一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成22年11月19日(金) 午後3時15分~4時
【場 所】 民放連地下ホール

民放の中間決算について

  • 記者:民放各社の中間決算が出始めたが、これらをどのようにみているか。
  • 広瀬会長:民放各社の中間決算については、キー局はすでに発表されているが、全社的にはまだ2割ほどしか集まっていない。在京キー局5社についてみると、売上は5社合計で5,457億円、前年同期比-0.9%で、3年連続のマイナスとなった。ただし、マイナス幅は前年以前に比べ縮小されており、“下げ止まり”感がある。タイム収入は依然マイナス基調だが、スポット収入が大幅に伸びている。一方、各社の経費削減により、営業利益は213億円と、ほぼリーマンショック以前のレベルに回復した。
  • 記者:ローカル社の傾向はどうか。
  • 広瀬会長:テレビ朝日系列のローカル社に関して言えば、おおむね売上・利益ともにプラスになっている。大幅に改善しているという訳ではないが、デジタル化設備投資がある中で、経費削減に努めた効果が表れていると思う。

 

地デジ完全移行に向けた取り組みについて

  • 記者:地デジ完全移行に関する現在の取り組みと進捗状況はどうか。
  • 広瀬会長:デジタル受信機の世帯普及については、間もなく9月の数字が出てくるが、恐らく目標値である91%は超えるのではないかと思う。また、9月以降のテレビ受信機販売も伸びていることから、実際には9月段階よりも普及は進んでいるものと思われる。
  • 課題としては、(1)中継局整備、(2)ビル陰難視対策、(3)集合住宅共聴対策、(4)新たな難視対策の4点があるが、これらについては全体状況が把握できているので、あとは対策を施せばよいという段階に至っている。このほかに、(5)経済的弱者対策があるが、これについては、我々は正確なデータを持っていない。本年度の補正予算には、低所得世帯向けの新たな支援制度が盛り込まれた。現行の支援制度は、NHK受信料全額免除世帯を対象にしたものだが、この中には市町村民税が非課税で、かつ障害者を抱えている世帯が含まれている。自治体は非課税世帯のうち障害者を抱えている世帯がどのくらいあるのかを障害者団体と情報を突き合せなければ把握できなかった。新たな支援制度は、市町村民税非課税世帯すべてが支援対象となるので、作業が従来よりも容易に進められると考えている。この対象世帯を把握している自治体の協力を期待している。まだ8ヵ月あるので、十分対応できると思う。

 

BSデジタル放送について

  • 記者:10周年を迎えたBSデジタル放送について、今後、地上波としてどう捉えて行くのか。
  • 広瀬会長:BSデジタル放送は、ようやく単年度で黒字を出すところまで成長してきた。来年秋から新たなBSデジタル放送のチャンネルが開局するが、これらの大半は有料放送なので、基本的には既存の広告放送の局と食い合うことはないと思う。ディズニーなど大きなメディアが参入してくることによって、多少の影響は出てくるかもしれないが、BSの存在感を示すという好影響もあるので、期待している。
  • 記者:BSデジタルの発足当初はローカル局の経営を圧迫するのではないか、という意見もあったが。
  • 広瀬会長:今のところはローカル局の経営を圧迫するような状況にはない。ローカル局の中には地方の情報をBSを使って全国に発信する局もある。
  • 記者:BSではショッピング番組が多いが、この傾向はこれからも続くのか。
  • 広瀬会長:全体としては減らしていく方向になるだろうが、最終的には個々の社の経営判断になる。
  • 記者:新たに参入してくるBS放送事業者は民放連に入会するのか。
  • 広瀬会長:少し状況を見ながら、入会の是非を検討したい。

 

NHK関連

  • 記者:NHKがインターネット事業を拡大させる姿勢を示していることについて、どう考えるか。
  • 広瀬会長:インターネットによるサイマル放送については、民放に置き換えても、(1)大容量のサーバーを設置するための膨大な費用、(2)権利処理がうまくできない番組が配信できないことによる質の問題があり、ビジネスとして成り立たないのではないか、という懸念がある。NHKは民放と収入形態は違えど、同様の問題を抱えることになるので、放送法の問題とは別に重い荷物を背負うことになる。NHKがインターネットでサイマル放送を行うメリットはどこにあるのかという根本的なところで、まずはNHKの考え方を示してもらいたい。
  • 民放各社が独自の経営判断で行っているネット配信や他のデジタルデバイスへの配信については、すでにビジネスベースで行われているのでよいと思うが、サイマル放送については、地上放送を全国あまねく無料で番組を届けているのに、それに加えてインターネットでサイマル放送しなければならないのか、という疑問がある。こうした地上放送の良さは、10年・20年経っても変わることない位置にあり続けると思う。

 

CMスキップ機能付きの録画機器について

  • 記者:先日の民放大会のあいさつで、「CMスキップ機能付きの録画機器は、ARIBのテレビ受信機の技術に関する申し合わせにも反する疑いがある」としていたが、禁止規定はないのではないか。
  • 広瀬会長:ARIBの運用規定では、「広告部分のカット、スキップを自動的に行うような機能の実装などを行わないことが望ましい」としており、遠慮深い表現だが、はっきりダメなことを掲げている。我々が懸念しているのは、これを許せば、今後同じような機能を標準装備した機器が次々と出現し、無料である広告放送はどうなるか、テレビの文化や放送の水準は守られるのかという大変深刻な問題に関わっていることである。決して看過できないと思っている。今後、関係メーカーと協議を行い、折衝していくことにしている。
以 上