会長会見
広瀬会長会見
【日 時】 平成19年3月15日(木) 午後3時30分~4時30分
【場 所】 赤坂プリンスホテル「ロイヤルホール」
1.放送番組問題への対応について
- 記者:関西テレビ放送の番組問題について。
- 広瀬会長:本日開催した定時総会で、民放連定款の改正を正式に決定した。総会前に開催した理事会では、すでに報道発表したBPOの機能強化策も承認された。関西テレビの番組問題が明らかになって以降、会員各社が一堂に会したのは今日が初めてである。自らを厳しく律していくということに対して、放送の責任の重さを改めて痛感し、一同緊張した雰囲気のなかで決定を行い、出直し的決意を持って再発防止に取り組んでいくことを互いに確認しあった。
- 記者:放送法の改正議論について。
- 広瀬会長:放送局の処分に関する改正については、総務省が行政指導すること以上のことをBPOでやってもらうのだから、しばらく様子を見ていただきたい、という気持であるが、なかなかそういう方向には向かっていない気がする。「BPOの機能強化や民放連の定款改正では、一罰百戒の効果は望めないのではないか」との声も強いと聞いている。しかし、過去に民放連を除名や活動停止となった会員社は、スポット収入が30%強や50%近くの減収となっている。当該社にとっては死活問題であり、まさに「一罰百戒」の機能は果たしうるものと思う。今後は機会があれば、そうしたことも具体的に説明していこうと思う。この放送法改正が避けられるかどうかの一番のカギは、視聴者、国民の皆さんが、どのように私たちの取り組みを受け取って下さるかである。放送事業者に相当厳しい目を向けておられることは承知しているが、事は、放送という民主主義のインフラの根幹に関わる問題であり、表現の自由は放送事業者や新聞社のためにあるのではなく、国民のために保障されなくてはならないということも含めて、ぜひ長い目で議論していただきたいと思っている。
- 記者:制作会社との関係について。
- 広瀬会長:放送局とATP加盟の制作会社だけが再発防止に取り組む、ということではなく、ATP加盟社から再委託を受ける制作会社や経営規模の小さな制作会社にも一緒に取り組んでいただくことが必要だと思う。民放連が発行する『月刊民放』は4月号で番組問題の特集を組むが、そうした放送事業者のメッセージが全国の制作会社に届くようにしたい。放送事業者は、制作会社に制作を依頼し、出来上がるのを待っているだけとか、チェック機能を働かせるだけ、というのでは、放送局の放送責任を果たしたことにはならないし、再発防止にはならない。放送局と制作会社が制作現場で一体となって番組制作にあたることが必要だと思う。
- 記者:キイ局の放送責任について。
- 広瀬会長:放送制度の上からは、各放送事業者がそれぞれ自律して放送を行うことになっている一方で、各ネットワークのプライムタイム、ゴールデンタイムの主要な番組は、その多くがキイ局の編成計画とコントロールのもとで放送されている。各事業者の自律性の問題と、現実に再発防止策を考えるうえでキイ局にどのように指導力を発揮してもらうかの兼ね合いなど、突き詰めると難しい問題があるが、民放連としても、ネットワーク番組におけるキイ局の役割について、部会を設置して集中的に議論してみようと思う。
2.NHK改革をめぐる議論について
- 記者:受信料の支払義務化と引き下げについて。
- 広瀬会長:「法律に支払義務が明記されることで徴収が簡便になり、収納費用が軽減される」「支払わない方々の方が例外になってくる」ことを目的とする法改正なのであるから、状況が整えば金額を引き下げて視聴者に還元するのは当然なのではないかと、これまでにも述べてきた。今もその考えに変わりは無い。ただし、この問題は周りが「初年度からいくら下げるべきだ」などと言うことではなく、NHK自身が自主的に決めていくべきものであろう。支払いが義務化されても、現在と比べて特に収入が増えるわけではない、ということであれば、NHKはそれを明らかにして議論しあえば良い。経営委員会の在り方、チャンネル数の削減問題などについても、NHK自身が具体的な方向性や案を示せば、視聴者の皆さんはもっとNHKに味方するのではないか。民放事業者としても、デジタル放送の普及、オリンピック放送などでNHKとの協力は欠かせない。二元体制の維持のためにも、NHKには多くの人々に支持される存在であって欲しいと願っている。
3.地上デジタル放送の普及について
- 記者:地上デジタル放送の普及の取り組みについて。
- 広瀬会長:平成19年度の総務省所管予算案に、『地上デジタルテレビ中継局整備の推進』ということで、テレビ放送事業者の自助努力を超える“残り1%の条件不利地域”のデジタル中継局の建設について、地元の市町村等が建設費の2/3を負担することなどを条件に、国が残りの1/3を交付することが盛り込まれた。補助の対象となる中継局を、来年度中に前倒しで建設することは大変な作業であるが、中継局整備のロードマップを見直す作業を進めている。事業を円滑に実施していくためには、市町村をはじめ、ここでもNHKの協力が不可欠である。先日、橋本会長にお会いし、NHKの一層の協力をお願いし、橋本会長からも「協力する」とのお話があった。各地域で共同の中継局整備が進みそうだ。
以 上