一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成22年1月21日(木) 午後2時15分~3時
【場 所】 民放連 地下ホール

1.地上テレビ放送デジタル化の進捗状況について

  • 記者:地上デジタルテレビ放送に関する送信側・受信側のハード面での進捗状況はどうか。
  • 広瀬会長:送信側の中継局等の整備は、「中継局ロードマップ」に沿って本年末までに終える予定。中継局は民放全体で、大小とりまぜ約7,000局整備する計画だが、今年1年間で2,284局を整備する。これにより、今年末で電波世帯カバー率は全国で98%になる見込みである。このほか、「辺地共聴施設」(約2万施設)や「集合住宅共聴施設」(約210万棟)についても、取り組みを進めている。さらに、「ビル陰受信障害対策共聴施設」(約5万施設)については、あまり手がついていないが、きちんとやっていく。一方、電波の特性の違い等によりアナログ放送は受信可能であったものが、デジタル放送では受信困難となる「新たな難視」については、概ね100世帯以上の難視地区は送信側対策を優先して検討し、概ね100世帯未満の難視地区は受信側対策の実施をお願いするという考え方で進めることにしている。ここにきて、全国の自治体の応援も得られ、非常に心強く思っている。一方、受信者側についても、エコポイントの効果が本格的に効き始めており、昨年12月には357万台の受信機等が売れたと聞いている。
  • 記者:地上デジタル放送のコンテンツ権利保護(RMP)について、現在のB-CASカードがコスト高であることが問題点として指摘されているが、これについての所感はどうか。
  • 広瀬会長:デジタル放送時代になり、番組を何度コピーしても劣化しないことから、B-CASカードを使ってコピー制御を行っている。B-CASカードには3波(地上、BS、CS)共用の「赤カード」と地上波だけの「青カード」があり、「青カード」は地上放送事業者負担となっているが、最近かなり売れているデジタルチューナーはこの「青カード」を使用している。我々はデジタル放送普及の観点からこの負担はいたしかたないと考えているが、将来的に携帯電話にフルセグの機能が加わった場合のカード経費も含めて考えると、相当な金額を負担しなければならないことから、カードの経費負担の引下げを要望するとともに、カード方式ではない「ソフトウェア方式」導入の検討も始めている。この方式の実現には、関係者間の諒解が必要なので、フルセグ携帯が出てくるまでには何とか整理できないかと期待している。

 

2.民放各社の経営状況について

  • 記者:以前の会見で、昨年度の民放決算で民放社の半数以上が赤字との説明があったが、今後の経営見通しはどうか。
  • 広瀬会長:現下の状況からすると、本年度の決算も半数前後が赤字になるだろう。今後、大きな落ち込みはないものの、良くても横ばい程度という状況ではないか。しかし、一方ではプラス要因も見え始めている。テレビ社はデジタル化設備投資のピークが過ぎ、減価償却の分が少し楽になる。また、各社とも人件費の削減等、企業努力の効果が出てきている。大幅な削減を余儀なくされた制作費も徐々に回復していくのではないかと思う。

 

3.BPOについて

  • 記者:昨年は“BPO大活躍”という感があるが、放送事業者からみて、BPOの活動に対する感想をうかがいたい。
  • 広瀬会長:この1年、BPOの各委員会で議論された案件が多く、委員の方々は大変だったと思う。確かにBPOに持ち込まれた案件は以前と比べ増えているかもしれないが、これは問題となる事案が増えた訳ではなく、BPOの機能や役割が視聴者に認知され、放送局への直接的な苦情からBPOへの申し立てに変化しているからではないかと思う。我々としては、委員各位の熱心な活動が支持されたものと、ありがたく思っている。BPOで審理されるような番組が出てくることは問題だが、その半面、行政指導は減っているのではないか。BPOによる放送事業者の自主的な問題解決を進め、行政指導は完全になくしていきたい。
  • 記者:前回の会見時にBPOの「バラエティー番組に関する意見」への対応について、放送基準審議会とその小委員会が行う旨の説明があったが、その後の検討状況はどうか。
  • 広瀬会長:この問題については、放送倫理検証委員会で長期間議論され、示唆に富んだ報告書を作っていただいた。民放連では、引き続き、放送基準審議会の小委員会で対応を検討している。多くの社では、放送倫理検証委員会の委員を個別に招くなどして、現場担当者も交えた意見交換や勉強会が開かれていると聞いている。民放連でも3月に大きなシンポジウムを開催する準備を進めている。内容が固まればご案内するので、皆さんにもご参加いただきたい。

 

4.原口総務大臣の「情報源を“関係者によると”と表現するのは不適」との発言について

  • 記者:原口総務相が「テレビの報道が情報源を“関係者によると”と表現しているのは不適」と発言したことについて、“報道規制ではないか”との指摘があるが、これについてどう思うか。
  • 広瀬会長:原口大臣の発言趣旨を明確に把握している訳ではないが、一連の報道を見た感想としては、民放の報道はバランスのとれたものだと思っている。一般論としては、情報源を明確にした方がよいと思うが、報道機関として取材源を明かせないこともままある。それについて、できるだけ努力してくれという意味合いだったのではないかと思う。
以 上