一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成22年9月16日(木) 午後2時~2時45分
【場 所】 民放連会議室

1.地デジ完全移行に向けた取り組みについて

  • 記者:地デジ完全移行に向けた現状と今後の取り組みをご説明願いたい。
  • 広瀬会長:アナログ停波まで1年を切り、民放・NHK・政府が一体となって仕上げ作業に入った。民放としては、デジタル化PRを強化しており、9月6日以降は関東を中心に全国各地域の民放テレビ54社が常時告知スーパー表示を開始した。その反応も良かったと聞いている。
  • 広瀬会長:今後、重視していかなければならない課題としては、①経済的弱者、②ビル陰難視、③集合住宅、④デジタル化により新たに発生する難視、への対策がある。このうち、②・③については、ローラー作戦が進んでおり、全国的な数値を確実につかむことができる。その結果を分析したうえで、その後の放送対応を検討していく。
  • 広瀬会長:一方、関東地域の地上デジタル放送の推進については、民放連・豊田副会長を中心とする「関東地デジ化緊急対策チーム」の検討結果をもとに、緻密な作業を進めており、常時告知スーパーなど全国に先駆けて新しい試みを行っている。
  • 広瀬会長:経済的弱者への対策については、総務省が平成23年度のデジタル化関連予算案として要求している710億円のうち約100億円を低所得者への対応拡充に充てている。経済的弱者対策は、他の対策と違って実態が掌握しにくいので対応が難しいが、予算案には市町村民税非課税世帯への簡易チューナー無償給付が盛り込まれており、これが実現すれば効率的に進められると思う。
  • 記者:アナログ放送の終了計画について、7月の会見では7月24日まで番組の放送を続けるとの意向だったが、その後、何らかの進展はあったか。
  • 広瀬会長:民放連としては、来年7月24日までアナログ放送で番組本編をお届けすることを基本に対応する方針は変わらない。デジタルテレビを購入した世帯も多いが、2台目・3台目のテレビなどアナログがまだ残っているケースも多い。テレビは国民に愛されているメディアであり、テレビ離れのきっかけになるような終わり方は避けるべきだと思う。常時スーパー表示は大変思い切った措置だが、こうしたPR施策の効果が徐々に表れてくると思う。今の基本方針で問題はないだろう。
  • 記者:NHKが実施した調査によると、ビル陰難視について、約2万5000施設で対策が必要とのことだが、民放連が把握している情報と乖離があるのではないか。
  • 広瀬会長:我々が把握している数字もそれに近いものだ。

 

2.「次期電波利用料の見直しに関する基本方針」について

  • 記者:「次期電波利用料の見直しに関する基本方針」が発表されたが、これに対する民放連の考え方はどうか。
  • 広瀬会長:電波利用料が高騰したのは、地上放送デジタル化の初期の段階で、アナアナ変換のための経費を電波利用料財源から拠出したことに始まる。我々としては、デジタル化のために電波利用料を使っている間はいたしかたないが、それが過ぎれば元の水準に戻してほしいと思っている。そもそもデジタル化により使用する帯域が減るので、現在の水準より下がって当然ということもいえる。

 

3.V-highマルチメディア放送のハード事業者認定について

  • 記者:V-highマルチメディア放送のハード事業者が、8日の電監審で、NTTドコモ系の「マルチメディア放送」に決まったが、これについてどう思うか。
  • 広瀬会長:デジタル化のメリットにより空いた周波数帯域なのだから、放送のために使ってもらいたい。そうした趣旨でマルチメディア放送をこの帯域に充てたのだと思う。認定にあたっては2社が競合し、最終的にNTTドコモ系の社が認定されたが、総務省が電波監理審議会に諮問する際に1社を推すのではなく、審議会に判断を委ねたのは、審議会のあり方としてはよかったのではないかと考えている。
  • 記者:原口総務大臣が会見で “オークション制度も検討すべき”と発言しているが、これについてはどう思うか。
  • 広瀬会長:オークション制度は、各国の事例をみても弊害が大きい。英国でも過去に放送用周波数がオークションにかけられ、最終的に莫大な額で落札したが、結局、経営が破綻して免許を返上した。放送は公共性の高い事業であり、志をもった経営が必要であることから、オークションはなじまないと考える。

 

4.ワールドカップサッカー・南アフリカ大会の民放テレビ収支決算について

  • 記者:民放のワールドカップサッカー・南アフリカ大会の収支決算は、どうだったか。また、次回大会の対応についてはどう考えているか。
  • 広瀬会長:放映権料と番組制作費を足したものと、広告収入のどちらが大きいかで赤字か黒字かが決まるが、今回は残念ながら赤字となった。民放連とNHKがジャパン・コンソーシアム(JC)を組んでオリンピック、ワールドカップに対応してきた歴史の中で初めての赤字なので、ある種のショックを受けた。赤字の理由の一つは、IOC、FIFAが売り出す放映権料が毎回、値上がりしてきており、それに反して今回はリーマンショック以来の広告費の抑制が続いていることがある。また、大会前には日本代表がなかなか白星をあげられなかったこともあり、ワールドカップでは勝てないという雰囲気の中で、CMを販売せざるをえなかったということも影響したのではないか。
  • 広瀬会長:今後の対応については、色々な方策があると思うので、民放連としては、オリンピック放送等特別委員会で対応を検討する。痛感しているのは、放送権の高騰によって、すでに世界各国の放送局で非常に大きな混乱を招いていることである。日本の場合も、なかなか黒字が期待できない中で、収益を考えればやめることも考えざるを得ないが、放送は公共性が高い事業であり、安易に高額だから背を向けるという考え方にはならない。その辺りも民放・NHKで十分議論して対応していくことになる。
以 上