一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成23年11月17日(木) 午後2時15分~3時10分
【場 所】 民放連 地下ホール

暴力団排除条例への対応について

  • 記者:放送基準審議会策定の「反社会的勢力に対する基本姿勢」に続く、民放連としての暴排条例への対応は。
  • 広瀬会長:47都道府県で暴排条例が揃い、こうした取り組みが一歩前へ進む中で、メディアの対応が注目されている状況かと思う。暴力団関係者とは知らずに契約していたケースもないわけではないと思うので、緊張感を持って取り組んでいく。今後、出演契約はどうしなければいけないか、暴力団関係者と明らかになったときの対応等、何らかの基準が求められるので、参考になるものを民放連で年内を目途に作成して示したい。大変なのは、暴力団関係者かどうかの判断である。民放連が相談に応じるなどの手助けは必要であろうが、警察の協力を得ながらも、最終的にはそれぞれの放送局が自らの責任で判断することになる。

 

NHK経営計画について

  • 記者:NHKが10月25日に発表した「平成24~26年度経営計画」についての所感は。
  • 広瀬会長:受信料収入の10%還元という要請に対し、7%プラス大震災に伴う災害設備投資ということで、十分評価していいと思う。次期計画について私が事前に関心を持っていたのは、ネットとの関係と、受信料の性格に関する記述だ。地上波テレビが視聴できる人から受信料をいただくのは、全国に放送を届けるというNHKの役割・業務に照らして仕方ない。しかし、衛星放送についても受信機を設置したことによって衛星放送受信料を徴収するという現在のあり方は、個人的には納得しがたいものがあり、早く整理した方がいいと思う。ネット同時配信について、今回、経営計画に記述されなかったのは、執行部や経営委員会としてネット配信に慎重に対応していくとの表明であり、評価したい。この問題は関係者との調整が必要であり、放送の二元体制に関わる問題である。民放連はいろいろと意見を出してきたが、今回、NHKがネット配信について示さなかったのはよかったと思う。
  • 記者:意見募集に民放連から出した意見については。
  • 広瀬会長:敢えて言うなら、V-Lowについての言及がなかったことは残念だ。ラジオは厳しい状況にある一方で、震災では役に立った。V-Low端末をどのように身近においてもらうか、NHKの提言があればよかったと思う。今回、経営計画で示されなかった事項についてNHKが何か表明するときは、放送の二元体制の意義をはじめ放送に関する知識と理解をお持ちの第三者が参加した場での議論を経たうえで、表明していただきたい。

 

東北3県の地デジ化の見通しについて

  • 記者:東北3県の地デジ移行の進捗状況は。
  • 広瀬会長:本日の理事会で順調に進んでいるとの報告があった。デジタル放送の受信に必要なインフラ整備は、年内、雪が積もらないうちに終えることになっている。東北3県の総世帯数225万のうち、インフラ整備の残りは10月末で1万3千世帯と聞いている。44都道府県のアナログ放送終了のときと同様に、最後まで残ってしまう世帯への対応が難しいので油断はできない。まだ復興途上にあり、必ずしもデジタル化に関心が向いているわけではないので、来年3月31日のアナログ放送終了に向けたPRを強化していかなければならない。民放連としても東北3県の会員社にはまだ支援が必要と考えている。残り100日という節目など、番組内で大いに宣伝してもらったり、最終段階ではカウントダウンスーパーも必要と思う。万全の構えで臨みたい。東北3県のアナログ放送終了が混乱なく行われなければ、全体としてのデジタル放送移行がうまく行ったことにはならない。

 

震災報道における今後の課題について

  • 記者:民放大会のあいさつでも東日本大震災の時の放送の役割に言及されていたが、今後の課題は。
  • 広瀬会長:地震そのもので亡くなった人は少ない。2万人近い死者・行方不明者は津波によるものである。当初からの疑問は、地震の後、津波が到着するまで30~50分の時間があったにも関わらず、どうして逃げられなかったのか、ということだ。民放連研究所の調査によれば、津波警報は約6割の人しか聞いていない。そのうち、避難した人は、さらに半分である。単に「津波が来た」と言い続けても危機感は感じづらい。不足していたのは正確な情報である。放送局は停電しても発電機を使って放送を続けていたし、家庭でもテレビは停電で使えなかったが、ラジオやワンセグは使えた。防災無線もある。確かな情報を伝えれば被害は大幅に減らせたと思う。気象庁にはそのことを訴えていきたい。

 

民放の中間決算状況について

  • 記者:中間決算が出始めているが、どのような状況か。
  • 広瀬会長:4-6月期は東日本大震災の影響で、全国的に売り上げは減少したが、7-9月期にはV字回復となった。東北3県も持ち直してきた。まだ全国のデータはないが、キー5局の中間決算では、売り上げはマイナス3.7%、営業利益はマイナス12.9%で、落ちこみをカバーするには至らなかった。10月以降も回復基調にあるので、通年で見れば大きなマイナスにはならないだろう。赤字にはならないと思う。