のハンセン病問題報道
関西テレビ放送
実施責任者 押川真理、柴谷真理子
関西テレビ放送は、ハンセン病問題を2010年から継続して取材し、隔離政策に翻弄されたハンセン病元患者とその家族への取材を通じ、隠さなければならない社会を変えるため、報道を続けている。
先輩から志を受け継いで取材を続ける記者が、ハンセン病元患者の心や人生に寄り添い、試行錯誤しながらも取材対象者に正面から向き合う姿勢に、他人事で終わらせないという取材者の意思が感じられた。集団訴訟を経て表面的には問題が解決した後も、長らく家族との関係を断っていた元患者のリアリティを追い続け、問題は続いていることに焦点をあてた報道が評価された。 -
優秀
ろう学校の手話教育のあり方をめぐる一連の報道
北海道テレビ放送
実施責任者 喜多和也
北海道テレビ放送は、「日本手話」と「日本語対応手話」の違いや歴史的背景を分かりやすく解説し、手話は日本語とは異なる1つの言語であるという正しい理解を広げることに尽力するとともに、「日本手話」による学びの機会が失われつつある問題を追い続けている。報道にあたり、オープンキャプション字幕や番組のほぼ全編にろう者による日本手話通訳をつけるなど、ろう者にも伝わる放送に精力的に取り組んでいる。
2つの手話の違いが一般的に認識されていないなか、本当にコミュニケーションが取れているということはどういうことなのか、との問題提起をした意義は大きい。児童それぞれが身に付けた自然言語が違うなかで教育を行うことの難しさをクローズアップし、当事者の視点や意見を取り入れた報道に取り組んだことが評価された。 -
優秀
トゥレット症に関する一連の報道活動
CBCテレビ
実施責任者 大園康志、柳瀬晴貴
CBCテレビは、確固たる治療法が見つかっていないトゥレット症の症状を伝えることで、制御できない声や体の動きに苦しんでいる患者に対する偏見をなくすことに尽力している。トゥレット症患者の生い立ちや日常をニュースやドキュメンタリー番組で放送するだけでなく、関連動画の配信を行ったほか、全国初といわれる声出し可能の劇場上映会を行うなど、患者に寄り添う活動にも取り組んでいる。
記者自身の偶然の出会いから、「トゥレット症を知ってほしい」という患者の切実な思いを届ける重要な役割を果たすとともに、トゥレット症を深掘りし、報道につなげた意義は大きい。患者の日常を切り取ることを意識した報道により、トゥレット症について多くの人が体感できる取り組みが評価された。 -
優秀
兵庫県警連続自殺問題の真相追及 一連の報道活動
読売テレビ放送
実施責任者 橋本雅之、丸井雄生
読売テレビ放送は、兵庫県警機動隊内での連続自殺をうけ、警察との軋轢を恐れることなく8年半にわたり取材・報道を続けた。警察組織の在り方や理不尽な暴力に対し、一石を投じる取り組みとなった。
メディアによる公権力の監視が適切に機能した事例であり、メディアの力で社会は変えていけるのではないかと勇気づけられた。被害者と同年代の若手記者がこの問題に着目し、新しい世代にメディアの本質が受け継がれ、放送局としての公共性とは何かという問いを改めて投げかけた取材活動が評価された。 -
優秀
「部落差別と人権」に関する報道
山口放送
実施責任者 佐々木聰
山口放送は、タブー視する風潮がある部落問題について、2022年から多数の特集シリーズやドキュメンタリー番組を放送し、「部落差別と人権」に向き合った報道を継続している。人権意識の高まりから差別問題に関心が高まっている今もなお、現在進行形である部落差別問題に正面から取り組んでいる。
部落差別の問題について、知ることの大切さを広く訴えかけ、粘り強く報道する姿勢は、社会的に価値のあることだと言える。世の中はいつか変わると信じて報道を続け、メディアの公共的役割を果たす取り組みが評価された。
審査講評(近日公開) / 最優秀受賞のことば(近日公開)
KNB報道スペシャル ふるさとの亀裂~地震と過疎と原発と~
北日本放送
ナレーション・取材・構成 数家直樹、音声 小塚 優、編集 平島健一、制作統括 河原哲志
石川県珠洲市は20年前、原発建設計画の賛否を巡って生じた住民の亀裂が、いまなお存在する一方、深刻な過疎に直面している。今年(2024年)1月に発生した能登半島地震は、その過疎地域にも甚大な被害をもたらした。原発計画の「総括」と、地震の後を生きる人々の「現在」の双方を取り上げ、翻弄されながらも生きる民の力を届ける。
過疎の現状を知り、原発建設計画を巡る取材の厚い蓄積を持つ地元民放局ならではのアプローチを感じさせ、ローカルメディアの在り方を示した。