一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成19年11月22日(木) 午後2時15分~3時
【場 所】 民放連 会議室

1.民放大会を振り返って

  • 記者:民放大会の感想について。
  • 広瀬会長:今回の大会も大変意義深いものであった。式典の挨拶では、この一年を象徴する「デジタル化」と「放送倫理」の2つに絞って申しあげた。デジタル化については、「世帯カバー率」や「デジタル受信機器の普及」が、楽観はできないものの、諸外国に例の無い形で極めて順調に推移していることを申しあげた。そのうえで、今後の受信機の普及については、どのような必需品であっても世帯普及率が100%になることはない、という現実のなかで、政府として限りなく100%の普及を目指すには相当の努力が必要であるし、経済的弱者に対しては、政府が直接に支援する姿勢を明確に示すべき時期がきたことを訴えた。他方、「放送倫理」については、「放送事業者自身も、放送法の改正案にただ反対を表明するだけではなく、自分たちの手でキチンと倫理確立に向けた施策をやっていこうとの決意から、放送倫理・番組向上機構(BPO)に『放送倫理検証委員会』を設置し、政府が直接に放送を監視するでもなく、独立行政委員会でもない、世界的にも例の無い第三の道を選んだことを申しあげた。放送倫理検証委員会の発足から半年が経つが、設置の成否は放送事業者自身の対応にかかっており、放送事業者の自律機能が見える形になれば、国民、視聴者の間に定着していくだろうと信じている。2つ問題が大きかったので今回は触れることができなかったが、ここに来て一つ気にしていることに、インターネット上の動画投稿サイトの問題がある。放送番組の無断投稿はあきらかに権利侵害にあたり、コンテンツの2次、3次利用の妨げになっている。投稿サイトを管理している会社には公式、非公式に接触し、削除要請を行っているが、降ろしたものがまたすぐに投稿されるという、イタチごっこ的な現状だ。海外のサイトには削除要求すらむずかしいものもある。いずれ広告マーケットにも影響を及ぼすと思われる。民放事業者としてハッキリとした姿勢を出して、ユーザー、スポンサーの皆さんにも投稿サイトの実態に気づいていただきたいと考えている。

 

2.放送法の改正問題について

  • 記者:国会審議の見通しについて。
  • 広瀬会長:臨時国会の会期が延長されたことで、この臨時国会での審議入りについて与野党間の協議が始まったと聞いている。私たちが一貫して削除を求めている新たな「行政処分」の条文については、与野党内もそれぞれ賛否があるようだが、大勢は削除の方向に動いているように思うし、動くよう期待している。「番組に関わる問題の解決は放送各社やBPOによる自主的な取り組みに任せる」という、世界的に例のない「第三の方法」が成功すれば、国民視聴者の皆さんに支持していただけると思うし、日本の民主主義のためにも一番良い方法であると思う。
  • 記者:BPO「放送倫理検証委員会」の半年の活動を振り返って。
  • 広瀬会長:政府案よりも数倍強い権限を持ち、いつでも誰でも問題提起できる放送番組の監視機関として、この半年の間に、審理結果に対する否定的な意見は無かったように思う。審議・審理のプロセスをすべて発表することは委員会の運営として難しいことと思うが、審議・審理結果を視聴者、国民の皆さんに分かりやすく開示していくためには、新聞メディアの皆さんにも橋渡し役の一角を担っていただく必要がある。BPOにもそのように対応していただけるとよいと思う。

 

3.その他

  • 記者:NHK経営委員会の最近の議論について。
  • 広瀬会長:NHKの経営委員会が、視聴者、国民に見える形で自らの声を発することは良いことであり、橋本会長をはじめとする執行部との間で、議論を尽くしていただきたいと思う。予算が国会の承認事項であるなど、政治との関係のすべては切れないが、今後は国会への説明は経営委員会が担うとか、個別の番組問題に関しては国会も執行部を呼ばないようにするようなことになれば、今期のNHKの改革議論は、経営委員会と執行部の役割を仕分けする良い機会になると思う。そのうえで、NHKには自由な発想と良心に従って良い番組づくりに邁進していただきたい。
以 上