一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成18年7月20日(木) 午後3時30分~4時30分
【場 所】 赤坂プリンスホテル「ロイヤルホール」

1.放送制度をめぐる諸検討について

  • 記者:「政府・与党合意」と「骨太の方針2006」について、どのように受け止めているか。
  • 広瀬会長:「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」を受けて、7月7日に、政府の「骨太の方針2006」が決定された。これまでの放送制度改革議論については、その結論を大変心配してきたが、結果としては、放送事業者をコンテンツ充実と流通促進の中核的担い手として、激励していただいたような内容になった。放送事業者自体も、一連の議論の過程で、日々の放送活動を通じて、どのように地域に貢献していくのか、という問題を考え直す契機となるなど、今回の議論は、色々な意味で良い機会を頂いたものと思っている。
  • 記者:マスメディア集中排除原則の緩和についてはどうか。
  • 広瀬会長:放送の多元性、多様性、地域性を確保しながら、経営の選択肢を拡げておく、ということで、マスメディア集中排除原則の緩和には賛成である。問題はその形であるが、それぞれの放送事業者が、幅広い選択肢から経営判断できる仕組みを作ることが大事であり、そうした意味で、持株会社の制度化には、基本的に賛成である。具体的な制度整備の検討に当たっては、民放連としても、会員各社の意見を充分に伺い、議論に反映させていきたい。
  • 記者:「レイヤー区分ごとの法体系とすべき」との議論については。
  • 広瀬会長:「政府・与党合意」や「骨太の方針」では、通信と放送に関する総合的な法体系について、「基幹放送の概念の維持を前提に早急に検討に着手し、2010年までに結論を得る」とされている。これは、基幹放送である地上波放送については、今後ともハード・ソフト一致体制のもとでやっていく、ということであると理解している。もしそうでないとすれば、反対していかざるを得ない。
  • 記者:NHK受信料の支払義務化と罰則化について。
  • 広瀬会長:皆が平等に受信料を支払うための何らかのシステムが必要であることは間違いない。私自身も、これまでに、支払の義務化や、必要に応じての罰則化について言及してきた。この問題についてNHK自らが議論を提起することが難しいようであれば、公の審議会などで徹底的に議論したら良いと思う。
  • 記者:NHKのチャンネル数の削減については。
  • 広瀬会長:民放連では、従来から、NHKの肥大化が様々な弊害を招いてきたことについて指摘してきた。チャンネル数の多さが今の業務範囲や組織の肥大化を招いており、ここで思い切った対策を採ることは避けて通れないと思う。ただし、どのチャンネルや番組に公共性がある、とか無い、ということは、まずNHK自身が考えるべき問題である。
  • 記者:NHKの番組アーカイブのネット配信についてはどうか。
  • 広瀬会長:NHKのネット配信事業に対して、過去に、これを警戒する意見を述べてきた。放送された番組を改めてネット配信するためには大変なコストがかかる、ということが経験則的に明らかになっているなかで、NHKといえど事業化は容易ではなかろうと思う。
  • 記者:著作権分科会「法制問題小委員会」報告書(案)に対する意見について。
  • 広瀬会長:番組にかかわる権利者の皆さんとの信頼関係無くして番組は作れない。報告書案の内容は、IPマルチキャスト放送による放送の「同時再送信」に限って、有線放送とのバランスを取ったもので、(権利の引き下げとなる)権利者の皆さんの反応が心配であったが、比較的冷静に受け入れておられるようにも見受けられる。若し本当にそうであるとすれば、放送事業者としても反対する理由は無い。

 

2.地上デジタル放送の進捗状況について

  • 記者:デジタル放送の進捗状況について。
  • 広瀬会長:放送事業者としては、現在のアナログ放送と同等のエリアカバーの達成を目指して努力しているが、98%といったあたりまでの目処がついてきた感じでいる。政府には、2007年度予算から、この「残り2%程度」の問題への対応をお願いしていきたいと考えており、具体的な施策やその費用などについて、色々検討や試算がなされていくなかで、政府からも具体的な施策を提示していただければ良いと思っている。

 

3.放送倫理をめぐる問題について

  • 記者:アニメ等映像手法をめぐる問題と民放連の対応は。
  • 広瀬会長:「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」は、多くの子どもたちに健康被害(光感受性発作)を及ぼした過去の重い経験をもとに、放送界共通の“自主的な指標”として、民放連とNHKが共同で作成したもので、民放連では、同ガイドラインを、“児童・青少年保護”のための、放送基準運用上の参考指標と位置づけている。民放連では、今回の一連の事例が発生して以来、文書などで“ガイドラインの目的・意味に関する社内周知の徹底”と“自社における映像手法の日常的チェック体制の再点検”を改めて要請し、さらに現在、同ガイドラインに関する「解説資料」の作成や、テレビ全社への説明会開催の準備を進めている。放送に携わるすべての者が、この問題への認識を深めるよう、様々な機会を捉えて周知徹底を進めていきたいと考えている。

 

4. スポーツ放送について

  • 記者:ワールドカップサッカーの放送結果について、どのように考えているか。
  • 広瀬会長:日本代表は残念な結果に終わったが、日本チームの敗退後も他国チームの試合中継やハイライト番組を多くの視聴者に見ていただくことができ、全体としては大変盛りあがった大会であったと思う。今回の大会は、放送とIP通信メディアがそろって伝えた初めての大会であったといえるが、今後の放送権料について申すならば、メディアごとの合理的な負担のあり方についても議論が必要ではないか、などと思っているところだ。
  • 記者:今シーズンのプロ野球中継についてはどうか。
  • 広瀬会長:プロ野球のコンテンツとしての価値が低くなっているのか、といえば、そうではないと思うし、今それを即断する必要もない。

 

5.その他

  • 記者:日本民間放送連盟賞と日本放送文化大賞の準備状況については。
  • 広瀬会長:日本民間放送連盟賞(連盟賞)については、各地で地区審査が始まっている。今年の特徴は、『青少年向けのテレビ番組』と、ラジオ・テレビ共通の『放送と公共性』の2種目が、特別表彰部門として新設されたことである。このうち『青少年向け番組』は、青少年への影響やメディアリテラシーの向上など、民間放送に対して求められている状況をふまえ、新たな種目として設けたものである。現在テレビ各社で選定・放送している“青少年に見てもらいたい番組”が対象となる。また、『放送と公共性』は、放送の公共性を意識しながら会員各社が取り組んでいる企画や開発の事績に対して賞を贈ることにした。民放事業者の意識と取り組みについて理解を深めていただくきっかけになれば良いと思う。2年目を迎えた日本放送文化大賞は、10月24日に東京国際フォーラムで開催する「民放大会」の席上で、ラジオ、テレビのグランプリ、準グランプリを発表することにしている。
以 上