表彰番組・事績
2020年日本民間放送連盟賞グランプリ・準グランプリ受賞番組
ラジオ・グランプリ
J-WAVE:J-WAVE SELECTION GENERATION TO GENERATION
〜STORIES OF OKINAWA 〜
■放送日時:2019 年6 月23 日(日)22:00 ~ 22:54
■番組内容:激しい地上戦の末、焼け野原と化し、アメリカ軍の統治下におかれた沖縄。その沖縄でラジオ放送がどのように始まり、どのような思いを込めて何を伝えたのか。ラジオ放送の立ち上げに深く携わった川平朝清さんに、息子のジョン・カビラさんがインタビューする。
■出演者:ジョン・カビラ、川平朝清
■スタッフ:高知尾綾子(プロデューサー)、坂本彰範(構成・演出)
■審査講評:重くなりがちなテーマを親子の対話と絶妙な音楽の挿入で聞きやすく展開。ジョンさんの聞き方には適度な距離感と親しさと尊敬の念が感じられ、朝清さんが飾らず自分の言葉で語ることで、心地よく引き込まれるような空気感がある。放送を立ち上げるというメディアの原点が語られることで、メディアの未来を考えるきっかけとなる番組である。
ラジオ・準グランプリ
大阪放送:山下純一とアルミカンの今夜もバリアフリーFUNK
■放送日時:2020 年5 月25 日(月)1:00 ~ 2:00
■番組内容:パーソナリティは全盲で肢体不自由のミュージシャン・山下純一さんと、健常者の漫才コンビ・アルミカン。障がい者やその介助者が何に苦労し、どのように対処しているか、新型コロナウイルスで加わった影響も含めて、日常の様々な“バリア”を発見していく。
■スタッフ:赤松加枝子(プロデューサー)、佐田義和(ディレクター)
■出演者:山下純一、アルミカン
■審査講評:ともすれば忘れられがちな障がい者の日常を自然体で教えてくれる番組。社会性を持った重いテーマだが、山下さんの飛び抜けた明るさと等身大の語りに、どんどん引き込まれていく。小さな事から始めてみようという気持ちにさせてくれる番組なので、多くの人に聴いてもらうことで社会に障がい者への新しい配慮が生まれることに期待したい。
テレビ・グランプリ
中京テレビ放送:がらくた ~性虐待、信じてくれますか~
■放送日時:2020 年5 月31 日(日)2:59 ~ 4:01
■番組内容:長年にわたり父親から性虐待を受けていた30 歳の女性、なみさん。記憶と感覚のフラッシュバックに苦しみ続ける姿、記憶を上書きする行為をも加工せずに映し出している。絶縁状態となっていた母親を訪ねるが、否定も肯定もしない。「性虐待があったと信じてくれますか?」。彼女の言葉は、被害者たちから社会への問いかけのように響く。
■スタッフ:森 葉月(ディレクター)、佐藤彩子(撮影)、安川克巳(監修)、横尾亮太(プロデューサー)
■審査講評:性虐待の被害実態をありのまま伝える衝撃的な内容であり、放送するまでに制作者、被害者に相当な苦悩や葛藤があったことが伝わってくる。これまであまり扱われなかったテーマに光を当て、取りこぼしてはいけない声を丁寧に取材した功績は非常に大きい。制作者と被害者の信頼関係があったからこそ放送に至った番組である。被害者の回復に時間がかかる問題であり、制作者には今後も取材を続けてほしい。
テレビ・準グランプリ
中京テレビ放送:バヤルタイ ~モンゴル抑留 72 年越しのさようなら~
■放送日時:2020 年5 月29 日(金)3:14 ~ 4:19
■番組内容:満州で終戦を迎えた友弘正雄さんはソ連軍によってモンゴルへ移送され、凍傷で両足を切断するも、過酷な抑留を生き抜いた。モンゴルとの国交が樹立された1972 年以降、毎年のように渡航し、戦友たちの慰霊を続けた。番組は2019 年、94 歳となった友弘さんの最後の慰霊の旅に同行。モンゴル最大の民放局「モンゴルテレビ」で情報提供を呼びかけ、日本人抑留者の看守だった元モンゴル兵の証言にたどり着く。
■スタッフ:O・ホンゴルズル(ディレクター)、三上誠志(撮影)、安川克巳(監修)、横尾亮太(プロデューサー)
■審査講評:これまでフォーカスされなかったモンゴル抑留について、担当記者の出身がモンゴルであることなど偶然もあり、ここまで深く掘り下げたことは高く評価できる。分かりやすい構成も見事で、メッセージ性も強く、日本とモンゴルの新たな関係を築く貴重な財産となるかもしれない。友弘さんの一つ一つの努力が相手の心を溶かしていく様と、それを誠実に取材した記者の熱意に心打たれる番組である。
グランプリ候補番組
グランプリ、準グランプリは、ラジオ・テレビ別に番組部門全種目の最優秀とこれに次ぐ優秀1番組の計8番組を対象に選考が行われました。
ラジオ
北海道放送:ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に~
■放送日時:2020 年5 月25 日(月)1:00 ~ 2:00
■番組内容:2019 年7月の参議院選挙期間中、JR札幌駅前で起きた警察によるヤジの排除。小さな自由が奪われた先に待つものが、この国の民主主義に何をもたらすのか。戦前や戦時中に起きた言論や表現の自由の弾圧に関する歴史を紐解きながら、検証していく。
■スタッフ:山﨑裕侍(プロデューサー)、長沢 祐(ディレクター)、赤城正敏(ナレーター)、西岡敏明(編集・効果)
エフエム東京:村上RADIOステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽~
■放送日時:2020 年5 月22 日(金)22:00 ~ 23:55
■番組内容:作家・村上春樹氏がDJを務める番組の特別版。収録された自宅書斎のレコードコレクションから厳選された18 曲とともに、一人マイクに向かって、時にユーモアを交えながらリスナーからの投稿に真摯に答え、この時代を生きる作家としての思いを静かに語る。
■スタッフ:延江 浩、増山麗央(プロデューサー)、木村尚志(ディレクター)、小林浩子(構成)
静岡放送:SBSラジオギャラリー ダンシングジャパン ~リズムに乗ったら手を叩こう~
■放送日時:2020 年5 月31 日(日)12:00 ~ 13:00
■番組内容:コンサートやカラオケで他人と手拍子がずれていないか? 昔から日本人になじみのある1拍3拍の「ダウンビート」と、西洋音楽に多い2拍4拍の「アップビート」の違いを1960 年代から現在までの名曲に合わせた手拍子で知る企画。子どもから年配までリスナーが楽しく参加できるように歌のお姉さんと生徒というシンプルな構図で展開する。
■出演者:桑原秀和、坪井佳織
■スタッフ:菊池 勝、藤浪由希子(構成・演出)
兵庫エフエム放送:Kiss Music Presenter
■放送日時:2020 年3 月3 日(火)15:00 ~ 19:00
■番組内容:月~木/ 15 時~ 19 時の放送。放送17年目を迎える4時間のリクエスト番組。今回は、新型コロナウイルスの影響で学校の卒業式が延期・中止になったというリスナーからのメッセージをきっかけに、放送当日急遽、特別企画「ラジオで卒業おめでと~!」を実施。
■スタッフ:松村聡美(プロデューサー)、荒川涼子(ディレクター)、今井乙華(アシスタントディレクター)
■出演者:藤原 岬
広島エフエム放送:大窪シゲキの9ジラジ~9ジラジ卒業式生放送スペシャル
■放送日時:2020 年3 月24 日(火)20:00 ~ 22:00
■番組内容:月~木/ 20 時~ 22 時の放送。今年で放送開始20 年、広島の10 代に寄り添い続けてきた。新型コロナウイルスの影響で、中学・高校3年生の卒業生の門出を祝う恒例イベント「9ジラジ卒業式」が中止となり、代わりに番組内で「9ジラジ卒業式生放送スペシャル」を実施。「来賓あいさつ」、卒業生代表の「答辞」など、卒業式さながらの展開でリスナーの旅立ちを祝福した。
■スタッフ:屋形英貴(プロデューサー)、竹下香織、市川拓弥(ディレクター)、大窪シゲキ(DJ)
南海放送:南海放送ラジオ報道特別番組「感染」―正義とは何か―
■放送日時:2020 年5 月30 日(土)14:00 ~ 14:45
■番組内容:新型コロナウイルス感染者やエッセンシャルワーカーへの直接的、間接的な差別や誹謗中傷が相次いでいる。愛媛県内で起こった複数の問題を起点に、過去の歴史を紐解きながら、その背景にある一人一人の「正義」に迫っていく。
■スタッフ:山内孝雄(企画・統括)、植田竜一(ディレクター・取材)、中武正和(取材)、永野彰子(ナレーション)
テレビ
北海道テレビ放送:HTBノンフィクション「おっぱい2つとってみた~46歳両側乳がん~」
■放送日時:2020 年5 月9 日(土)15:00 ~ 15:55
■番組内容:乳がん検診の啓発や患者の取材に力を入れていたディレクター自身が患者となり、撮影を決めたが、全摘しか選択肢がなくなった。この治療でいいのか。自問自答を繰り返す。女性たちは、病気になることが許されない社会を嘆く。誰もが先の分からない不安に揺られる。それでも前へ進むことを選んだ自らと心を寄せてくれた患者仲間の旅路の記録。
■スタッフ:阿久津友紀(ディレクター・ナレーション)、山田佳晴(プロデューサー)、山田裕加(編集)
フジテレビジョン:ザ・ノンフィクション おじさん、ありがとう ~ショウとタクマと熱血和尚~
■放送日時:2019 年6 月2 日(日)14:00 ~ 14:55
■番組内容:愛知県岡崎市の小さな寺「西居院」は、かつて「平成の駆け込み寺」と呼ばれ、非行や虐待、いじめ、薬物依存などの理由から親元で暮らせなくなった子どもたちの「居場所」だった。20 年間、問題を抱える子どもたちを無償で預かり更生に導いてきた「おじさん」こと熱血和尚が、最期まで悩める子どもたちに手を差し伸べ続ける姿を追った映像記録。
■スタッフ:八木里美(ディレクター・構成)、張江泰之(チーフプロデューサー)、中谷江志(編集)、澤田 崇(音効)
CBCテレビ:スナイパー時村正義の働き方改革
■放送日時:2020 年3 月13 日(金)0:59 ~ 1:29
■番組内容:時村正義は、政府が秘密裏につくった情報機関・JIA所属の一流スナイパーである。ただ、仕事にプライドを持ちすぎるあまり、残業時間もトップである。ある日、時村のもとにやってきたのが、JIA人事部の早川カオリ。彼女の任務は時村の「働き方改革」だった。二人は主張をぶつけあいながら、相手が言っているやり方のメリットも感じていく。人質テロ事件を解決した二人は笑顔を交わし、それぞれの働き方を変える一歩を踏み出す。
■スタッフ:尾関美有、栁川由起子(プロデューサー)、吉村慶介(演出)、政池洋佑(脚本)
山口放送:幸せチンドン
■放送日時:2020 年5 月30 日(土)9:25 ~ 10:20
■番組内容:里山に囲まれた小さな田舎町に「高森チンドン隊」のにぎやかな笑い声が響く。ド派手な衣装を自信満々に着こなし、捨て身とも思えるパフォーマンスを披露する平均年齢71 歳の女性グループは、「人生いまが一番」と口を揃えて、第二の人生を謳歌している。
■スタッフ:佐々木聰(プロデューサー)、芳野孝平(ディレクター)、高松綾香(ナレーター)、本村 治(撮影)
鹿児島テレビ放送:テレビで会えない芸人
■放送日時:2020 年5 月30 日(土)2:30 ~ 3:30
■番組内容:政治や社会問題をネタに、庶民の立場から権力を嗤い、密かに人気を集める芸人・松元ヒロは、かつてテレビを目指し、テレビの世界に生きた。しかし20 年前、思ったことを言いたいとテレビを棄て、舞台を中心に活動し、政治や社会を“笑い”で斬り続ける。テレビで会えない芸人は、モノが言いづらい今の社会を映し出していた。
■スタッフ:野元俊英(制作)、四元良隆(プロデューサー)、牧 祐樹(ディレクター)、鈴木哉雄(撮影)
琉球朝日放送:QAB琉球朝日放送四夜連続ドラマスペシャル パナウル 王国物語
■放送日時:2020 年3 月26 日(木)0:15 ~ 0:45
■番組内容:ユキオの唯一売れたファンタジー小説の舞台である「パナウル王国」に行きたいとせがむ息子のレン。一方、与論島では、映画監督になりたいアキラが周りを巻き込みながら観光PRドラマの制作に動き始める。息子の思いをかなえたいユキオと、ドラマを撮影したいアキラの思惑が一致し、与論観光PRドラマ・パナウルキングダムの撮影が始まる。
■スタッフ:町龍太郎(企画・プロデューサー・脚本)、大城賢吾(プロデューサー)、平 一紘、木村 守(演出)