表彰番組・事績
日本民間放送連盟賞/2011年(平成23年)入選・事績
平成23年日本民間放送連盟賞 ”NAB Awards 2011” 入選・事績
- 番組部門
- CM部門
- ラジオCM 第1種(20秒以内)
- ラジオCM 第2種(21秒以上)
- 最優秀 <エフエム東京> 味の素 言葉の成長(60秒)
- 優 秀 <IBC岩手放送> 公共キャンペーン・スポット/ふるさとは負けない!八木澤商店(40秒)
- 優 秀 <エフエム東京> 自社媒体PRスポット/ヒューマンコンシャス・コトバ銀行(60秒)
- 優 秀 <J-WAVE> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境 母のたからもの(120秒)
- 優 秀 <福井放送> 自社媒体PRスポット/あなたの心に 音でステキな風景を えがきたい(180秒)
- 優 秀 <エフエム大阪> 大阪府電気自動車(EV)タクシー普及啓発事業 共同事業体 EVタクシー/「乗りたいもの」篇(60秒)
- 優 秀 <山口放送> 公共キャンペーン・スポット/つなげよう思いやりの心(120秒)
- テレビCM
- 最優秀 <IBC岩手放送> 自社媒体PRスポット/ふるさとは負けない!~空より高く~(90秒)
- 優 秀 <テレビ埼玉> 自社媒体PRスポット/テレ玉企業広告「地デジ・アンテナそのまま」篇(60秒)
- 優 秀 <中部日本放送> 牧成舎 白の命/足のはやい牛乳(75秒)
- 優 秀 <中部日本放送> 巴屋商店 くす玉/Japanese Happy Style(75秒)
- 優 秀 <中京テレビ放送> 統一キャンペーン・スポット/2011年環境キャンペーン スポットCM 日本に耳をすませてみよう!「地球オーケストラ」(90秒)
- ※辞退(優秀):東海テレビ放送「伊勢志摩国立公園志摩市 志摩への観光誘致/~思わずトンじゃう美しさ~(60秒)」
- ※辞退(優秀):東海テレビ放送「公共キャンペーン・スポット/食卓を守れ~ニッポンの農力~(120秒)」
- 技術部門
- 最優秀 <日本テレビ放送網> FPU波の光伝送による遠隔受信システムの開発
- 優 秀 <フジテレビジョン> FNS系列 ファイルによる番組販売コンテンツデリバリーシステム「FileX(ファイレックス)」の開発
- 優 秀 <フジテレビジョン> ファイルベースによる統合型ニュース制作システムの開発
- 優 秀 <中京テレビ放送> テレビをもっと面白くするデータ放送「テレビで収穫!咲くっチュ!」
- 優 秀 <毎日放送> リアルタイム・ラウドネスメータの開発
- 優 秀 <読売テレビ放送> モバイル回線を複数使用したHD伝送システム「HDとおる君」の開発
- 優 秀 <関西テレビ放送> OTCを利用したリアルタイムニュース字幕システムの開発
- 特別表彰部門
番組部門 †
↑ラジオ報道番組 †
↑最優秀 <九州朝日放送> 濡れ衣~看護師爪切り事件の真相~ †
↑プロデューサー 大迫順平 ディレクター 西村香織 編集 長尾雪絵 録音 太田正樹
2007年6月、北九州市の病院で認知症患者のお年寄りの足の爪をはいだとして、看護師が逮捕された。3年がかりで無罪を勝ち取るまでの看護師と家族の闘いを追いながら、事件の真相に迫った。取調べの可視化の議論があるなかでタイムリーな内容。関係者への多角的な取材と構成が見事であり、当時の過熱報道により「爪はぎ看護師」のイメージを定着させる一端を担ったマスコミの報道責任にも真摯に向き合っている。
優 秀 <山形放送> それぞれの「異国の丘」~シベリア抑留者のいま~ †
↑制作・構成 伊藤清隆 取材・編集 渡辺 寛 ナレーター 安藤 勲
今年5月、鶴岡市に本部を置く全国抑留者補償協議会(全抑協)が解散。その式で元抑留者たちが合唱した「異国の丘」は、作曲家、故・吉田 正がシベリアの収容所で作った作品である。吉田 正の生涯をたどりながら、全抑協の活動と「祖国」の対応を振り返る。社内の貴重な音源を基に、戦後史の中でも省みられることが少なかった問題に光を当てた意義の大きな作品である。
優 秀 <ニッポン放送> ニッポン放送報道スペシャル 就職戦線「冬」の時代~就活生が目指す「春」 †
↑プロデューサー 森田耕次 ディレクター 館野美欧 ナレーター 垣花 正 構成 桜林美佐
2011年春に大学卒業を控えた双子の兄弟を追い、就職活動の「いま」を考える。震災前に辛うじて内定を決めた弟と、決まらないまま卒業を迎える兄。新卒一括採用が主流の中で「既卒」の烙印を押される不安は大きい。兄弟とその母の葛藤を軸に、現在のリアルな雇用環境と、企業・大学・行政が抱える問題点を巧みにあぶり出していく。改善の動きや新たな試みも紹介し、兄が目標を取り戻し、職場体験を通じて正規雇用を目指す前向きな姿は希望を感じさせてくれる。
優 秀 <山梨放送> 明日へ~自殺・4年連続ワーストの山梨より~ †
↑プロデューサー 浅川俊介 ディレクター 依田 司 ナレーター 原 香緒里、土橋 諒
青木ヶ原樹海で自殺を試みた男性の手記をもとに、人口10万人あたりの自殺者数が4年連続全国ワーストワンの山梨県での自殺防止の取り組みを紹介し、自殺の現状を考える。健康・経済問題などの自殺の原因からボランティアや官民一体の取り組みなど、自殺防止に役立つ情報を丹念に取材し、相談できる連絡先も紹介し、自殺率ワースト県からの脱却を目指そうとする気概が感じられる。
優 秀 <福井放送> 共生の民 40年目の衝撃~崩れた安全神話・若狭湾の憂い~ †
↑プロデューサー 秋野範夫 ディレクター 町 雄介 ナレーター 岩本和弘 編集 藤田大樹
関西の電力の半分以上を供給する若狭湾沿岸の原発14基のうち、6基が敦賀半島に集中する。福島第一原発事故やエネルギー政策の行方を複雑な思いで見つめる住民の姿を追う。40年余り原発と共生してきた住民は、雇用・経済面の恩恵やエネルギー政策への貢献の自負を口にする。「脱原発」が叫ばれるなか、地元住民の声を丁寧に拾いあげ、問題の複雑さを浮き彫りにしている。
優 秀 <大阪放送> どうしてジャンケンできないの?~人生を変えた大阪空襲~ †
↑プロデューサー・ディレクター 和田麻実子
大阪空襲で被災し、火傷で手が開かない小宮山重吉さんは、「どうしてジャンケンできないの?」という幼い孫の一言で50年の沈黙を破り、自らの体験を語る決心をする。その半生を描いたミュージカルや被災者の証言を通じて、空襲の悲惨さを生々しく伝える。国に謝罪と補償を求める空襲訴訟の経緯や避難を禁じた当時の防空法の問題、「受忍論」の壁など、緻密な取材と構成で深く考えさせる作品に仕上がっている。
優 秀 <中国放送> 忘れんようにしんさいよ~作曲家・川崎優が伝えるヒロシマ~ †
↑プロデューサー 柏原清純 ディレクター 岡本 幸 出演者 川崎 優 ナレーター 和佐由紀子
国際的な作曲家・川崎優(まさる)さんは東京出身だが学徒動員で滞在した広島で被爆。被爆30年を機に作曲した「祈りの曲 第一『哀悼歌』」は、平和記念式典で毎年演奏される。川崎さんの「祈り」が託された調べと込められた思いを次代に繋ごうと、川崎さんの思い出したくない被爆体験や思いを新曲「祈りの曲 第六」の初演とともに記録した。「祈り」が込められた調べに圧倒され、記憶を次世代に引き継ぐ重要性を物語る。新しい切り口からヒロシマを捉えた力作である。
ラジオ教養番組 †
↑最優秀 <高知放送> うんとこしょ、どっこいしょ~株式会社「大宮産業」奮闘記 †
↑プロデューサー 竹下誠一、井津葉子 ディレクター 中嶋淳介 ナレーター 長谷川恵子
地域で唯一日用品やガソリンを販売していたJA出張所の廃止をきっかけに住民が出資して設立した株式会社「大宮産業」の5年目の1年間を追ったドキュメンタリー。「住民目線の店作り」がモットーの大宮産業の、お年寄りのための宅配サービスや住民の交流の場となる感謝祭、特産のコメをブランド化して地域の発展を目指す取り組みが丁寧に取材されている。テーマとなる限界集落のビジネスモデルが絶望的ではなく、高齢者が生き生きと描かれている。お年寄りの声などが丹念に入ってきて情景が浮かぶ。
優 秀 <IBC岩手放送> 空より高く~被災地に届け!園児の歌声~ †
↑プロデューサー 姉帯俊之 ディレクター 加藤久智 出演者 浪岡政行、浪岡幸子
東日本大震災発生から9日目、匿名で送られてきたカセットテープの保育園児の歌「空より高く」がラジオから流れると、終日災害報道を続ける放送局にリクエストが殺到した。番組はメイキングの形式で、この曲を作った人、園児に歌わせた人、電波に乗せた人、放送を通じてその歌を聴いた人、の声を集め、「生きる勇気と希望」を繋いでいった人々の絆を描く。匿名のテープが送られた地元局の地域に根差した営みが感じられる。
優 秀 <ニッポン放送> 片田敏孝のサンデー ズバリ!ラジオ †
↑ディレクター 後藤 仁 パーソナリティ 片田敏孝 出演 森田耕次 構成 長谷川浩二
毎回各界のプロフェッショナルなパーソナリティのズバリ!トークで大人の時間を提供する番組。今回は、8年にわたり岩手県釜石市の「防災教育」に携わってきた群馬大学の片田教授を迎え、市内の小中学生の99.8%が助かるという成果をあげた防災教育の内容を検証し、これからの防災のありかたと、首都圏での今後の防災を探った。教養・役に立つという点で秀逸。1時間の語りはテレビでは難しく、ラジオならではの作品となっている。
優 秀 <横浜エフエム放送> 横浜洋琴物語 †
↑プロデューサー 神戸竜太 演出 今野悦夫 構成 松本耕一 ピアニスト 中村由利子
約100年前に横浜華僑の周さん親子が作ったピアノの数奇な運命をたどりながら、中華街の歴史を描写したドキュメンタリー。当時の中華街を描いた絵葉書にピアノの看板を見つけた調査員の話、周ピアノは家具のように装飾が施され家1軒買えるほど高価だったといったエピソードなど、関係者のインタビューを随所にはさみながら、関東大震災や第二次世界大戦時の中華街を描き出す。地域の歴史を伝えた、気品のある作品に仕上がっている。
優 秀 <福井放送> FBCラジオ特集 日本一短い手紙たち 一筆啓上賞 涙から明日(あす)へ… †
↑プロデューサー 私市秀子 取材・編集・構成・ナレーター 重盛政史 リサーチ 越桐清司 解説 大廻政成
福井県坂井市丸岡町で「日本一短い手紙」を元に始まった一筆啓上賞。阪神淡路大震災のあった1995年の募集テーマは「愛の手紙」、アメリカ同時多発テロの2001年は「いのち」、拉致被害者が帰国した2002年のテーマは「喜怒哀楽」。全国から4万通に上る応募があった昨年18回目のテーマは「涙」。番組ではこれまでの主な作品を紹介しながら、「一筆啓上賞」が映した時代の記録を取り上げる。手紙自体がドラマとなっており感動をさそう。
優 秀 <京都放送> もし高校野球中継の中で京都のイケズを解説したら †
↑プロデューサー 小川重和 ディレクター 岡 悠一郎 ナレーター・解説 松原タニシ 実況 森谷威夫
京都のイケズについて、敢えてイケズとほど遠い架空の高校野球中継の形式で探っていく。番組では、京都人の客に対する「早く帰れ」のサインとして知られる「ぶぶ漬け」に加えて、「一子相伝」「一見さんお断り」「“おこしやす”と“おいでやす”」などの京都の言い回しを手掛かりに、生粋の京都人の声を交えながら「イケズ」を紐解いていく。難解なお題を架空の高校野球中継の中で解説する演出で、楽しく聞ける。
優 秀 <宮崎放送> 戦艦大和沖縄特攻作戦~護衛艦隊生存者の証言~ †
↑ディレクター 紫安伸一 編集 小畑貴嗣 音声 平原秀明 ナレーター 関 知子
わずか2時間の戦闘で3700人が犠牲になったといわれる連合艦隊第二艦隊による沖縄水上特攻作戦。戦艦大和の最期は手記や映画によって多く語られているが、この番組は大和を護衛する他の艦船の乗員たちの証言と手記から作戦の実像を描いた。証言者の数が年々減ってきているなかで、生存者を発見し番組として取り上げていく姿勢はメディアにとって重要で、記録的な価値が高い作品である。
ラジオエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <横浜エフエム放送> 開局25周年記念特別番組 ラジオドラマ「DAI」 †
↑プロデューサー 渡辺陽介、多喜井 徹 脚本・演出 青山鉄兵 出演 伊阪達也
2010年、FMヨコハマでADとして働く大輔が、FMヨコハマが開局した1985年にタイムスリップしてしまうラジオドラマ。毎日忙しくラジオの現場で働くことに自問自答を重ねていた彼であったが、開局当時の番組制作者やDJと触れ合ったり、死別した母のハガキに出会ったりしながら、ラジオの原点、魅力を再認識していく。昔を懐かしむだけでなく、ラジオが持つ変わらない力を感じさせる。リスナーへの25年分の感謝が溢れるラジオドラマである。
優 秀 <IBC岩手放送> 絆・いわて~ふるさとは負けない~これが岩手のシルバーパワー! †
↑プロデューサー 姉帯俊之 ディレクター 高橋典子 出演 神山浩樹、風見好栄
IBC岩手放送の2人のアナウンサーと地元の民謡歌手・中川あい子さんが集まり、それぞれが東日本大震災の被災地で出会った元気で明るい3人のお年寄りたちを紹介しあう。震災に真正面から取り組んだ番組で、小手先の技法ではなく一人ひとりに話を聞く、という形で作られている。ラジオから聞こえる「93歳だから93馬力!」などのお年寄りのたくましい肉声の数々が、被災地に元気を届けた。
優 秀 <ニッポン放送> ニッポン放送ホリデースペシャル「ラストイニング 全国高校野球 県予選決勝 聖母学苑 対 彩珠学院」 †
↑プロデューサー 伊藤了子 ディレクター 勝島康一 出演 煙山光紀、渡部 建
人気野球漫画「ラストイニング」のひとつのクライマックスともいえる埼玉県地区予選の決勝戦を架空実況したラジオドラマ。この作品の大ファンである煙山アナウンサーの芸術的な実況と、お笑いコンビ、アンジャッシュの渡部建の絶妙な解説によって、漫画の世界の選手たちによる一挙手一投足がいきいきと形になる。「負ければあとがない」という高校野球特有の緊張感に、リスナーは「試合」に引き込まれる。映像ではできないラジオならではの斬新な試みが成功している。
優 秀 <北陸放送> 浅川マキ~ロング・グッドバイ~ †
↑プロデューサー 園田 誠 ディレクター 川瀬裕子 技術 山崎正敬
寺山修司の世界を歌って演じるという新しい独特の世界観を作った浅川マキ。石川県出身の彼女のライブ音源が北陸放送に残っていた。彼女と親交のあった人物やプロデューサーへのインタビューなどを織り交ぜながら、その人生をたどる。よく練られた構成で浅川マキのエピソードを解りやすく伝えており、ラジオだからこそできた人物ドキュメンタリー。あらゆる世代のリスナーを浅川マキの世界へといざなう。
優 秀 <毎日放送> ラジオドラマ「罪と罰と人情と」 †
↑ディレクター 島 修一 脚本 三谷昌登 技術 亀田悠一
老親と子どもの間での介護の現場で起こった事件を裁こうとする裁判員裁判をテーマとしたラジオドラマ。関西ならではの騒々しく、ややこしい6人の裁判員の面々が繰り広げるコミカルな笑いの中から、「親子の情愛」や「社会が進んでも忘れてはいけないもの」を訴える。自分が7人目の裁判員になったかのようにドラマに引き込まれる。大阪弁の可能性を実現し、大阪人の個性の豊かさを表現している。
優 秀 <山陰放送> 中四国ライブネット『水の都 松江~とっておきの秋の夜~』 †
↑ディレクター 荒井由岐子 アナウンサー 板井文昭、大田祐樹、丸山聡美
松江城周辺の観光スポットなどに行灯の灯りをともし、水と光の幻想的な雰囲気の中で松江の風情を楽しむ毎年秋恒例の「松江水燈路」の模様を生中継で伝えた。堀川遊覧船の船上リポートや松江観光文化プロデューサーなどのゲストとのトーク、そして松江をこよなく愛した小泉八雲の作品を紹介しながら、観光文化都市松江の魅力を伝える。出演者による景観の描写が的確で、リスナーに松江の風情を感じさる。秋の夜長に優雅でゆったりとした時間が流れる。
優 秀 <九州朝日放送> ミヤリサン製薬presents 北方謙三 水滸伝 †
↑プロデューサー 石橋 聡 プロデューサー補 武藤礼治 チーフディレクター 原田昌史 ディレクター 萩野谷 昇
人気作家・北方謙三によるヒット作品「水滸伝」を、「耳で聴く活劇小説」としてラジオドラマ化。大作を5年半かけて放送しようという長期企画。舞台は今から900年ほど昔、北宋末期の中国。重税と暴政で乱れ切った国を糺そうという志を持った人間味あふれる英雄たちの波乱万丈の生き様が、現代を生きるリスナーに人生のヒントを与える。優れた構成、表現力に加え、森 正明の音楽が物語の壮大なスケール感を力強く演出している。
ラジオ生ワイド番組 †
↑優 秀 <ラジオ福島> 夜をぶっとばせリクエストで120分 †
↑プロデューサー・ディレクター 菅野左千男 アナウンサー 大和田 新、菅原美智子
ナイターシーズンは月曜日/19時~21時の放送。震災後は、2人のベテランアナウンサーが福島県の現状を取材やインタビューを交えて熱く語る内容で放送。この日は、福島の未来を担う子どもたちの教育の充実が急がれることをテーマに、校長が不在の県立相馬高校にスポットをあてた。2人の卒業生をゲストに迎え、高校の恩師や2人が進学した福島県立医科大学のOBの立谷市長も電話出演し、福島の将来を探った。地域の人々の真実をしっかり伝える地方局の意義とメディアの力のある番組である。
優 秀 <エフエム東京> シンクロノシティ~東日本大震災報道特別番組 †
↑プロデューサー 平岡俊一 ディレクター 前田章太郎、東海林 靖 出演 堀内貴之
月~木/16時~18時45分の放送。東京に暮らす人々に実際に日々街頭でマイクを向け、考えや価値観を吸い上げていく番組。3月14日のレギュラー放送枠と同日25時~29時の特別放送枠の2パートからのダイジェスト。急遽駆けつけた渡辺貞夫さんのスタジオライブと、リスナーからのメッセージとリクエスト曲を全国に向けて放送した。震災に対して今自分たちにできることをしようという姿勢が伝わってくる。被災地からのメッセージが印象的で、パーソナリティが素直な心情を心を込めて語っているのにも好感が持てる。
優 秀 <山梨放送> Talk魂765 GO!GO!イチ レッツ朝ごはん! †
↑プロデューサー 浅川俊介 ディレクター 石川 治 パーソナリティ 櫻井和明、石河茉美
月~金/13時~16時24分の放送。トークテーマへのメッセージを募集し、リスナーとの「双方向」を意識した昼ワイド。この日は栄養学の専門家をゲストに迎え、朝ごはんについて考えた。食べない人が増加傾向にある理由、朝ごはんの重要性についての解説、「ことわざ」に込められた朝ごはんの大切さの意味や、アイデアメニューの紹介と、トークが続く。番組内で何度もテーマトークが繰り返され、途中から聴いても分かるように構成されている。教養や情報、地域性が盛り込まれ、オチもつける、生ワイドの教科書的な番組である。
優 秀 <北日本放送> ご近所ラジオKNB †
↑プロデューサー 松本芽久美 ディレクター 熊野智元 出演 鍋田恭子、荒瀬洋太
月~金/12時30分~16時の放送。今回は火曜日の企画である「飛び出せ!3D恭子さん」から。メインパーソナリティの鍋田恭子がスタジオを飛び出し、この日は富山の港町、旧新湊にある「堀岡養殖漁業協同組合」からの中継。「天然魚あふれる町でなぜ養殖を?」「なぜ富山では余り食べないトラフグを?」を聞いた。目先の新しい面白いテーマを掘り下げ、リスナーを「なるほど」としっかり納得させる。話し手の分担とバランス、番組の流れがともに良い。港の情景描写からは風景や活気が目に浮かぶようである。
優 秀 <FM802> HIRO T’S MORNING JAM †
↑プロデューサー 平川英樹 ディレクター ヒロ寺平
月~金/6時~11時の放送。リスナーの朝のライフスタイルに合わせて小刻みに緩急をつけながら、音楽と情報を伝える。この日は全編を通じて東日本大震災を意識し、毎時間、震災関連のトピックを交えた。ハイライトは福島県いわき市在住のシンガー、菅波(すがなみ)ひろみのパート。ヒロ寺平が心打たれた彼女の曲とメッセージを届けた。聴きやすい番組作りで、パーソナリティのコメントがメリハリをつけながらもさりげなく、安定感がある。この番組が日常になっているリスナーの多さが窺える。
優 秀 <高知放送> ラジオアイランド まる○しこく †
↑プロデューサー 竹下誠一 ディレクター 中嶋淳介 出演 井津葉子、石田佳世
土曜日/13時~16時の放送。「四国密着」をコンセプトに、四国4県の一週間の出来事やおすすめスポット、話題の人物など、旬の情報を四国4県に向けて生放送する。この日は番組のコーナーの1つである「僕の自慢、私の自慢、ラジオキッズいらっしゃい」のスペシャル版。これからラジオを聴いてほしい世代に向けて、スタジオから子どもたちの声を発信した。2人のアナウンサーが子どもたちを尊重しながら年齢にあわせてキチンと分かりやすく話しているのが素晴らしく、子どもの心を開かせて自然に本音を語らせている。
優 秀 <琉球放送> ミュージックシャワー「ラジオがやってくる」スペシャル †
↑プロデューサー 比嘉京子 ディレクター 相良 武、宜野座梨乃 パーソナリティ 狩俣倫太郎
月~金/11時~14時20分の放送。この日の番組は、民放連ラジオ委員会が主催する「ラジオがやってくる!」キャンペーンで、パーソナリティの狩俣アナウンサーが豊見城(とみぐすく)市の伊良波(いらは)小学校を訪問するスペシャル版。ミニ講座で放送局の仕事を説明したり、子どもたちが「ラジオDJ」や「一芸披露」に挑戦した。子どもたちの熱気が伝わり無条件に楽しめる。「生」のよさと臨場感、ときには「ぎこちなさ」がさらに面白みを醸し出している。
テレビ報道番組 †
↑最優秀 <朝日放送> 年金不信 †
↑プロデューサー 矢島大介 ディレクター 天本周一 撮影 喜多貴嗣 ナレーター 宮城さつき
障害年金は、未成年で重い障害を負った場合には20歳を過ぎると無条件に支給される一方で、20歳以上で重い障害を負った場合には、保険加入期間の2/3以上の期間の保険料の支払いが支給要件となっていることはあまり知られていない。誰のため、何のための年金かを静かに問いかける。丁寧な取材と映像構成により、無年金障害者が直面する現実の厳しさを伝え、国民に十分に理解されていない障害年金の問題点を啓発した。
優 秀 <秋田放送> NNNドキュメント’11 夢は刈られて 大潟村・モデル農村の40年 †
↑プロデューサー 石黒 修 ディレクター 石川 岳、築地 操
巨大な湖を埋め立ててつくられた秋田県大潟村には、かつて米作りに人生をかけた多くの農民が集まったが、干拓事業が完成する頃には減反政策が始まった。国は大豆や野菜を作るよう強制したが、大潟村は水はけが極端に悪く畑作には不向きで、借金を抱えて村を去る者や命を絶つ者までも現れた。場当たり的な日本の農政がいかに農業の現場を翻弄し疲弊させてきたかを問いかける。優れた構成でこれまでの経緯を整理しており、現在もまだ続く農政の問題を伝えている。
優 秀 <日本テレビ放送網> action!特別版「連続幼女誘拐・殺人事件に新事実」 †
↑プロデューサー 杉本敏也 ディレクター 清水 潔、田中 尚 構成・演出 千野克彦
足利事件の真相を追い続けた調査報道番組。菅家利和さんの冤罪が晴れた後も真犯人を追い続け、DNA型再鑑定を再び実施して再捜査を開始すべきだと捜査当局に訴え続けるが、当局は時効を理由に捜査に乗り出さない現状を伝える。3年以上前から独自に地道な取材を続け、確固たる信念を持って真実を求める制作者たちの情熱が伝わってくる。
優 秀 <テレビ信州> チャンネル4 畳の上で何が… 柔道事故と中学必修化 †
↑プロデューサー 征矢野 泉 ディレクター・撮影 藤塚 隆 MA 渡辺一郎
3年前、長野県松本市内の柔道教室で、稽古中の小学6年生が脳に重い障害を負う事故が起きた。同じような事故は多発しており、授業や部活動での柔道だけでも、国内では過去27年間に110人が死亡している。対策がとられないまま、来年度から中学校での柔道をはじめとする武道が必修となる。「必修化への対策は充分か」という問題意識が明確であり、事故の被害者、指導者への丁寧な取材を通して、畳の上で事故が続発していることを伝え、警鐘を鳴らしている。
優 秀 <富山テレビ放送> 東北の富山~東日本大震災 2か月の記録~ †
↑プロデューサー 前谷喜光 ディレクター 福島 勝 編集・撮影 小島崇義 制作統括 青柳良明
東北地方と富山の間には、古くから水産業や薬売りを通じた結びつきがあり、富山でも多くの人が東日本大震災による痛みを共有していた。災害がもたらした悲惨さにおののきつつも、被災者のためにできることを探し苦難をともに乗り越えようと、富山からも人が動き出していく。被災地で活躍した3人の富山人のドキュメント。被災した大型漁船の船主、家庭薬配置業者(いわゆる富山の売薬)、NGO代表のボランティアの3人の姿を通し、富山ならではの震災報道に成功している。
優 秀 <山陰中央テレビ> 自然のふところで~森のようちえんまるたんぼう流~ †
↑プロデューサー 山根 収 ディレクター 平井謙太 撮影 野田 貴
鳥取県の山間の町、智頭町に、ユニークな幼稚園「まるたんぼう」がある。まるたんぼうには、「園舎」がなく、普段は智頭の森の中で活動する。国の認可はないが、子供たちは自然の中でのびのびと心と体を鍛えていく。既存の幼稚園や保育園とは異なる独自の路線を進むまるたんぼうの取り組みに密着した。子どもたちの生き生きとした表情が視聴者を幸せな気分にさせ、日本のこれからの教育のあり方も示唆している。
優 秀 <沖縄テレビ放送> どこへ行く、島の救急ヘリ~ヘリコプターを私にください2~ †
↑プロデューサー 山里孫存 ディレクター 平良いずみ 構成 渡邊修一 撮影 高江洲 努
沖縄本島北部には急患の搬送に2時間以上を費やす地域があり、医師たちは過疎地の住民を救うために救急ヘリを飛ばし続けようと献身的な努力を続けるが、年間1億2千万円の運航費に行政からの確たる支援はなく、住民のカンパによって何とか支えられている。資金不足による運航中止の不安を抱えながら飛び続ける救急ヘリに関わる人々の姿を追う。本当に必要なものに行政が手当てをしない矛盾を訴える。沖縄県で始まった救急ヘリの取り組みを全国に伝えようとする地元局の使命感が伝わってくる。
テレビ教養番組 †
↑最優秀 該当なし †
↑優 秀 <青森放送> 民教協スペシャル 母の衣に抱かれて 津軽袰月(ほろづき)ものがたり †
↑プロデューサー 橋本康成 ディレクター 小山田文泰 撮影 藤林国仁
津軽半島先端の町、袰月。過疎化が進んだ「限界集落」に39世帯、63人が「結いの心」で助け合いながら暮らしている。番組は、高齢化による「限界」が近づくこの集落に2年10か月間寄り添った記録。四季の移り変わりを背景に、地区の姿や人々のかかわりを描く。カメラや音声が地域の人々の表情や息づかいを良く撮っている。普通の人々の日常の暮らしを描きながら、美しくも切なく、心にじわりと沁みる作品である。
優 秀 <日本テレビ放送網> リアル×ワールド「お母さんという生き方」 †
↑ディレクター 黒瀬敦子 プロデューサー 小嶋清美、吉田 絵 作家 たむらようこ
一児の母である番組ディレクターが自らカメラを持ち、様々な母親を訪ねながら一人称で語るルポルタージュ。5月8日、母の日の放送。今を生きる「お母さん」たちのリアルな姿から見えてくる子育てとは、親子の絆とは。家族と命を見つめる。「お母さん」の多様な生き方を認め、世の中のお母さんに勇気を与える。核家族の中での子育てや、男性や職場の支援のあり方など、視聴者が課題を感じられる作品である。
優 秀 <静岡放送> SBSスペシャル サヨばあちゃんの無人駅 †
↑プロデューサー 土方康太郎 ディレクター・撮影 阿部朋也 ナレーター HaLo_ayako
山間の無人駅を調理場にして仲間たちと作った惣菜を地域に配るサヨばあちゃんと、サヨさんの訪問を心待ちにするお年寄りたちの交流の物語。茶畑に囲まれた美しい風景の裏で見え隠れする孤独と生きる老人たちの姿を、ユーモアを交えつつさりげなく描く。長期間にわたる取材により、一人ひとりの人生ドラマを映し出している。サヨさんの活動の根底に幼年期の戦争体験があったことが最後に明かされ、作品に深みを与えている。
優 秀 <毎日放送> クニマスは生きていた!~“奇跡の魚”はいかにして「発見」されたのか?~ †
↑プロデューサー 尾嵜 豪 ディレクター 郷原宏久 出演 中坊徹次、さかなクン
絶滅から70年。クニマスの大発見に完全密着したドキュメント。番組は、標本の退色復元プロジェクトに取り組む京都大学の中坊教授が、さかなクンにクニマスのイラストを依頼し、さかなクンが山梨県西湖からヒメマスを取り寄せたところから始まる。番組が大発見に立ち会った偶然を生かしきり、歴史的再発見に至るまでのプロセスを臨場感と説得力をもって見せる。これぞテレビの醍醐味といえる番組である。
優 秀 <南海放送> 棄てられたヒバク †
↑プロデューサー 大西康司 ディレクター 伊東英朗
第二次世界大戦後にビキニ環礁で行われた水爆実験では、全国のマグロ漁船が被ばくし、四国の船籍の漁船も多数含まれる。乗組員は放射性降下物を浴び、因果関係が立証されないまま次々と亡くなった。被害者や遺族、当時の調査関係者らの証言、日米両政府の公文書をもとに、被ばく関係者自身も口を閉ざし現代史に埋没する被ばくの事実を解き明かす。過去の問題を扱いながら現在を問う難しい仕事を、このテーマに対する継続的な取り組みで見事にやってのけている。
優 秀 <南日本放送> どーんと鹿児島「パソコンをキャンバスに」 †
↑プロデューサー 有迫貴史、山崎兼敏 ディレクター 北原由美 ナレーター 元 ちとせ
奄美大島の養護学校に通う屋嘉比寛くんは、高機能自閉症のため他人とのコミュニケーションが苦手で、口数も少ない少年だが、彼の描く絵は饒舌だ。漆黒の闇の中に咲き乱れるように浮かび上がる熱帯植物、緑の中を地平線まで続く一筋の道、岩の上に凛と立つアカショウビン。パソコンの上に生み出される作品と少年の成長を記録した。 長期の取材で得られたエピソードを丁寧に取り上げることで、絵が自分の物になっていく変化や少年が自立していく姿、理解者である美術館の学芸員との絆が良く描かれている。
※辞退(最優秀):東海テレビ放送「記録人 澤井余志郎~四日市公害の半世紀~」 †
↑テレビエンターテインメント番組 †
↑最優秀 該当なし †
↑優 秀 <札幌テレビ放送 > NNNドキュメント’11 ハートはあったかい ポンペ病・母が作った絵本 †
↑プロデューサー 五味 宏 ディレクター 水谷潤子 撮影 金澤朋仁 ナレーター 壇 ふみ
難病・ポンペ病と闘う愛息のために母親が手作りした一冊の絵本を通じて、親子の成長を見つめたドキュメンタリー。番組では、自らの病気を理解できずに治療を嫌がる息子のために、母親が病気のことを理解してもらおうとストーリーもイラストも考えたオリジナルの絵本を作り、この絵本によって少年には病気に向き合う気持ちが芽生えていく。良い素材と題材をしっかりと映像化し、優しく表現している。
優 秀 <フジテレビジョン> ホンマでっか!?TV †
↑チーフプロデューサー 亀高美智子 演出 木村 剛、武田誠司 プロデューサー 原島雅之
専門家でしか知りえない様々なジャンルの研究結果や統計などは、そのままでは受け入れづらく難しい。そうした学説をより噛み砕き説明し、視聴者の生活に結びつけることで、より身近な情報として提供するバラエティー番組。相容れないと思われる学術と笑いを融合させたことによる、一風変わった化学反応が見所のひとつ。パワフルで一瞬にして人々の気持ちを楽しくする花火のような作品である。
優 秀 <信越放送> SBCスペシャル「100歳のごはん」 †
↑プロデューサー 田中哲郎 ディレクター 湯本和寛 ナレーター 武田 徹 撮影 伊藤康雄
元気に暮らす100歳前後のお年寄りの食卓をオムニバスに描いた作品。長野県内の長寿のお年寄り宅を訪問し、日常の食卓を拝見し、人それぞれ、様々な生活をしているお年寄りの1日の様子と、その食生活を描く。お年寄りから長寿の秘訣をアドバイスしてもらい、現代社会に生きる次の世代たちに生きるヒントを与えている。夫婦の会話がかぶるシーンなど、明るいムードが滲みでている。
優 秀 <読売テレビ放送> グッと!地球便 特別編 †
↑チーフプロデューサー 吉川秀和 プロデューサー・演出 太田匡隆 演出 中地浩之 ディレクター 佐伯圭右
未知なる物への好奇心と家族愛をテーマに、海外で奮闘する日本人に日本の家族から贈り物を届けて家族を繋ぐ情報バラエティー番組。今回の番組では、ニュージーランドで氷河ガイドとして働く青年と、スペイン・バルセロナで天才建築家アントニオ・ガウディの研究に情熱を注ぐ2人の日本人を紹介する。日本の家族からの贈り物を受け取るいつものシーンから家族どうしの気持ちが伝わり、次回も見たいと感じさせるレギュラー番組としての力がある。
優 秀 <広島テレビ放送> ヒロシマ大衆演劇の父~78歳名物支配人の夢舞台~ †
↑プロデューサー 増田琢二 ディレクター 大谷泰則 編集 道閑慎一
広島市内にある大衆演劇場の支配人の大衆演劇への思いに迫るドキュメンタリー。脚本家としての顔も持つ78歳の名物支配人が、時代劇を中心とした人情芝居が人気の大衆演劇で、社会性の強い芝居にも挑戦。北朝鮮による拉致を題材とした芝居「母千里」を書き下ろし、家族やベテラン役者の支えを得て、3年がかりで上演を実現させる。 大衆演劇を知らない人にも興味を抱かせ、新たなものに関心を持たせるテレビの力を改めて知らされる。
優 秀 <南日本放送> どーんと鹿児島「できない子なんていない。~志布志・伊田保育園の1年~」 †
↑プロデューサー 有迫貴史 ディレクター 切通啓一郎 撮影 江夏 豊 音声 江平美幸
自立して行動できる子供たちを育てようとしている鹿児島の保育園の取り組みを紹介するドキュメンタリー。園児たちは難しい漢字を書き、卒園までに2千冊の本を読み、逆立ちのまま歩き回り、50m走は小学校2年生の全国平均を上回り、跳び箱は10段以上跳び、60曲以上の曲を、楽譜を見ないで弾く。なぜここまでできるようになったのかを探る。保育園に1年間密着し園児たちの驚異の成長ぶりをじっくりと取材した地元局ならではの、子供たちの表情や強さが伝わる作品である。
※辞退(最優秀):東海テレビ放送「泳ぐ車いす」 †
↑テレビドラマ番組 †
↑最優秀 <テレビ東京> 鈴木先生 †
↑プロデューサー 岡部紳二、山鹿達也、阿部真士 脚本 古沢良太 監督 河合勇人 出演 長谷川博己 ほか
どこにでもいそうな若き中学校教師、鈴木先生が、独自の教育理論を駆使して、学校で起こる様々な問題に真摯に向き合い、時に過剰に悩みながら解決していくさまを描く。武富健治の文化庁芸術祭マンガ部門受賞作をドラマ化。全10話中、第1話と第2話では、性の問題、給食メニュー、食事中のマナーの問題に直面する。普通の生徒たちが起こす、正論やキレイ事だけでは解決できない難問。それに向き合う鈴木先生自身も、悩み多き一人の人間として等身大に描かれており、ドラマ全体にリアリティーと緊張感を与えている。先生の緻密な分析とロジックが、クラスひいては社会全体の活性化への鍵となっており、世代を超えて問いかけるものがある。鈴木先生の脳内葛藤を、遊び心あふれるモノローグとテロップ表示で表現した手法も斬新。これまでにない新しい切り口の学園ドラマとして画期的である。
優 秀 <日本テレビ放送網> Q10 †
↑プロデューサー 河野英裕 ディレクター 狩山俊輔、佐久間紀佳 脚本 木皿 泉
平々凡々と暮らす、夢もない、恋もできない高校3年生の主人公、平太が、ひょんなことから70年後の未来から来た女の子型のロボットと出会い、起動させてしまう。とっさに「Q10(キュート)」と名づけたそのロボットに、平太は人間について教え、交流するうちに、次第に心惹かれていく。ロボットやタイムトラベルなど、奇想天外な設定でありながら、誰かを愛すること、生きることの意味、といった根本的なテーマを、様々な登場人物との関わりを通じて丁寧に描き出した。設定の奇妙さを感じさせない、日常のドラマであると思わせることに成功している。若者だけでなく大人も楽しめる青春ドラマとして大きな輝きを持つ作品である。
優 秀 <フジテレビジョン> フリーター、家を買う。(第1話) †
↑編成企画 瀧山麻土香、水野綾子 プロデューサー 橋本芙美 ディレクター 河野圭太 脚本 橋部敦子
就職先を3か月で辞め、これといった取柄も甲斐性もなく、プライドばかり高い23歳の主人公、誠治は、父親になじられつつも、甘い考えのまま家に引きこもってダラダラと過ごしていた。ある日、母親が重度のうつ病と診断され、自分の不甲斐なさに気づいて一念発起。社会の厳しさを思い知りながら、土木工事のアルバイトで出会った人々を通じて人生や働くことの意味を知り、家族の再生のため「家を買う」ことを決意する。 第10回電撃小説大賞でデビューした有川 浩の原作をドラマ化。今時の若者像をリアルに描写し、家族、仕事、就職といった現代社会が抱える問題を、一つの家庭を通じて際立たせて見せた。同時に、「いつでもやり直せる」という前向きなメッセージが伝わってくる。続きが見たくなるはらはらさせる展開に、連続ドラマの力を感じさせる。
優 秀 <中部日本放送> スペシャルドラマ 旅する夫婦 †
↑プロデューサー・演出 堀場正仁 脚本 市川森一 出演 伊藤 蘭、岸部一徳 ほか
夫の定年退職後、人前結婚式(シビルウェディング)の司式者(ミニスター)として全国を旅する夫婦の元に、三重県・熊野からオファーが届く。思いがけず、元夫と暮らす実の娘の結婚式に、20年以上の時を経て、現夫とともに立ち会うことになった妻。しかし、結婚式前夜の盗難騒ぎや、娘と元夫からの申し出を受けて、夫は身を引くように妻の元を去る。残された置手紙から、妻は夫が一人で苦しんでいた健康や経済上の問題を知る。妻・元夫・現夫の3者入り乱れてのやりとりが、穏やかな中にもスリル感があり、台詞が練られていて無駄がない。妻の成長ぶりやそれぞれが積み重ねてきた人生の長さが、演技にも巧みに表現されている。傷を抱えながらも共に歩むことを選び、再び手を取り合う夫婦の絆を、熊野古道の風景が優しくファンタジーに包み、大人がじっくりと楽しめる作品に仕上がっている。
優 秀 <読売テレビ放送> ニセ医者と呼ばれて~沖縄・最後の医介輔~ †
↑チーフプロデューサー 堀口良則 プロデューサー 岡本浩一 ディレクター 国本雅広 脚本 遊川和彦
医師不足に陥った戦後のアメリカ統治下の沖縄で、元衛生兵や医師助手などの経験者を代用医師として認定した「医(い)介(かい)輔(ほ)」制度。2008年に廃業した最後の医介輔である宮里善昌さんをモデルに、その60年間にわたる苦難の歴史を描いた。不発弾で負傷した子どもや、米兵にレイプされハーフの子を出産したのち自殺した女性のエピソードなどがリアリティーをもって描かれ、実話を基にしたドラマとしての重み、迫力を感じさせる。宮里の悲しみをたたえた笑みには、「ニセ医者」と言われ続けた彼の苦悩と目の前の患者を救おうとする優しい眼差しが十分に表現され、妻の毅然とした熱演とともに、作品を一段高みに上げている。これまでほとんど描かれることのなかった医介輔に光を当て、沖縄の歴史を語るドラマとしての役割をしっかりと果たしている。
CM部門 †
↑ラジオCM 第1種(20秒以内) †
↑最優秀 <信越放送> 綿半ホームエイド ほぼ何でも揃います(20秒) †
↑プロデューサー 田中穂積 ディレクター 松田 隆(アンチテーゼ)
「パパとママをくっつける接着剤、言葉がキツイお姉ちゃんにあげるクッションはありますか?」と聞く子どもに、店員さんは「そ…それに近いものはございますが」と戸惑いながら答える。締めくくりの「“ほぼ”何でも揃う綿半ホームエイド」というナレーションが、広告主に親近感を抱かせ、思わずお店に行ってみたくなるような気にさせてくれる。CMのコピーは、信越放送が今年春に実施したコピーライターコンクールでグランプリを受賞したもの。
優 秀 <文化放送> シー・アイ・シー クリーンドクター/パパうんち(20秒) †
↑ディレクター 見目幸伸 ミキサー 上原裕司 企画 白石仁司 プランナー 高橋知之
「パパー、うんち、うんち!」という子どもの声に、「そこらへんでしちゃいな!」とお父さんが答える。「ほら、そこのお皿にしちゃいな。パパもこのお鍋にするから」と過激になっていく親子の会話に驚かされ、心配になってしまう。映像がないラジオならではの演出だが、実は害虫の親子の会話。「害虫に家中をトイレにされる前に」というナレーションが強いインパクトを与えて、害虫駆除サービスの必要性を上手に訴えるCMである。
優 秀 <文化放送> 白元 レンジでゆたぽん/夢で会いましょう(20秒) †
↑プロデューサー 辰巳知之(白元) ディレクター 見目幸伸 ミキサー 上原裕司 企画 矢代えり
チーンという鐘の音とともに、おばあさんが仏壇にゆっくりと話しかけている。「おじいさん、長生きするもんですね。湯たんぽが、“ゆたぽん”になったんですよ」と、電子レンジで温める湯たんぽがあることを報告する。今度は、電子レンジのチーンという音がして、「温まったんでもう寝ますね。夢でまた会いましょう」と話しかける。心が温まる夫婦の情愛を伝えながら、簡単で便利という商品の魅力をさりげなくアピールしている。
優 秀 <エフエム東京> 三越伊勢丹 新・銀座三越/銀座テラス篇(20秒) †
↑プロデューサー 山口景子 コピー シラスアキコ(Color) ミキサー 越川博雅(エフエムサウンズ) 出演 坪井香百里(三越伊勢丹)
館内放送で使われる三越オリジナルの印象的なチャイムに続いて、「お客様のお呼び出しを申し上げます。地上31メートルの『銀座テラス』で、お友達が星空を眺めながらお待ちです」とのナレーションが流れる。リニューアルした銀座三越を実感してもらおうと、ナレーションを、実際の館内案内の社員が担当した。夢のあるコピーと三越のブランドイメージがあいまって、上品な雰囲気を醸し出す優れた作品である。
優 秀 <朝日放送> 長谷川工業 ノッテる(20秒) †
↑プロデューサー 野本友恵 プランナー 立石紀雄 ディレクター 村上正道(ビー・ジー・エム・サービス) コピーライター 稲見周平(フリー)
ノリノリのコンサート会場で若い女性アイドルが「みんな何に、ノッテる~!?」と観客に問いかけると、熱狂的な男性ファンが「キャッタツ~!(脚立~!)」と応じる。「どこのにノッテる~!?」というと、「ハッセガワ」と答える。若手職人をターゲットに、テンポの良いやりとりのなかで、商品と広告主名を巧みにアピールする楽しいCMである。「ノッテる」を脚立に「乗ってる」にひっかけている演出も絶妙。
優 秀 <エフエム熊本> 車検のコバック 車検/ヤツが来る!!(20秒) †
↑プロデューサー 伊佐坂功親 ディレクター 富岡弘展 録音 松下和浩(U2) コピー 岡田 上(フリー)
恐怖をあおるような音楽と効果音を背景に、「あなた、ヤツが来るわ!」と声を震わせる妻。「ヤツって、まさか!」と応じる夫。最高潮に達した音楽のあと、「2年ごとにやって来る」とのナレーション。ヤツとは実は車検のことで、最後は一転して夫婦揃って「コバックね~‼」と楽しげな声が響く。ドラマチックな演出で、定期的にやってくる車検を恐怖で表現したラジオらしいCMである。
優 秀 <エフエム沖縄> 沖縄県文化振興会 沖縄県公文書館/「いつか見た沖縄・Bタイプ」篇(20秒) †
↑プロデューサー・ディレクター・コピー 大田 判 ナレーター 多喜ひろみ
1972年の沖縄本土復帰を記念して、沖縄特別国民体育大会(若夏国体)が復帰翌年に開催された。県民代表の子どもによる「若夏国体 歓迎のことば」を、公文書館に保存されている記録映画から抜き出してCMに使用した。ハキハキとした子どもの声が、沖縄復帰当時の“熱気”をリスナーにイメージさせる。沖縄県公文書館に貴重な映像や音声が収蔵されていることを的確に伝える「いつか見た沖縄がここにある」というコピーが秀逸である。
ラジオCM 第2種(21秒以上) †
↑最優秀 <エフエム東京> 味の素 言葉の成長(60秒) †
↑出演 森山泰地(ごたごた荘保育園)、田町イルファン(同)、高橋かな(同)、宮田ゆう(同)
赤ちゃんがいち早く覚える言葉は、食べ物に関するものが多いという。にゅーにゅー(牛乳)、ぶどっこぢー(ブロッコリー)、にゃいよねーじーー(マヨネーズ)……。たどたどしくてもお母さんにはちゃんと伝わる、そんな“言葉”を拾い集める。食べることの楽しさをあらためて伝えるとともに、子どもを育てるお母さんたちへの応援歌にもなっている。丹念な取材で、心温まるCMを作り出したことが高く評価された。さらに、食生活を応援したいという企業の姿勢を伝えることにも成功している。
優 秀 <IBC岩手放送> 公共キャンペーン・スポット/ふるさとは負けない!八木澤商店(40秒) †
↑プロデューサー 姉帯俊之 ディレクター 江幡平三郎 出演 河野和義(八木澤商店) MIX・編集 佐藤正昭(スリーエス)
八木澤商店の河野和義会長が、復興への思いを熱く訴えかける。同社は、本社を陸前高田市に置く、1807(文化4)年創業の老舗しょうゆ醸造会社。「自宅も会社もすべて流されました。しかし社員という大事な宝が残っておりますし、200年前からの酵母菌も見つかりました。ですから必ず復活いたします」と、力強く語る。被災者のみならず、リスナーすべてを奮い立たせてくれるパワーを持った作品である。
優 秀 <エフエム東京> 自社媒体PRスポット/ヒューマンコンシャス・コトバ銀行(60秒) †
↑プロデューサー 林屋創一 ディレクター 中山佐知子(ランダムハウス) クリエイティブディレクター 小松洋支(電通) コピー 薄 景子(電通)
“コトバ”を預かるという架空の銀行が舞台。普段、妻への感謝の言葉をかけそびれている男性が、“コトバ”を引き出しにやってくる。「お誕生日おめでとう」は10年分預けっぱなし、「きのうはすまない」は23年分、「味噌汁うまかった」に至っては、30年満期で利息まで付いている。男性は意を決して“コトバ”を引き出し、妻へ伝えるのだった。あり得ない設定でありながら、「さて自分はどうだろうか」と考えさせる演出が光る。
優 秀 <J-WAVE> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境 母のたからもの(120秒) †
↑プロデューサー 大谷恭代 ディレクター 大塚和広(フリー) 出演 桑名 忍(豪勢堂) 録音技術 宮越匡史(セラ)
久しぶりに実家に帰り、母親の遺したものを整理している女性が主人公。母が最後まで捨てられなかったものの中に、自分が5歳の頃はいていたスカートを見つける。破れたスカートを、母は愛情を込めて、何度も直してくれた。そんな母の優しさがつまったスカートを見ながら、溢れるモノで囲まれる、自分の“いま”を見つめ直す。自然体の語りが魅力的で、じっくり聴かせるキャンペーン・スポットに仕上がっている。
優 秀 <福井放送> 自社媒体PRスポット/あなたの心に 音でステキな風景を えがきたい(180秒) †
↑プロデューサー 重盛政史 ディレクター・企画・構成・録音 岩本和弘 出演 小牧紀子
福井県坂井市の鳴鹿(なるか)児童クラブで指導員を務める小牧紀子さんは、身の回りのモノで作った「楽器」で、子どもたちを楽しませている。登場する「楽器」は、ビーズを付けたうちわ(雨の音)、大豆を入れた風船(雷鳴)、小石を入れた筒(川の流れる音)、お米とざる(波の音)。材料からは思いもよらないリアルな音色でリスナーを楽しませるとともに、自由に想像をめぐらせることのできるラジオの魅力を、自然な形で伝えている。
優 秀 <エフエム大阪> 大阪府電気自動車(EV)タクシー普及啓発事業 共同事業体 EVタクシー/「乗りたいもの」篇(60秒) †
↑プロデューサー 小田切武史、大久保佳昭(ビッグフェイス) コピー 森田一成(ビッグフェイス) 出演 内田法子(NAC)
おかんと娘の会話でCMは進む。EVタクシーに“乗りたい”というおかんに、「はぁ?なにそれ?」と娘。そこでおかんは、電気自動車(EV)を使ったタクシーのことであると教え、「EVタクシーは、エコやねんで、CO2削減や」と言うのだが、その前に体重計に“乗りなさい”と、娘に切り返されてしまう。よくある掛け合いとみせかけて、50台のEVタクシーが大阪府を走るという普及啓発事業の内容を、楽しく紹介している。
優 秀 <山口放送> 公共キャンペーン・スポット/つなげよう思いやりの心(120秒) †
↑プロデューサー 藤田史博 ディレクター 大谷陽子 ナレーター 瀬川よしみ(フリー) ミキサー 寺岡岳男
老人ホームと中学校との交流事業で知り合った森川正千代さんと伊本陽子さんは、出会いから12年が経った今も、交流を続けている。「寂しい気持ちを和ませる存在でいられるのであれば、嬉しい」と話すのは当時中学生だった伊本さん。91歳になった森川さんは「こんなに考えてくれるんだと思ったら、泣けてくるんですよ。幸せになってもらいたい、それだけを思うんです」と語る。“人を思う気持ち”が、飾りのない言葉で表現されており、心に響く作品となった。
テレビCM †
↑最優秀 <IBC岩手放送> 自社媒体PRスポット/ふるさとは負けない!~空より高く~(90秒) †
↑プロデューサー 関 芳樹 ディレクター 中村好子 取材 中村聖一 撮影 高橋勝士(フリー)
大地震から8日後、二戸市の保育園からIBCラジオに1本のカセットテープが届いた。そのテープは「ボクたちは小さくて何もできないけれど、歌を歌いました。聴いてください」という園児の声で始まる。彼らの歌う『空より高く』はラジオを通して流れ、被災者からは「勇気をもらった」「折れかかった渇いた心に潤いをもらった」など多くの声が寄せられた。このCMはそのストーリーを映像化したもの。子どもたちの歌声をBGMに、ラジオを通してその声を聴く人々の姿が映し出される。放送を通じて広がった共感の輪を受け、締めくくりの「ふるさとは負けない!」が胸を打つ感動的なCMである。
優 秀 <テレビ埼玉> 自社媒体PRスポット/テレ玉企業広告「地デジ・アンテナそのまま」篇(60秒) †
↑プロデューサー 平野正美、松林大輔(レイCM) アシスタントプロデューサー 竹内秀樹(レイCM) CMプランナー 山田慶太(ビルドクリエイティブハウス)
地デジ化しても同じアンテナで視聴できるという自社の特性を訴えるCM。男性視聴者からの問い合わせ電話に、女性社員がキー局は新たにUHFアンテナが必要だが、テレビ埼玉はそのままで大丈夫と説明する。視聴者から「でもキー局見れないと意味ない…」「やっぱ8チャン一番おもしろいですよねぇ~」と応じられ、苦笑する。ボケとツッコミふうのやりとりで楽しませながら、必要な情報をきちんと伝えているところが高く評価された。
優 秀 <中部日本放送> 牧成舎 白の命/足のはやい牛乳(75秒) †
↑クリエイティブプロデューサー 藤井 稔 プロデューサー 宇佐美浩伯 ディレクター 柴田知宏 撮影 安田耕治(CBCクリエイション)
飛騨古川で牛乳を製造する牧成舎は、65度低温殺菌という昔ながらの製法を大切にしている。日持ちはせず「足のはやい」牛乳だが、味には自信がある。この牛乳を毎日、リヤカーで配達するのは、これまた「足のはやい」還暦の女性。掛け言葉を使って商品の特長を訴えつつ、飛騨古川の映像が地域のにおいを感じさせる、ほのぼのとしたCMである。
優 秀 <中部日本放送> 巴屋商店 くす玉/Japanese Happy Style(75秒) †
↑プロデューサー 藤井 稔 ディレクター・ナレーター 森合康行 音響効果 今井志のぶ(東海サウンド) 撮影 川瀬荘司(東海ビデオシステム)
日本人はさまざまなものを“割る”ことで喜びを表現する――というナレーションとともに、瓦や板を割る空手家が登場。次は、腹筋が割れるまで身体を鍛えたご夫婦、その次は日本独特のトレーニング法である股割りをする人たちが現れる。巧みなカメラワークで視線をひきつけたあとで、するすると降りてくる綱を引くとくす玉が割れる。意外な展開で理屈抜きに笑わせ、幸せな時に割るくす玉をしっかりアピールする構成が素晴らしい。
優 秀 <中京テレビ放送> 統一キャンペーン・スポット/2011年環境キャンペーン スポットCM 日本に耳をすませてみよう!「地球オーケストラ」(90秒) †
↑プロデューサー 深谷浩規 企画・ディレクター 市 健治 音楽制作 鈴木ヒロト(エイベックス・マネジメント) 出演・声 Dream5(エイベックス・マネジメント)
未来に残したい日本の貴重な自然の音を録音し、その音を楽器に見立てて、クラシックの名曲「カノン」に構成したCMである。屋久島の森を流れる水の音、クマゲラが木を掘る音、知床の流氷鳴き、小笠原のマッコウクジラの鳴き声が流れ、最後は人間の未来を象徴する子どもたちの合唱で終わる。それぞれの場所で撮影された映像の美しさが印象的な、完成度の高い作品である。
※辞退(優秀):東海テレビ放送「伊勢志摩国立公園志摩市 志摩への観光誘致/~思わずトンじゃう美しさ~(60秒)」 †
↑※辞退(優秀):東海テレビ放送「公共キャンペーン・スポット/食卓を守れ~ニッポンの農力~(120秒)」 †
↑技術部門 †
↑最優秀 <日本テレビ放送網> FPU波の光伝送による遠隔受信システムの開発 †
(東京スカイツリーに導入する最新型機)
↑研究・開発担当者 三浦勝志、山下崇夫、大竹弘一、片柳幸夫
FPU基地局で受信したRF信号(5~10GHz帯)を、その受信電力の強弱にも幅広く適応しつつ、光変換・波長多重して長距離伝送を行い、本社側に設置したFPU受信機によって復調する遠隔受信システムを開発・実用化した。これにより、FPU基地局設備の大幅な簡素化と、それに伴う保守性や安全性の向上を実現し、テレビ素材伝送の高度化・効率化に大きく貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン> FNS系列 ファイルによる番組販売コンテンツデリバリーシステム「FileX(ファイレックス)」の開発 †
↑研究・開発担当者 岩尾洋英
テレビ番組販売において、映像・音声に加えてオンエアに必要なコンテンツ全体をパッケージ化し、IPネットワークを用いて系列各局へオンライン配信するシステムを開発・実用化した。これにより、従来のテープ供給からファイル配信への全面移行を達成し、東日本大震災直後にも確実な配信を行うなど、テレビ番組配信の高度化・効率化に貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン> ファイルベースによる統合型ニュース制作システムの開発 †
↑研究・開発担当者 山本 智
IP技術の積極的活用により報道番組制作システム全体をファイル化するとともに、映像素材とメタデータの一元的管理体系の構築により運用の利便性を高めた統合型ニュース制作システムを開発・実用化した。これにより、迅速かつ柔軟なニュース制作と円滑かつ安定した送出を達成し、東日本大震災の報道特番でも的確な素材編集に威力を発揮するなど、報道番組制作の高度化に貢献した。
優 秀 <中京テレビ放送> テレビをもっと面白くするデータ放送「テレビで収穫!咲くっチュ!」 †
↑研究・開発担当者 山田有吉
データ放送によってテレビの新しい取り組みを模索する観点から、お花の育成ゲームを企画・制作し、データ放送と携帯サイトを連動させたサービスを提供するとともに、この統合データベースを核にユーザの利用動向を推定する仕組みを開発した。 これにより、データ放送の媒体価値等の評価手法を進歩させるなど、非連動データ放送の発展に貢献した。
優 秀 <毎日放送> リアルタイム・ラウドネスメータの開発 †
↑研究・開発担当者 入交英雄
番組制作現場での活用を念頭に、アナログ演算方式による短時間ラウドネス値と瞬時ラウドネス値を1軸2針式のメータで同時表示し、ミキサに読み取りやすい動特性を持つリアルタイム・ラウドネスメータを開発・実用化した。これにより、ラウドネス運用規定のターゲット・ラウドネス値を遵守するミキシングが容易となり、番組制作の高度化に貢献した。
優 秀 <読売テレビ放送> モバイル回線を複数使用したHD伝送システム「HDとおる君」の開発 †
↑研究・開発担当者 辻 智仁、中島良隆、谷知紀英、松田慎一郎
映像素材のIPパケットを最大8分割し、最適な伝送路へダイナミックに振り分ける機能をもつIP分割伝送装置を組み込み、複数の公衆モバイル回線を束ねて簡易なHD伝送を行うシステムを開発・実用化した。これにより、機動力の必要な番組中継等において、従来の簡易中継システムよりも映像品質が大幅に向上し、演出の幅も広がるなど、テレビ制作技術の高度化に貢献した。
優 秀 <関西テレビ放送> OTCを利用したリアルタイムニュース字幕システムの開発 †
↑研究・開発担当者 上山兼蔵、結城芳彦
ニュースサブのワンタッチ送出システム(OTC)を利用して報道支援システムのニュース原稿を制御することにより、番組進行に合わせて字幕データを自動送出するリアルタイム字幕システムを開発・実用化した。 これにより、字幕放送の社会的ニーズがますます高まる中、正確で遅延の少ないニュース字幕送出を低コストで実現し、テレビ送出業務の効率化に貢献した。
特別表彰部門 †
↑青少年向け番組 †
↑最優秀 <テレビ山梨> ウッティ発! 一枚の写真 左手一本のシュート †
(写真提供:朝日新聞社)
↑プロデューサー 平岡 豊 ディレクター 古屋孝樹 撮影 浅川 豪、長田和也
体の自由を失った主人公の少年が、左手一本でシュートを決めた瞬間をとらえた一枚の写真を中心に、再びバスケットのコートに立つまでとその後を描く。中学時代に注目の選手であった彼は、高校入学直前に脳内出血で体の自由を奪われ、リハビリ生活を余儀なくされる。1年後に復学。リハビリを続けながら部活に通い、チームの雑務などを一生懸命にやってきた。その直向な姿に顧問の先生は3年生最後の試合に出場させることを決める。インターハイ2回戦。仲間の協力で、誰もが難しいと思ったシュートをついに成功させる。番組では、その瞬間を捉えた写真が構成に生かされ、一枚の写真の持つ力を感じられる。温かい人間関係の美しさに感銘を受け、感動とさわやかさが残る作品である。
優 秀 <WOWOW> ノンフィクションW 太陽の男 ラファエル・ナダル~No.1テニスプレーヤーの原点~ †
↑チーフプロデューサー 戸塚英樹 プロデューサー 須川賢一 演出・構成 松木 創 ナレーター 松 たか子
世界No.1テニスプレーヤーのラファエル・ナダルを追ったスポーツドキュメンタリー。番組では、ナダルへの独占取材を敢行し、多忙なシーズンの喧騒を離れて故郷のマジョルカ島で束の間の時間を過ごすナダルに密着。家族や島の人々との交流を追いながら、“世界No.1プレーヤー”と“マジョルカが生んだ永遠なる少年”の2つの顔を併せ持つナダルの魅力を解き明かす。「困難は長い人生の一部である」「希望を持つこと」「現実を受け入れて前に進むこと」という、今の子供たちに特に感じてほしいテーマが描かれている。
優 秀 <山梨放送> 発見!人間力 喫茶店オヤジのラグビー教室~元校長先生のスクラム作戦~ †
↑プロデューサー 土橋 巧 ディレクター 山田 歩 ナレーター 原 香緒里 撮影 種田淳一
ラグビーを通じて子どもたちをまとめあげる「喫茶店のオヤジ」の活動を描いた作品。現役時代は熱血教師で名を馳せた元校長先生が、退職後に喫茶店のオヤジとして子育てに悩む親たちの相談に乗るうちに、子供たちの心の叫びを感じ、不登校の子供や体の不自由な子供を区別なく受け入れるラグビースクールを開く。男の子も女の子も、幼稚園児も中学生も、みんなが一緒に緑の芝生の上でボールを追いかける日々を取り上げた。 ラグビーを通じて子供たちをまとめあげる活動に、子供たちの力を伸ばすヒントが描かれている。人間にとって何が大切かを親が見ても考えさせられる作品となっている。
優 秀 <南日本放送> どーんと鹿児島「ゼロからのトライ~鹿児島情報高校ラグビー部の挑戦~」 †
↑プロデューサー 山崎兼敏 ディレクター 切通啓一郎 撮影 江夏 豊 音声 江平美幸
国内最高峰ラグビーリーグの選手兼コーチが、母校に戻って全くゼロからラグビー部を立ち上げるスポーツドキュメンタリー。新任式で「夢は全国制覇」と言い放つものの、初めてのスクラム、初めての合宿、初めての練習試合と全てが初めてづくし。新米監督と高校生たちのゼロからの挑戦を描く。部員のやる気のバラバラさが描かれていることに好感が持て、自分の居場所を見つけた子供たちの顔つきが良くなる様子が感じられる。ゼロからスタートで誰でもやればできることが描かれ、高校生に自分も何かにトライしたいと感じさせる内容になっている。長期で粘り強い取材のあとがうかがえる。
※辞退(優秀):東海テレビ放送「くりびつ!」 †
↑放送と公共性 †
↑最優秀 <山口放送> 過疎の島の介護日記 あるヘルパーと歩んだ10年の放送活動 †
↑実施責任者 佐々木 聰
瀬戸内の過疎の島で訪問介護の会社を起こし、お年寄りたちの暮らしを支え続ける2人の女性ヘルパーの活動を、2002年から10年間にわたり密着取材し、ローカルのニュース番組や情報番組の特集枠、全国枠のドキュメンタリー番組などで放送を重ねた。2010年には、地域の病院を無償で借りることができ、行政の後押しも手伝い、財団からの助成金交付が決まり、この島に自分たちの小さな施設を作るという2人の夢が実現した。ローカル局として、地域の取り組みを真摯に伝え続けることで社会を動かした実績が認められ、2人の志を広く知らしめ、人のために尽くし、人のために働くことの大切さをストレートに伝えた事績として高く評価された。
優 秀 <札幌テレビ放送> がん患者、お金との闘い 2007年~2011年の活動 †
↑実施責任者 佐々木 律
サラリーマンの夫と2人の子どもと暮らす、がん患者の金子明美さん(2010年没)。がん患者への経済的支援を行政に求める金子さんの姿や一家の様子を通して、通院治療には十分な補償が出ないがん保険の実情や、高額療養費制度を申請しても、通院治療の場合は患者が3カ月分立て替える必要があり費用捻出に行き詰まる現実を、夕方のローカルニュースや特番で継続的に放送。保険会社や厚生労働省にも取材を重ね、新たな保険商品の発売や高額療養費制度の改善につながった。「がん患者とお金」の問題点を提起し続け、社会全体の議論を喚起し、行政や保険会社を動かした粘り強い取り組みとして評価された。
優 秀 <ラジオ福島> 災害ラジオとインターネット連動展開の記録(暫定版) †
↑実施責任者 大和田 新
3月11日14時46分、生ワイド番組の放送中に東日本大震災が発生。直後から全番組、全CMを休止し、3月26日5時までの全時間、報道特番を生放送した。震災発生当日から、ツイッターで災害情報を発信するとともに、リスナーから災害情報を募集するためのメールアカウントを作成し、放送とインターネットの連動型災害放送を開始した。3月14日はユーストリームで音声配信を開始、翌15日からラジオNIKKEIに番組を配信し、radikoを通して全国向けに福島の情報を発信した。新たなメディアを使った災害時の情報収集・告知の形を具体的に示し、今後の発展が期待できる事績として評価された。
優 秀 <長野朝日放送> 地球を守ろう!プロジェクト †
↑実施責任者 福島基之
美しい信州の大自然を守るために、何ができるのかを視聴者とともに考える環境キャンペーン。子ども達が大自然と触れ合う「出前授業」や、環境特番・ミニ番組の編成、協賛企業による30秒環境スポットの制作・放送、視聴者参加型イベントの実施、さらには自社アナウンサーによる「紙芝居キャラバン」など、多彩な内容で2008年春から継続的に実施している。“地球を守ろう”という壮大なテーマであるが、目線は低く、全社一体で取り組み、市民を巻き込んだ活動を広く展開。豊かな自然を本気で守ろうとする意志が伝わり、放送局が持つ力を再認識させる事績として評価された。