会長会見
井上会長会見
【日 時】 平成25年1月17日(木) 午後2時15分~2時55分
【場 所】 民放連 会議室
年頭にあたって
- 記者:年頭にあたっての所感をうかがいたい。
- 井上会長:今年はテレビ放送が始まって60年の節目であり、新たな再生の年。ネットやSNSが伸びているが、テレビが独自の優れた価値を持つ媒体であることを再認識し、番組の充実を図りたい。また、ネットと一層の共存を図り、放送とネットの双方が発展することを期待している。ラジオについては、V-Lowマルチメディア放送の問題に結論を出すことが、大きな目標である。
- 記者:ネットとの共存を図りたいとのことだが、具体的に考えていることはあるか。
- 井上会長:一つは広告媒体として活用したい。昨年のロンドンオリンピックでは、放送とネットの共存が実体として見えてきた。自然に共存の形ができるのではないか。
新政権への期待
- 記者:安倍政権に代わったが、新政権にどのような期待をしているか、うかがいたい。
- 井上会長:政権発足前から株価が上がり、円安が進むなど、経済政策への期待が高まっている。新政権には、経済の舵取りを上手く行っていただき、景気が好転することを期待している。今回の補正予算案ではさっそくコンテンツの海外展開に予算が計上された。日本のコンテンツを海外に展開するということは、すなわち文化を伝えるということであり、大切なことである。こうした支援を追い風に、海外展開を進めていきたい。
V-Lowマルチメディア放送への対応について
- 記者:V-Lowマルチメディア放送への対応状況について、うかがいたい。
- 井上会長:1月10日開催の「ラジオ委員会」で、ラジオ全99社から回答のあった参入意向調査の結果概要を取りまとめた。調査結果の詳細は差し控えるが、“音声優先セグメント”への参入意向については、6割5分が「希望する」、1割が「希望しない」、2割5分が「現時点では未定」という結果となった。こうした各社の意見を踏まえ、今後は「ラジオ委員会」を中心に慎重に議論を重ねていきたい。関係者との意見調整が必要であるが、私としては今年中には結論を出したいと考えている。
- 記者:調査結果を聞く限り、民放連としてまとまった考えを総務省に示すのは難しいように見えるが、どう考えているか。
- 井上会長:それぞれの意見の方が納得することが大事である。時間を要するが、各社に納得いただくための作業が必要だと思っている。
新しい放送サービスへの取り組みについて
- 記者:新しい放送サービスの取り組みについて、所感をうかがいたい。
- 井上会長:放送や受信機の高度化は世の常であり、スマートテレビやスーパーハイビジョンもそうした高度化の一環と捉えている。民放各社は、総務省「放送サービスの高度化に関する検討会」をはじめ、新しい放送サービスに関する会合に参加して準備を進めている。新しい時代に対応していくのは企業として当然であり、新しい放送サービスが生まれれば、それに対応しないと生き残ることはできないだろう。
- 記者:NHKの松本会長は1月10日の定例会見で「2016年リオデジャネイロ五輪に向けて、スーパーハイビジョン(8K)の実用化試験放送が開始できないか検討を進める」と述べたが、これについてどう思うか。
- 井上会長:昨年3月に民放事業者はようやく地デジ化を成し遂げたところであり、民放各社が即座に4Kや8Kに力を注ぐのは難しい。NHKには新技術の開発をリードしてきた歴史があり、その役割には敬意を表する。民放事業者としては採算も考えねばならず、社会の動向も踏まえて検討したい。まずは研究と情報収集に努めたい。
スカイツリーへの送信所移転に関する取り組みについて
- 記者:スカイツリーへの送信所移転に関する取り組みについて、所感をうかがいたい。
- 井上会長:NHKと民放キー5局の6社で構成する「東京スカイツリー移行推進センター」が、試験放送を行って受信確認をお願いし、受信対策を進めている。地デジ完全移行の経験を活かし、視聴者の皆さまに最終的にご不便をおかけしないよう、一致協力して取り組んでいる。
その他
- 記者:過去の番組の海外展開について、実演家との協議が難しいとも聞くが、NHKと一緒に権利者等と協議する予定はあるか。
- 井上会長:実演家の権利処理については、aRma(映像コンテンツ権利処理機構)における対応が進んでいる。ただし、二次利用のための権利処理ができたとしても、日本の制作費と海外の制作費との間には依然として大きなギャップがある。この点について、海外展開を図るうえでどのように解決するかが問題であり、何らかの形で支援していただければと思っている。
- 記者:BPO(放送倫理・番組向上機構)が設立から10年を迎えるが、BPOの成果について、所感を伺いたい。
- 井上会長:BPOは、番組の向上のために率直に意見を発してくれる大変心強い存在である。放送事業者の側でも、BPOの取り組みを尊重していただけるよう引き続きお願いしたい。