一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

井上会長会見

【日 時】 平成27年11月19日(木) 午後1時~1時30分

【場 所】 民放連 地下ホール

 

BPO放送倫理検証委員会の「意見」について

・記者:BPOの放送倫理検証委員会が公表したNHK「クローズアップ現代」に関する「意見」において、番組内容に「重大な倫理違反」があったと指摘する一方、総務大臣による行政指導や自民党の調査会がNHK幹部から説明を聞いたことを批判しているが、これをどう考えるのか。

井上会長:第三者機関であるBPOの各委員会がとりまとめた意見に、民放連として物申すことはない。また、一般論として申しあげれば、番組内容に関わる行政指導は望ましくないと従来から主張している。政権与党に限らず、政党が個別の事業者を呼んで番組に関することを聞くのは、やめてほしいと思う。そういった場合には、個別社の事情もあるが、民放連を呼んでもらいたいというのが基本姿勢だ。これも過去に申しあげているとおりである。

・記者:放送倫理検証委員会の意見のなかで、放送法の解釈について述べているが、これについての考えをうかがいたい。

井上会長:放送法第4条が倫理規定かどうかについては、さまざまな解釈があるが、個人的な意見としては、法律は必要にして最小限度の規定を行うものであり、倫理規定の方が幅が広い。その意味では、BPOの各委員会はその幅広の倫理的な部分についても判断を下してくれているものと思う。したがって、BPOの各委員会の意見を尊重し、真摯に対応していれば、基本的に放送法に触れるようなことが起きることはないと思っている。このため、民放連としては従来から、BPOの各委員会の意見を重く受けとめて対応するよう、会員各社にお願いしている。

・記者:BPOのあり方についても議論となっているが、どう考えているのか。

井上会長:言論・報道の自由は重要だが、無秩序であってはならず、各社とも放送基準に則って放送活動を行っている。それでもなお、過ちをおかした可能性があった場合に、BPOの各委員会がチェックして意見を出してくれる。このことが、放送事業者が自主的に判断し、番組の改善につながる仕組みとなっている。
BPOは第三者機関である。民放連から理事が2名就任しているが、理事会には各委員会の委員を決める権限はない。各委員会の意見も、事前に民放連や放送事業者側に開示されることはない。こうした第三者機関が最もよいと思う。

・記者:放送倫理検証委員会の意見では、委員会が議論しようとしていた時点で総務省が行政指導を行った点を問題視しているが、この点についてはどう考えるのか。

井上会長:くり返すが、一般論として行政指導はないほうがよい。BPOの委員会の判断を待って総務省が行政指導を行うならよいというわけではない。

・記者:BPOに関する議論の影響かもしれないが、先日、新聞に「放送法遵守を求める視聴者の会」の意見広告が掲載された。放送法第4条への違反があるかどうかを監視する内容だが、これについてどう考えるのか。

井上会長:いろいろな団体がさまざまな意見を表明されることは自由だと思うが、民放連として意見を述べることはない。 

 

 

総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」について

・記者:自民党「放送法の改正に関する小委員会」の提言を受け、総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」が設置されたが、これをどう考えるのか。

井上会長:総務省の検討会は、NHKの今後のあり方だけでなく、民放事業者に関する課題を含めて検討すると聞いている。メディア環境の変化に伴い、今後の放送のありようを丁寧に議論されることを期待している。

・記者:同検討会の初会合でも意見のあった、地域情報の発信についてはどう考えるか。

井上会長:放送は事件・事故の迅速な報道、速報性によって、報道機関として発展し、現在の地位を築いてきた。インターネットの情報発信力、投稿動画などによる速報性が増すなかで、われわれとしては、地域に根差した正確で責任ある報道によってこそ、放送や放送局への信用を確保できるものと思う。各局とも是非そうした努力を続け、地域での信用を確保していってほしい。それが今後、生き延びていくうえでも重要であろう。

 

 

TVerについて

・記者:CM付き無料見逃し配信サービス「TVer」がスタートして1か月経ったが、現時点で、手ごたえをどのように感じているのか。

井上会長:10月26日にサービスを開始してから、アプリのダウンロード数が11月19日で累計100万に達したと聞いている。想定を大きく超えるよいスタートが切れたと思っている。権利処理の問題等もあるが、充実したソフト展開により、新たな可能性を開いていってもらえればと思う。違法動画対策の面からも、正規ルートでの視聴を促すことが有効と考える。また、地方局のなかにもTVerに参加されている社があるので、地方局としてのネット活用や媒体価値の向上策の研究に役立ててもらいたい。

 

 

BSデジタル放送15周年について

・記者:12月1日に民放BSデジタル放送が15周年を迎えるが、この節目にあたり、“BSらしさ”やBSの存在意義について、どう考えるか。

井上会長:たいへんな苦労、試行錯誤のうえ、民放BSとして1つのジャンルを築いてきたと思う。高年齢層、高所得層の視聴が多いと聞いている。今後もクオリティの高い番組を届けていただければと思うが、あくまでも各社の編成方針によるもので、民放連が何か申しあげる立場にない。

 

 

4K・8K放送について

・記者:4K・8Kのロードマップについて、現在の所見があればうかがいたい。

井上会長:BS試験放送は各キー局とも対応する意向はあるが、その先の実用放送については周波数帯域が足りず、地上波での実施も難しいこともあり、今後の対応はこれからの検討となる。在京キー局も総務省も、もう少し考えを詰めていく必要がある。来年度の最大の課題となるだろう。

・記者:2018年を実用放送の目標としているが、送出方式やCASなどの問題が山積しており、目標設定を急ぎ過ぎているとの声もあるが、どう考えるか。

井上会長:2018年という目標設定があるので、総務省としてもそのあたりの対応を十分検討いただいているものと思う。

 

 

AMラジオ放送のFM補完中継局について

・記者:12月7日の午後1時に在京AMラジオ3社がFM補完中継局(ワイドFM)を開局すると発表したが、期待することはあるか。

井上会長:ライフラインとしてラジオは重要であり、頑張って進めてほしい。ワイドFMの開局によって難聴解消を図ることができるので、営業成績の向上につながることを期待したい。

  

 

(了)