表彰番組・事績
日本民間放送連盟賞/2010年(平成22年)入選・事績
平成22年日本民間放送連盟賞 ”NAB Awards 2010” 入選・事績
- 番組部門
- CM部門
- ラジオCM 第1種(20秒以内)
- 最優秀 <エフエム熊本> みのる企画 焼肉屋元気カルビ/熊本の男に育てる!(20秒)
- 優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> アートファニチャー 職人技 篇(20秒)
- 優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 読売新聞東京本社 読売新聞 編集手帳/選ばれた言葉 篇(20秒)
- 優 秀 <文化放送> 川光物産 玉三(たまさん) 白玉粉/大当たり(20秒)
- 優 秀 <エフエム東京> セコム 留守番電話(20秒)
- 優 秀 <朝日放送> 日本製粉 オーマイまぶして焼くだけからあげ粉/楽しいフライパンの世界(20秒)
- 優 秀 <和歌山放送> 和歌山県国民健康保険団体連合会 特定健診受診促進/「特定健診」とかけまして(20秒)
- ラジオCM 第2種(21秒以上)
- テレビCM
- ラジオCM 第1種(20秒以内)
- 技術部門
- 特別表彰部門
番組部門 †
↑ラジオ報道番組 †
↑最優秀 <山形放送> 飲むか、生きるか~断酒会につながって~ †
↑プロデューサー 伊藤清隆 ディレクター 青山友紀 録音・編集 伊藤善隆
山形に住む諸川幸二さんと倫子さん夫妻を結びつけたのは、断酒の経験だった。「アル中」という偏見をもって見られがちなアルコール依存症だが、実は飲酒の欲求を抑えきれなくなる病である。番組は、依存症に苦しんだ倫子さんの体験と、酒害体験を語り合うことで依存症から回復するための断酒会の活動を中心に取り上げる。「依存症は治癒はできないが、回復はできる」という専門家の発言も紹介され、希望のメッセージを感じることができる。地元の問題を発掘した構成のしっかりした作品である。
優 秀 <文化放送> 文化放送スペシャル にいちゃんのランドセル 悲しい記憶・やさしい気持ち †
↑プロデューサー 奥山拓也 出演・朗読 平松愛理 企画立案 関根英生 構成 山崎 純
阪神・淡路大震災から15年。「悲しい記憶を風化させない」ために制作された作品。震災で被災した家族を取り上げた児童書『にいちゃんのランドセル』(城島充著)を、神戸出身のミュージシャン・平松愛理が朗読する。震災当時の文化放送報道部の現地取材音や、現在のその家族へのインタビューなどを交えて構成。こうした悲劇が6,400人分あったことを実感させる番組である。
優 秀 <山梨放送> YBSラジオスペシャル ぼくらは農業で幸せになる~農業生産法人サラダボウルの農業革命 †
↑プロデューサー 浅川俊介 ディレクター 石川 治 ナレーター 塩澤未佳子
外資系保険会社の敏腕営業マンから農業に転身した田中進さんに焦点を当てて、日本農業の未来へのヒントを考える。田中さんが6年前に設立した農業生産法人サラダボウルでは、消費者目線でのモノづくり、生産管理方式として提唱される5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の導入、農業ができる身体づくりをめざすエクササイズなど、新しい試みが次々に行われている。ユニークな人物を丁寧に取材した番組で、閉塞感のある日本のなかで未来を感じさせてくれる。
優 秀 <北日本放送> 阿吽の呼吸の真実~生と死のはざまで~ †
↑プロデューサー 桐谷真吾 ディレクター 数家直樹 ナレーター 武道優美子 編集 荒山知徳
射水市民病院で発覚した人工呼吸器取り外し問題を、当事者である伊藤雅之医師への長時間インタビューなどをもとに検証した番組。2006年3月に地方紙一面トップで報じられた直後の過熱した取材の状況や、殺人容疑で書類送検された伊藤医師が2009年に不起訴になったことを紹介する。バッシングされた人物の言い分を伝えている点が貴重であり、終末期医療のあり方が問われるなかで、生と死の境目を改めて考えさせる作品である。
優 秀 <和歌山放送> ほんまもんの幸せを求めて~こどもの寺・童楽寺(どうがくじ) †
↑プロデューサー 柘植義信 ディレクター・取材 小川真由 ナレーター 寺門秀介
過疎地の若い住職・安武隆信さんは、自身の子どもが生まれたことをきっかけに、「こどもの寺・童楽寺」を2007年につくった。安武さんは、県の認定を受けた里親として、不登校に悩んだり、虐待を受けたりした子どもたちを預かっている。子どもたちの暮らしから、子どもは社会が育てるということが感じられる。無事に高校進学した子どもだけでなく、非行に走ってしまった子どもも描くことで、この問題の難しさを伝えている。
優 秀 <広島エフエム放送> 特別番組「音が消えた街~あの日、広島・長崎は~」 †
↑プロデューサー 山本幹雄 ディレクター・出演 笹原綾乃 制作協力 佐藤伊佐雄 出演 藤原新也
映画カメラマンの関口敏雄さんは、原爆投下直後の長崎を「まったく音のない世界」とかつてラジオで語り、写真家・藤原新也さんはこの言葉をエッセーに書きとめた。エッセーをきっかけに、24歳の女性ディレクターが改めて原爆の問題を考えようとこの番組を企画した。関口さんや被爆者へのインタビュー、広島を初めて訪ねた藤原さんへの同行取材をもとに構成される。原爆の怖さが無音のイメージをとおして伝わってくる作品である。
優 秀 <九州朝日放送> この命救済に捧ぐ~カネミ油症42年 被害者たち闘いの記録~ †
↑プロデューサー 濱田克則 ディレクター 花田明男 編集 日野香織 録音 中嶋知広
1968年に発生したカネミ油症事件の被害者は1万4,000人に上るといわれるが、被害者への公的な救済は行われていない。番組は、7年前に油症と認定され末期ガンを患う嶽博幸さん、油症と思われる症状が子どもに現れた認定患者の下田順子さんの2人をとおして、救済を求める患者たちの姿を描く。被害者救済法制定の動きが国会で始まっているが、未認定患者の認定などをめぐり課題は多い。未解決の問題を丁寧に追った報道番組である。
ラジオ教養番組 †
↑最優秀 <静岡放送> SBSラジオギャラリー It's a wonderful world~心は伝わる~ †
↑プロデューサー 伊藤圭介 ディレクター 菊池 勝、菅原智里 ナレーター 中村こずえ
登場するのは視覚に障害を持つ人たち。視覚特別支援学校に通う間千夏さんは、小学4年生の時に投稿したメッセージが読まれたことでそれまで以上にラジオに興味を持ち、スタジオ見学にも訪れた。中学2年生の今は一人で校内放送のパーソナリティを務める。37歳で中途失明した全盲のイラストレーター・エムナマエさんは、現在もイラストレーターとして活躍している。日常の番組に寄せられた1通の手紙から始まったパーソナリティとリスナーとの心のつながりや中途失明者が語るそこに至る体験などを通じて、障害のとらえ方や音だけのラジオがこれから目指すべき方向や可能性が浮かび上がる。作り手の問題意識がまっすぐに反映され、リスナーの参加意識を喚起する。
優 秀 <青森放送> 津軽弁の日 in 東京 †
↑プロデューサー(構成・演出・出演) 伊奈かっぺい ディレクター 渡辺英彦 出演 田中耕一 音声 山崎秀尊
青森県の民間文化活動団体「津軽弁やるべし会」は、津軽弁による俳句、川柳、短歌、詩、体験記を募集し、年に一度青森で「津軽弁の日」を開催し、作品を紹介している。番組は、同会が2010年12月の東北新幹線全線開業を前にこれまでの傑作を引っ提げて行った東京公演の中継録音。観客の多くは青森県出身者やゆかりのある首都圏に住む人たち。そこで披露される津軽弁による作品に笑い、涙した。番組は公演の熱気とともに津軽人の遊び心と熱意を伝えている。津軽弁が分からない人にも面白さは伝わり、一般的なイメージとは異なる東北の明るさも感じられる。
優 秀 <エフエム東京> Panasonic Melodious Library †
↑プロデューサー 砂井博文 ディレクター 氏家美佳 構成 野村康子 出演 小川洋子
作家・小川洋子がパーソナリティを務めるFM的文学ガイド番組。「文学」と「音楽」の遭遇による、作品の世界観にふさわしい音楽も届ける。101冊目を紹介する記念となった今回は太宰治の『人間失格』を取り上げ、読み継がれている作品の魅力に迫っている。また、肉筆原稿が出版されていることにも注目し、推敲の跡から作家の苦悩を読み取ろうとしている。短い番組だが、2週間先までの番組で取り上げる作品を紹介しており、読書体験を促すという目的が明確に感じられる。
優 秀 <北陸放送> 鶴彬(つる あきら)生誕100年特別番組「暁を抱いて闇にいる蕾」 †
↑プロデューサー 園田 誠 ディレクター・企画・構成 川瀬裕子 企画・構成 八田静輔 技術 山崎正敬
昭和初期、民衆の立場で反戦・反権力の「川柳」を詠み続けた石川県出身の川柳作家、 鶴彬。その句から当時の世相をうかがい知ることができる。彼は自由・平和・平等を希求し、プロレタリア川柳を貫いた末に、自分の信条を曲げず治安維持法で検挙され、29歳で短い生涯を閉じた。番組は彼の詠んだ句から時代を振り返り、彼がどう生きたのかをたどる。権力に媚びることのなかった生き方が丹念に調べられており、制作者の志の高さを感じさせる。
優 秀 <エフエム大阪> 運転代行~50年の歴史と50年後の未来ビジョン~ †
↑プロデューサー 須田 淳 ディレクター 藤田 建 出演 庄司 悟
飲酒運転撲滅を目指す「STOP! DRUNK DRIVING (=SDD) プロジェクト」を展開する同社のDJが、プロジェクトに密接に関連している「運転代行」が現在直面している問題などを業界のパイオニアや利用者たちのインタビューを交えてリポートする。運転代行業が定着している富山県の事例を参考に、まだ利用頻度が低い関西地区における問題点を明らかにし、運転代行の50年の歴史とこれからの課題をうまく分析している。
優 秀 <山口放送> 名のない人間として~日系移民詩人 加川文一の足跡~ †
↑プロデューサー 藤田史博 ディレクター 村田俊子 ナレーター 国本泰功 詩の朗読 渡辺三千彦
太平洋戦争中にアメリカ西海岸に設けられた日系人強制収容所の中では文芸活動が盛んに行われていた。カリフォルニア北部にあった「ツールレーク強制収容所」では、同人誌『鉄柵』が発行され、中心をなしたのが山口県出身の加川文一という人物だった。ほとんど知られていない彼の足跡を、ゆかりのある人たちが語るエピソードによって浮かび上がらせ、聴く者を引きつけている。
優 秀 <熊本放送> おじいちゃんの三池炭鉱 †
↑プロデューサー・ディレクター 中山 直 原作・脚本 村上雅通
日本の近代化をけん引した石炭産業を底辺で支えた人たちを描いたラジオドラマ。「復坑祭」でにぎわう史跡「万田坑」を訪れた東京の女子大生。彼女の目的は、与論島から移り住んだ祖父の半生をたどること。手がかりは、三池闘争が始まったときに写された一葉の写真のみ。ゆかりの人たちを訪ねるうち、彼女は日本の近代化の影の部分を知ることになる。語り継ぎたい社会史的問題をドラマ化することで分かりやすく伝えている。
ラジオエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <高知放送> 中四国ライブネット「高知発!土佐のカツオは美味いぜよ」 †
↑プロデューサー 井津葉子 ディレクター 越智義久 出演 土佐かつお、永見佳織
カツオの本場である高知県は、カツオの消費量が全国1位。スーパーでも新鮮なカツオが手に入り、県民は「高知のカツオ文化」にこだわりを持っている。身が温かいまま食べる「塩タタキ」をはじめとするカツオの料理方法や、地球環境にも配慮した「土佐の一本釣り」という伝統漁法など、カツオをめぐるエピソードを縦横無尽に紹介していく。番組に登場するゲストがいずれも魅力的な人物で、地元愛に溢れている。
優 秀 <IBC岩手放送> ダイスキ!イワテ!~外国人と作るいわての未来予想図~ †
↑プロデューサー 姉帯俊之 ディレクター 高橋典子 進行 照井 健、水越かおる
岩手県内に住む外国人の数は年々増加しており、同じ地域に住む者どうし、協力しあって生きていかなければならない。世界各地からやってきて、現在岩手で生活している8人の外国人がスタジオに集まり、住んでみて驚いたことや外国との習慣の違いを語り合う。それぞれのエピソードがいずれも興味深く、誰もが暮らしやすくするためのヒントがちりばめられている。進行役がゲストを的確にフォローし、番組をさらに充実させている。
優 秀 <日経ラジオ社> ラジオがやってくる! 谷川俊太郎と自由学園の子どもたち †
↑プロデューサー・ディレクター 本多麻記子 スーパーバイザー 小西勝明 技術 隈元 聡 出演 谷川俊太郎
詩人の谷川俊太郎さんが、自身の詩の世界観を表現した音楽会の模様を伝える。谷川さんの表現豊かな朗読や、ハーモニカとピアノの音の重なりが伝わってくる。何よりも子どもたちと谷川さんとのかけ合いが楽しく、子どもたちと真剣に対決しようとする谷川さんのキャラクターも魅力的。群読や合唱による会場の一体感は、出演者と児童が奏でる和音となる。詩を読み、聴き、遊ぶ楽しさが実感でき、ラジオと詩の相性のよさを感じさせてくれる。
優 秀 <静岡放送> 出でよ!時代のニュースター †
↑語り 田辺一邑 プロデューサー 小松正治 ディレクター 佐野有利
音楽ソフトの市場規模が縮小している。CDショップは次々と閉店し、かつては1年に何作も飛び出したミリオンセラーも減ってしまった。なぜCDの売り上げが減少してしまったのか、なぜ時代を象徴する音楽が生まれないのか。原因はデジタル機器やテクノロジーの発達だけではなく、人間どうしのコミュニケーション不足にもあるのではないか。現在なお多くの人々に支持されるビートルズの存在に思いをはせながら、新たな時代を背負うニュースターの登場を期待する。
優 秀 <東海ラジオ放送> 大根列車~汽笛は時空を超えて~ †
↑プロデューサー 角田功治 ディレクター 松波宏治 脚本・演出 麻創けい子 技術 坂口雅之
尾張地方は江戸時代から知られた大根の産地。第2次世界大戦中、保存食として切干し大根やたくあん漬けが量産され、中国大陸へ送るための「大根列車」と呼ばれる特別列車が東海道線を走った。大根列車という昭和の庶民の歴史を、一人息子を戦地に送り出した夫婦の物語で再現する。自分が作った切干しやたくあんを大根列車に載せることが夢だった、子の帰還を待つ夫婦。映像では描けないラジオならではの世界が浮かび上がる。
優 秀 <エフエム大阪> 阪神なんば線開通1周年記念ラジオドラマ~三月の花嫁 on ドラマティックロード †
↑プロデューサー 山本 靖、大久保佳昭 脚本・演出 武尾秀幸 音響 染井康孝
2009年3月20日、阪神なんば線開通。近鉄電車と阪神電車が「大阪難波駅」でつながり、神戸から奈良までを直通電車で行き来できるようになった。今まで行き来が乏しかった神戸と奈良、そしてそれをつなぐ大阪なんばに、新たな人の流れとドラマを生むことになる。奈良に住むさくらと尼崎に住むフィアンセの太一郎にも、結婚式に至るまでに阪神なんば線沿線を舞台に様々なドラマがあった。沿線の実在のショップやグルメの魅力を随所に織り込み、テンポよくストーリーが進行する。
優 秀 <琉球放送> 琉球放送創立55周年記念 Yuka Takara Broadway Night In OKINAWA 2009 †
↑プロデューサー 比嘉京子 ディレクター 比嘉奈津子 ナレーター兼イベント司会 狩俣倫太郎 出演・MC 高良結香
ブロードウェイの舞台で活躍するミュージカル女優・シンガーの高良結香さんが、ふるさとの沖縄の人々にブロードウェイの風を伝えたいという想いから「Yuka Takara Broadway Night In OKINAWA 2009」を実現させた。彼女の呼びかけで集まった本場ブロードウェイで活躍を続けているメンバーによる「歌」のステージを、観客の興奮とともにリスナーに届ける。一流アーティストによる圧巻のパフォーマンスに思わずリズムをとり、心で踊ってしまう。
ラジオ生ワイド番組 †
↑優 秀 <青森放送> あおもりTODAY 情報新鮮!筋野商店「竹山ありがとう」 †
↑プロデューサー 渡辺英彦 ディレクター 工藤美緒子 出演 筋野裕子 音声 中田康浩
あおもりTODAYは月~金/11時55分~16時の放送。「情報新鮮!筋野商店」は毎週木曜日の放送で、筋野アナが「店主」を務める趣向。この日は三味線奏者・高橋竹山生誕100周年の記念特番として、一番弟子の西川洋子さんらが出演。青森市内で行われた「竹山ありがとう会」の模様やリスナーから届いた竹山の思い出を紹介した。竹山が門付けをしていたころや亡くなる直前のエピソード、竹山が吹いていた鳥の声や笛の音など珍しい音源も紹介。竹山の幅の広さや自然に依拠した感性を存分に伝える。
優 秀 <J-WAVE > ~JK RADIO~TOKYO UNITED †
↑プロデューサー 松尾健司 ディレクター 桐山直人、坂本彰範 構成 入江たのし
金曜日/6時~11時30分の放送。ジョン・カビラがナビゲーターを務め、人と人、人と社会、人と世界をUNITEしていく。この日は番組中にマイケル・ジャクソンの訃報が飛び込み、番組内容を変えながら、「世界の今」を驚きと悲しみを持って共有し続けた約5時間の生放送となった。現地ロサンゼルスの通信員やラジオ局への取材、リスナーからのリクエストやマイケルに対する思いなどを随時紹介。生ワイド番組が KING OF POP の死とどう向き合ったかというドキュメントでもある。
優 秀 <静岡エフエム放送> K-MIX 2ストライク1ボール †
↑プロデューサー 久保田克敏 ディレクター 安原明子 パーソナリティ 廣木弓子
月~木/13時~15時55分の放送。野球でピッチャー有利のカウントになぞらえたドキドキ感満載の生ワイド番組。リスナーからの口コミ情報をもとに、取材、電話出演のアポイントも番組と同時進行の、ラジオならではのリスナー参加番組。この日のテーマは「古き良き日本の面影…古民家スポット」。「古民家を使ったカフェやショップが多い気がする」「価値が見直されているのではないか」などという話が実際にはどうなのかをリスナーに聞いてみた。公開スタジオの雰囲気も定着し、口コミ情報で展開する構成が具体的で楽しい。
優 秀 <岐阜放送> 月~金ラジオ2時6時「あんきに元気に暮らそまい」 †
↑プロデューサー 木村公一 ディレクター 竹林良樹 出演 本地洋一、吉田早苗
月~金/14時~17時55分の放送。「小笠原先生のあんきに元気に生きよまい」は月に2回放送するコーナー。「あんきに」は「気楽に、リラックスして」、「~まい」は「~しましょう」の意。小笠原医師が、病気になって体が弱っても住み慣れた自分の家で最後まで充実した生活を送る方法をアドバイスする。今回は4時間の番組を通じて「人生の最後をどこで迎えたいか」という設問に寄せられたリスナーの意見をもとに構成。「在宅医療」「在宅ホスピス」を紹介した。「老いる」「病む」「死ぬ」という避けがたくも難しいテーマを、レギュラー枠化していることも評価された。
優 秀 <毎日放送> 上泉雄一のええなぁ! †
↑プロデューサー・ディレクター 川中恵一 放送作家 根宜利彰 出演 上泉雄一、奥野史子
月~金/10時30分~12時30分の放送。新聞や雑誌からの二次情報ではなく、オリジナル企画で2時間を構成。「ええなぁ」は、パーソナリティの上泉アナの口癖に由来。「記念日ええなぁ!」「留守電ええなぁ」「アカペラおのど自慢」などアイデアを尽くしたコーナーが満載。関西の人々の面白みが巧みに引き出されていて、その日常性が番組に反映されている。日常生活の延長線上に楽しく聞けるラジオの原点を教えてくれる。
優 秀 <中国放送> 俊雄と裕見子のおもいっきり土曜日 †
↑プロデューサー 井上英司 ディレクター 森下朋之 出演 田中俊雄、松本裕見子
土曜日/13時~17時の放送。中国放送OBの田中俊雄アナと広島出身のタレント、松本裕見子の2人がパーソナリティを務める情報バラエティー。この日は産休中の松本さんの出産を機に「人生の節目スペシャル」と題して4時間の生放送。留守のパーソナリティがリスナーからいかに愛されているかが番組の隅々から伝わってくる。リスナーとパーソナリティが大きな「ファミリー」を形作っていることが強く感じられる。
優 秀 <宮崎放送> GO!GO!ワイド †
↑プロデューサー 上岡信夫 ディレクター 河野崇徳 パーソナリティ 川野武文、加藤沙知
月~金/13時~16時05分の放送。地域に密着した生活情報とリスナーからのメッセージを中心に構成する。今回の放送日の5月19日は、宮崎県で口蹄疫の発生が確認されてからほぼ1カ月後。リスナーからのメッセージに普段の明るさが失われる中での放送となった。「がんばろう宮崎」のコーナーでは被害を受けた畜産農家をはじめ関係者に向けたメッセージを紹介。非常時のなかでの定例番組として、リアルタイムの情報を的確に提供。広報の役割を果たし、ラジオの機動力を発揮した。
テレビ報道番組 †
↑最優秀 <富山テレビ放送> BBTスペシャル 不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~ †
↑プロデューサー 前谷喜光 ディレクター 福島 勝 撮影 宮田博之 制作総括 青柳良明
黒部川河口海域で、網にかかった魚が骨と皮になる奇妙な現象が起きていた。そこには獲物に群がり食い荒らす無数の小さな虫「ヨコエビ」が。大量発生の原因は、黒部川上流の二つのダムで行われている「排砂」なのか。公害を訴え裁判を起こす河口海域の漁師たち。因果関係を否定する国と電力会社。沈黙する黒部川流域の漁業関係者。補償金を受け取る漁業団体。第三者機関の判断は。専門家による科学的検証の試みも紹介し、不可解な事実に多角的に迫る。土砂堆積問題を抱える全国のダムに波及する問題として光を当てた。
優 秀 <北海道放送> 蝕まれた“相扶共済”―建設国保・偽装の真相― †
↑プロデューサー 眞鍋康志 ディレクター 森 創一郎 撮影 菊地正智 編集 田屋 純
零細建設業者のために作られた建設国保。その運営には年間230億円以上の税金が投じられているが、「お得な国保がある」との口コミで、建設業と無関係の企業や公務員などの定年退職者などが偽装加入している実態がわかった。その数は全国で1万3,000人。保険組合幹部や行政、偽装加入した当事者など多角的な取材を重ね、歴史的経緯や政治との関係にも迫り、相扶の精神で始まったはずの保険制度全体の矛盾も浮き彫りにした。
優 秀 <TBSテレビ> シリーズ激動の昭和 最後の赤紙配達人 悲劇の“召集令状”64年目の真実 †
↑プロデューサー 島田喜広、堤 慶太 チーフディレクター 金富 隆 ドラマプロデューサー 三城真一
戦時中、滋賀県大郷村で赤紙配達人を務めた西邑仁平さんが、終戦の日、大本営の焼却命令に背いて密かに自宅に持ち帰り、長年隠し持っていた貴重な資料をもとに、いかに国民が戦場に送り込まれていったかを、ドキュメンタリーと実話に基づくドラマを組み合わせ、克明かつ立体的に再現。年老いた関係者たちにも取材し、当時の無謀な動員計画の裏を探った。104歳で存命の仁平さん本人の証言が、記録を残すことへの執念を物語る。
優 秀 <静岡放送> SBSスペシャル それでも私は歌いたい~忘れ去られたポリオ~ †
↑プロデューサー 土方康太郎 制作 斎藤哲史 構成・演出 小澤詠子 撮影 三島乾児
ソプラノ歌手の山口久美子さんは20年間、原因不明の足の痛みに苦しんできた。1950年代にポリオ(小児まひ)に感染した人が、数十年を経て突然襲われる不治の病「ポストポリオ」だった。ポリオは日本では根絶された“忘れられた”病気。適切な診断を受けられないまま、老化現象や家事怠慢と誤解されるケースも多い。大好きな歌に救われた山口さんは、歌を通して病気のことを人々に知らせる活動を始め、東京での歌のコンクールにも挑戦。家族や友人に支えられながら前向きに生きる姿を通じ、病気の実態に迫った。
優 秀 <テレビ大阪> シリーズ13億人の深層第3章 天空の教室~中国四川省・標高3000mの希望~ †
↑プロデューサー・ディレクター 綱沢啓芳 ディレクター 児島太一 撮影 増田 健 構成 杉原邦彦
中国四川省の山岳地帯にあるイ族の村では、中国語が話せないため仕事に就けず、お金がないため子どもを学校にやれない、という負の連鎖が続いていた。村に道路が開通し、文明との接触が増えた今、村人たちは子どもの教育に未来を託す。学費と生活費のため父が出稼ぎに出る5人家族に長期密着するとともに、日本人が協力する有機コシヒカリ栽培による貧困学生支援にも着目し、格差の現実と貧困脱出へのヒント、困難を健気に乗り越える“家族の絆”を描いた。中国最貧困の少数民族の生活実態を捉えた貴重な映像である。
優 秀 <山口放送> 手探りの未来 「農」に生きる †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ディレクター 佐々木 聰 撮影 山本健二、山本宏幸
農業の深刻な高齢化が進む一方、海外の安い農産物に押され、「いいモノを作る」だけでなく「売る努力」もしなければ満足な収入は得られず、日本の食卓を支える農業者の減少が危ぶまれている。そんな中、山口県内で頑張る若い担い手のうち、祖父から受け継いだ田畑を耕す木原美樹さんと畜産農家三代目の梶岡秀吉さんの2人を追った。従来型の手法との葛藤や挫折、多角化の施行錯誤など、農業の可能性を必死で切り開こうとする姿を清々しく描く一方で、日本の農業政策が抱える問題をさりげなく問いかけている。
優 秀 <鹿児島テレビ放送> くゎど島ぬ宝~南の島の産声を守れ2~ †
↑プロデューサー 永吉周一 ディレクター 青木隆子 撮影 有馬聖人 音声 高橋良太
産科医療の崩壊が指摘される中、鹿児島県の28の有人離島でも、島内で出産ができるのは5つの島だけ。日本一の子宝の島、徳之島でも産科閉鎖の危機が迫り、地元の助産師の女性が立ち上がった。他の島で活動する人々とも海を越えて連携し、行政への働きかけにとどまらず、「自分たちにできること」を自問し始める。「子は島の宝」という共通の思いを胸に、島民たちが離島なりの出産のあり方を模索していく姿に明るい光が見える。
テレビ教養番組 †
↑最優秀 <毎日放送> 映像'10 きほとみずき~大人の階段 車いすで駆けのぼる~ †
↑プロデューサー 赤阪研二 ディレクター 植田恵子 撮影 荒 利幸 ナレーター 石田敦子
きほとみずきは、脳性まひにより車椅子で生活する20歳と18歳の姉妹。2人はこれまで、自らの障害と向き合いながら、明るくのびのびと成長してきた。ところがこの春、将来の「自立」にむけて大人への一歩を踏み出そうとした2人は、それぞれに社会の現実の厳しさにぶつかることになる。どこまでが社会の責任で、どこからを自らが受け入れるべきなのか。「障害があるということ」「大人になるということ」を、長期にわたる取材だからこそおさめることのできた、姉妹の等身大の青春の姿を通して描く。
優 秀 <北海道放送> 私の名前は石黒智子~植物状態からの回復・923日~ †
↑プロデューサー 須田 浩 ディレクター 山裕侍 撮影 小張泰弘 編集 八尾真理子
交通事故で植物状態となった石黒智子さんは、家族の献身的なケアと専属の看護師による手厚い看護、懸命なリハビリで奇跡的に回復していく。一方で、多くの患者は、リハビリも満足に受けられないまま何度も転院を余儀なくされ、あるいは孤立無援の状態の中で在宅介護を受けている。医療機関からは「もう治る見込みがない」と退院を迫られ、施設からは「障害が重すぎる」として入所を断られる。医療と福祉の間に置き去りにされた患者をめぐる現実と、彼らを支える家族の思いを伝える。
優 秀 <BS朝日> 奇跡のピアニスト 辻井伸行 飛翔への旋律 †
↑プロデューサー 前田泰彦、永井隆明 ディレクター 堀内雄一郎 出演 辻井伸行
2009年6月、4年に一度開催される「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」で日本人として初めて優勝し、一躍時の人となった辻井伸行さん。今日に至る彼の姿を、公私問わず密着した取材や、彼を支えてきた人たちのインタビュー、幼少時代のレッスンのエピソードなどを通して伝える。なぜ彼の音楽が評価され、人々の心に届くのか。圧巻の演奏の数々が、「奇跡のピアニスト」の世界へといざなう。
優 秀 <信越放送> 民教協スペシャル 少年たちは戦場へ送られた †
↑プロデューサー 田中哲郎、川端信晃 ディレクター 手塚孝典 語り 吉岡秀隆
満蒙開拓青少年義勇軍。戦争中に農業開拓団による満州移民を補完するという名目で、満州へと送り出された少年たちがいた。「満州に行けば地主になれる」と希望に胸を躍らせて移住して行ったが、ソ連軍の侵攻により戦場と化した満州では、多くが命を落とすことになった。国策に振りまわされ、むごすぎる現実を突きつけられた彼らの姿を多様な視点で取り上げ、語り継がなければならない戦争の歴史がまだ残されていることを訴える。
優 秀 <中京テレビ放送> ハウスブルー~主婦たちのうつ事情 †
↑プロデューサー 土屋 健 ディレクター 安川克巳 カメラマン 伴 尚志 編集 松井 優
シングルマザーである弥生さんは、娘に手がかからなくなった空虚感をきっかけに「うつ状態」になってしまい、精神科病院に入院していた。病院では同じ悩みを持つ人たちとの支えあいで少しずつ回復し退院するが、再び自傷行為と過食を繰り返すことになる。自宅では失業して職探しを続ける母親と、14歳になった娘が彼女を支える。映像も音声も加工せず、彼女と彼女を支える家族のありのままの姿を伝えることで、「うつ」を真正面からとらえ、考えるきっかけを与える。
優 秀 <四国放送> ひろしと先生~島の学舎の最終章~ †
↑プロデューサー 大久保裕司 ディレクター 大谷正憲 ナレーター 大谷初美 カメラマン 大泉敏郎
鳴門海峡に面した島田島の小学6年生の田中ひろし君。彼の通う小学校は休校が決まり、最後の1年間の生徒は彼一人だけ。担任の村松先生は「小さな学校だからとあきらめたくない、小さな学校だからできることがある」と、彼に親身に向き合い、彼もそれに応える。島の先輩たちが語り継いできた戦争の悲劇を伝える朗読会では、今回は彼一人で挑戦し、先生も粘り強くサポートしていく。2人の姿が本当の教育とは何かを問いかける。
優 秀 <テレビ宮崎> UMK開局40周年記念ドキュメンタリー「MANCIO~天正遣欧使節 伊東マンショの生涯~」 †
↑プロデューサー 坂元秀光 ディレクター 阿部祐也 撮影・編集 寺原浩次 企画・制作 彌勒 猛
戦国時代の最中、現在の宮崎県西都市に生まれた伊東マンショは、10代半ばという若さで天正遣欧使節団の主席正使としてヨーロッパへと渡った。かの地で日本の文化を伝え、欧州の文化を学んで帰国した彼を待っていたのは、キリシタン弾圧という過酷な運命だった。彼が訪ねたイタリア、ポルトガル各地にも海外取材し、マンショ直筆の手紙などこれまで知られることのなかった資料などが紹介される。幅広い取材と落ち着いたナレーションが歴史の世界へと導く。
テレビエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <中部日本放送> 「えんがわ」~18年目の春~ †
↑プロデューサー・ディレクター 藤井 稔 撮影 谷口たつみ 音響効果 大沼賢一 ナレーター つボイノリオ
18年前の秋、当時の知事と市長が100歳の双子「きんさん・ぎんさん」の長寿表彰のため訪れたのと同じ「えんがわ」に、今日もぎんさんの4人の娘たちが集う。平均年齢90歳の4姉妹は、96歳の長女から86歳の四女まで健在。暇さえあれば近所から集まって話の花を咲かせる。日常の些細な出来事から数十年前の地震や台風、洪水、戦争、迫り来る「死」に至るまで話は尽きることがない。演出を極力排した作りで、深刻な話題も笑い飛ばしてしまう会話の楽しさに自然と引き込まれる。彼女らの長生きの秘訣を垣間見るようである。
優 秀 <北海道放送> ダイドードリンコスペシャル しぶき舞う!厳寒の荒行~木古内 寒中みそぎ祭り~ †
↑プロデューサー 進藤幸治 ディレクター 神山 功 撮影 三上幸男 音響効果 依本慎也
北海道木古内町で180年前から続く「寒中みそぎ祭り」は、地元の若者から選ばれた“行修者”4人が氷点下の中、昼夜を問わず3日間冷水を浴び続け、最終日に御神体とともに海水沐浴を行い豊漁豊作を祈願する。番組では命にもかかわりかねない荒行に挑む若者と祭りを支える人々を丹念に追った。「震えを止める」という科学を超えた鍛錬の過酷さ、それに耐えるひたむきな若者たちの表情を捉えた映像はストレートに胸を打つ。
優 秀 <BS朝日> 久米宏のTOKYO空の下 †
↑プロデューサー 川島保男 ディレクター 塚本恭史 出演 久米 宏、田中眞紀子
1966年~71年に地上波で放送された番組『東京の空の下』の空撮映像と、同じ場所を同じアングルで撮った現在の映像とを見比べながら、40年間を振り返る。今回のゲストは、久米と大学時代に同じ劇団に所属した田中眞紀子衆議院議員。2人が通った早稲田大学から新宿周辺、原宿・表参道、永田町・国会周辺までを空から眺め、当時の思い出などを語る。貴重なアーカイブ映像をうまく生かし、個性的な2人のトークで素直に楽しめる。
優 秀 <信越放送> SBCスペシャル おらぁ ハチの親分だ! †
↑プロデューサー 田中哲郎 ディレクター 池上英樹 撮影 米山博昭 編集 和田秀一
ハチの魅力にとりつかれ、ハチ一筋の人生を送っている長野県中川村の富永朝和さん、71歳。危険なスズメバチを素手で持って戯れ、ハチの巣を丸ごと捕獲し、ハチの子をつまんで口に入れては「うまーい!」とご満悦。さらにはハチ人生の集大成としてスズメバチの巣を使った造形作品「釣鐘」作りに挑戦。気づけばニホンミツバチの飼育で全国の養蜂家から師匠と仰がれる存在に。周囲の冷たい視線もお構いなしに趣味を追求し続ける富永さんの尋常ではない一挙手一投足に唖然呆然としながらも、思わず笑みがこぼれる。
優 秀 <毎日放送> ウチに、帰ろっかナ・・・ †
↑プロデューサー 田渕伸一 ディレクター 吉岡 洋 演出 佐川昌裕 出演 西 靖
大阪の街頭で家路に着こうとする人々にマイクを向け、明日への「元気の素」を茶の間にお届けしようという番組。絶妙なボケとツッコミを入れあう自称“犬猿の仲”の上司と部下をはじめ、ほろ酔い気分でVTRに登場する人々は皆、個性豊か。「きょうの晩ごはん何?」と家に電話する子どもと「おかあちゃん」とのやりとりは漫才そのもの。会話から垣間見える家族への愛情と絆にほろりとさせられる面も。素人の飾り気のない面白さを存分に引き出しており、胸の奥が温かくなる。
優 秀 <あいテレビ> ダイドードリンコスペシャル 神様に近い場所へ~今治春の大祭継ぎ獅子~ †
↑ディレクター 村上 崇 カメラマン 谷 康孝 音声 高橋明央 ナレーター 林 和香子
愛媛県今治地方の春祭りに伝わる「継ぎ獅子」は、神様に近づくため、そして五穀豊穣を祈って縦に高く伸びる獅子舞である。中でも人が5段にもなる「五継ぎ」を行う波方町の保存会に密着し、地域の人々が心を一つに取り組む過程を追った。頂上で舞う「獅子子(ししこ)」の小学生の成長、それを支える地域の人々の絆、親から子へ全力で受け継ぐ伝統への熱意が伝わってくる。祭り本番の緊張感あふれる映像は圧巻。アクシデントにひるむことなく何度も挑戦する祭り人の真剣な姿が、見る者に感動を与える。
優 秀 <長崎放送> ヘトマト †
↑プロデューサー 大田壽満夫 ディレクター 宮路りか 撮影・編集 今村敏和 ナレーター 花田千草
長崎県五島列島に120年受け継がれてきた祭り「ヘトマト」。名前の由来も詳細も謎である。祭りの一切を取り仕切る御幣持ちは世襲制で、しきたりはすべて口伝え。余興の相撲から羽つき、綱引き、藁玉の奪い合いなど盛りだくさんな内容だ。長さ3.5メートル、重さ350キログラムの草履の巡行では、ふんどし姿の若者が娘さんを捕まえては草履に乗せ胴上げを繰り返す。何でもありの不思議な「ヘトマト」を通じ祭りの原点を見せている。
テレビドラマ番組 †
↑最優秀 <TBSテレビ> 日曜劇場 JIN ―仁― †
↑プロデューサー 石丸彰彦 ディレクター 平川雄一朗 脚本 森下佳子 出演 大沢たかお ほか
主人公は大学病院の脳外科医。ある日、当直中の彼の元に身元不明の患者が運ばれ、緊急手術を行うと、脳の中に胎児の形をした腫瘍を発見した。手術は無事に終わるが、患者は医療セット一式と腫瘍を持ち出し病室から逃げ出してしまう。見つけた彼はもみ合いになり、階段から転落して意識を失う。目覚めた彼の目の前に広がるのは見たこともない景色。彼は江戸時代にタイムスリップしたことを確信する。何とか現代に戻ろうとするが方法も分からず呆然とする彼の前に一人の男が現れる。それはあの坂本龍馬だった。 主人公は満足な医療器具もない状況で幕末の人々の命を救っていく。その医術を通して幕末の英雄たちと交流を深め、自らも歴史の渦に巻き込まれていくという壮大なヒューマンエンターテインメントである。SFであり、時代劇であり、医療モノであるという荒唐無稽ともいえる難しい設定であるが、説得力があり違和感がない。演じる俳優陣も魅力にあふれ、スケール感の大きな作品となっている。
優 秀 <北海道テレビ放送> HTBスペシャルドラマ「ミエルヒ」 †
↑プロデューサー 福屋 渉 企画・プロデューサー 嬉野雅道 ディレクター 藤村忠寿 脚本 青木 豪 出演 安田 顕 ほか
葦原が広がる石狩川の河川敷には、時代に取り残されたようなわびしい風景が残る。そこにヤツメウナギを獲ろうと小船を出す初老の猟師がいる。離婚して独身だが、スナックのママとの再婚を考えていた。そこへ突如10年ぶりに息子が帰還するのだが、見るからに疲れ果てていた。戦場カメラマンだった彼は片目を失明して困窮していた。生きていくことが容易でなくなった土地で、それでも親子は暮らしていく。無骨な父親の優しさが息子の心の目を開かせ、息子は寂れ果てた故郷でありのままの自分で生きようとする。 父親と息子の再生をテーマにした物語。人が生きることの素朴さが淋しげな風景を舞台に静かに展開する。映像の美しさが特筆され完成度の高さを感じさせる。人間がしっかりと描かれており、きちんと気持ちが伝わってくる。
優 秀 <テレビ朝日> 臨場 †
↑プロデューサー 佐藤涼一、目黒正之 監督 橋本 一 脚本 坂田義和 出演 内野聖陽 ほか
主人公は強烈な個性を持つ警視庁の「検視官」。交番巡査の発した緊急ブザーに駆けつけると、亡くなっていたのは元鑑識課員で主人公が尊敬する先輩だった。遺体からは貸与拳銃と警笛が紛失し、肩章ボタンがちぎれていた。彼は死因は自殺との判断を貫くが、気がかりなのは消えた警笛。そんな折、拳銃を用いた死亡事件が発生する。 2009年に放送された連続ドラマの第2シリーズ。死を通して人の機微が描かれている。犯罪は社会を映す鏡であり、事件にかかわる人間たちが色濃く描かれている。リアルな検視描写と謎解きの妙で見る者を引きつけ、圧倒的なメッセージが伝わる。
優 秀 <テレビ東京> 開局45周年記念ドラマスペシャル「シューシャインボーイ」 †
↑プロデューサー 山鹿達也、佐藤 毅 監督 石橋 冠 脚本 鎌田敏夫 出演 西田敏行 ほか
かつて銀行で部下や同僚のリストラ役を担って組織や人の冷たさに嫌気がさした男は、自ら職を辞し、半年前から食品会社の社長の専属運転手となった。人間味あふれる社長と毎日を過ごすうち、彼も再び人の温もりを感じるようになった。ある日、社長の持ち馬が競馬で優勝するが、社長は祝賀会に参加せず、彼は新宿「角筈の大ガード下」へ向かうよう指示される。目的はそこにいる初老の靴磨きに靴を磨いてもらうことだった。 戦災孤児から一代で会社を築き上げた社長が育ての父に親孝行したいという不器用で切ない想いと、その社長の専属運転手となった男との友情に、家族の葛藤を織り交ぜ、現在の日本が「戦後」から得たものと失ったものをテーマにしている。時代背景とのかかわりをうまく取り入れて表現されている。俳優陣の熱演が光り、せりふの応酬に見応えがある。
優 秀 <毎日放送> 月曜ゴールデン「遺品整理人 谷崎藍子~死者が遺したメッセージ~」 †
↑プロデューサー 村上嘉章 ディレクター 藪内広之 脚本 清水有生 主演 高畑淳子
主人公は、遺品整理会社のベテラン社員。「遺品には亡くなった人のメッセージが残されている」というのが彼女の口ぐせ。ある日、母親を介護していた息子が本人から頼まれて母親を殺害する事件があり、息子は事件後に自首している。事情を裏づける遺書もあり、主人公は息子に同情を寄せていた旧知の刑事に頼まれ、部屋を整理することになる。 社会問題化する孤独死とともに、メディアでも取り上げられる「遺品整理会社」を扱ったサスペンス。現代的な職業にスポットを当てているが、故人の人柄、生活、価値観を理解し、切れかかった人の絆を結び直そうとする主人公のこだわりがメッセージとして伝わる。重いテーマであるが社会性が高く、引きつけられる。
CM部門 †
↑ラジオCM 第1種(20秒以内) †
↑最優秀 <エフエム熊本> みのる企画 焼肉屋元気カルビ/熊本の男に育てる!(20秒) †
↑プロデューサー 富岡弘展 ディレクター 松下和浩(U2) コピー 佐々木一貴 出演 ふじわらたけひろ
「野菜をちゃんと食べなさい」と母の元気な口調で始まり、「と、言われて育った僕たちは」「りっぱな草食系男子になりました」と若い男が答える――野菜ジュースのCMかと思いきや、その後に「もぉ~」という効果音。ひょっとしてお肉?。“野菜と肉をバランスよく”との健康への配慮も滲ませながら、「熊本の男に育てたいなら焼肉、元気カルビ」で締めくくる。肉を焼く音がなくとも、美味しい焼肉のイメージを想起させる、力強いCM。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> アートファニチャー 職人技 篇(20秒) †
↑プロデューサー 池田昭哲 ディレクター 小川 信(オガワマコトオフィス) 出演 関根正明(俳協) 録音技術 新籾洋介(テレコム・サウンズ)
突然、「ぶうぉ、ぶうぉ!」と鳴り響く音。何かと思えば、昔の音響効果マンが真似たロバの鳴き声。「職人技ですよね」のコメントに、「愛着のあるソファや椅子もリフォームすれば、まだまだ…。家具も職人技にお任せを」と応じ、モノを大切にするエコ感覚を促す。音響効果マンの「ロバの鳴き声」にのせて“職人技”を強くアピールするCM。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 読売新聞東京本社 読売新聞 編集手帳/選ばれた言葉 篇(20秒) †
↑プロデューサー 池田昭哲 ディレクター 小川 信(オガワマコトオフィス) 出演 関根正明(俳協) 録音技術 新籾洋介(テレコム・サウンズ)
鐘の音に続いて「アメリカ独立のシンボル“自由の鐘”に刻まれた72文字」、鳩が飛び立つ音に「広島・原爆慰霊碑の21文字」――「選ばれた言葉が、時代に警鐘を鳴らす」とのナレーションがあって、『500文字で世相を斬る』で結ぶ。時代に影響を与えた“選ばれた言葉”を通して、500文字で表現する朝刊1面のコラムに込める熱い思いを見事に表現。
優 秀 <文化放送> 川光物産 玉三(たまさん) 白玉粉/大当たり(20秒) †
↑プロデューサー・ディレクター 見目幸伸 ミキサー 上原裕司 プランナー 白石仁司 企画 高橋知之
商店街の福引き会場。店主と思しき男が「おめでとうございます!1等の白玉だんご1年分を差し上げます」。1年分って…?。「白玉だんご1年分で何個ですか」の問いに、「うーん、5、6個かな」と当選者のお客さん。「では、5、6個でーす!」と、とぼけたやりとりが楽しい。そして最後は、「もっと食べてね。玉三、白玉粉」。ストレートなナレーションが、明確なメッセージを効果的に表現している。
優 秀 <エフエム東京> セコム 留守番電話(20秒) †
↑ディレクター 林屋創一 コピー 野崎賢一(電通) 出演 木村拓哉(ジャニーズ事務所) 演出補助 栗原学志(ジグノシステムジャパン)
「あ、もしもし、この家に住む木村拓哉ですけど。今、誰かそこにいたりしませんか?。もう、泥棒でも誰でもいいので、ヤカンの火、消したか見てもらっていいですか?」――火の元の始末が心配になって思わず自宅に電話し、留守電に吹き込んでしまうキムタク。“そんな時”に頼りになる企業であることをユーモアたっぷりに表現した。
優 秀 <朝日放送> 日本製粉 オーマイまぶして焼くだけからあげ粉/楽しいフライパンの世界(20秒) †
↑プロデューサー 野本友恵、立石紀雄 ディレクター・コピー 村上正道(ビー・ジー・エム・サービス)
フライパンで卓球の球を打ち合う音、小豆をフライパンに入れて作った波の音、フライパンをたたいて演奏した音で、フライパンの使い方を遊び心いっぱいに演出。そして、「ジュー、ジュー」と、美味しそうにからあげが焼ける音は食欲をそそる。フライパンで焼くだけで簡単に作れることを、音を楽しみ、想像力をかきたてさせながら伝えている。
優 秀 <和歌山放送> 和歌山県国民健康保険団体連合会 特定健診受診促進/「特定健診」とかけまして(20秒) †
↑コピー 三宅良治 出演 福山秀見(グループ・エコー) 、川西清平
「え~、特定健診とかけまして、お笑い芸人と解きます」と、ブームの謎かけで構成。「そのこころは、受けることです」と、お笑いが“うける”ことと、健康診断を“受ける”ことをストレートにひっかける。あえて笑いのSEを控えめにし、女性の「うけてる!」の言葉で、年に1回、特定健診を受診することの必要性をシンプルに訴えた。
ラジオCM 第2種(21秒以上) †
↑最優秀 <福井放送> 自社媒体PRスポット/守りたい ふるさと ふくいの音(90秒) †
↑プロデューサー 重盛政史 ディレクター・企画・構成・録音 岩本和弘 出演 仲野 實
福井県小浜市を流れる、奈良東大寺のお水送りでも知られる遠敷(おにゅう)川(がわ)上流。ここに生息する「カジカ蛙」は、古くから和歌に詠まれるなど、美しい鳴き声で知られている。しかし近年、河川の護岸整備が進み、生息域が失われつつある。「ホロホロホロ~」という、いとおしい鳴き声は、聞いたことがない人にも郷愁を感じさせ、同時に “ふるさとの音”を大切にし、“ふるさとを守ろう”とする自局の姿勢を明確に打ち出している。
優 秀 <北海道放送> 小田島水産 特製いか塩辛木樽仕込(120秒) †
↑プロデューサー 壱岐 聰 ディレクター 澤出 寛(澤出企画) 出演 桜井 宏
子どもの頃、必ず食卓に上っていた母親手造りのいかの塩辛。そんな函館の朝の風景から始まり、当時はよくわからなかったその美味しさも、50年経った今では「あの時の塩辛が無性に食べたくなることがある」とナレーションは続く。そこに、塩辛造りの音が効果的に挿入される――思い出と、昔ながらの製法を守る姿勢を無理なくつなげた演出が光る。
優 秀 <ニッポン放送> 伊勢・安土桃山文化村 ちょんまげワールド伊勢(60秒) †
↑ディレクター 高橋正文(サウンドマン) コピー 萩本欽一(萩本企画) 出演 佐藤あつし(フリー) ナレーター 増田みのり
「忍者からくり迷路、どうでした?」というリポーターの質問に、「建物がボロボロですね…」と答える来場者。その後のインタビューはどんどん怪しい方向に進み、とうとう「じゃあ、なんで今日来たんですか」という問いに、「人、入ってないっていうんで、ほっとけないだろ」と一言。自虐的な内容で強烈な印象を与えながらも、全体のトーンはほのぼのしているという、不思議な魅力を持つCM。
優 秀 <ニッポン放送> 日本音楽著作権協会 才能のリレー 篇(120秒) †
↑プロデューサー 高橋晶子、林 尚司(電通) ディレクター 松田哲雄(サウンドマン) コピー 長谷川智子(電通)
ムソルグスキーがピアノ曲として作曲した「展覧会の絵」が、当時は演奏される機会もなかったというエピソードから展開。友人のリムスキー=コルサコフが楽譜の出版にこぎつけたものの評価されず、その後、ラヴェルが華麗な管弦楽曲に編曲して人気作品となった――時代を超えた“才能のリレー”を取り上げ、それを可能にするには楽曲と音楽家を保護することが大切、というメッセージを巧みに伝えている。
優 秀 <エフエム東京> NTTドコモ・富士重工業 運転中のケータイ使用防止/同時CM(40秒) †
↑プロデューサー・ディレクター 林屋創一 企画・コピー ラジオ活性化プロジェクト(電通) 録音 内田義男(エフエムサウンズ)
二つの異なるCMが同時に聞こえ、「聞き取れましたか?」というナレーションに続き、携帯電話と車のCMが一つずつ流れる――二つの音声が同時に聞こえてくると、それぞれの内容が理解できないだけでなく、集中力も乱されてしまうことをリスナーが実体験することで、“運転中のケータイの使用は危険”というメッセージを効果的に伝えるCM。
優 秀 <中部日本放送> 鈴木バイオリン製造 バイオリン/2カ国語(50秒) †
↑プロデューサー 三浦景一 ディレクター 田中俊彦 エディター 安藤美国(テクノビジョン) ナレーター 森合康行
バイオリンの音色は、喜怒哀楽すべての感情を表現できるといわれる。そこで、バイオリンが奏でた旋律で何を言っているのかを当ててもらう。正解は、ちょっと強引な「鈴木ビャーオリンだがや…」。名古屋弁の面白さに、日本でバイオリンが最初に作られたのがご当地であるという事実を織り交ぜながら、老舗メーカーが楽器に込める思いを表現する。
優 秀 <山口放送> 公共キャンペーン・スポット/キャンペーン・スポット 地震への備え 篇(60秒) †
↑プロデューサー 藤田史博 ディレクター 高田知太郎、清水のり子(フリー) ナレーター 中谷隆宏
ラジオというメディアで、大地震や防災をどう伝え、訴えていくかをテーマにしたキャンペーン・スポット。阪神・淡路大震災発生以来、ラジオ局として被災者の声を伝える活動の中で出会った、神戸市の視覚障害者団体の被災者たち。彼らが体験した大震災を音の世界で再現する――体験した人にしかわからないはずの“大震災の音”が、被災者の反応も相まって予想以上のリアリティを持ち、日頃からの備えの大切さを訴える。
テレビCM †
↑最優秀 <名古屋テレビ放送> 自社媒体PRスポット/テレビの前の人(120秒) †
↑企画 平松陽介 クリエイティブディレクター 大沼 隆(電通中部支社) プランナー 森 俊博(電通中部支社) プロデューサー 青島 悟(エジソンライトハウス)
アニメを見て泣いてしまう中年男性、居酒屋で野球中継映像に監督の采配を批判する人、料理番組を見て「お腹すいたー」とつぶやく女性――思わず誰もが「ある!ある!」と叫んでしまいそうな、テレビの前の視聴者の姿を映し出すことにより、テレビを見ることの楽しさ、テレビが身近な存在であることを再認識させる演出が卓越したCM。
優 秀 <テレビ埼玉> 自社媒体PRスポット/テレ玉企業広告「SIGN」篇(60秒) †
プロデューサー 平野正美、松林大輔(レイCM) ディレクター 細谷省太(電通クリエーティブクロス) プランナー 山田慶太(ビルドクリエイティブハウス)
↑アパートの住人に荷物を届ける宅配業者のドライバー。中から現れたのは、ちょっとふくよかな女性。ドライバーが伝票に署名を求めると、「サインはお断りしてるの、プライベートだから。あなたもご家族に頼まれたのね。はい、握手!」とドアを閉められてしまう。画面は一転、大スター気分の女性がテレビの歌番組で熱唱しているシーンに――。視聴者が気軽に参加でき、誰でも主役になれるという、ローカル局ならではの親近感溢れるCM。
優 秀 <中部日本放送> トキワ トキワ鉛筆/伝えたい(120秒) †
↑プロデューサー 稲垣邦広 ディレクター 今村彩子(フリー) 編集 山ノ内聡子(ヒューマンフライト 出演 太田辰郎(フリー)
健常者にとって鉛筆は単なる筆記用具だが、聴覚障害者にとっては、その筆跡や筆圧で個性や感情を読み取れる重要なコミュニケーションツールだ。映画監督・今村彩(あや)子(こ)さんが“声だけではないコミュニケーションを知ってほしい”と、手話で語りかける。伝えたいことは同じでも、伝え方はそれぞれ。筆談も、想いを伝える重要な方法だと締めくくる。映像だけではなく、“かきっ、かきっ。さらさらっ”と紙に書く鉛筆の音が小気味いい。
優 秀 <中部日本放送> 島田市観光協会 長い木の橋(90秒) †
↑プロデューサー 斉藤龍昭 ディレクター 宇佐美浩伯 撮影 安田耕治(CBCクリエイション) 音楽 今井志のぶ(東海サウンド)
静岡県島田市の大井川に、ギネス認定を受けた世界一長い木造の歩道橋「蓬莱(ほうらい)橋」がある。老夫婦が、茶畑でお茶を摘みながら二人の馴れ初めを語り、橋の上で「人は支えあって生きるもの。これからもどうぞよろしく」と笑いながら語り合う。「長い木の橋は“長生きできる橋”とも言うんだよと」とお婆ちゃん。最後の、夕日が沈む長い木の橋を渡る老夫婦のシーンは、ほのぼのとしていて、一度は訪れたいという気にさせる。
優 秀 <中京テレビ放送> 統一キャンペーン・スポット/中京テレビキャンペーン「ボトルキャップ」篇(15秒) †
↑プロデューサー 武藤利宜、通木芳之(中京ビデオセンター) ディレクター 小島英幸(中京ビデオセンター) 撮影 伊藤孝政(中京ビデオセンター) CG 塩見恵理子(中京ビデオセンター)、大平宏治(中京ビデオセンター)
飲み終えた後は、ただのゴミになってしまうペットボトルのキャップだが、集めて再利用すると、世界の子どもたちにワクチンを送る資金になる。「ボトルキャップは液体をこぼさないためのもの。でも、キャップは小さな命をこぼさないために」。15秒という短時間の中で、必要なことだけをわかりやすくシンプルに伝える、メッセージ性の高いCM。
優 秀 <読売テレビ放送> 関西電力 阪神・淡路大震災から15年/決意 編(60秒) †
↑プロデューサー 宇野 馨 ディレクター 竹原岳志(パブリックイメージ) アイディア・企画 堀江大輔 編集 谷 和彦(ポストプロダクション・エッグ)
多数の犠牲者を出した阪神・淡路大震災で、街から消えた灯を取り戻すため必死の復旧作業に携わった技術者が、153時間後に応急送電を完了させたことを証言する。“街の灯りは心の灯り”だとして懸命に作業をする技術者の映像が、企業の責任と決意を見事に表現している。
優 秀 <山口放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境 ~秋吉台・知られざる現実~(60秒) †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ディレクター 田村康夫 カメラ 村河敏明(KRYプロモーション) 音声 糸賀孝雄(ネットワーク)
雄大な全景とともに、多様な生物を育んできた地下洞窟を擁する秋吉台。しかしそこには、洞外で捨てられたゴミが地下水脈を流れ、人知れず溜まり続けていた。その現実を知った洞穴研究会の大学生グループが、ゴミを分別しながら黙々と清掃作業に取り組み続けている。“自然環境はみんなで守るもの”というメッセージを強く訴えかける。
技術部門 †
↑最優秀 <日本テレビ放送網> 番組制作用低遅延送り返し装置の開発 †
↑研究・開発担当者 牧野鉄雄、上村 明、高橋宏和
放送業務用に最適化した独自の映像圧縮技術により、コーデック単体の遅延量を100ミリ秒以下に抑えたうえで、一般公衆用IP回線を利用する高性能な送り返し装置を開発・実用化した。 これにより、地上アナログ放送終了後の送り返し技術を確立し、海外を含む各種中継現場において安定した運用を実現するなど、テレビ制作技術の高度化・効率化に大きく貢献した。
優 秀 <TBSテレビ> パッティングライン視覚化システム『Player’s View』の開発 †
↑研究・開発担当者 森 享宏
ゴルフ選手の視点でグリーンとその周辺を3次元映像化するとともに、パッティングラインを可視化する計算手法と表現方法を確立し、実写とCGの高い連動性を確保しながら、カップインまでのパッティングラインを表示するシステムを開発・実用化した。 これにより、ゴルフ中継において視聴者に分かりやすく画期的な演出が可能となり、テレビ番組制作の高度化に貢献した。
優 秀 <日本テレビ放送網> HD局間IPファイル伝送システム「i-Pass」の開発 †
↑研究・開発担当者 上村 明、菊地秀彦、山内英夫、内野航司
インターネットVPN(閉域網)と汎用IT機器を利用し、MXF形式の映像ファイルをブロック化して伝送することにより、擬似的リアルタイム伝送や、複数拠点への効率的配信を可能とするIPファイル伝送システムを開発・実用化した。 これにより、ネットワーク全30局間での素材交換が大きく活性化し、回線費用の削減にも寄与するなど、テレビ素材伝送の効率化・高度化に貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン> 中継用UHF帯小型アンテナの開発 †
↑研究・開発担当者 青木良太
小型かつ効率的な「ヘンテナ」タイプのアンテナを応用・多素子化し、800MHz帯FPU受信に最適となるようマッチング調整することにより、従来の八木アンテナに比べ、大幅な小型化と特性改善を両立した中継用小型アンテナを開発・実用化した。 これにより、セッティング・撤収をはじめとする運用上の利便性や安全性の向上を図るとともに、中継回線の安定性を実現し、テレビ中継技術の高度化・効率化に貢献した。
優 秀 <毎日放送> 中波ラジオの受信改善アンテナシステム †
↑研究・開発担当者 田中豊広
平面状に巻いたコイルにコンデンサを接続した共振回路(シートアンテナ)を用いて目的の周波数を選択的に増幅して再輻射することにより、中波ラジオとの直接接続が不要な受信改善アンテナシステムを開発・実用化した。 これにより、鉄筋建築物の内部等において、効率的かつ安価に中波ラジオの受信状態を改善することが可能となり、ラジオ受信技術の高度化に貢献した。
優 秀 <朝日放送> ローコストARバーチャルシステムの構築 †
↑研究・開発担当者 久田 理、川本龍文、長谷川将宏
ビジュアルマーカ方式のAR(拡張現実感)技術を活用し、手持ちマーカオブジェクトに合わせてCGやビデオウォールがリアルタイムで連動表示される、ローコストなバーチャルシステムを開発・実用化した。 これにより、特別なハード装置を使わず撮影場所の制約も少ないバーチャル運用が可能となり、番組演出の幅が広がり、テレビ制作技術の高度化に貢献した。
優 秀 <読売テレビ放送> 共聴施設スーパー装置の開発 †
↑研究・開発担当者 中島良隆、谷知紀英、池田典正、辻 智仁
受信したアナログテレビ放送のうち特定チャンネルを抜き出し、IF(中間周波数)変換後に文字を重畳したうえで、RF(伝送周波数)に戻して出力することにより、特定チャンネルへの文字スーパーを行う装置を開発・実用化した。 これにより、受信障害対策の共聴施設ごとに、テレビ画面を通じたデジタル化告知のメッセージが伝送可能となり、地デジ完全移行の周知広報活動に貢献した。
特別表彰部門 †
↑青少年向け番組 †
↑最優秀 <TBSテレビ> 夢の扉 †
↑プロデューサー 菊野浩樹、山崎秀明 ディレクター 中川正美 総合演出 田中経一
あらゆる業界・ジャンルで“未来の夢”を目指す人に密着するドキュメンタリー番組。今回の番組では、栃木県那須塩原市で「パン・アキモト」を経営する秋元義彦さんを取り上げた。阪神・淡路大震災の被災地に運んだパンの多くが、日持ちがしないために捨てられてしまったことをきっかけに、秋元さんは「パンの缶詰め」を非常食として開発した。自治体や企業に保管されている「パンの缶詰め」を賞味期限終了の半年前に回収して、食糧難に苦しむ海外の人々に送り届ける活動も展開している。番組は、この活動を展開するに至る秋元さんの軌跡と、今年1月に起きたハイチ大震災の被災者に向けて「パンの缶詰め」を緊急に届ける秋元さんの姿を描く。小さな企業経営者の夢が地球規模のボランティア活動につながる。子どもたちの目を世界に向けて開いていく作品である。
優 秀 <札幌テレビ放送> D!アンビシャス~熱きどさんこ魂~897人の村で夢を創る高校生 †
↑プロデューサー 平山大策 ディレクター 原田太志 カメラマン 喜井雅章 編集 波多野正尚
北海道の自然や人、ブランドなどに情熱を注ぎ込む“どさんこ魂”をクローズアップしたドキュメンタリー・シリーズ。今回は、北海道北部にある音威子府村の「村立おといねっぷ美術工芸高校」に焦点を当てた。全寮制であるこの高校には、全国からものづくりに打ち込める環境をめざして子どもたちが集まってくる。生徒たちは授業でものづくりに集中し、寮生活で同じ思いを持つ仲間たちと語らい、地元にある美術館でのボランティア活動なども行う。北海道一小さな村で大きな夢を育む高校生たちを半年にわたって取材したドキュメンタリーである。
優 秀 <新潟放送> 発見!人間力 obrigado(オブリガード)―ありがとう―を伝えよう †
↑プロデューサー 南 加乃子 ディレクター 山口牧恵 ナレーター 佐野佳世
全国各地の魅力的な人々に密着してその人間力に迫るドキュメンタリー番組。今回の主人公は、新潟で子どもたちにサッカーを教えるブラジル人・ファビーニョさん。Jリーグでも活躍した元プロサッカー選手で、2009年6月から新潟のジュニアチームでコーチを始めた。彼は子どもたちに常に「ナイス!」「OK!」「大丈夫」と声をかける。そのわけは、失敗をおそれてしまう日本人の子どもたちに自信と夢を持たせるため。言葉の壁を乗り越えて子どもたちと心を通わせる姿が視聴者にさわやかな感動を与える。
優 秀 <東海テレビ放送> ごはんの学校特別編~いただきますのその先に~ †
↑プロデューサー 伊藤真保 チーフディレクター 伊藤英樹 ディレクター 坂 俊也、宮井健太郎
毎週日曜日に放送している『ごはんの学校』の特別編として、食物の先にある「命」について子どもたちに考えてもらおうと制作された番組。軸となるのは親子で体験する「米作り」と「命をいただく授業」。米作りでは、自然の恵みと人の力によって育まれる米の命を目の当たりにし、「命をいただく授業」では鶏を自分の手でさばいて食べる。レギュラー出演者である2人の小学生の感想も盛り込みながら、「いただきます」の先に命があることを伝える。視聴した親子が命について語り合うきっかけをつくり出す優れた番組となっている。
優 秀 <中京テレビ放送> ゴリ夢中こどもの日スペシャル 441人の大家族 †
↑プロデューサー 青木繁治 ディレクター 宇野祐司、畑本将嗣
ガレッジセールのゴリが折りたたみ自転車とカメラを携えて東海3県を旅する『ゴリ夢中』のスペシャル版。今回は伊勢湾に浮かぶ神島を訪ねる。三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台として知られるこの島の住民は441人。ゴリは地元の小学生と一緒に灯台や監的哨(かんてきしょう)、診療所など島のあちこちをめぐり、441人がまるで一つの家族のように暮らしている姿に感動する。地域の大人みんなで子どもたちを育てていくという感覚が残る島のあり方は、子どもを育てるために何が必要かを視聴者に改めて考えさせる。伸びやかに育つ子どもたちの姿がほほえましい、心温まる番組である。
放送と公共性 †
↑最優秀 <日本テレビ放送網> 足利事件無罪確定までの長期独自キャンペーン報道 †
↑実施責任者 清水 潔
2008年から始まった「ACTION 日本を動かすプロジェクト」は、特別番組と通常のニュース報道番組、ホームページなどを連動させて、身近に潜む社会問題を解決に導こうとするキャンペーン報道。このメイン企画として、足利事件と、北関東で1979年から1996年にかけて連続して発生した幼女誘拐・殺人事件との関連性に着目。足利事件で無期懲役の判決を受け、服役していた菅家利和さんの逮捕後にも事件が発生していることから、別に真犯人がいるのではないかという独自の調査報道を展開、2008年1月から提言を続けてきたDNA型再鑑定が実現した結果、菅家さんの釈放、再審が決定。2010年3月に完全無罪が確定した。放送局が総力を挙げ、番組横断的に提言報道を続けるという新たな手法で成果をあげ、放送メディアが持つ可能性を改めて示した事績として高く評価された。
優 秀 <信越放送> 長野県の科学教育への貢献 SBC学校科学大賞 †
↑実施責任者 田中哲郎
信越放送は、創立10周年記念事業として、1960年に「長野県学校科学教育奨励基金」を設立。毎年約30件、長野県内の小中高等学校の優れた科学研究に対して奨励金を授与している。2002年には更なる充実を目的に「SBC学校科学大賞」を設立。奨励金を受けた研究の過程や成果を審査し、優れた研究を顕彰するとともに、研究過程を取材した1時間のテレビ番組を制作、毎年3月に放送している。基金による研究助成のみならず、テレビ番組で紹介することで、子どもたちの科学研究へのモチベーションが上がり、理科教員にも刺激となり、年々、研究レベルが向上。長期にわたる積み重ねにより地域の総合力を高める取り組みであり、放送局による地域貢献の好例として評価された。
優 秀 <東海テレビ放送> 堀川のキセキ~人・街・川~ †
↑実施責任者 山本茂樹
1986年、1999年、2004年と過去3回実施した堀川浄化キャンペーン。第4回目となる「堀川のキセキ」では、2010年1月から、開削400年の“軌跡”と、市民が願う堀川再生の“奇跡”を、夕方のワイドニュース内で23回にわたって放送。3年間続いた木曽川導水の効果検証や、導水継続に向けて動く市民・行政の取り組みを伝えたほか、400年にわたり名古屋の街と歩んだ堀川の歴史や、堀川浄化をそれぞれの得意分野で支える市民を紹介した。20年以上にわたり、放送局として一貫した意思を持って継続的にキャンペーンを実施した結果、水質浄化や環境保全への関心を高め、市民の運動の支えとなり、今後の展開も期待できる取り組みとして評価された。
優 秀 <朝日放送> 追及!終わらない年金問題 †
↑実施責任者 藤田貴久、天本周一、南出拓平
2006年に朝日放送の報道によって発覚した国民年金保険料の不正免除問題や、年金保険料の支払い記録が残っていないため年金が減額されてしまう問題は、国会に飛び火し、自公政権崩壊の一因となった。以降、各メディアで年金問題が報じられるが、2009年の総選挙の前後は、他の様々な争点に隠れ、全国的な報道は激減した。しかし一連の年金問題は依然解決しておらず、朝日放送では年金制度や運用形態の矛盾、受給者の実態を浮き彫りにする報道を独自に継続。キー局とローカル局との役割の違いや、旬でないと判断されるニュース素材の扱いなど、様々な問題を孕む中、特に担当記者の執念と意欲が印象に残る事績として評価された。
優 秀 <山口放送> 阪神・淡路大震災15年と 山口豪雨災害まもなく1年と †
実施責任者 勝津正男
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。山口放送では、翌月から毎月17日を「節目の日」として、ラジオの朝ワイド番組内で、地震や自然災害に焦点を当てた「震災コラム」を15年間放送している。神戸や淡路の被災地を訪れて、現地の状況や被災者の声を取材し、その内容を伝えるほか、今日では防災コラムとしての役割も務め、神戸や淡路に加え、全国の災害被災地での取材も継続、放送したコラム数は500本を超える。また1996年からは、毎年1月17日に防災特番を放送。2005年からは社屋前に防災訓練会場を設置し、一般リスナーやアナウンサー全員が参加する公開イベントを開催するなど、防災とラジオと市民を結びつける取り組みを長期にわたり継続する姿勢が評価された。