表彰番組・事績
日本民間放送連盟賞/2006年(平成18年)入選・事績
平成18年日本民間放送連盟賞 ”NAB Awards 2006” 入選・事績
日本民間放送連盟賞は18年度から次のように変更されています。
- 「特別表彰部門」として『青少年向け番組』(番組を対象)および『放送と公共性』(事績を対象)の2種目を新設しました。
- 前年までの「放送活動」「統一キャンペーンスポット」の2部門をとりやめました。
- 番組部門
- ラジオ報道番組
- ラジオ教養番組
- ラジオエンターテインメント番組
- 最優秀 <青森放送>アーサー・ビナード 詩(ことば)の骨(ほね) ~方言詩集「まるめろ」の津軽
- 優 秀 <ニッポン放送> 亀渕昭信のオールナイトニッポン 35年目のリクエスト 青春のかけら届けます
- 優 秀 <横浜エフエム放送>YOKOHAMA MUSIC AWARD 「LIVEHOUSE is DEAD or ALIVE」
- 優 秀 <北日本放送>憧れは水平線の向こうに … 海洋冒険家 白石康次郎の挑戦
- 優 秀 <京都放送>災害シミュレーションラジオドラマ ~天災は忘れずにやってくる~
- 優 秀 <南海放送>天野祐吉“我らの時代”~県民性について~
- 優 秀 <エフエム熊本>「つまようじの先っぽの夢」 ~百年ロマン・きたみそう里帰り計画~
- ラジオ生ワイド番組
- テレビ報道番組
- テレビ教養番組
- テレビエンターテインメント番組
- テレビドラマ番組
- CM部門
- 技術部門
- 特別表彰部門
番組部門 †
↑ラジオ報道番組 †
↑最優秀 <毎日放送>特集1179 ~あの時何が…JR脱線事故を徹底検証 †

↑プロデューサー 大谷邦郎 ディレクター 松井孝文
JR西日本発足以来、最悪の大惨事となった福知山線の脱線事故。なぜ、これほどの事故が起きたのか――。被害者や遺族、JR関係者、専門家への取材をもとに、事故から半年後、それらの情報を集約し、ナイターオフ期の記者リポート番組『特集1179』で検証した。1両目に乗り合わせ、重症を追った男性の証言から浮かび上がる事故の瞬間や事故直後、救出活動の生々しい光景。鉄道関係者による、死亡した運転士の心理分析とJR西日本の企業体質。批判的な視点を忘れず、多角的な原因究明を、日常的な報道番組の形でわかりすく提示する姿勢を高く評価する。
優 秀 <北海道放送>不毛の連鎖 ~モラルなき森からの伝言~ †
↑プロデューサー 高橋新一 ディレクター 濱野祐司 技術 鳥海正人 ナレーション 村井裕子
札幌市郊外の閑静な住宅地。その近くに、廃車や電気製品の山が300メートルにわたって続く森がある。北海道でも最大級の不法投棄の現場だ。この森に住み、廃棄物を売り買いして生計を立てる男性への取材を通じ、廃棄物を売る者、買う者、それを取り締まる行政側の攻防を追う。そこから浮き彫りになるのは、“廃棄物とは何か”という根源的な問題と、解決の難しさ。男性の肉声に迫力があり、ラジオらしいイマジネーションが広がる。
優 秀 <ニッポン放送>ニッポン放送報道スペシャル 夢叶う日まで ~割りばし事故は問いかける †
↑プロデューサー・ディレクター 森田耕次 ナレーター 上柳昌彦 構成 桜林美佐 技術 石垣 哲
1999年7月、東京で綿菓子の割りばしが喉に刺さって死亡した杉野隼三君(当時4歳)。診察した杏林大学病院の医師は、充分な治療を怠ったとして業務上過失致死の罪に問われたが、2006年3月、東京地裁で無罪となった。裁判を傍聴し続けた隼三君の母親の視点を中心に、医療関係者や弁護士などのインタビューを通して、事件が投げかけた課題を多角的に検証した。子どもの死を納得できない親の気持ちが説得力を持って伝わってくる。
優 秀 <エフエム群馬>特別番組「戦後60年 語り部たちの証言」 †
↑プロデューサー・ディレクター 滝沢 功 ナレーション 田中 香
終戦から60年。多くの犠牲者を出した戦争も遠い過去となり、その記憶は失われつつある。群馬県内も、500人を超える死者を出した前橋大空襲をはじめ、各地で空襲を受けた。自分たちの住むエリアで戦時中、何かあったのか――それを、当時、さまざまな立場にあった人たちから丹念に拾い集めた。自らの体験を語ることは難しいとされるテーマに正面から挑み、「証言もの」の醍醐味を感じさせ、戦争体験の継承のあり方を示唆する。
優 秀 <北日本放送>「命が終わるとき あなたは…」 ~記者が見た 人工呼吸器取り外し事件~ †
↑制作統括 尾崎義文 企画 寺崎英幸 構成 石井 彰 ナレーション 陸田陽子
2006年3月、富山県の射水市民病院で末期患者7人の人工呼吸器が外されていたことが発覚、県警は殺人容疑で捜査を開始した。個々の症例や事実関係は明らかにされていないが、インタビューに応じた担当の外科部長は、それを「患者への愛」と証言する。「死の自己決定」という深く重いテーマを通じ、駆け出しの若い記者が取材活動を進め、リスナーと交流しながら、ともに学び、成長していく番組の構成もみずみずしい。
優 秀 <中国放送>燈燈無尽 ヒロシマを伝えたい †
↑プロデューサー 徳光国弘 ディレクター 平尾直政 ナレーター 浜田治貴 出演 斉藤とも子
母親の胎内で被爆した“最も幼い被爆者”と言われる原爆小頭症患者たち。障害を持って生まれた彼らも60歳。言われなき差別と偏見から逃れるように、外部との接触やマスコミ取材を拒み続けてきた。そんな患者たちや家族を見つめ、聞き取り取材を重ねる女優・斉藤とも子さんの活動を通じ、いまだに続く戦争の傷跡を見つめた。被爆地・広島局ならではの企画で、戦争体験を現在の視点から継承することの重要性を問いかける。
優 秀 <九州朝日放送>その女にこだわる理由 ~佐木隆三が見た北九州監禁殺人事件 †
↑プロデューサー 大迫順平 ディレクター 持留英樹 編集 田中千恵 録音 安倍 靖
幼い子ども二人を含む男女7人が監禁された後、無惨な形で次々と殺害された北九州監禁殺人事件。2005年9月、緒方純子被告に一審判決は死刑を宣告。公判の傍聴を続け、この事件に関心を抱いた作家・佐木隆三の視点から、緒方被告が、優しい幼稚園の教諭から「凶悪犯」へと転じていく軌跡を辿る。禍々しい事件の過程から、「人間の弱さ」と「業の重み」が明らかにされ、飽きさせない展開だ。。
ラジオ教養番組 †
↑最優秀 <東北放送>TBCラジオドキュメンタリー「玉音放送60年目の夏」 †

↑プロデューサー 田中日出夫 ディレクター 中野文恵 構成 菊池 豊 技術 佐藤大樹
誰もが一度は耳にしたことのある「玉音放送」。しかし、なぜ天皇自らがマイクの前に立ったのか、漢文調の詔書をどれだけの国民が理解できたのか――明らかにされていない舞台裏は多い。番組では、玉音放送に携わった人や実際に聞いた人などの貴重な証言を丹念に積み重ね、放送当時の状況を明らかにするとともに、玉音放送が現代に問いかける意味を浮き彫りにする。ラジオ80年の歴史の中でも重要な意味を持つ玉音放送の「神話性」をラジオ自身が崩していく、自己批評の試みとしても興味深い秀作である。
優 秀 <日経ラジオ社>イ・ヒア ショパンの調べ †
↑プロデューサー・ディレクター 宮崎裕一 出演 黄莉香、金栄姫、イ・ヒア
韓国人ピアニストのイ・ヒアには先天性の身体障害があり、右手指2本、左手指2本の計4本の指でピアノを演奏する。この4本の指が紡ぎ出すショパンの音色に関心を持った在日華僑・黄莉香と、韓国人留学生・金栄姫のメールのやりとりで番組は進行。金が韓国に帰国した際にイ・ヒアの自宅を訪ねた時の様子を、黄とのメールの中で綴る。
淡々とした作りながら、聴く者を惹きつけるとともに、出演者のやりとりからアジアの中の日本の姿をも描き出している。
優 秀 <新潟県民エフエム放送>阿賀の流れに思いをのせて ~参ちゃんが唄う新潟水俣病~ †
↑プロデューサー 園田 洋 ディレクター 田代瑞穂 ナレーター 遠藤麻理
発生から41年を迎える新潟水俣病。未認定患者の渡辺参治さんは、新潟水俣病の語り部として、90歳になる今も得意の唄で全国を行脚する。渡辺さんが出会った人たちとの間に生まれた、患者と支援者という枠を超えた“人の輪”を描きながら、県や国への取材も交え、新潟水俣病の歴史と現状、今後の課題を明らかにする。
「参ちゃん」の唄を通して、病気の苦痛と精神的苦痛という新潟水俣病の二重の苦しみが伝わってくると同時に、今も残る差別を追及する制作者のこだわりが感じられる。
優 秀 <福井放送>明治人物伝 魅惑の奇術師 松旭斎天一 †
↑プロデューサー 福本 実 構成・演出 重盛政史 取材 岩下直浩 ナレーション 谷戸礼子
日本の近代奇術の草分けである松旭斎天一は福井市出身。しかし、生誕から150年以上経った現在、福井市民でもその名を知る人は少ない。明治天皇への天覧奇術を行い、世界興行にも出かけ、ハンカチーフ等を用いた「サロンマジック」など今につながるマジックを数多く開発した天一。番組では、奇術に取り組んだ天一の想いや奇術界に与えた影響などを明らかにし、今に生きる天一の息吹を探る。ラジオでの表現が難しい奇術というテーマを、現代版の実況なども手法として取り込みながらテンポよく伝えている。
優 秀 <大阪放送>帝国キネマ ~幻になった東洋のハリウッド †
↑プロデューサー・ディレクター 藤野浩史 語り 原田年晴 出演 武部好伸、山川暉雄
日本で初めて映画興行が行われた地、大阪。大正から昭和初期にかけて、大阪には多くの映画製作会社があり、「東洋のハリウッド」と呼ばれるほどの撮影所も存在していた。あまり知られていないこれらの事実を伝えつつ、大阪を舞台とした映画の紹介も織り交ぜ、その魅力を探る。さらに、大阪が映画製作に適しているとの関係者の声を基に、今後もう一度、大阪が映画の拠点となる可能性を考える。映画と大阪の関わりに着目した制作者の想いが結実した番組。
優 秀 <西日本放送>大島案内ひきうけ会社 社員4人で奮闘中 †
↑プロデューサー 難波正人 ディレクター 熊谷富由美 アシスタント 中津川利恵
高松市の沖合に浮かぶ庵治町大島に、元ハンセン病患者が入所している国立療養所・大島青松園がある。その施設を案内するのは、庵治第2小学校の全校児童4名。らい予防法廃止以降、大島を訪れる人が増えたため、総合学習の一環として2000年から実施している。番組では、児童の案内を通じて、入所者の生活やハンセン病の理解の啓発、教育に大切なものは何かを伝える。子どもたちの学びあい、教えあいという視点から現実を切り取る手法が斬新。臨場感に溢れ、ローカルの枠を超えた普遍性を感じさせる内容となっている。
優 秀 <南日本放送>MBCスペシャル 嘉義丸のうた †
↑プロデューサー 中間芳昭、御幸良臣 ディレクター 北原由美 ナレーター 植田美千代
奄美島唄の唄者・朝崎郁恵さんには、島唄と同じく大切にしている歌がある。「嘉義丸のうた」――太平洋戦争中、米軍攻撃により沈没した貨客船「嘉義丸」の鎮魂歌だ。当時は戦局を不利にするとして歌うことを禁じられたその歌が、朝崎さんが偶然出会った嘉義丸の生存者から体験談を聞いたことをきっかけに甦った。関係者の証言を追い、一つの歌が浮き彫りにした戦争の真実を明らかにする。人々の体験を伝える力を持つ「歌」の存在感を示すとともに、埋もれた歴史を掘り起こしていく、意義深い番組である。
ラジオエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <青森放送>アーサー・ビナード 詩(ことば)の骨(ほね) ~方言詩集「まるめろ」の津軽 †

↑プロデューサー 橋本康成 ディレクター 須藤喜夫、山本鷹賀春 ナレーション 秋山博子
日本初の方言詩集と言われる「まるめろ」は、全編に津軽弁のルビがカタカナで記された、幻の詩集である。アメリカの大学で日本語に出合い、魅了されて来日した詩人・ビナードは、ラジオ番組出演のために東京から青森に通い続けるうちに、高木恭造の方言詩集に興味を持ち、津軽路の旅に出る。「まるめろ」とは、香り高い果実のこと。
ラジオでの呼びかけに、高木の詩集や津軽弁について詳しい聴取者が語る言葉や、生前の高木自身による朗読からは、詩(ことば)を通して表れる人々の生活のにおいと方言の重みが伝わる。素晴らしい題材を見事にラジオ的に表現し、津軽弁の語感を甦らせた力作。
優 秀 <ニッポン放送> 亀渕昭信のオールナイトニッポン 35年目のリクエスト 青春のかけら届けます †
↑プロデューサー・出演 亀渕昭信 アシスタントプロデューサー 三宅正希 ディレクター 松島 宏 構成 向井 勉
伝説の深夜放送『オールナイトニッポン』のDJであった亀渕は昨年の夏、35年前にリスナーから寄せられた手紙約200通を母親から受け取った。その手紙から、当時のリスナーを探す旅が始まった。出会えた人は既に40歳から50歳台。「番組が心の支えだった」「いい時間を持てた」「聞き手と喋り手が力を合わせて国際貢献活動ができた」……。思い出話の間で“ラジオの魅力”を熱く語る亀渕。難病で亡くなっていた人もいた。
優しくて誠実な声で市井の人の言葉を尊重して応える、変わらない亀渕の職人芸が光る、丹精に作られた番組。“ラジオの力”を感じさせた秀作である。
優 秀 <横浜エフエム放送>YOKOHAMA MUSIC AWARD 「LIVEHOUSE is DEAD or ALIVE」 †
↑プロデューサー・ディレクター 加藤直裕 DJ 福原尚虎
最近、ライブハウスに出演したいというアーティストが減り、ライブハウスで働こうとする若者も少なくなったという。番組は、“ライブハウスの今”を検証するため、ハウス関係者や観客、ハウスから巣立ったアーティストに取材した。
インディーズアーティスト対象のレギュラー番組が危機感を持って企画した熱意が伝わり、指向性の明確な制作姿勢に、FM局らしさと、番組が好まれていることが感じられる。
優 秀 <北日本放送>憧れは水平線の向こうに … 海洋冒険家 白石康次郎の挑戦 †
↑プロデューサー 鍜冶優吉 ディレクター 柴田明夫 出演 白石康次郎 構成・ナレーション 武道優美子
今から13年前に小さなヨットで世界一周を果たした、富山で育った白石。一人の青年が海洋冒険家になるまでの軌跡を、本人の語りを中心に、航海中の生の音と音楽を交えながら描き、白石の夢と情熱、傑出したアスリートの姿を見事に描き出した番組。
師匠の思い出、お金も人脈も実績もない青年の苦労、ヨットの修理と航海中の数々の失敗。白石の“語り”が実にいい。海のSEもリアルで、想像力をかきたてられる。
優 秀 <京都放送>災害シミュレーションラジオドラマ ~天災は忘れずにやってくる~ †
↑プロデューサー 吉田 清 ディレクター 森永貴則
平成○年9月某日、大型台風が近畿地区に上陸。京都府北部は豪雨に見舞われ、全域に大雨洪水警報が発令された……との想定で“日常からの災害対策の重要性”を投げかける、シミュレーション・ラジオドラマ。
刻一刻と被害状況が深刻化するなかで、災害時や避難時に注意しなければならない心得を詳細に盛り込みながら、静かに訴える制作姿勢は真摯で、ラジオの存在感を示した力作。
優 秀 <南海放送>天野祐吉“我らの時代”~県民性について~ †
↑企画・構成 田中和彦 ディレクター 柴田秀樹 出演 天野祐吉、岡田みどり
局社移転に伴う大掃除中に、地下倉庫から1964年頃のラジオドラマの脚本集が見つかった。当時は、テレビ放送が軌道に乗り、同局の創立理念の一つであった「自社制作のラジオドラマづくり」が減速し始めた時代。見つかった1本の脚本を台本どおりにリメイクしてみた。番組のテーマは“マスコミ文化が地方の垣根を壊す中における県民性”。
ラジオドラマ全盛期ならではの実験的手法が伝わる、興味深く、秀逸な番組である。
優 秀 <エフエム熊本>「つまようじの先っぽの夢」 ~百年ロマン・きたみそう里帰り計画~ †
↑プロデューサー 伊井純子 ディレクター 野田秀之 脚本 池田美樹 音楽 上田圭子
ツンドラ地帯で生育する「きたみそう」は、1901年に北海道・北見で発見されたが、その後、絶滅したとされていた。しかし60年前、温暖な熊本市の江津湖で自生していることを知った北見市在住の多田昇さんは、「きたみそう」を再度、北見に根付かせようと行動を開始する。同局は取材を続け、多田さんの日記を基に再構成してフィクションに仕立てた。
制作姿勢の実直さと脚本の秀逸さにより、ラジオの可能性を改めて感じさせる意欲作。
ラジオ生ワイド番組 †
↑優 秀 <青森放送>あおもりTODAY ~民謡の先達を訪ねる 高橋竹山を世に出した男・成田雲竹~ †
↑プロデューサー 橋本康成 ディレクター 渡辺英彦 出演 夏目浩光、松木宏泰
民謡王国・青森県。青森放送ではワイド番組内のレギュラーコーナーで、民謡の発展に大きな貢献をした先達たちに光をあて、伝統、文化の継承の大切さを伝えている。2006年5月25日の放送は、津軽民謡を全国に広めた民謡名人・成田雲竹を取り上げた2回目。雲竹は津軽三味線の巨人と言われる、高橋竹山の命名者でもある。番組では、二人の肉声が入った貴重な音源やそれぞれの弟子、肉親の証言などを紹介。地域の伝統をわかりやすく、楽しみながら伝えている。
優 秀 <ニッポン放送>ヤンキー先生!義家弘介の夢は逃げていかない †
↑プロデューサー 鳥谷 規 ディレクター 松岡敦司 構成 田中英志、萩原 里
不良から教師になった“ヤンキー先生”こと義家弘介が、悩める10代のリスナーからの相談に全力で応えていく、23時20分からの番組。2006年5月21日の放送では、いじめにあっている女子中学生からの相談など3件に応えた。パーソナリティが一方的に回答するのではなく、メールを通じてリスナーも議論に参加。リスナーとともに考え、悩むことで、ラジオならではの“教室”が生まれている。ラジオとメールの連携を活かした構成が秀逸。
優 秀 <アール・エフ・ラジオ日本>中本賢のヨコハマガサガサ探検隊 †
↑プロデューサー 今井 学 ディレクター・構成 砂原啓二 出演 中本 賢 アシスタント かわすみきみの
月曜から木曜、午前9時~11時30分の放送。番組内コーナー「ガサガサ・ディスカッション」では、“新聞の隅っこにあるニュース”“笑って話せるニュース”などの情報をキャッチして、井戸端会議で使える話題を提供している。2006年5月30日の放送は、“ゴミゼロ” の日にちなみ、「長生き!家電製品」がテーマ。リスナーからの投稿を交えて喧々諤々。身近に起こった発見・感動・興奮を楽しく、明るく、テンポよく伝えている。
優 秀 <北日本放送>コンビニラジオ 相本商店 いらっしゃいませ~ †
↑ディレクター 松本芽久美 パーソナリティ 相本芳彦、小林淳子、中島真紀子
月曜から金曜、午後0時30分~4時の放送。2006年5月29日の放送では、放送エリア外のリスナーから寄せられる「聞いてますよ」のメッセージに注目。パーソナリティがラジオ片手に「本当に聞こえるのか」の検証に向かい、北海道では見事、受信に成功する。生放送中の体当たりリポート企画を各パーソナリティが巧みな話術で伝えることで、ワクワク感、ドキドキ感をリスナーと共有することに成功している。
優 秀 <エフエム京都>α-MORNING KYOTO †
↑編成担当 栗山 剛 プロデューサー・ディレクター 鳥井孝彦 アシスタントディレクター 嶋 善之 出演 佐藤弘樹
「日々の社会生活に必要なニュース、大人の知的好奇心を刺激するトピックス」をアダルト・コンテンポラリーなサウンドとともに紹介する朝のワイド番組。毎週月曜~金曜午前7時から10時の放送。“ながら聴取”を意識した番組構成が、登校前の学生や、家事をしている主婦だけでなく、仕事中のサラリーマンにも心地よい。大学講師でもあるパーソナリティ・佐藤弘樹の、批判精神の中に滲むユーモアセンスが光る。
優 秀 <西日本放送>情報てんこもりラジオでDON †
↑プロデューサー 難波正人 ディレクター 池本惠津子 パーソナリティ 笑福亭學光、熊谷富由美
毎週月曜~金曜、午後1時から4時15分の放送。2006年2月3日の番組では、香川の桃太郎伝説を取り上げた。1930年、郷土史研究家の橋本仙太郎氏が女木島の大洞窟を発見したのを機に“香川の桃太郎伝説”が創造された。2006年3月には「全国桃太郎サミット」が高松で開催されているが、“香川の桃太郎”の知名度はまだまだ低い。番組では、桃太郎の姉を御祭神とする田村神社にモバイルスタジオを設置し、節分祭の生中継を実施するなど多角的な取材を敢行し、そのPRに努める。ラジオドラマにも挑戦するなど、意欲的な取り組みも魅力だ。
優 秀 <南日本放送>二見いすずの土曜の朝は †
↑プロデューサー 古川廣生 ディレクター 高崎真由美 パーソナリティ 二見いすず
土曜、午前7時~9時42分の放送。週末のニュース、交通情報、気象情報、イベント情報などの生活情報に加え、エッセイの紹介もしている。2006年5月20日の放送は「絆」をテーマに、介護問題を取り上げている。番組の主な聴取者層である50代以上のリスナーにとって、関心の高いテーマだ。ラジオカーによる介護にちなんだ話題の中継、一人暮らしの親を思いやるエッセイなどを、両親の介護をしながら20年以上番組を続けてきたパーソナリティ・二見いすずならではの細やかな切り口で紹介。介護を支えるには、家族の強い絆、地域の絆が大切であるとの訴えが、素直にリスナーの胸に伝わってくる。
テレビ報道番組 †
↑最優秀 <中京テレビ放送>消える産声 ~産科病棟で何が起きているのか~ †

↑プロデューサー 中村裕史 ディレクター 大脇三千代、永田 靖 構成 樋口由紀雄
岐阜県西濃地方の40万人をカバーする拠点病院・大垣市民病院の産科医が4人に減った。 緊急診療の多さからくる激務や、訴訟リスクの増大による産科医希望者の減少に加え、政府が進める“改革”“規制緩和”もその原因となっている。中でも「新臨床研修制度」は、大学医局が計画的に地域の病院に医師を派遣することを難しくし、「医療分野の職業紹介業の解禁」は医師を都会へと偏在させた。医師不足の中で必死に地域の産科病棟を支え続ける医師たちの日常を通じて、医療行政に警鐘を鳴らすとともに、地域から見た“改革”“規制緩和”の実態を、綿密な取材と分析で見事に浮かび上がらせている。
優 秀 <北海道文化放送>漂流する棘 ~アスベストにさらされた夫婦たち~ †
↑プロデューサー・ディレクター 向田陽一 ディレクター 小出昌範 ナレーター 斎藤 歩
寒冷地の北海道では断熱材としてさまざまな場所にアスベストが使われてきた。アスベストは体内に吸い込むと肺がんや中皮腫になるおそれがある鉱物で、その繊維の直径は髪の毛の5千分の1ほど。目に見えない細かな繊維は空気中を漂う。番組では、この「漂流する棘」によって翻弄されることになった3組の夫婦を通じて、日常生活に潜むアスベストの危険性を訴えるとともに、国や企業の責任にも力強く、鋭く迫っている。
優 秀 <東京放送>ボイスレコーダー ~残された声の記録~ ジャンボ機墜落20年目の真実 †
↑プロデューサー 谷上栄一、島田喜広 ディレクター 根津千景 ドラマ演出 石井康晴
1985年、520人もの命が失われた“日航ジャンボ機墜落事故”。事故機の機長・高濱さんの遺族は、遺族でありながら“加害者の家族”と世間に見られる、二重の苦しみを受け続けていた。そんな中、事故当時の日航パイロットで独自の事故調査を続ける藤田日出男さんが、入手したボイスレコーダーを公開。そこには最後まで乗客を守ろうと必死の努力を続けるコックピットクルーの肉声が残されていた。「再現ドラマ」と「ドキュメンタリー」の2部構成が斬新だ。ドキュメンタリー部分では「事故原因の新たな真実」「生存者の証言」などを綿密に取材。遺族との信頼関係が画面からも滲み出ている。
優 秀 <静岡放送>SBSスペシャル「散華(さんげ)」 ~或る朝鮮人学徒兵の死~ †
↑プロデューサー 大森 繁 ディレクター・構成 笠井千晶 ナレーター 海川洋子
1945年5月、静岡県大井川上空で日本の戦闘機が米軍の爆撃機に体当たりを敢行。当時、その行動は「散華」とたたえられた。戦死したのは朝鮮半島出身の志願兵・河田少尉。彼の遺骨は戦後長い間、遺族に引き渡されることがなかった。彼はなぜ日本兵として戦い、遺骨が引き渡されなかったのか。番組では韓国に住む遺族への取材や豊富な資料を巧みに構成。今なお残る、隠れた戦争の傷跡を浮かび上がらせる。
優 秀 <朝日放送>また再びの海峡 ~脱北日本人妻、帰郷 埋められない半世紀~ †
↑プロデューサー 石高健次 ディレクター 宮澤洋一 撮影 高橋靖史、前田俊雄
1959年を皮切りに、日本人妻を含む、在日朝鮮人約10万人が北朝鮮へと渡った。日本での差別に苦しむ彼らにとって北朝鮮はマスコミの喧伝どおり“地上の楽園”であるかのように見えた。しかし、実際に待っていたのは厳しい思想統制や食糧危機。番組では、北朝鮮を脱出して再び海峡を渡り、日本に戻った“脱北者”の現実を追った。半世紀ぶりに会う故郷の母、姉妹、友との間にできた埋められない空白。“脱北者”の心情を引き出したヒューマンドキュメンタリーであるとともに、歴史的背景の深淵をも提示する、優れた時代の証言となっている。
優 秀 <山陰放送>命尽きるまで ~がん医療を変えた患者 佐藤均~ †
↑プロデューサー 足立 俊 ディレクター 門脇修一 ナレーター 宇田川修一 撮影 佐桑崇視
末期のがん患者である佐藤さんは報道カメラマン。確実に進んでいく病魔と闘うと同時に、亡くなる直前まで、日本のがん医療が抱えるさまざまな課題を自ら訴え続けた。佐藤さんの活動は大きな波紋を呼び、地元の島根県が抗がん剤専門医を育成する方針を固めるなど、医療行政を動かしていく。死を直前にした佐藤さんの活動に密着した映像が、命の重さを強く訴える。
優 秀 <長崎放送>ストーンウォーク ~ヒバクシャと歩む道~ †
↑プロデューサー 真島和博 ディレクター 城代奈美 撮影・編集 今里紳祐
被爆地・長崎から広島までの約600kmの道のりを、約2トンの巨大な石を引いて歩く「ストーンウォーク」が行われた。巨大な石は犠牲者の墓石を意味し、原爆犠牲者のみならず、あらゆる戦争犠牲者を追悼している。主催者の一人、アメリカの同時多発テロで夫を亡くしたアンドレアさんを中心に、彼女の活動を支えた被爆者や若者たちの心の交流を描く。原爆とテロを結びつけた問題意識が新鮮で、今後の平和運動の広がりを感じさせる。
テレビ教養番組 †
↑最優秀 <広島テレビ放送>消えた町並みからのメッセージ ~CGでよみがえる8月6日~ †

↑プロデューサー 岡原 武 ディレクター 増田?二 撮影 橋口将志 編集 道閑慎一
原爆ドームの隣、広島市猿楽町に住んでいた田邊雅章さんは、“原爆”に背を向けて生きてきたが、戦争を知らない世代がいることを実感し、失われたものを残そうと2002年、被爆前の猿楽町をコンピューター・グラフィックスで再現した。2005年には近隣の細工町の復元に取り組むが、CG制作に協力した学生から、原爆炸裂の瞬間を再現したいとの提案を受ける。それは田邊さんにとって、家族の死の再現を意味していた。
被爆体験継承の取り組みとその難しさ、辛い過去と向き合い、葛藤する姿に迫った。「あの日の出来事を忘れた時、再びあの日が訪れる」という田邊さんの言葉が心に刺さる。
優 秀 <IBC岩手放送>氷口御祝(すがぐちごいわい)、東京へ行く †
↑プロデューサー 角舘郁也 ディレクター 中村好子 カメラマン 相澤雄仁、高橋孝夫
氷口御祝は、岩手県遠野市の集落、氷口地区に伝わる祝いうた。男女が別々のうたを同時にうたい、同時にうたい終わるのが特徴だ。最近ではうたわれる機会も減ったが、その珍しさが人づてに伝わり、2005年、地区の人々でつくる「氷口御祝保存会」に東京公演の誘いが来る。メンバーは農作業後に集まり、練習に励む。
氷口の人々がうたを通じて絆を深めていく様子と、地元の文化を継承していこうという熱意が、メンバー同士の温かく、和やかな雰囲気とともに伝わってくる。
優 秀 <フジテレビジョン>人体再生ロマンスペシャルⅡ もう一度抱きしめたい!! †
↑チーフプロデューサー 岡田宏記 プロデューサー 田嶋 敦、川尻健一 チーフディレクター 佐野岳士
番組で取り上げたのは、米俳優マイケル・J・フォックス氏のパーキンソン病との闘い、人工視覚の実験に挑んだカナダ人男性、出産直後の脊髄損傷により一生歩けないと宣告された少女と母親の挑戦、事故で脳を損傷し、「悩む」という機能を失った女性――の四つの物語。最先端の医療技術による肉体の機能回復をめざした人々を克明に追った。
家族らとの絆を描くとともに、再現ドラマなどわかりやすい作りで、娯楽性も高い。
優 秀 <長野放送>NBS月曜スペシャル われに短歌ありき ~ある死刑囚と窪田空穂(うつぼ)~ †
↑プロデューサー・ディレクター 宮尾哲雄 企画・構成 山口慶吾 ナレーター 渡辺美佐子 撮影・編集 梨子田眞
番組の主人公は、「島秋人」のペンネームを持つ死刑囚。獄中で短歌を作り始めた島は、一冊の歌集を遺して世を去った。島の才能を見出したのは、日本を代表する歌人・窪田空穂。空穂が選者を務める新聞の「歌壇」に島が投稿したのを契機に、二人は書簡を交わすようになる。罪の深さと向かい合い、死におびえる島に、人生の黄昏を迎え、死を身近に感じる空穂は、歌を作りなさいと励ます。そして島は短歌の才能を開花させていく。
島の生涯と、空穂や関係者との心の交わりが、人間の可能性、命の尊さを教えてくれる。
優 秀 <中部日本放送>赤い日々の記憶 †
↑プロデューサー 藤井 稔 ディレクター 杉本幸雄 撮影 安田耕治 音声 安江正明
愛知県立刈谷東高校に通う生徒の多くは、不登校の経験を持つ。同校演劇部顧問の兵頭友彦教諭は、不登校体験をそのまま語る朗読劇への参加を呼びかけ、4人の生徒が集まる。彼らの実体験を綴った台本は、『赤い日々の記憶』と題され、上演は各地で評判となる。
元中国残留孤児の孫で、中国人の母とのこじれから不登校になった中野莉那さんは、演劇を通し、母子の関係を修復していく。卒業に向け変化していく生徒と、演劇という体験から、社会に出ても生き抜く力を体得してほしいと願う兵頭教諭の熱血指導ぶりを描いた。
優 秀 <関西テレビ放送>98%ヒト・チンパンジー ツバキ はじめての出産 †
↑プロデューサー 杉本真一 ディレクター 西山直樹 撮影 大窪秋弘 編集 赤井修二
岡山県の「林原類人猿研究センター」では、チンパンジーの「ツバキ」が出産をひかえていた。野生を知らないツバキに出産・育児を学習する機会はない。ツバキらの“個性”を受け止め、母親代わりに添い寝を続ける研究員の不破さんが、抱き方などを教えるが、予定日を過ぎても生まれない、新生児の抱き方がわからないなど、ツバキに危機は続いた。
不破さんら研究員と、チンパンジーとの付き合いが、表情豊かに捉えられている。
優 秀 <テレビ長崎>いまが消えても ~認知症と介護をめぐる記録~ †
↑プロデューサー 山本正興 ディレクター 清水輝子 撮影・編集 井上康裕
長崎県佐世保市の「グループホーム・ピア花水木」に暮らすお年寄りと、その家族の姿を通し、現在150万人にものぼるという、認知症のお年寄りとの向き合い方を考える。
「ピア花水木」には、毎晩部屋で「虫取り」をするおばあさんなど、さまざまな認知症のお年寄りが住む。その中の一人、木村キヌさんに、長崎に住む次女の恵子さんが会いに来る。考えの違いから口論になる二人、泊まりに来た翌日、恵子さんを忘れてしまうキヌさん、そんな母との今を大切にしたいと願う恵子さん――母子の心の軌跡を丁寧に追った。
テレビエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <信越放送>SBCスペシャル 平吉さんの李平(すももだいら) †

↑制作統括 岩井まつよ プロデューサー 麻山智晃 ディレクター 上條剛正 撮影 江守健治
長野県北部の山間にある小川村の奥深くに、李平という小さな集落がある。かつては13戸の農家が暮らしていたが、昭和40年代に国が過疎地の集落を平地へ移転させる集落整備事業に乗り出し、李平の住民たちも山を下りていった。しかし、故郷を捨てきれずに移住後も春から夏の間、李平に戻って農業を続けている老夫婦がいる。清水平吉さん、ふぢ子さん夫婦の1年間の暮らしを通して、生きることの意味を考える。二人の佇まいややりとりがユーモアを醸し出す一方で、過疎化と高齢化という大きな問題を突きつける秀作。
優 秀 <IBC岩手放送>菊池幸見のイワテ方言詩紀行 †
↑フプロデューサー 角舘郁也 ディレクター 中村好子 カメラマン 菅原淳一 出演者 菊池幸見
同局のラジオ番組の「方言詩の世界」というコーナーでは、県民の投稿による方言で綴られた詩を、パーソナリティが朗読している。季節感のある作品などにはスタジオを出て外で読んでみたいと思わせるものも多いことから、今回、ラジオ番組のパーソナリティをつとめる菊池幸見アナウンサーがリスナーからの作品を携え、早春の三陸海岸や冬の豪雪地帯などを訪ねて朗読した。映像と重ね合わせて読まれる方言詩が心を揺さぶる。
優 秀 <フジテレビジョン>水10!ワンナイ特別編 ゴリエ杯チアダンス全国大会優勝決定スペシャル †
↑プロデューサー 伊藤征章 ディレクター 渡辺 琢、小仲正重、神尾正宏
好きな人に尽くす姿が女性たちの共感を得て、瞬く間に番組の看板キャラクターとなった、ガレッジセールのゴリ扮する「ゴリエ」。ゴリエが番組内で披露したチアダンスが大きな反響を呼び、巷にチアダンスブームの兆しが見え始める中、「女の子なら誰でも参加できるチアダンス大会」としてゴリエ杯が誕生。予選を通過し、決勝に進出した6チームの練習風景などとともに、決勝大会の様子を伝える。目標を見つけにくい時代の雰囲気の中、みんなで一つの目的に向かって熱中したいという気持ちを捉え、実現させた企画。
優 秀 <福井テレビジョン放送>「書」を打て! ~SYO家 吉川壽一の世界~ †
↑プロデューサー 江端重政 ディレクター 小林史武 編集 斉藤佳典 構成 高橋 修
世界を舞台に大書に挑戦し続ける福井市の前衛書家、吉川壽一さん。「神童」ともてはやされて目指した書芸術の道だったが、それは常に孤独、自己との闘いだった。もがく中で見つけたのは、日本の書が本来持っていた伸びやかでしなやかな世界。彼が追い求め、伝えたいこととは・・・。形式にとらわれず、60歳を超えた今も自由奔放に生きる吉川さんのエネルギーに満ちた姿を伝えつつ、ナレーションが番組に軽やかさをもたらしている。
優 秀 <毎日放送>丑三つ亭 †
↑プロデューサー・ディレクター 長富 剛 ディレクター 遠藤伸哉 構成 武輪真人、上地茂晴
かつて、笑福亭仁鶴や桂三枝らがバラエティー番組に衝撃を与えたように、若手落語家の中からもう一度、スターが生まれてほしい――そんな夢を基に企画した番組に集められた、42人の若手落語家たち。「落語家とかけて・・・・・・ととく、その心は・・・」というたった一問のなぞかけに全員が答える。自問自答する若手落語家の姿と42種類の答えから、落語家の世界が垣間見える。即興から何かが生み出されるという期待感が番組全体から伝わるとともに、オチのつけ方など、見る側の知識をも養う要素の盛り込まれた娯楽作品である。
優 秀 <テレビ新広島>歴史発掘スペシャル ドイツからの贈りもの 国境を越えた奇跡の物語 †
↑プロデューサー 稲垣 宏、横井利行 ディレクター 朝川昭史 構成 田代 裕
およそ90年前、第一次世界大戦の捕虜として日本に連れてこられた約500人のドイツ人は、瀬戸内海・似島の収容所に暮らしながら、サッカーやバウムクーヘンなどのドイツ文化を日本に伝えた。番組では、1919年に広島で行われた幻の日独サッカー国際交流試合の写真に写るドイツ人の子孫を探しに、俳優の勝村政信がドイツを訪れる。子孫探しは困難を極めるが、何人かのイレブンの子孫がみつかり、さらに、今も日本とドイツの架け橋になっているある人物に辿り着く。着眼点が新鮮で、一つひとつのエピソードも興味深い。
優 秀 <長崎放送>唐人(とうじん)さんの龍(じゃ)がおどる †
↑プロデューサー 大田壽満夫 ディレクター 中島三博 撮影・編集 今村敏和 ナレーター 平松誠四郎
370年以上の歴史を誇る「長崎くんち」。7年に1度まわってくる「踊り町」の中で、籠町は「龍踊り」を奉納する。月に見立てた玉を龍が追いかける姿を表す龍踊りは、江戸時代、中国人の居住区だった唐人屋敷で踊られていたものを、籠町の人たちが習い覚えたのが始まりと言われている。子どもたちが奏でる唐楽拍子にあわせて、10人の龍衆たちが100キロ以上ある龍を操る様子を熱気とともに追っていく。丁寧な作りで、龍踊りの迫力や、くんちにかける地元の人の思いをあますところなく伝えている。
テレビドラマ番組 †
↑最優秀 <東京放送>広島・昭和二十年八月六日 †

↑プロデューサー 八木康夫、那須田淳 ディレクター 福澤克雄 脚本 遊川和彦 出演 松たか子ほか
広島の街で、明日の平和を信じながら、夢に向かって懸命に生きた4人姉弟がいた。母を病で、父を戦地で亡くし、産業奨励館(現・原爆ドーム)近く実家の旅館を守りながら、妹や弟の面倒を見る長女の姿を中心に、米国で原爆実験が始まった1945年7月16日から原爆が投下される8月6日までの20日間を紡いでいく。
ささやかな幸せを求め懸命に生きる市井の人々の生活を丹念に描きながら、核兵器の残酷さ、戦争の悲惨さを正面から訴える。その志は、正攻法の演出からもにじみ出ている。最新のCGを交えた精巧なセットや時代考証も丁寧。戦後60年の節目にふさわしく、現在から過去の広島を捉えようとする姿勢も大いに共感できる。
優 秀 <日本テレビ放送網>女王の教室 †
↑プロデューサー 大平 太 ディレクター 大塚恭司 脚本 遊川和彦 出演 天海祐希ほか
小学校生活最後の年となる6年生の新学期。悔いのない生活を送ろうと、期待に胸をふくらませる生徒たち。その前に担任として現れたのは、「鬼教師」の悪名高い阿久津真矢だった。真矢は、あいさつもそこそこにテスト用紙を配り、成績優先で生徒に特権を与え、贔屓や差別によって不信感を植え付ける手法で、生徒たちを追いつめていく。
小学校高学年の生徒たちと、学校という場が抱えるさまざまな問題点。センセーショナルな設定が話題になったが、あえてそうした現実を提起するために用いた作劇術に緊張感がある。子役たちの冷静な演技にも支えられ、教育問題をドラマで扱う際の新たな可能性を感じさせてくれた。
優 秀 <テレビ東京>坂本九没後20年ドラマスペシャル 上を向いて歩こう ~坂本九物語 †
↑プロデューサー 岡部紳二、岡本俊次 演出 木下高男 脚本 ジェームス三木 出演 山口達也ほか
1941年12月10日、川崎市の荷役請負業社長の長男として生まれた坂本九。第二次世界大戦末期に疎開先でやんちゃな幼年時代を過ごした彼は、後に高校時代のスカウトがきっかけで、芸能界へ。やがて、「九ちゃん」として、アイドルスター街道を駆け上がる。しかし、最愛の家族を残し、85年8月12日、御巣鷹山の日航機墜落事故で命を落とす。
坂本九という“スター”を、昭和30年~40年代の一市民が成長していく姿勢で描いた。戦時中の世相や町並みなどの青春時代が丁寧に描かれ、山口達也の飾らない演技、妻を演じたともさかりえの存在感も特筆に価する。不幸な結末がわかっている題材だが、全編のトーンも明るくやわらかで、見終わって爽やかな気分にさせてくれた。
優 秀 <WOWOW>戦後60年特別企画 祖国 †
↑プロデューサー 青木泰憲、堀 貞雄 ディレクター 堀川とんこう 原作・脚本 山田洋次 出演 上川隆也ほか
太平洋戦争で米軍の捕虜となり、脱走して南の島に住み、日本を捨てて生涯を送ることになった男と、息子の生存を信じ、帰りを待ち続けた故郷の母。戦争で引き裂かれた家族の姿を、戦地の悲劇、祖国で待つ悲劇という両面から、“絆”をテーマに描いた。
企業のリストラという現代的なテーマから、戦時中へと遡行し、後半はファンタジックな要素を盛り込んだ構成。山田洋次の意欲的でひねりの効いたシナリオを、映像で表現しようとするトライアルが感じられる。感動を呼び起こした背景には、ハリウッドで活躍した日系人俳優の草分け、マコ・イワマツの名演に負うところも大きい。
優 秀 <東海テレビ放送>光抱く友よ †
↑企画 鶴啓二郎 プロデューサー 市野直親 ディレクター 小田切正明 脚本 清水曙美 出演 前田亜季ほか
大学教授を父に持つ、引っ込み思案の優等生・相馬涼子。アルコール依存症の母親を抱え、早熟で、すでに倦怠感すら漂わせる不良少女・松尾勝美。二人の女子高生の間に芽生えた友情と、それが終焉を迎えるまでを通じて、人生の苦味を描き出す。高樹のぶ子の芥川賞受賞作を原作に、全編を瀬戸内海周辺でロケーションした。
骨格のしっかりした原作を巧みにアレンジし、好感の持てる作品に仕上がった。対照的な女性の生き方を描くのは、同局の昼ドラの定番。そのティーンエージャー版といった趣きもある。前田亜季と加藤夏希の好演もあって、どこにでもいる平凡な少女たちの、揺れ動きながらも未来を見つめていこうとする真摯な姿勢が繊細に捉えられている。
CM部門 †
↑ラジオCM 第1種(20秒以内) †
↑最優秀 <エフエム東京>味の素/企業広告「好き嫌いやめよう・ウシ」(20秒) †

↑プロデューサー 石井利始(アサツーディ・ケイ) ディレクター 林屋創一 構成・コピー 松元篤史(アサツーディ・ケイ)
「ウシの食生活。5月1日 草、5月2日 草、5月3日 草……」。しかし、人間は、さまざまな食材を調理して食することができ、それが健康につながる。だから好き嫌いしないできちんと食べよう!と提案する。動物たちの食生活を引き合いに出して、私たちの恵まれた環境を想い起こさせる企業CM。
シンプルな構成でありながら、骨太のメッセージが心地よく伝わってくる良質な作品である。
優 秀 <エフエム東京>栄光社/エアースペンサー「父の秘密 篇」(20秒) †
↑ディレクター 山口景子 出演者 小川真司(大沢事務所)、小林顕作(豪勢堂) 録音技術 越川博雅(エフエムサウンズ)
クルマの芳香剤「エアースペンサー」の特徴は「フェロモン入り」シリーズ。若者ばかりでなく、いい年をした大人も、ついつい下心から買ってしまう人気シリーズだ。父親のクルマの芳香剤がエアースペンサー「フェロモン入り」だったら……、子どもとしては微妙なものがあるだろう。そんな心理を、親子の設定で表現。商品が持つお色気的な要素を、ラジオならではの表現で上手に伝えている。
優 秀 <エフエム愛知>自社PR/「ウィスキー」(20秒) †
↑プロデューサー 中山明美 ディレクター 庫元正博(電通)、杉田幸博(アセント) 構成・コピー 佐藤大輔(電通)
3つのグラスに液体を注ぐ音。まるでウィスキーを注いでいるかのように聞こえる液体の正体は、ただの“お水”。画がないからこそ、そんな風に思い描くことができるという音の魅力を改めて伝えている。ラジオならではの“音”へのこだわりが伝わってくるとともに、リスナーにも“音を楽しんでもらいたい”というメッセージが強く込められている作品。
優 秀 <山口放送>SEISHO SUISAN/鮮魚店「イキのいい家族 篇」(20秒) †
↑プロデューサー 村田俊子 ディレクター 佐々木忠義
構成・コピー 田名瀬新太郎(フリー) 録音技術 香川慶一(KRYプロモーション)ある日の朝、家族のみんなが元気よく家を飛び出して行く。そこに「イキのいい魚を食べてると、イキのいい家族になる」というナレーション。「イキの良さ」が売りの鮮魚店を、元気な家族に置き換えて巧みに表現している。生活の中にある何気ないシーンをうまく切り取り、広告メッセージとして伝えることに成功している。
優 秀 <エフエム熊本>焼肉ぱいんひる/焼肉ぱいんひる「こころのこえ」(20秒) †
↑プロデューサー 竹内信也 ディレクター 岐部俊夫
構成・コピー 黒木史朗 録音技術 陣内稔(中央録音システム)石焼いも屋さんの「い~しや~き~いも」というおなじみのフレーズが、なぜか「い~しや~き………やきにく」に変わってしまう。それを聞いた女子高生が「焼肉食べたいんだ」と一言。わずかなコピーで構成されるCMながら、おいしい焼肉が食べたいという気持ちにさせようとする企画意図が、嫌味なく伝わってくる作品である。
ラジオCM 第2種(21秒以上) †
↑最優秀 <エフエム東京>大塚製薬/カロリーメイトゼリー「時報の女」(90秒) †

↑プロデューサー 林屋創一、林尚司(電通) ディレクター 中山佐知子(ランダムハウス) 構成・コピー 上田浩和(電通)
もし電話の時報サービスが“生放送”だったら……。そんなありえないシチュエーションでCMは展開する。24時間、10秒単位で“時”を伝え続ける女性担当者に、「10秒でとれる食事」がうまくマッチする。
ありそうで、ありえない展開が、インパクトのあるCMを作り出しているとともに、CMのエンタテインメント性においても高い評価を得た。
優 秀 <エフエム東京>コスモ石油/コスモ アースコンシャスアクト クリーン・キャンペーン「もったいない 篇」(90秒) †
↑ディレクター 山口景子 アイディア・企画 小川信(フリー)
出演者 本間憲一(プランニングクレア) コーディネイト 服部誠二環境保護のキーワードとして認知された感のある「もったいない」。この言葉は、日本中にさまざまな方言がある。そこで、全国各地で行われた〈クリーン・キャンペーン〉ゴミ拾いの会場で、各地の「もったいない」を集めて、CMとして構成した。方言のバリエーションの豊かさが、日本人の「ものを惜しむ文化」を象徴している。丁寧な取材を重ね、完成度の高いCMとなっている点が評価された。
優 秀 <エフエム愛知>河合塾/学習塾「子守歌」(70秒) †
↑プロデューサー 中山明美 ディレクター 庫元正博(電通)、杉田幸博(アセント) 構成・コピー 岡部将彦(電通)
深夜皆が寝静まった部屋でひとり勉強に励もうとする彼。しかし、彼が実行している効率の上がらない方法では、何もかもが子守歌につながってしまい、眠気ばかりが押し寄せてくる。そして結局は「明日にしよ」と諦めてしまう。河合塾ではそんな眠気が起きない、“目の覚める”ような授業に出会えるとPR。素直に聞いて楽しいCMとなっており、音楽の使い方もうまい。
優 秀 <朝日放送>トーホー/トーホーコーヒー「マスターのこだわり」(60秒) †
↑プロデューサー・ディレクター・構成・コピー 大西寿典 ディレクター 野本友恵 構成・コピー 橋本昌人(フリー)
“カラダに良い”といった機能性食品が花盛りの今、あえて「コーヒー」という嗜好品の持つ、贅沢で、無駄であるけれど、豊かなもの、という文化性をアピールした。関西在住の喫茶店のマスターの語るうんちくが、コーヒーの持つ“非機能性=魅力”を伝えている。オーソドックスなCMの構成が、一層、商品の信頼性を高めている。
優 秀 <南海放送>松下電器産業/ナショナル、ザ・ノンフロン冷蔵庫「ももこちゃん一家合唱団」(55秒) †
↑プロデューサー 戒田節子 音楽・サウンドエフェクト 山本太郎(フリー) 録音技術 和田耕一(ケイズミュージック)
番組制作担当の戒田節子アナウンサーが、1人で「ももこちゃん一家」のももこ、お兄ちゃん、お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんを演じるシリーズCM。商品の特徴である“環境にやさしい冷蔵庫”を、「ももこちゃん一家」のオリジナルソングで表現し、楽しく伝える。オリジナルソングのインパクトに頼るだけでなく、商品内容を的確に伝えることにも成功している作品である。
テレビCM †
↑最優秀 <中部日本放送>パール写真/「立ち寄りたくなる写真屋さん」(60秒) †

↑プロデューサー 斉藤龍昭 ディレクター 森合康行
音楽・サウンドエフェクト 今井志のぶ(東海サウンド) 撮影 川瀬荘司(東海ビデオシステム)三重県四日市市のパール写真は、須藤さん夫婦が営む老舗の写真屋さん。大の金魚好きのご主人、須藤順一さん(88歳)は、10年前に買った小さな金魚を大切に育て、コイと見間違えるほどに大きく成長させた。順一さんは、60年間連れ添った三世子さん(82歳)のことも大好きで、2人の仲の良さが懐かしい雰囲気の漂う店の中に充満している。
お店が醸しだすほのぼのとした空気をうまく表現し、特に用事がなくても、立ち寄りたくなる気持ちにさせてくれる完成度の高いCMである。
優 秀 <静岡放送>自社PR/SBS地上デジタル開局キャンペーン「侍 篇」(60秒) †
↑プロデューサー 大越毅彦(スプーン) ディレクター 川西純(電通テック)
アイディア・企画 小松直樹(電通) クリエイティブディレクター 岡村雅子(電通)モニターに映る時代劇。若者がテレビを消そうとすると、突然、テレビの中の侍が「消すの待った!」と語り出す。「サッカーは好きでしょう?」「音楽はいかが?」と若者の興味を惹こうとするが、結局、テレビは消されてしまう。すると、消えたはずのモニターから、実物の侍が出てきて一言、「デジタル放送でどうじゃ!」。地上デジタル放送へ取り組む放送局の意気込みが、ストレートに表現された力作である。
優 秀 <読売テレビ放送>自社PR/10チャンネルキャンペーン「じっちゃん寝る」(15秒) †
↑プロデューサー 田中健詞(ハイスクール) ディレクター かすがいのぞみ(博報堂)
音楽・サウンドエフェクト 田中靖康(スタジオ・ナチュレーザ) 撮影 森下直樹昨年から展開しているチャンネル告知キャンペーンの一環。今回は、縁側でうたた寝するおじいさんの映像が淡々と映し出され、最後に《10》のスーパーとともに、“10チャンネル(じっちゃん寝る)”というナレーションが入る。駄洒落とあまり動きのない映像というシンプルかな演出が、かえって視聴者に大きなインパクトを与えた作品として、高く評価された。
技術部門 †
↑最優秀 <フジテレビジョン>超高速カメラリモートシステム「S-DASH」の開発 †

↑研究・開発担当者 武田 篤
円盤型サーボモーターをパン・チルトの両軸に組み込み、毎秒360度の最大動作速度を実現するとともに、さまざまな中継現場で必要な静粛性と繊細な動作性能を兼ね備えたリモコンカメラ雲台システムを開発・実用化した。
これにより、高速のレーシングマシンを近距離でシームレスに撮影するなど、従来にない映像表現が可能となり、テレビ制作技術の高度化に大きく貢献した。
優 秀 <北海道放送>「ヘリコプター用 送電線鉄塔警告システム」の開発 †
↑研究・開発担当者 桂 信生
航空局から提供された「送電線に関する基礎データ」を活用し、ヘリコプター付近の送電線および鉄塔を電子地図上に表示し、リアルタイムに警告表示を行うシステムを開発・実用化した。
これにより、ヘリコプターの安全運行にとって有効なツールが提供され、報道・中継支援技術の向上に貢献した。
優 秀 <札幌テレビ放送>マルチユース対応TS法定同録サーバーの開発 †
↑研究・開発担当者 味藤敏弘、近藤定紀、原 敏志
地上デジタルテレビ放送のフルTSを3か月分収録するRAIDサーバーシステムを安価に構築し、メディア交換が不要で、検索性・操作性・メンテナンス性に優れたTS同録装置を開発・実用化した。
これにより、法定同録を効率的かつ簡単に行うことが可能となり、局内業務の効率化に貢献した。
優 秀 <日本テレビ放送網>わんこそば方式によるリアルタイム字幕制作システムの開発 †
↑研究・開発担当者 鈴木寿晃、坂口裕直、菊地秀彦
従来の字幕制作方式の課題等を踏まえ、音声認識によってテレビ音声の文節を切り分け、字幕の作成作業を自動的に分散することにより、誰でも簡単に校正できるリアルタイム字幕制作システムを開発・実用化した。
これにより、従来よりも質・量共に高いレベルの字幕をリアルタイムで制作することが可能となり、社会的ニーズの高い字幕放送の発展に貢献した。
優 秀 <テレビ朝日>オンラインテロップ発注システムの開発と運用 †
↑研究・開発担当者 横田慶太、小山恭司、小林宏嗣、松田 実
従来の紙ベースの運用を一新し、テロップをパソコンからWebブラウザ経由でオンライン発注し、担当部署で受注処理から作画・校閲・集計までを一貫して行うシステムを開発・実用化した。
これにより、テロップ制作時間の短縮、正確性の向上、コスト削減をあわせて実現し、テロップ制作業務の効率化に貢献した。
優 秀 <朝日放送>HD-SDI分配のための低コスト光ボックスの開発 †
↑研究・開発担当者 香取啓志、初田和彦、赤藤倫久、中山 裕
光通信で広く利用されるスターカプラーに着目し、HD-SDI信号を光信号に変換して分配した後、電気信号に再変換するという発想により、低コストの光分配ボックスを開発・実用化した。
これにより、局内などの映像分配システムが低コストで実現可能となり、設備構築の効率化に貢献した。
優 秀 <読売テレビ放送>フラッドライトの開発 †
↑研究・開発担当者 窪内 誠
二重ガラス管の電球を採用するとともに、灯体を高効率でかつ軽量にするなどの工夫をこらし、さらに故障の多い部分をカートリッジ化して交換を容易にしたフラッドライト(広範囲を均一に照射する照明)を開発・実用化した。
これにより、フラッドライトの安全性、照度、操作性を大きく向上させ、照明設備の高度化に貢献した。
特別表彰部門 †
↑青少年向け番組 †
↑最優秀 <テレビ金沢>ラララ白山 ~かつ先生のふしぎ教室~ †

↑プロデューサー 金本進一 ディレクター 中 武守、橋本 哲 撮影 窪 克秀
石川県のシンボル、白山の広大なフィールドを教室に見立て、子どもたちに大自然の素晴らしさを知ってもらおうと、2004年からスタートした番組。案内役は、元教師で白山市教育委員会の“かつ先生”こと尾張勝也さん。「自然こそが最高の先生」を合言葉に、白山の動植物や地質、気象などの「ふしぎ」を題材に、子どもたちがさまざまなチャレンジを繰り広げる。
地域に立脚する放送局が、足元にある大自然を格好の教材として活用し、自然と触れ合うことで、生きることの大切さや素晴らしさを体験的に学習していく姿勢が秀逸だ。かつ先生と生徒たちが、体を使って“一緒に楽しむ”機会を育んでいくことそのものが、現在の家庭や教育現場、メディアにとって貴重な提言となっている。
優 秀 <新潟放送>トントンあったと にいがたの昔ばなし †
↑プロデューサー 加藤真理子、南加乃子、金 正廣 監督 小華和ためお
かつて昔話の宝庫と言われた新潟だが、囲炉裏端でお年寄りから“語り”を聞かせてもらう光景は失われ、子どもだけでなく大人もまた、昔話に触れる機会は少なくなった。そこで、県内に伝わる昔話をアニメーション化し、親子で親しんでもらおうと、2003年から毎年1クール分(13回)を制作・放送している。現在、1回2話構成で、動物と人間の話、人情味あふれる話、教訓話やファンタジーなどをバランスよく紹介している。
素朴ながらも絵画的で温かみに満ちた映像と色彩は、キャラクターに毒され、健全な美意識が育ちにくい昨今の子どもたちにとって貴重だ。地域に伝わる民話や方言にこだわり、それを大切にする姿勢も地方局ならでは。こうした試みが全国に広がることを期待する。
優 秀 <中京テレビ放送>でんじろう先生の日曜実験室 ラブラボ! †
↑チーフプロデューサー 瀬古隆司 プロデューサー 後藤和史 ディレクター 杉山一郎
大人から子どもまで幅広く楽しめる科学実験番組として、2006年4月にスタート。 子どもたちには、実験や実演を通じて、納得したり、失敗することから科学への興味を持ってもらう。大人たちには、子ども時代の好奇心にあふれた気持ちを思い出し、子どもたちとのコミュニケーションを深めてもらう。この二つがコンセプト。提出作は、空気砲の実験を通じて、「空気を目で見よう」というもの。
案内役の米村でんじろう先生(サイエンスプロデューサー)の、ほのぼのとしたキャラクターに負うところも大きいが、思わず子どもと一緒に試してみようと思わせる好企画で、科学するための素材が身近なところにいくらでもあることも教えてくれる。
優 秀 <山口放送>いきいき!夢キラリ 先生 ~本当に教えたいこと~ †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ディレクター 佐々木聰 ナレーター 中谷隆宏 撮影 山本透、善甫義隆
「先生になりたい」。そんな夢をひたすら追い続け、土木作業員をしながら通信教育で教員免許を取得、36歳で初めて小学校教員となった平尾寛さんの姿を追った。初めて教壇に立った日から、ベテラン教師から厳しい指導を受けながらの研修期間、さらに子どもたちとの間に信頼と交流が生まれるまでの過程を丹念に見つめながら、教育現場に必要とされる夢と理想や熱意を浮き彫りにした。
子どもたちの言葉や表情が生き生きと捉えられ、平尾先生の「教師は最高の仕事」という言葉に勇気づけられる。親と子だけでなく、現職の教員にもぜひ見てもらいたい。
優 秀 <TVQ九州放送>未来の主役 地球のこどもたち 2006スペシャル †
↑プロデューサー 渡辺 博、宮田文男 ディレクター 有隅俊治、寺村和敏
世界で生きる子どもたちを取材し、週1回、5年にわたって放送してきたレギュラー番組。アクロバットチームで夢を追う少年(フィリピン)、家畜とともに生きる遊牧民の少女(モンゴル)、生まれながらに障害を持つ少年(日本)の三つのエピソードを集大成。
スタッフ全員が小学生の子どもを持つ父親で、子どもたちと接しながら感じたことや教育現場への想いをメッセージに込める。自分たちの知らない世界を、居ながらにして知ることのできるテレビの醍醐味に満ちており、“思いやりの気持ち”や“自分の力で生きること”の大切さが映像から伝わる。レギュラー番組での長期にわたる活動も評価に値する。
放送と公共性 †
↑優 秀 <テレビ東京>メディアリテラシー †
↑実施責任者 替山茂樹
メディアリテラシーといえば子どもに対する活動、との先入観を捨て、「わかっているつもりなのに、ついついメディアからの情報の吟味を怠ってしまう」大人に向けた、斬新な企画。事績と連動した番組では、様々な手法を駆使して「送り手自身が原点に帰って放送の公共性を考え直す」ことに重点を置いており、さらに公式番組サイトや制作スタッフのブログなども用いて、インターネットのメディアリテラシー企画にも挑戦している点が高く評価された。
“実は、大人にこそメディアリテラシーの向上が求められているのではないか”との問いかけがストレートに伝わってくる、優れた取り組みである。
優 秀 <朝日放送>社会を動かしたアスベスト報道 †
↑実施責任者 石高健次
現在、大きな社会問題となっている「アスベスト被害」について、その発端となるスクープの報道だけにとどまらず、その後も丁寧な取材活動を行い継続して放送、全国にこの問題を知らしめることとなった。この一連の取り組みにより、放送には、国や行政を動かしていく力があることを示し、被害者救済の道を開いた点は、放送が持つべきジャーナリズムであり、それは「公共性」のひとつの形であるとの高い評価を得た。アスベストは粉塵の吸引から30数年の潜伏期間を経て、中皮種などの癌を発症する。これから将来にわたって続いていく問題であり、これからも継続した取り組みが期待される。
優 秀 <読売テレビ放送>震災を知らないこどもたちへ…映像教材「ビジュアル版 幸せ運ぼう」の制作 †
↑実施責任者 藪田正弘
阪神・淡路大震災から10年以上の歳月が流れ、今では、“震災後”に生まれた子どもたちが中学生になっており、いかにして震災の教訓や経験を次の世代に伝えていくかが、大きな課題となっている。そこで、行政や教育関係者と協力し、教育の現場で活用できる素材を、放送局の持つ膨大な映像資料を駆使して作成、神戸市の全中学校に無料配布して授業で活用している。これは、放送局にしかできないこと、放送局だからこそやれることであり、放送の持つ可能性を充分に示した、優れた取り組みであると高く評価された。映像の持つ力が教育の場で活かされており、未来へのメッセージが込められている活動である。
優 秀 <山口放送>ふるさとの自然とともに 環境美化30年の取り組み †
↑実施責任者 山浩介
美しい自然に恵まれた地元の環境を守るために、キャンペーン・スポットおよび番組の継続的な放送や、ハイビジョン映像による記録など、放送を通じた活動だけでなく、財団を設立して地域の環境美化を進める団体・個人への助成活動なども行っており、長年にわたって多角的に取り組んでいる点が高く評価された。地域をいかに重視し、コミュニティに役立つか ―― 環境問題への取り組み方の、ひとつの方向性を示したものと言える。地域の自然の素晴らしさを伝えるだけでなく、将来へ向けた取り組みも示されており、その方向性・継続性も高い評価を得た。
優 秀 <九州国際エフエム>アジア若者文化交流事業 †
実施責任者 坂田隆史
アジアの玄関口である福岡にある放送局として、アジア各都市との連携を深めながら、福岡が「アジア若者文化交流拠点」となるべく、様々な番組・事業を展開している。その中でも、アジア各国を丹念に取材し、地元の放送局とのネットワークを構築した点や、アジア各都市で開催される音楽イベントに福岡のミュージシャンを発掘して参加させるなど、共通言語とも言える「音楽」を媒介に活発な文化交流を実現させている点が高く評価された。また、放送だけにとどまらず、多言語ウェブサイトの運営など、その発展性も高い評価につながっている。