一般社団法人 日本民間放送連盟

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表彰番組・事績

日本民間放送連盟賞/2001年(平成13年)入選・事績

平成13年日本民間放送連盟賞 ”NAB Awards 2001” 入選・事績

日本民間放送連盟賞は12年度から次のように変更されています。

  1. 番組部門の種目中、ラジオ・テレビとも「娯楽番組」を「エンターテインメント番組」と改称しました。
  2. CM部門のテレビについて、第1種・第2種を併せて一本化しました。

番組部門

ラジオ報道

最優秀 <北海道放送> ジャパニーズ・オンリー ~外国人「入浴お断り」の波紋

P:溝口博史 D,構成:油谷弘洋 T:小沼秀 N:田村英一  

北海道小樽の一部の公衆浴場が、「Japanese Only(日本人専用)」の看板を掲げ外国人の入浴を制限した。これに対し入浴を断られた外国人が裁判を起こすなど、市民を巻き込んだ論争へと発展している。「体臭が耐えられない」「病気が移るんじゃないか」。銭湯側が入浴を断る背景には日本人利用客の偽らざる声がある。銭湯側の対応を「人種差別」というだけでは片付けることのできない、日本人の本音に迫る。深刻なテーマを取り上げながら、聴いている人に「自分だったら」と身近な問題として考えさせる力を持っている。

優 秀 <エフエム東京> ウォッチング・ジャパン21 「平成の超派閥学」

P:横山茂 D:木村達彦 構成:松本耕一(フリー) AD:桂敏郎(クレッシェント・オフィス)

自民党の派閥政治は常に批判の対象となってきた。派閥解消を訴えた小泉政権の発足によって、またその行方に注目が集まることになった。自民党議員や歴史学者にインタビューし、功罪の両面に触れ、歴史的な考察も行う。「派閥が悪い」と言うだけでなく、これから政治のどこを注目していかなくてはならないかを話し合う。政治が身近になったという時代性を、上手く番組に反映させている。

優 秀 <山梨放送> ラジオリポート 長寿村 ~ある山村からの報告~

P:児玉久男 D:石川治 構成:山県昭彦 N:塩沢未佳子

山梨県の高齢化の割合は全国平均を上回る高さである。なかでも早川町茂倉地区の場合、人口の大半を70歳以上のおばあさんが占めている。夫は鉱山事故や病気で亡くなり、彼女たちが取り残された形で今日に至った。明るくふるまい、たくましく生きるおばあさんたちだが、明日への不安の影が時折よぎる。マイクはそのひとこと、ひとことに耳を傾ける。登場するおばあさんの肉声が圧倒的な魅力を持っている、聴かせる作品である。

優 秀 <東海ラジオ放送> 大人になるということ ~愛知県犬山市・新成人の集い~

P:天野良春 D、構成:源石和輝 N:谷川明美  

2001年1月に行われた成人式は各地で荒れ、社会問題となった。ここ数年、自治体は成人式の運営に手を焼いてきた。そんな中、愛知県犬山市は市主催の式を廃止し、運営を新成人に委ねるという新しい形の「新成人の集い」をスタートさせた。一から企画を考えた15人の新成人たちの悩みや迷い。新成人の奮闘ぶりから「大人になることは何か」を浮き彫りにする。テーマと主張がはっきりしていて、若者の今後に期待を抱かせる作品。

優 秀 <朝日放送> ジェーン台風から50年 忘れられた高潮災害

P、D、構成:木戸崇之 T:板谷吉祥 M:近秀樹(フリー)  出演:坂田利夫(吉本興業)

1950年9月3日、大阪に甚大な高潮被害をもたらしたジェーン台風。今では大阪湾沿岸に高い防波堤が整備され、住民にもその危険性はほとんど意識されなくなった。番組は、災害による被害について行政の責任だと、声高に叫ぶ前に、自分の命と財産は自分で守ることの重要性を、リスナーに訴える。坂田利夫さんの語りで、難しい問題をやさしく丁寧に解説しており、災害時におけるラジオメディアの役割を再確認させる作品。

優 秀 <山陽放送> 母さんに迷惑がかかる ~17才バット殺人事件

P:石野常久 D、N、構成:中尾俊直  

昨年7月、殺人未遂と傷害の容疑で指名手配された岡山県の17歳の少年が、秋田県内を自転車で走っているところを発見、逮捕された。野球部の後輩4人に重軽傷を負わせ、その後自宅で母親をバットで殴り殺して逃げたのだ。「迷惑がかかるから」母親を殺したという少年の内面や家庭環境を取材し、事件の実態を明らかにしようと試みる。分からない部分をあえて明らかにし、リスナーに考えるきっかけを与えている点が評価できる。

優 秀 <九州朝日放送> 諫早湾に生きる ~ジレンマに沈む漁師たち~

P:岩村智 D:高松明日香 編集:柳原正孝(KBC映像) N:小松士郎  

有明海のノリが記録的な不作に見舞われた今年、諫早湾で進む干拓工事に世間の注目が集まった。しかし、諫早湾の地元漁師は工事の推進を求め、ノリ生産者との対立が続いている。事業に反対する立場にあった漁師たちが、なぜ事業を推進する声を上げなくてはならないのか。国の政策によって揺れ動かされてきた漁師たちは、新たな困難に直面する。外側からは見えにくい地元の複雑な関係、矛盾、苦悩が、漁師の言葉でリアルに伝わる。

ラジオ教養

最優秀 <信越放送> 心をつなぐハーモニー ~痴呆になった今も二人で~

P:麻山智晃 D:中村光子 N:山下真須美  

飯島もとめさんが元教師の夫、丁巳さんの異変に気がついたのは4年前。もの忘れから始まり、やがて徘徊が始まった。痴ほう症になったのだ。発症前の几帳面な姿とのギャップに、はじめは戸惑ったもとめさんだが、やがて明るく、ありのままの姿を受け入れていく。医療的な解説もあるなど、重いテーマを取り上げた啓発的な番組でありながら、出演者の生きた言葉を通じて、家族介護の現状を明るく、説得力を持って伝える秀作である。

優 秀 <青森放送> 公開ラジオドラマ 「もうひとつの虫送り」

P:鳴海征子 D:小山田文泰 脚本:畑澤聖悟(弘前劇場) 出演:伊奈かっぺい  

青森県津軽地方の五所川原市一帯では、田植え休みの時期に水の神様、田の神様を奉る「虫送り」という祭りが行われている。このお祭りの起源を、せりふや一切の効果音を舞台の上で行う、「公開ラジオドラマ」という形でひもといていく。方言を使った軽快なトークにより、観客との一体感を作り出す話術は見事。ラジオ番組が本来持っている言葉や音の魅力を存分に発揮しており、聞く者に新鮮な感動を与える。

優 秀 <東京放送> TBSラジオ開局50周年スペシャル ラジオ進化論プロローグ~電波は世界を駆けめぐる!

P、D:碧海純 P:三条毅史 出演:小島慶子、ジョン・カビラ(ジェイボックス)  

フィリピン、リベリア、エクアドル、アメリカなどからの現地リポートを交えて、各国によって異なる「ラジオの役割」「ラジオの影響力」を紹介。過激な内容で聴衆を魅了するアメリカの「トークラジオ」や、短波放送からインターネット放送へ移行するエクアドルの日本語放送の現状など、今後のラジオのあり方を示唆する内容も報告されている。巧みな構成と出演者の話術によって、多大な知識を面白く伝えており、完成度の高い作品。

優 秀 <中部日本放送> ラジオエッセイ 「そして」

P:羽雁彰 D:松田宏二 N:たかべしげこ(フリー) 技術:木偉富(フリー) 

定年を間近にひかえていたサラリーマン杉山光洋さんは、妻をガンで失った。傷心の中、自らのガンも再発し、孤独なリハビリ生活を余儀なくされる。番組では、そんな彼が生きる気力を失いかけてから立ち直るまでの、心の軌跡をエッセイ風に綴る。身近な人の死という誰にでも起こり得る状況を、文学的な構成を用い「私小説風」に余韻を持って伝えている。選ばれた短い言葉で、しみじみとした情感を見事に表現しており、高く評価される。

優 秀 <大阪放送> プロ野球オーナー伝 駒治郎が夢見たベースボール

P、構成:米田歩 D、構成:上ノ薗公秀(フリー) N:西村寿一(シーディング) 

1950年のプロ野球・セントラルリーグ優勝チーム「松竹ロビンス」の存在を知る人は少ない。ロビンスは他チームが大企業の資本による経営を行う中、当時唯一の個人経営チームであった。オーナーは大阪・船場の繊維商社「田村駒」の田村駒治郎社長。彼の人間性を時代背景の説明や、関係者のインタビューにより浮かびあがらせる。忘れられた話題を取り上げる企画力とともに、事実をわかりやすく、楽しく伝える構成力は賞賛に値する。

優 秀 <山口放送> やまぐち2001スペシャル なっちゃんの鈴~貴方の生きてる証~

P:藤屋侃士 D:高田知太郎 N:北川加寿美(フリー)  朗読:池内博子 

なっちゃんは代謝異常の難病・メンケス病の女の子。自分で体を動かすことも、しゃべることもできず、寝たきりの生活を送っていた。そんな彼女のわずかに動く右手に鈴を握らせたところ、彼女はそれを鳴らした。生きている証であるかのように。彼女の存在によってさらに強まる家族の絆を、熱心な取材とインタビューにより表現。丁寧な人物描写により、命の尊さや家族の優しさが伝わってくる、温かみのある作品になっている。

優 秀 <大分放送> もう一度歌いたい 私の「白線流し」

P:志賀等 D、構成:藤原正一 N:村津孝仁  脚本 松村久美子(オフィスKATE)  

「白線流し」は、高校卒業時に制帽の白線と白いスカーフを結び、近くの川に流す飛騨高山の伝統行事。木村美保さんは1979年に、この行事をモチーフにした歌「白線流し」で歌手デビューしたが、まもなく引退した。現在、病気で耳が聞こえなくなりつつある木村さんは、自分の歌声を残そうと再び「白線流し」を歌い、CDにする。美しい歌とインタビューを通じて、彼女の人生や考え方の変遷をリスナーが追体験できる構成は印象的である。

ラジオエンターテインメント

最優秀 <FM NACK5> J-POPスクールスペシャル ~イムジン河2001

P:田中秋夫 D:谷 朝美(フリー) N:坂崎幸之助(THE ALFEE)  構成:田家秀樹(フリー)

THE ALFEEのメンバー坂崎幸之助のレギュラー番組「K's Transmission」の1コーナー「J-POPスクール」のスペシャル版。坂崎が中学時代に強烈な刺激を受けたフォーククルセダースの「イムジン河」は、冷戦時代の朝鮮半島の南北対立という状況の中で発売中止、さらに民放連の「要注意歌謡曲」に指定された。当時の状況や曲への熱い思いを語る関係者の証言から、当時と現代の時代変化が垣間見られ、聞き応えのある作品である。

優 秀 <東北放送> 第6回わたしの名ゼリフコンテストより ~セリフの花が咲いた日~

P:火煙雅之 D:伊香由美子 構成:金野むつ江(芝居小屋六面座) 技術:門間正美 

仙台を拠点に活動する劇団『芝居小屋六面座』が「わたしの名ゼリフコンテスト」を開催して6年。日常の一部を切り取った言葉を、その状況とともに舞台で紹介する試みが人気だ。今回は東北放送のアナウンサー2人がセリフの読み手として登場。2人の奮闘ぶりや、コンテストを企画・運営する劇団の座長のインタビューを通して、「言葉」の魅力、ひいては「日常」の魅力を再確認させられる。ユーモアあふれる方言の響きが心地よい。

優 秀 <エフエム東京> 21カ月~シンガーソングライター槇原敬之の時間が止まった時

P:黒坂 修 D:金田恒夫(シャ・ラ・ラ・カンパニー) 構成:及川 中(フリー)  その他:牛谷仁美

1998年8月に覚醒剤所持・使用の罪で逮捕され、表舞台から去ったポップスシンガー槇原敬之。番組では、2001年6月からマスメディアでの活動を再開しようとする槇原が、21カ月の社会事象や象徴的な事件を踏まえ、この間の自身の体験や心境を時系列で語る。挫折し、多くのものを失い、再出発を目指す槇原の告白を通して、誰もが「喪失感」や「とまどい」を覚える時代を見つめ直そうとする放送局の試みが評価される。

優 秀 <福井放送> ふるさとうたがたり ~今川節の遺したもの~

P:清田精二 D、構成、脚本、演出:重盛政史 N:井上寿美枝 出演:恩地美佳(スタジオアルテ)

丸岡町に生まれ育ち、25歳で夭逝した音楽家、今川節。貧困に耐え、病床にあって働きながらも、童謡から民謡、交響曲まで260曲以上の作品を書き残している。番組では、彼の消えゆく作品と、ふるさとへのこだわりや思いを、貴重な資料から再現して検証する。研究家や地元民謡歌手が語る今川作品への熱い思いが、聞く者の心に染み渡る佳作。

優 秀 <大阪放送> 河内音頭あれこれせドッコイセ

P:吉村直樹 D:杉浦広計(フリー) 脚本:村井市郎(音頭研究家) 技術:川島広明(サウンドギルド) 

河内音頭のルーツは江戸時代にまで遡る。番組では、25年間にわたり大阪各地に残る音頭を集めて体系化している村井市郎氏が、貴重な音源や実演でその魅力を紹介する。河内音頭の系譜や非主流派の音頭を、村井氏自身が節を演じながら解説する様には思わず引きこまれ、その変幻自在で自由闊達なおもしろさや奥深さを体感することができる。歴史ある河内音頭を後世に伝えようとする放送局の真摯な姿勢が感じられる。

優 秀 <エフエム山陰> おがっちのレトロ本舗

P:成相利明 D、構成:野口厚司(オフィスのぐち) 出演 小片悦子、安来のおじ(オフィスのぐち) 

30~40代をターゲットにし、彼らが愛した深夜放送やAM放送の雰囲気を、あえてFM放送で実現させようとするコンセプトの番組。リスナーからの投稿や一昔前の流行を扱ったショートコントなどのコーナーで構成、選曲は1970~80年代の歌謡曲・フォーク・ニューミュージックを中心としている。また、出雲弁を駆使するユニークなキャラクターが、自作自演の曲をCD発売するなど、ローカル番組ならではの特色を醸し出している。

優 秀 <エフエム沖縄> 復活!阿部敏郎沖縄同窓会ライヴ ~17年の時空(とき)を越えて~

P:垣花勝也 D:山川悦史 N:多喜ひろみ 出演:阿部敏郎

夕方の生ワイド番組「For PM」内で毎月1回、曲探しの依頼に応えるコーナー「ウォンテッド」がある。このコーナーへの依頼を機に、1970年代から80年代まで芸能界で幅広く活躍した阿部敏郎が、17年の歳月を経て復活ライブを行った。番組では、復活ライブの音源とともに、阿部の人生観や復活に至る経緯を紹介。インターネットの登場でより密接になったリスナー・放送局・アーティストの関係を、阿部自身が感慨深く語る印象深い作品。

ラジオ生ワイド

優 秀 <北海道放送> カーナビラジオ午後一番

P:榊原満 D:渡辺功 構成:西村秀章  出演:YASUほか  

月~金曜の正午~午後4時放送。「30分に一度のニュース、道路情報、天気予報」を、ほぼ全ての番組で進めるHBCラジオ。ゴールデンウィーク中は道路情報をさらに強化し、バイクを使った"情報ライダー"や空からの"情報ヘリダー"によるリポートで、渋滞状況や行楽地の駐車場空き状況まで細かく伝えた。ドライバーにターゲットをしぼった北海道ならではの番組で、渋滞中でも楽しむことができる。

優 秀 <ニッポン放送> 福山雅治のallnightnippon Saturday Special 魂のラジオ

P:田中厳美 D:神田比呂志 構成・脚本:小原信治(オフィスクレッシェンド) 出演:福山雅治(アミューズ)

土曜の午後11時30分~午前1時放送。新しい世紀を迎えた今年の元旦、1985年に開かれた「つくば科学万博・ポストカプセル2001」から15年後の自分やいろいろな人にあてた手紙が、全国一斉に配達された。番組あてにも15年の月日を越えてたくさんの手紙が届いた。当時の手紙といまの差出人(リスナー)をつなぎ、福山雅治がそれぞれの15年にスポットをあてる。テーマのタイムリーさと、ラジオの双方向性を上手に使っている。

優 秀 <新潟放送> リバーサイドウェーブ デイタイム

P:小原弘志、杉浦健 構成:平澤正  出演:石塚かおり 

月~金曜の午後1時~3時34分放送。県内の旬の情報をラジオカーで伝える「スナッピー中継」や、社長、店長など長のつく人なら誰でも参加OKの「嗚呼、新潟の長さん、全員集合」など、電話、FAX、メールで参加してもらえる企画で、聴取者と一緒に元気の出る番組を目指す。オーソドックスな構成の生ワイドながら、パーソナリティのテンポの良さと素人を生かす巧みな演出で、聞き手を引き込む力がある。

優 秀 <中部日本放送> 小堀勝啓のカモナマイラヂオ 「オヤジ復活祭~これでイースター~」

P:酒井喜久治 D:江良純治 テクニカルディレクター:舘一孝(フリー) 出演:小堀勝啓 

月曜の午後7時~9時54分放送。いまや"オヤジ"世代の中核をなしている「団塊の世代」の男性たち。かつて勢いのあったこの世代の多くが、会社ではリストラの対象となり、家では娘や妻から相手にされずにいる。パーソナリティの小堀勝啓(51)が、自分たちオヤジ団塊世代のこれからを探り、世のオヤジたちに元気をもってもらおうと番組を進める。コンセプトがはっきりしていて、2時間を飽きずに聞かせる内容と構成である。

優 秀 <和歌山放送> むつろうのラジオni おまかせ ~インスタントラーメン物語~

P、D:岩井隆清  出演:小林むつろう(フリー)、宮本淳子

土曜の午前9時~午後2時30分放送。リスナーからの疑問や難問を、リスナーとスタッフで考えるのが「むつろうのラジオ ni おまかせ」。今回は「子どものころ食べた地元のインスタントラーメンが懐かしい。名前だけでも知っている人がいたら教えてほしい」という1本の電話から始まった。リスナーからの情報が相次ぎ、なんとそのラーメンは日本一古いインスタントラーメンだった。身近な話題の中に驚きを見つけ、それを楽しむ完成度の高さが評価される。

優 秀 <山陽放送> どきどき!ラジオタウン

P:石野常久 D:河津早苗 出演:浜家輝雄、岡田美佳(フリー)

月~金曜の午前11時~午後3時放送。暴走する団塊の世代の「お父さん」と、それをたしなめながら番組を進める「奥様」。本物の夫婦よりも息のあった二人のトークが月曜日の聞きどころ。横丁には人情があり、思わぬ発見がある。日常の中でひろった懐かしい「音風景」コーナーなど、生活の中から生まれる喜怒哀楽を題材にし、リスナーとの楽しい出会いのあるラジオタウン作りを目指す。パーソナリティの声が聞きやすく、話題が豊富でその時々の季節感を感じることができる。

優 秀 <九州朝日放送> KBCラジオ 和田安生 宮本けいすけ びっくり!!パワーシャベル

P、D:松清一平 D:原田英幸(サンケン)、木村誠一(ケー・ビー・シー音楽事業社)、河村美帆(ケー・ビー・シーメディア) 

月~金曜の午前9時~11時30分放送。番組が取材した話題を笑いとともに伝え、リスナーにも参加を促す構成。スポーツアナ歴20年の和田安生だから許される福岡ダイエーホークスの独自取材は、地元の球団をより身近に感じさせる。1週間ひとつのテーマを取り上げる「生活向上委員会」では「びっくり!!納豆パワー」を特集、リスナーからも情報を募集した。まじめな2人の男性アナウンサーと、番組の面白さがうまく調和している。

テレビ報道

最優秀 <南日本放送> 人間として ~ハンセン病訴訟原告たちの闘い

P:陶山賢治 D:新名主聡 N:植田美千代  構成:田上憲一郎 

ハンセン病の元患者らが国に損害賠償を求めた「ハンセン病訴訟」で、熊本地裁は2001年5月11日、原告側全面勝訴の判決を言い渡した。番組では、「ハンセン病訴訟」を通じて、隔離政策を続けた国の責任を追及する。療養所で非人道的な扱いを受けた元患者の凄まじい告白は見る者の心を揺さぶり、1996年にらい予防法が廃止されてもなお解決されない、社会復帰や差別解消などの課題を鋭く突きつける。時宜を得た完成度の高い作品。

優 秀 <札幌テレビ放送> 写真が語る5年目の真実 ~豊浜トンネル崩落~

P:五味 宏 D:新谷政太朗 撮影:石田雅年(札幌映像プロダクション) 編集:五十嵐貴博(札幌映像プロダクション)

1996年2月10日に古平町の豊浜トンネルで起きた岩盤崩落事故では、土砂の下敷きで20人が犠牲となった。北海道開発局の事故調査委員会は「岩盤崩落は予知困難」と結論づけたが、事故の予兆とも取れる落石を撮影した現場写真の分析や、84年のトンネル建設時に見つかった「がい崖すい」(土砂が堆積しただけの空洞)の処置方法の検証が不充分との指摘もある。関係者の証言をもとに事故原因の真相に迫り、国の事故調査のあり方を問い直す力作。

優 秀 <テレビ東京> ニュースアイスペシャル 薬に潜む危険を追う

P、構成:鈴木宏昭 D:平井裕子 N:渡辺 謙

薬の服用後、全身の皮膚が火傷のようにただれ、意識不明の重体となる「スティーブンス・ジョンソン症候群」。市販薬をはじめ、あらゆる薬で発症する可能性のある副作用だが、医学界の認識も不充分なうえ、被害実態も明らかでない。番組では、キャンペーン報道の一環として、深刻な被害に苦しむ患者とその家族に密着。発症報告を独自に調査し、行政や製薬メーカーに補償体制の整備を促すとともに、一般や医療関係者に広く注意喚起した意義は大きい。

優 秀 <長野放送> NBS月曜スペシャル 豊饒なる「荒れ地」に~ある市民団体の10年~

P:片山 健 D:山口慶吾 N:上小牧忠道  撮影・編集:梨子田真(ビデオ企画) 

松本市に本部を置く日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)は、チェルノブイリ原発事故の放射能被害を受けたベラルーシの子どもたちの医療支援を続けて10年になる。番組では、現地の医療レベルの向上や医療機器の整備に努めるスタッフの姿を紹介し、現地の信頼を得た国際支援のあり方を提示する。原発事故により強制移住地区となった村の豊かな自然が印象深く、目に見えない放射能汚染の甚大な被害をあらためて認識させられる。

優 秀 <中部日本放送> ひきこもり ~ある親子の風景から~

P:後藤克幸 D:鈴木みずほ N: 堀田和則(巣山プロ) 撮影:川村 実(CBCビジョン) 

社会とつながりを持たず、自宅にひきこもる若者を抱える世帯は全国で80万ともいわれる。番組では、ひきこもる子と親の激しい対立や口論の様子を生々しく伝えるとともに、過干渉の父親からの自立を目指す若者を紹介。「ひきこもり」の一因が、本音で向き合わず、寄り添うことのない親子関係にあることを訴える。表面化しにくい「ひきこもり」の実態に迫り、今日的な問題に取り組んだ意欲作である。

優 秀 <毎日放送> 映像’01 終着駅のむこう ~国労闘争団の家族たち~

P:山本利樹 D:沢田隆三 N:中西 安(フリー) 撮影:荒 利幸(エキスプレス) 

1987年の国鉄分割民営化の際、最大労組だった国鉄労働組合(国労)の組合員の多くが、新会社のJRに採用を拒否された。職場復帰を目指す闘争が14年目を迎えた2000年7月、国労本部は方向転換し、組合員の一部採用をJRに求める和解案を採択。一部の闘争団は屈辱的な妥協案と猛反発する。国労本部からも追い詰められた音威子府(おといねっぷ)をはじめ、南九州など3カ所の闘争団と家族の複雑な思いを描き、国鉄改革の負の部分を浮き彫りにする。

優 秀 <山陽放送> 島の墓標

P:谷本保夫 D:曽根英二 N:松嶋信之 撮影:太田 実(山陽映画社)  

瀬戸内海に浮かぶ香川県のて しま豊島。島民は全国最悪の産廃の不法投棄に対し、原状回復と県の責任や謝罪を求めて闘いを続ける。ついには島から県議を当選させ、草の根の闘いが行政を追い込んでいく。事件発覚から10年後に知事が謝罪し、島の再生の新たな模索が始まるが、再生を見届けることなく亡くなった島民も数多い。四半世紀に及ぶ島民の苦悩や闘いを長期間取材し、産廃問題を全国に提起した調査報道の集大成として高く評価される。

テレビ教養

最優秀 <長野放送> NBS月曜スペシャル 明日は自由主義者が一人この世から去って行きます~特攻に散ったある学徒兵~

P:小林新一 D、構成:春原晴久 N:寺瀬今日子(青二プロ)

太平洋戦争当時、学徒出陣で陸軍に入隊し、その後、特攻隊員として沖縄で戦死した長野県穂高町出身の学徒兵・上原良司。『きけ わだつみの声―日本戦没学生の手記―』に採録されたものをはじめとする手記・手紙と、生前の彼をよく知る人々へのインタビューにより、彼の思想の軌跡を辿る。教科書問題や靖国神社問題など未清算の過去をめぐる議論が再燃するなか、軍国主義・全体主義に死を強制された一人の若者が「自由主義」を希求していく姿を描く秀逸なドキュメンタリー。

優 秀 <秋田放送> かんかねの村から ~過疎に生きる人々は、いま~

P:築地 操 D:石川 岳 N:北浜晴子(青二プロ) 構成:柴田和男 

秋田県男鹿半島の加茂青砂(かもあおさ)地区にある小学校が生徒数の減少により、2001年3月閉校になる。過疎に悩むこの集落で、小学校は故郷のシンボルでもあった。漁師の石川幸美さんと加茂青砂小学校に通う孫の幸太朗君の日常を織り込み、閉校による人々の心の揺らぎと過疎の現実を描く。漁場である美しい海、村のお祭りでもある小学校の運動会、なまはげが一戸一戸をめぐる姿など、忘れられかけている日本の原風景が印象的な佳品である。

優 秀 <ビー・エス・ジャパン> ヴェルサイユ宮殿

P:前山匡洋、星野敏子(オルタスジャパン) D、構成:杉山龍哉(オルタスジャパン)

これまで非公開とされていたマリー・アントワネットの私室を初めとする貴重な取材映像により、広大なヴェルサイユ宮殿の全貌を描く大作。ヴェルサイユ宮殿誕生の背景から、フランス革命によってブルボン王朝が滅びるまでをわかりやすく構成し、ルイ14世をはじめとするヴェルサイユに生きた人々の人間性も活写される。HDTVで撮影された映像も美しく、クオリティの高い教養番組となっている。

優 秀 <福井放送> この村で~それぞれの人生に寄り添って~

P:工藤順雄 D、構成、脚本:高橋節子 撮影・編集:大坂治久 

京都府に接する人口3000人の福井県おにゅうぐん遠敷郡なたしょうむら名田庄村に、デイサービス・在宅介護・在宅医療の拠点として機能する総合施設「あっとほ~むいきいき館」がある。番組では、施設の総責任者を務める38歳の中村伸一医師と、スタッフやボランティアの姿を通して、高齢化に悩みながらも、支えあって生きていく人々が描かれる。暗くなりがちなテーマを取り上げながら、登場する人々のユーモアが気持ちよさを感じさせてくれる秀作である。

優 秀 <朝日放送> 生きさせて! ~新婚さんいらっしゃい!ある夫婦の143日~

P:横山知彦 D:柴田 聡、清水雄一郎 構成:青木研次

ガンで余命半年と宣告を受けた中国出身の中井真世さんが「新婚さんいらっしゃい!」に出演した。終始笑顔で収録に臨んだ彼女は、会場全体がすすり泣く中、1歳半の娘へのメッセージを残し、収録の2ヵ月半後に亡くなってしまう。この番組は、彼女が宣告を受けてから亡くなるまでの143日を、闘病日記、夫や中国在住の父兄へのインタビューなどをもとに描く作品。死を目前にしながら、前向きに生きた彼女の姿が大きな感動を与える。

優 秀 <広島テレビ放送> 永遠のシルクロードから ~画家・平山郁夫 大壁画への挑戦~

P、D、構成:佐藤伊佐雄 N:伊藤惣一(フリー) 出演:平山郁夫

画家・平山郁夫は奈良・薬師寺に納めるために、遠くインドに仏典を求めた玄奘三蔵をモチーフとした、大壁画「仏教伝来」を描いた。20年にわたる制作過程を辿り、平山さんが絵に込めた思いを伝える美しいドキュメンタリーである。三蔵の足跡をシルクロードに辿る平山さんの姿や、実際に描いているアトリエの映像など、壁画制作中の貴重な映像が紹介され、原爆被爆者である平山さんの原点にある「平和への祈り」も伝わってくる。

優 秀 <大分朝日放送> 受け継がれた ある兵士の愛

P:岩尾一敏 D・構成:村井康二 N:中嶋美和子

米軍将校アーン少佐は40年前、神奈川県座間市から大分県別府市までの1320キロを2週間で歩き抜いて、賭けに勝ち、そのお金を児童擁護施設「光の園白菊寮」に寄付した。2000年9月、アーン少佐の偉業を記念し、同じ道のりを70人のランナーで走破しようというチャリティ・リレー・マラソンが行われた。番組は、マラソンに随伴して取材を行い、沿道の人々との交流や参加者の思いを描く。子どもへの愛の大切さを感じさせる秀作である。

テレビエンターテインメント

最優秀 <朝日放送> 探偵!ナイトスクープ

P:矢澤克之 D:石田ひろき(クリエイティブ・ジョーズ) 制作:松本 修 出演:西田敏行(青年座) 

「30代の女性はみんなピンク・レディーの踊りができ、35歳~45歳の男性は誰でもブルース・リーのようにヌンチャクが扱えるというのは本当?」といった、視聴者からの意表を突く調査依頼に応え、独自の手法で検証してみせるバラエティーの総集編。登場人物のパフォーマンスが素直に笑えるうえに、「泣き」や感動の要素もほどよく加味されている。卓越したエンターテインメント性が評価された完成度の高い作品である。

優 秀 <北海道放送> ヤンキー 母校に帰る

P:小野垣親士 D、構成:河野 啓 N:田村英一 撮影:後藤 仁(HBCフレックス)

かつての不良生徒が新任教師として学園に戻り、現在の生徒たちやベテラン教師たちと新しいドラマを紡ぎ始めた。若さによる失敗や葛藤を通して、「教師や仲間との出会いによって、人間は変わることができる」というメッセージが丁寧に描きあげられていく。全国から不登校児や退学者を受け入れる北星余市高校を舞台としたドキュメンタリー・シリーズの最新作。10年以上にわたる長期取材の確かな手応えが、観る者の胸に迫る。

優 秀 <テレビ東京> 史上初!東京~ロンドン2万キロ 日本のタクシー大冒険

P:岡部紳二、峰 一郎(日本テレワーク) D:上野修平(日本テレワーク)   

「東京からタクシー発祥の地ロンドンまで走ったら、タクシー料金はいくらかかる?」という冗談みたいな企画を実現してしまったドキュメンタリー・バラエティーの秀作。親子二代のタクシードライバーを起用することで、単調になりがちな自動車旅行に、親子の葛藤と絆のドラマを巧みに盛り込んでいる。3カ月間にわたるユーラシア大陸縦断のさまざまな出会いも楽しい、異色の旅日記である。

優 秀 <長野放送> NBS月曜スペシャル 過去は過去 今は今 ~俳人マブソン青眼の世界~

P:山口慶吾 D、構成:岩村陽一 N:寺瀬今日子(青二プロ) 

俳句に魅せられ、長野市に移り住んだフランス人マブソン・ローランさん。浮世離れした生活のなか、「青眼」の俳号で6年間に詠んだ句の数は1000を超える。番組は、彼の四季の暮らしぶりを淡々と追い、日本人が忘れかけている自然との対話について考えさせる。マブソンさんの素朴で生き生きとした表情と静謐そのものといえる俳句が、人と風土との出会いの面白さを観る者に語りかけてくる秀作である。

優 秀 <東海テレビ放送> 大名古屋ミュージックショウ ~ご当地ソングから探るこの街の魅力~

P、D:川瀬隆司 N:榊原忠美 構成 浅野範子(オフィス108) 取材D:寺村佳恭(テイクス) 

「ご当地ソング」をキーワードに、名古屋の隠された魅力や名古屋人気質を探った異色の音楽バラエティー番組。美空ひばり、石原裕次郎、ザ・ピーナッツなど大スターが歌った名古屋のご当地ソングを再発見しつつ、そのヒットしなかった理由を分析、番組の最後に新しいご当地ソングを制作し披露する。名古屋文化の貴重な資料を数多く発掘・紹介したという点でも、記念碑的な労作である。

優 秀 <山陽放送> 南ファミリー劇団物語 ~もうひとつのこんぴら芝居~

P:山田伸二 D:石原正裕 N:中尾俊直 撮影:須々木和明(山陽映画社)

香川県琴平町に小さな大衆演劇一座がある。家族12人だけで、カフェレストランを営業しつつ、年間100回にのぼる公演をこなす南ファミリー劇団である。大家族の日常生活のなかに織り込まれる芸の修行、そして子どもたちの成長と旅立ち。7年前の取材映像を効果的に交えつつ、誰もが懐かしさを感じる家族のふれあいを丹念に描き出し、肩の凝らないルポルタージュに仕上がっている。

優 秀 <長崎放送> HERO ~もう一人の力道山~

P:大野陽一郎 D、構成:宮路りか N:八嶋智人(シスカンパニー)

"20世紀の日本最大のヒーロー"といわれるプロレスラー力道山。しかし彼には、北朝鮮出身であるという生涯隠しつづけた秘密があった。生前、息子にすら語らなかった故国への思いについて、近親者の貴重な証言を捜し求め、謎に包まれた力道山の内面に迫った労作である。"ヒーロー"をめぐる暗く重いテーマを丁寧にまとめ上げ、戦後の時代を共有した世代の深い共感を呼ぶ。

テレビドラマ

最優秀 <ビーエスアイ> 告別

P:鈴木孝之、古屋克征(国際放映) D:大林宣彦 出演:峰岸徹ほか

全てに疲れた中年男が山道の中で見つけたものは、30年前につながる1台の公衆電話だった。男は、その電話で死んでしまった初恋の女性や親友と話をし、過去を変えることを通して、今までの人生を変えようとする。ロングショットや照明を効果的に用いながら、現実の自分に向かい合って生きていく決意をするまでの男の心情が描かれる。映画監督・大林宣彦がBSデジタル放送という新しいメディアで、その個性と力量を発揮して、ミステリアスな世界を作り上げた。デジタル時代のテレビドラマのあり方をも示唆する完成度の高い作品である。

優 秀 <北海道テレビ放送> スペシャルドラマ ひかりのまち

P:四宮康雅 D:多田 健 脚本:遠藤彩見 撮影:小川洋一  

進路問題に揺れる高校3年生の少女が、独り暮らしの老人との出会いと別れを通して、自立の決意を固めるまでを描く短編の名作である。かつて造船と漁業で栄えた函館の街を舞台に、親子の葛藤、思春期の成長不安、独居老人の寂しさなどが浮き彫りにされる。尾野真千子をヒロインに、すまけいや風吹ジュンといったベテランで脇を固めたキャスティングも成功し、照明の美しさも特筆できる。シンプルなストーリーながら、北海道の匂いを生かしたローカル局ならではの作りとなっている。

優 秀 <日本テレビ放送網> ストレートニュース

CP:佐藤 敦 P:伊藤 響 D:佐藤東弥 脚本:伴 一彦  

2000年秋に放送された連続ドラマ、テレビ報道の現場を描くものとして大きな話題を呼んだ。出品された第1話では、メインニュースの視聴率アップの切り札として海外から呼び戻されたチーフプロデューサーが、キャスターの降板、政治家へのインタビューの隠し撮りの放映などを行い、スタッフたちの意識を変えていく様が描かれる。21人ものレギュラー陣がありながら、一人ひとりの人物像がきちんと消化されている演出の力量は評価に値する。報道の現場をフィクション化した、テンポのよい熱血ドラマである。

優 秀 <テレビ東京> 21世紀特別企画 天国までの百マイル

P:小川 治、小澤俊夫(カズモ) D:大山勝美(カズモ) 脚本:松原敏春

経営していた会社が倒産し、借金取りに追われる1人の中年男。年老いた母は病に倒れ、心臓手術を行わないと命にかかわると医師から宣告されている。男は遠く100マイル(160キロ)離れた、名医のいる病院まで、オンボロのワゴンに母を乗せて走る。そして、母を助けるという行為を通して、周囲の人々の心情に触れ、自らの再生のきっかけをつかんでいく。ベテランの演出家・大山勝美の職人芸が光り、西田敏行が中年男の純情さとすごみをうまく演じるなど、俳優たちの演技も一級品である。視聴者を最後まで飽きさせない構成が素晴らしい。

優 秀 <毎日放送> 日韓新時代ドラマ ちいさな橋を架ける

P:山口 尚 D:大山勝美(カズモ) 出演:高嶋政伸、永作博美ほか

仁川新国際空港をソウルと結ぶ永宗大橋の建設が、日本人技術者も参加して進められていた。完成間近の大橋の建設に加わるために韓国に渡った一人の青年、日韓の抱えるギャップに悩みながらも国際結婚を決意する2組のカップルなど、大橋を通して出会った人々が、2つの国の間にどんな橋をかけたのか。日本による植民地支配の歴史、生活習慣や考え方の違いなどを背景に置きながら、日韓の新しい時代を描こうという、山田太一原作によるスケールの大きなテレビドラマである。

CM部門

ラジオ第1種(20秒以内)

最優秀 <エフエム北海道> 山野楽器札幌店/企業PR・鼻歌からでもどうぞ(20秒)

P:菅原光一  D:五十嵐志保里(フリー)  構成・コピー:斎藤雅江(パブリックセンター)

音楽ソフトを買いたいのに、曲のタイトルがわからない、あるいは思い出せないことは誰にも経験のあること。そのもどかしさは、多くの聴取者に共通する気持ちかもしれない。そんな時、勇気を出して店頭で歌ってみると…。山野楽器札幌店では、鼻歌を聞いただけで曲名を探し当ててくれるという。パソコンによる検索サービスが当り前の時代に、あえてアナログなサービスをPRして審査員の心を捉えたCM。

優 秀 <文化放送> 読売新聞社/読売新聞・セミ(20秒)

D:五井千鶴子  出演者:岸野幸正(青二プロ)  サウンドエフェクト:玉井和雄(フリー)   録音技術:久保田正三

アブラゼミの「ジー~~」という鳴き声の他は、最後の「字が大きい。読売新聞。」のコピーのみ。「ジー~~」という鳴き声が次第に大きくなるというシンプルな演出が、印象深い。高齢化社会に対応する工夫のひとつとして、「目にやさしく、読みやすく」するため、いち早く新聞の字を大きくした読売新聞を強くPRするのに成功している。

優 秀 <エフエム栃木> 栃木県自動車整備振興会/企業PR・定期点検(20秒)

P:三田 清  D:野呂秀香(アビックスタジオ金沢)  出演者:吉岡由美子(フリー)  録音技術:山崎志朗(アビックスタジオ金沢)

「お母さん、何してるの?」子供の問いかけに答える母親。「お父さんのいない間に、こうしてスーツのポケットや机の引出しをチェックしてるのよ。事故を未然に防ぐための定期点検ってやつよ。」これをユーモアと解するか、背筋が冷たくなるか、聴く人によって感じ方は様々だと思われるが「定期点検」という言葉が強烈に耳に残り、自動車の定期点検の必要性を想起させるインパクトに富む作品。

優 秀 <北日本放送> 北日本放送/自社PR・富山の音クイズシリーズ・雷鳥orカエル?(20秒)

P:宮内 敬  D:平木三弥子  構成・コピー:高瀬智江(プランニングオフィス・アズ)

北アルプスの霊峰“立山”に生息する雷鳥は、富山県の観光シンボルにも使われているが、標高3000m級の高山だけに見られる天然記念物のため、その鳴き声はあまり知られていない。このCMでは、あまり聞くことのない雷鳥とカエルの鳴き声をクイズ形式で聞かせている。ふるさとの新しい発見を伝えるメディアでありたいという自社の姿勢をアピールした作品。

優 秀 <エフエム中九州> 七輪焼肉屋台赤まる/企業PR・寒くなったらあったまろ(20秒)

P:永松英視  D:岐部俊夫  構成・コピー:中谷正史(フリー)  録音技術D:陣内 稔(中央録音システム)

モーツアルトと“「もつ」あると?”という問いかけを語呂合せした駄洒落。確かに寒いギャグである。しかし、この後に「寒くなったら、あったまろ」と焼肉屋台をアピールしているのが、このCMのミソ。このオチが万人に通じるかはやや疑問だが、妙に心に引っかかる作品である。これも高度な演出の成果かもしれない。

ラジオ第2種(21秒以上)

最優秀 <エフエム東京> ワコール/BE-MiX・胸のつぶやき(90秒)

P:一瀬 勝  構成・コピー:山口景子  出演者:小林 愛(豪勢堂)  録音技術:鈴木弘和(MITギャザリング)

左右のカップの柄を別々に選べるブラジャー「BE-MiX」。このCMでは、ある女性の左の胸と右の胸による深夜の会話を中心に、その商品特性が上手く表現されている。商品のインパクトもさることながら、誰かに見せることを意図してカップを選ぶ若い女性のあっけらかんとした雰囲気もこの作品の特徴のひとつである。「ピンク、グリーン、ヒョウ柄、水玉、チェック…」、聞いているだけで鮮やかなイメージが広がっていく。

優 秀 <青森放送> 洋菓子サンドリオン/企業PR・ソフトクリーム&ババロア(30秒)

P・出演者:佐藤元伸(伊奈かっぺい)  出演者:小林あずさ  録音技術:三上国美、斎藤智子

若い子に負けじと、携帯電話のEメールに挑戦している男性がCMの主人公。「そふとくりーむ」と打って変換すると、「祖父とクリーム」と表示された。そこで、洋菓子の定番「ばばろあ」と打つと…?男女のテンポの良い軽妙なやり取りで、言葉遊びの楽しさと共に、洋菓子屋のサンドリオンを上手くPRしている。

優 秀 <エフエム東京> キヤノン販売/EOS Kiss・女の一生(120秒)

P:林屋創一  構成・コピー:福本ゆみ(福本ゆみ事務所) 音楽・サウンドエフェクト:佐々木聖子(音ランド坂井) 録音技術:安田慎一(エフエムサウンズ)

ある女性の長い人生の様々な瞬間を切り取って記録してきた写真の数々。CMでは、語りの途中で幼少から老年までの女性の声が繋がり、それぞれの写真の思い出が語られている。1933年に、国産35mmカメラを誕生させて以来、最新の一眼レフカメラ「EOS Kiss」まで、多くの人々の歴史を記録してきたキヤノンの歴史をも感じさせる作品である。

優 秀 <エフエム東京> 松下電器産業/オリンピック・キャンペーン・こんな凄いやつがいた「三宅義信」篇(100秒)

P:林屋創一  D:山口景子  構成・コピー:黒木友揮(松下電器産業)  出演者:長田 渚(フリー)

往年の偉大な選手達にスポットを当て、勝利の裏に隠された独創的なアイデアを紹介したシリーズCMのひとつ。東京オリンピック重量挙げ金メダリスト・三宅義信氏の常に掌のケアを心がけていたというエピソードは、リスナーの知識欲を刺激し心に残る。10年以上にわたり、国際スポンサーとしてオリンピックを支えてきた松下電器産業のPRとしても秀逸。

優 秀 <毎日放送> 龍角散/タイガーバーム・ぬ~りぬり(120秒)

P:馬場康之  D:奥林秀晃(関西録音)  出演者:加藤康裕、関岡 香

言葉も、味付けの好みも、ごひいき球団も違う名古屋弁の夫と大阪弁の妻の会話で構成された軽妙なCM。ことごとく相反する二人だが、肩こりに悩んでいることが共通点である。その二人が、互いにタイガーバームを塗りあってだんだん甘いムードに…。お色気も関西風の味付けで、ユーモラスな作品。

テレビ

最優秀 <関西テレビ放送> 関西テレビ放送/自社PR・カンテーレ2001年春夏・ダンス編(60秒)

D:北岡英久(電通テック)  アイディア・企画:山本良二(電通関西支社)、辻中達也(電通関西支社)、森岩 弘

関西テレビの人気マスコットキャラクター“ハチエモン”が、いろいろな動物に変身してユニークなダンスを繰り広げる様子が、アニメで描かれている作品。「カンカンテーレ、カンテーレ」というシンプルなフレーズが多彩にアレンジされ、それに合わせて踊るハチエモンを見ていると、訳もなく楽しくなる。「親しみやすく楽しい関西テレビ」のイメージアップを狙ったという企画意図が、見事に表現されている。

優 秀 <青森放送> 酸ケ湯温泉/温泉・ほんの少し昔 篇(60秒)

P:藤田昌人  D:楠美修司(ジャンアムジャパン)  アイディア・企画:三上国美  構成・コピー:佐藤元伸

かつて酸ケ湯温泉には、鹿内仙人と呼ばれた名物の山の案内人がいたという。彼との出会いを記憶している地元の人々に、「ほんの少し昔」の情緒と、温泉を思い出してもらいたいと作られたCM。映像の湯煙は懐かしい気分を誘い、「ほんの少し昔」を思い出しながら温泉でゆったりした時間を過ごしたくなる上質な作品である。

優 秀 <富山テレビ放送> ピップフジモト/ピップいびきクリップ・旅館編(30秒)

P:岡本和久  D:内田雅明(内田グループ)  企画:屋野 広(電通関西支社)  CG:太田由香  

鼻腔に装着することでいびきを軽減する効果が得られる“いびきクリップ”という商品のCM。旅館の相部屋で何人かが枕を並べた夜、熟睡したひとりのいびきが響き渡っている。何よりこのいびきの凄さに、審査員一同圧倒されたのである。監視カメラを模した薄暗い映像も、不思議なリアリティを生んで、インパクトのある作品に仕上がっている。

優 秀 <福井テレビジョン放送> ハイピース/越前茶・「お奉行のうまい!」編(30秒)

P:川崎谷外一  D:田中光敏(クリエイターズ・ユニオン)  構成・コピー:野尻昌明(バウス)  出演者:越前屋俵太(アルファ・ウエイブ)

福井テレビの自社制作番組のキャラクター、越前屋俵太扮する“見廻り奉行”を使ったCM。県下35市町村を訪ね歩く“見廻り奉行”は、名も無い職人の技に触れた時、おばあちゃんから差し出された手作り料理を食した時に叫ぶ“うまい!”の一言が決り文句となっている。このCMでも地元の会社が開発した「越前茶」を飲んでお決まりの一言が強く印象に残る作品。

技術部門

最優秀 <東京放送> BSデジタル放送用疑似同期化装置

研究・開発担当者:梅津圭一、本間康文、宮澤俊二、杉浦冬彦  

BSデジタル放送において、複数の委託放送事業者のデジタル圧縮信号をまとめてアップリンクするために不可欠な同期変換を、ヌルパケットの削除・挿入という新たな手法を用い、擬似同期化装置として世界で初めて開発・実用化した。これにより、完全同期のためのクロック回線が不要になり、大幅な経費節減が可能となるなど、BSデジタル放送の実現に大きく貢献した。

優 秀 <北海道放送> スーパーぱられこ君の開発~多入力同録装置~

研究・開発担当者:久保田佳輝

パソコンを利用し、自社の道内7系統の異なる音声放送をMP3形式で同時録音し、3か月分の放送内容をハードディスク上に自動的に蓄積する同録システムを低コストで開発・実用化した。これにより、従来のテープ管理が不要になるとともに、社内LANを通じて各部署から放送済み番組を容易に再生確認できるようになり、音声放送用同録装置の発展に貢献した。

優 秀 <東京放送> マイクロ波帯固定回線(TSL)のデジタルQAM変調方式による放送番組素材伝送システムの実用化

研究・開発担当者:深澤友良、立花成樹、大野治利、杉原喜市

長年にわたり、デジタルTSLの技術的検討、変調器の開発、実証実験等を積み重ね、行政の技術基準化推進に多大の寄与を行い、我が国初のマイクロ波帯固定回線のデジタルQAM変調方式による放送番組素材伝送システムを実用化した。これにより、従来のアナログFM変調方式では実現できなかったHDTV放送素材伝送が可能となるなど、素材中継伝送技術の発展に貢献した。

優 秀 <フジテレビジョン> PHSを利用したゴルフ中継データ伝送システムの開発

研究・開発担当者:久保木準一、浦須内修、新川 力  

PHSの自営網システムを利用し、ゴルフ中継現場において、フィールド情報をPHS子機端末により放送センターへデータ送信するとともに、同端末画面でセンターの各種データを容易に閲覧できるゴルフ中継データ伝送システムを開発・実用化した。これにより、迅速なデータ送信にあわせ、フィールド上で必要なデータを簡単に入手し、効率的かつ的確な番組制作を行うことが可能となり、ゴルフ中継技術の発展に貢献した。

優 秀 <朝日放送> 在宅入力を考慮した字幕入力システム

研究・開発担当者:谷 八郎 

番組を一旦分割し、その映像・音声情報をインターネットにより在宅作業者に配信したうえで、在宅作業者が自らの端末上でこの動画をもとに容易に字幕情報を入力し、このデータを放送局で統合して字幕番組を制作するシステムを開発・実用化した。これにより、多くの在宅作業者の協力を得て字幕入力を行うことが可能となり、字幕番組の早期制作が期待できるなど、字幕放送の発展に貢献した。

優 秀 <関西テレビ放送> デジタル放送 受信マージン・簡易観測システムの開発

研究・開発担当者:水川 毅、高橋正明   

受信したデジタル放送信号に人工的に劣化要因を附加し、附加量とこれによる破綻の発生時間率の関係を観測するという新しい手法を用いて、デジタル放送波の受信マージンを容易に自動観測するシステムを開発・実用化した。これにより、低コストで簡便に地上デジタル放送波の品質を評価し、受信監視や受信調査を行うことが期待できるなど、デジタル放送の受信評価技術の発展に貢献した。

優 秀 <南海放送> マルチリモコンの開発

研究・開発担当者:乗松義弘   

回線種別や制御・監視などの機能別の制約を受けずに、さまざまな仕様や機能の追加に柔軟に対応可能なリモコン装置と、パソコン上でこのリモコン操作を行うための操作画面が簡単に作成できる支援ソフトによる、汎用リモコンシステムを開発・実用化した。これにより、従来のような用途別の専用リモコン装置によらずに、拡張性の高いリモコンシステムの運用を行うことが可能となり、コストの低廉化や汎用性の向上に貢献した。

放送活動部門

ラジオ

入 選 <エフエム北海道> ブルーアースプロジェクト洞爺湖

実施責任者:岡部唯彦  

エフエム北海道では、有珠山噴火直後から様々な形で被災者を支援してきた。今回は「ボランティア体験」「地元の人々との共感作り」「洞爺湖温泉街の復活PR」を目的に活動を実施。「湖畔ライブ」の開催に合わせて、生ワイド4番組でボランティア募集を行い、それぞれの番組パーソナリティも実際にボランティア活動に参加した。地元に密着した実践的な活動であるとともに「ボランティア意識」をリスナーに啓発しており、意義深い。

入 選 <文化放送> 三宅の児童・生徒らにテレフォンカードを

実施責任者:高橋民夫

噴火災害によって三宅島から避難を強いられ、親元を離れて学校生活を送っている児童・生徒達。彼らは、親との連絡手段を公衆電話に頼っている。この事実を防災特番の放送中に知ったキャスターが番組内で即、反応。「眠っている」テレホンカードの提供をリスナーに求めたところ、約5,500枚の各種プリペイドカードが集まった。この「善意の橋渡し」ともいえる活動は、ラジオの持つ可能性を大きく広げることに成功した。

入 選 <信越放送> 里枝子の窓 ~盲導犬と共に街に生きる~

実施責任者:山下真須美

県内在住の視覚障害を持つ主婦・広沢里枝子さんをパーソナリティに起用した番組「里枝子の窓」は、障害者の問題や介護問題などを日常生活に位置付けることをコンセプトにしている。障害を持つゲストたちとの明るいトークは、障害者に対する偏見を払拭し「障害者と健常者のバリアフリー」の役割を果たしている。番組をきっかけとしたコンサートも開催されるなど、その輪は広がりをみせており、今後の活動にも期待が持てる。

入 選 <福井放送> ふるさとの唄を発掘・保存するラジオ活動「恩地美佳の民謡彩々」

実施責任者:佐藤正幸  

祭や日常生活の中で歌い続けられてきた、ふるさとの「忘れられた唄」「忘れられようとしている唄」を、番組「恩地美佳の民謡彩々」を通じて再発見。地元民謡歌手の恩地美佳をパーソナリティとして起用し、県内外でのコンサート実施、祭への出演を行うなど、その活動は番組の枠を超えた広がりをみせている。文化の記録や再生など、メディアの果たせる役割を地域と密着した活動により実践しており、賞揚に値する。

入 選 <毎日放送> 番組・イベントを核としたアナウンサーによる童話の朗読活動

実施責任者:熊和子 

童話の朗読をアナウンサーが行うことによって、子どもたちに人の声の温もりやイメージすることの素晴らしさを伝えている。活動の中心は、阪神・淡路大震災の半年後から実施しているチャリティーイベント「おはなし夢広場」や番組「おはなしの扉」。「おはなしの扉」は通常の番組のほかに、子育てサークルや老人会など、リスナーが希望する場所での「おでかけ朗読」も実施。地域放送局の特性を活かした、温かみのある放送活動である。

入 選 <南海放送> 劇団「みかん一座」 ラジオと連動した劇団活動

実施責任者:戒田節子   

戒田アナウンサー率いる「みかん一座」が、故郷のエピソードなどを基にしたオリジナル劇を県内各地で上演して17年になる。市民を中心とした出演者にプロはおらず、リスナーからのハガキなどをヒントに、その時々の世相や問題を肩肘張らずに演じている。また、子ども向けミュージカル教室の開講や、公演終了後のラジオ番組で話題を掘り下げるなど、その継続性と活動の広がりは地域におけるラジオの可能性を示している。

入 選 <大分放送> 広がる「なしかマインド」の世界~大分方言による”優しい笑い”の提唱

実施責任者:須賀克文   

「松井督治の夕方なしか!」は身の回りや社会の"なぜ?"や"納得がいかない"事柄に大分弁で「なしか!」と異議を申し立てる人気番組。リスナーから届いた「なしか!」を集めた「OBSラジオ 夕方なしかの本」は1巻と2巻を合わせて、40,000部を超えるベストセラーとなっている。身近な問題を方言による「癒しを含んだ笑い」で問題提起する姿勢は地域密着性が高く、番組自体の質の高さとともに高く評価される。

テレビ

入 選 <北海道放送> 北方圏の暮らしと未来を考える放送活動

実施責任者:後藤篤志

寒冷多雪という日本でも特異な気候である北海道。この地で豊かに暮らすための情報は、キイ局からもBSからも流れてこない。北海道放送では、「北方圏」の世界各国に息づく様々な暮らしの知恵や、北海道で産学が取り組んでいる先進的な試みや成果などを長期にわたって取材。「新発見!北方見聞録」として、レギュラー放送を行った。グローバルな視点と暮らしの視点を併せ持った活動は、今後の地域放送局のあり方を示唆している。

入 選 <東京メトロポリタンテレビジョン> ニュース・情報番組での「三宅島情報」コーナー放送

実施責任者:辰巳郁雄

避難生活を強いられている三宅島の人々を対象に、1:住民同士が連絡を取り合うための伝言板、2:行政や支援者からの生活関連情報、3:島の最新状況――を中心とした情報を平日のニュース・情報番組において、継続的に定時発信。ばらばらになった地域社会を繋ぎとめるとともに、支援する都民とのネットワークの役割も果たすなど、地域放送局の持つコミュニケーション能力を具現化した、意義深い活動である。

入 選 <信越放送> 環境キャンペーン みつめよう みず・みどり・みらい~21世紀への贈り物~

実施責任者:岩井まつよ

長野県を形容する言葉は「水清く山青き」など自然に関するものが多い。こうした自然環境を次世代にも伝えるため、キャンペーンを実施した。レギュラー番組「ZOOM UP エコロジー最前線」や特番の放送のほか、学校やエコ・クラブ単位の活動を紹介する、30秒の「ミニコーナー」を毎日放送している。ホタルの観測会も行うなど、放送だけにとどまらない積極的な活動は、地域住民の環境への意識向上に大きな役割を果たしている。

入 選 <東海テレビ放送> 財政危機の深層「外郭団体の研究」

実施責任者:河合誠  

国の行政改革の焦点となっている特殊法人、公益法人。これらは、地方自治体でいえば外郭団体に当たる。東海テレビでは粘り強い取材により、愛知県の外郭団体が抱える累積赤字が186億円にも及ぶことなど、その危機的な実態をスクープ。県議団が外郭団体改革プロジェクトチームを発足させるなど、結果として行政を動かすことに成功した。地域の問題を地道な調査で告発する、ジャーナリズム精神に溢れた放送活動である。

入 選 <朝日放送> ABC創立50周年記念キャンペーン「ガラスの地球を救え」

実施責任者:依田正和  

ゴミ問題などの身近な問題から、地球温暖化などの人類が直面する危機まで「環境問題」をわかりやすく、前向きにとらえるキャンペーンを1年間にわたって実施。ミニベルト番組「ガラスの地球を救え」のほか、環境関連特番を放送、キャンペーンスポットにおいても環境問題をPRした。また、国際環境標準規格「ISO14001」を日本の放送局で初めて取得するなど、自らも地域の一員として運動に参加する姿勢は賞賛に値する。

入 選 <山陽放送> がんばれ讃岐うどん

実施責任者:石原正裕

「うどん処」讃岐を放送エリアに持つ山陽放送では、地元うどん業者にエールを送ろうと、自主制作番組「VOICE21」において、讃岐うどん関連番組を1994年以来、12本放送している。さらに放送と連動し「讃岐うどん王選手権」も年1回開催。地元デパートでのイベントも展開するなど、「一大うどんムーブメント」を巻き起こした。地域の人々の思いやニーズを捉え、発信していくという、地方局ならではの意欲に満ちた取り組みである。

入 選 <沖縄テレビ放送> 海外在住沖縄出身者の長期放送活動

実施責任者:山川文樹

全国有数の「移民県」といわれる、沖縄出身の海外在住移民は約30万人と推測されている。沖縄テレビでは、こうした移民の活躍を紹介するドキュメンタリーを14年間にわたって放送。「沖縄発われら地球人」と「世界ウチナーンチュ(沖縄県系人)紀行」を合わせた放送回数は185回にもなる。「海外における沖縄文化の継承」を伝えるこれらの番組は完成度が高く、シンポジウムや学会の場においても取り上げられるなど、様々な場所で高い評価を得ている。

統一キャンペーンスポット部門 テーマ:「守ろう地球環境」

ラジオ

最優秀 <毎日放送> 消えたボテジャコ(60秒)

制作責任者:村上晴久  

フナに似た小形の淡水魚タナゴは、琵琶湖では親しみを込めて「ボテジャコ」と呼ばれている。子供の頃、笊に夥しいほど採れたこのボテジャコにまつわる思い出を振り返りながら、今は神社に供えるたった3匹さえも採れなくなり、祭りも途絶えてしまったと、嘆き、悲しむ住民。汚染が食生活や祭礼など、人々の生活・習慣の全てを変えてしまったこと、安易に使っている「琵琶湖は近畿の水がめ」という言葉にも、警鐘を発し、琵琶湖の汚染問題を再考させる説得力に富む作品。

優 秀 <札幌テレビ放送> 『木の温もり・木の匂い・木の響』(60秒)

制作担当者:岡崎みどり

学校のゴミステーションに捨てられた山積みのプラスティック・リコーダーを見てショックを受けた音楽教師が木管リコーダーを採り入れた授業を行っている札幌市内の高校。木のリコーダーは、暖め、ロングトーンを行うなど、音を出す面倒な準備が必要だが、温もりのある木管リコーダーの合奏音が、生徒たちの価値観を変えていく。自然と共生しながら地球環境を守ろうという意識を育てる一教師の息の長い努力が、リスナーの心に直截に伝わり、共感を呼ぶ作品である。

優 秀 <青森放送> 触れれば何かが聴こえてくる(59秒)

制作担当者:渡辺英彦

弘前市にある弘前公園で開かれた「ウオッチング青森」という自然観察指導員による自然観察会に参加した全盲の3人の視覚障害者。一人一人が花を撫でる、木の実を口に含むことなどにより健常者以上に自然を深く理解している姿を通し、自然を理解する第1歩は、まずじかに触れてみることであると教える。自然に直接触れることの喜びと感動を伝え、自然を大切にしようとの気持ちを素直に引き起こす作品である。

優 秀 <東京放送> かくれんぼ(60秒)

制作担当者:井道治

土はアスファルトの下に、川はコンクリートの下に、かくれんぼをする子供たちの声も…、とこの作品は、東京でだんだん消えてしまっていくものを子供たちのかくれんぼ遊びで表現する。自然だけでなく、人と人のふれあいまでもどんどん消えていく東京の現状を訴え、探し出せなくなってしまう前に一人一人が身の回りの環境に目を向けることが、地球環境の保護に繋がっていくことを、わかりやすく伝えた作品。

優 秀 <エフエム東京> 新・ノアの方舟(60秒)

制作担当者:林屋創一 

旧約聖書にあるノアの方舟の物語を題材に、シリアスな環境問題を神様と人間のユーモラスなやりとりで、さりげなく訴えかけた作品。ゴミの分別を正しく行っていなかったり、エアコンの無駄使いをするなどの人間には、方舟には乗船できないとの条件をつけると、次々に乗れない人が出てくる。誰もが心当たりのある小さな行為が、実は大きな環境破壊に繋がっていくことを指摘し、反省を促す手法は見事である。

優 秀 <エフエム東京> あはれ(60秒)

制作担当者:林屋創一   

日本語の「あはれ」には、花鳥風月などの風情を表現する「あぁ素晴らしい」の意味と、「可哀相」という意味がある。「あはれ」という言葉を使った「2つの唄」を古代人が歌うなかで、伐採音で痛みに泣く山の"あわれ=可哀相"な自然環境を、小鳥や虫の声が戻り、"あわれ=あぁ素晴らしい"と賛美できる環境に戻したいとの思いを謡曲調の「あはれ」のリフレインで伝える、ラジオの特性を生かした作品。

優 秀 <エフエム愛知> 言霊(60秒)

制作担当者:杉田幸博   

はるか昔の上代日本語は一つ一つの音に意味を有し、魂が宿ると信じられていた。この作品では、「いね」は"いのちのねっこ=命の源"、「ふじ」は"ふきだす(地=だいち)=富士山は地面が吹き出した山"という意味をもつ2つの言葉をとりあげて、われわれの周囲にある自然物には全て魂が宿っていることを教える。そしてこのメッセージのなかで祖先が言葉を通して伝えてくれた"自然の命を感じること"、特に、現代人が忘れている自然への畏敬の気持ちをもつことの大切さを訴えた説得力ある作品。

テレビ

最優秀 <毎日放送> クジラの亡骸が語るもの(60秒)

制作責任者:三澤 肇

クジラなど海に住む哺乳類が岸に上がる現象「ストランディング」が最近増加している。作品は、大勢の人が必死になって岸に上がったクジラを救出している模様を映し、人間のやさしさを感じさせ、一転して「ストランディング」の原因は、実は人間がつくり出した化学物質がクジラの体内で免疫をかく乱したことによるものであることを告げる。こうした被害はクジラだけではなく、人間自身も知らず知らずに受けており、クジラの亡骸は"人間への警鐘"そのものであると教える、着眼点に優れた作品である。

優 秀 <フジテレビジョン> 高校生初恋篇(60秒)

制作担当者:杉田成道

沖縄の「やんばる」の自然を舞台に、清らかな川の流れや真青な海とたわむれる高校生のカップル。草原の大地に寝そべり空を眺めながら、"空や海などは人間には創れない"とつぶやく男子生徒のさりげない言葉のなかに、自然の偉大さと自分の小ささを想起させ、地球とそこに住む人間の関係を今一度考えさせる。元気溌らつとした高校生の姿を通して「今ある自然環境を守る大切さ」が直截に伝わる訴求力に優れた作品である。

優 秀 <中京テレビ放送> こころの世界遺産(60秒)

制作担当者:織田忠士

人類の知恵と自然の恵みがもたらした白川郷は1995年に世界遺産に登録され、地元には、観光収入の増加などをもたらした。作品は、テーマパークでも見に来る感覚で、多くの観光客が訪れ、吸い殻やゴミを田んぼに捨て、狭い道路が観光客の自動車で渋滞している白川郷の現状を紹介。私たちが本当に見るべきものは何か、このかけがえのない地球の宝を次の世代に残すために何をすべきかを考えさせる説得力に富む作品である。

優 秀 <中京テレビ放送> 土管の中の特別天然記念物(60秒)

制作担当者:織田忠士  

かつて特別天然記念物オオサンショウウオたちの楽園であった三重県の山奥青山川の上流は、昭和30年ごろの護岸工事により彼らの産卵する巣穴が奪われてしまった。そんな環境の中でも、土管の中で、子孫を残すために力強く生き続けている一匹のオオサンショウウオがいる。地球は人間だけのものではない。その地球を守るために、まず私たちの身近な自然に目を向け何をすべきかを問いかけるインパクトに富んだ作品。

優 秀 <讀賣テレビ放送> オランウータンの涙(60秒)

制作担当者:吉川秀和 盛 敏隆 高岡達之  

インドネシアにしか生息しないオランウータンが今、絶滅の危機にある。オランウータンの赤ちゃんの密売・密輸は後を絶たないためだ。オランウータンの赤ちゃんは7年近くかけて母親から餌の取り方や木登りを学ぶため、たとえ救出されても簡単には自然に戻れない。作品では、再びジャングルで暮らせるよう、保護されたオランウータンが懸命に訓練を受ける姿を通して、自然の尊さや、人間が犯した罪の重大性を問いかける秀作。

優 秀 <讀賣テレビ放送> 危険な「羽」(60秒)

制作責任者:盛 敏隆、吉川 秀和、林 浩三

昨年、関西空港内で伝染病を媒介する「ネッタイイエカ」や熱帯、亜熱帯地方でしか生息できない蚊の繁殖が確認された。東南アジア等から飛行機で運ばれてきた蚊が、空港内の下水でボウフラに育っている映像により、関西空港周辺が亜熱帯に近い環境になっているとの空港検疫官の証言をもとに、地球温暖化の危険性に警鐘を鳴らす秀逸な作品に仕上がっている。

優 秀 <南日本放送> ゴミたちの叫び(60秒)

制作担当者:切通 啓一郎

鹿児島県内のアマチュア写真家が撮影テーマとして取り上げているのは、ゴミの中に「顔」を見つける「人面ゴミ」。食べかけで捨てられた野菜やその他のゴミもそれぞれ顔をもち、怒ったり、泣いたりしているように見える。ゴミを創り出したのも人間、捨てたのも人間。その人間に対してゴミたちが痛烈なメッセージを発しているようである。ゴミの顔写真というユニークな着想で、資源問題から環境問題までを鋭く突いた作品である。