会長会見
広瀬会長会見
【日 時】 平成21年11月19日(木) 午後2時15分~3時
【場 所】 民放連会議室
1.BPO・放送倫理検証委員会「バラエティー番組に関する意見」について
- 記者:BPO・放送倫理検証委員会が発表した「バラエティー番組に関する意見」について、民放連として今後どのように取り組むのか。
- 広瀬会長:今回の放送倫理検証委員会の意見は、最近、元気がないテレビ番組に対し、“もっと元気を出しなさい”という激励のメッセージと受け取っている。今後どうしていくかについては、放送基準審議会で進め方を決めるが、経営者だけではなく制作者やBPO等有識者も交えて議論していくべきだと思う。こうした議論の積み重ねにより、番組が元気になることを期待している。
- 記者:何らかのルールを作った方がよいとの声もあるが。これについてはどう思うか。
- 広瀬会長:今回の意見も、屋上屋を重ねるような指針や指標をかぶせることには慎重でなければならないとしている。ルールということであれば、抽象的なものになってしまう。ハンドブック的なものならよいかもしれないが、「基準」ということではないように思う。
- 記者:今回の意見は「番組の質」にも踏み込んでいるが、こうしたBPOの姿勢についてどう思うか。
- 広瀬会長:意見書を受け取った際に、検証委員会委員の方々に「BPOは広い意味では放送の側に属していると考えている。裁判員的な立場ではなく、放送に近いところで見ていただいているので、こうした意見が出てくるのは歓迎する」と申し上げた。BPOは放送文化を向上させて行こうという立場で議論を行い、意見をいただいているのであり、番組を取り締まる機関ではないと考えている。
- 記者:今回の意見が民放連だけに対するものであることについてはどう思うか。
- 広瀬会長:民放連あての意見書になったのは、それだけ時代を転がすようなインパクトが強いバラエティー番組が民放に多かったからだと思う。この問題への対応を議論する際には、NHKとも話をすることになるだろう。
- 記者:意見の中で取り上げられている事例について、放送局名が伏せられていることについてはどう思うか。
- 広瀬会長:放送局名や番組名を明らかにすることで、過剰な反応を引き起こすことになりかねない。名前を伏せたことは良い判断だと思う。
- 記者:この意見が“制作者に対するメッセージ”という位置づけであるとすると、現場の制作者だけに責任を押し付けることにならないか。
- 広瀬会長:各放送局は現場に対して短絡的な伝え方をすべきではない。冒険心に富んだ制作者が社内にいることが強みになるので、現場が委縮してしまうようなことは避けるべきと考える。
2.国際ドラマフェスティバル in TOKYOについて
- 記者:国際ドラマフェスティバルを3年間開催した成果と来年度以降のビジョンをうかがいたい。
- 広瀬会長:1年目は、すでにアジアにおいて上海やソウルのような同様のマーケットがある中、果たして東京で成功するかどうか不安な面もあったが、結果的にそれなりの成果をあげられた。それ以降、2年目は日本のドラマに対するアウォードを作るとともに、海外の作品を集めたり、海外のマーケットとのパートナーシップ締結なども行ったりして、3年目の今年はさらにそれらを充実させた。実感としては、この種のマーケットは重複することで互いにマイナスに作用するのではなく、マーケットの数が増え、バイヤーとの接触の機会が増えれば、それだけビジネスチャンスが増すのではないかと思う。国際ドラマフェスティバルは3年続けることにより定着してきたが、当初から“3年間で一区切り”と計画をしており、今後どうするかはまだ決まっていない。事業を継続するためには、ある程度、政府の支援が必要なので、政府の動向を見ながら検討したい。
3.地上デジタル放送に関する政府予算について
- 記者:行政刷新会議の「事業仕分け」により、地上テレビ放送デジタル化のための予算の縮減が決定したが、このことによりデジタル化に何らかの影響が及ぶのか。
- 広瀬会長:前政府が22年度の概算要求として900億円を計上したが、今回の仕分けでは“半分程度で良い”との判断が下された。何をどう削るのか定かではないが、視聴者の“自己責任”という点を強調する意見が多かったようだ。放送事業者のために支援してくれということではなく、デジタル化により情報格差を生じさせないように、受信者側に対する一定の支援は必要であると思うので、“自己責任”だけでよいのか、ということは質して行きたい。
- 記者:事業仕分けの際に、地デジの説明会の効果の有無が議論になったが、これについてはどう考えるか。
- 広瀬会長:これまでも関係者が協力して地デジの周知活動を行ってきたが、それでもどうしても足りないところは出てくる。そのためにきめ細やかな説明をしようとしている。人が集まらないので効果がないとの批判もあるようだが、人が集まりにくいところに行って説明しようというのが本来の趣旨である。