会長会見
井上会長会見
【日 時】 平成29年3月16日(木) 午後3時~3時20分
【場 所】 グランドアーク半蔵門3階「光の間」
BPO検証委「選挙報道をめぐる意見」について
◆記者:BPO・放送倫理検証委員会が「2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見」を公表したが、これをどのように受けとめているのか。
◆井上会長:われわれを応援していただいたもの、叱咤激励していただいたものと考えている。意見をしっかりと受けとめ、報道機関としての役割を果たしていきたい。「質的公平性」は、各社がケースごとに自ら考えることだが、さまざまな論点を多角的に報じていけば自ずと公平性が保たれていく、ということかと思う。民放連が各社に対して「こうしてほしい」と言うことではないが、報道委員会や放送基準審議会を中心に議論している。
報道の役割について
◆記者:「偽(フェイク)ニュース」への対策やホワイトハウスの報道機関の選別の問題のほか、国内でも経済産業省の取材制限などがあり、報道の役割があらためて議論されているが、どのようにお考えか。
◆井上会長:フェイクニュースの流行は、国民生活全体の安心・安全を脅かす、非常に重要な問題だ。不確実な情報やデマ、アジテーションに国民が惑わされないよう、報道機関としての義務をしっかりと果たすのは放送の大事な役割だ。われわれの対処としては、細心の注意をはらって努力し、視聴者・聴取者の信頼を得るような報道をしていかなければならない。また、行政機関との関係について言えば、馴れ合いにならないよう、緊張感を持って向き合い、目を光らせることも重要な役割だ。
NHK受信料について
◆記者:NHKは「受信料制度検討委員会」を設置し、常時同時配信の負担や公平負担の徹底、受信料体系などのあり方について検討を行っているが、受信料制度について、どのような形が望ましいとお考えか。
◆井上会長:NHKの29年度予算は、28年度に続いて事業収入が7000億円を超えている。NHKの経営努力の成果だと思うが、民放連の会員社、特に地方局からはNHKの巨大化・肥大化を懸念する声もある。総務省の検討会は「NHKの業務・受信料・経営を一体的に改革する」としており、受信料のあり方もその中で検討が進められるものと考えている。受信料は、それを支払う国民全体にかかわる問題である。受信料制度は国民の皆さんが納得できる形で考えてほしい。
スポーツのメディア権料について
◆記者:動画配信事業者や通信事業者がスポーツ中継に参入し、オリンピックやワールドカップサッカーだけではなく、スポーツのメディア権料全体が高騰しているが、この流れをどうお考えか。
◆井上会長:新規参入事業者は、先行投資の意味でメディア権獲得に動くことがある。こうした動きにより、メディア権料が高騰していくことは、正直、困った問題だ。われわれは無料放送で視聴者・聴取者に優れたスポーツイベントを届けていきたいと思っているが、その提供が難しくなってしまう。オリンピックを含めて、各社は送り手の責任として無理をして放送しているところがあるが、これにも限度がある。先行きに少し不安を感じている。
放送基準審議会の検討状況について
◆記者:民放連の会員社において、意図的にスポンサーの提供表示をしない番組の放送、いわゆる「ステルスマーケティング」が行われたのではないかとの報道があり、これについてBPO・放送倫理検証委員会は、民放連の検討結果を受けて討議するとのことだ。検討状況はどうなっているのか。
◆井上会長:当該社の番組審議会での適切なご議論に敬意を表したい。番組が広告と誤解されるようなことはあってはならない。民放連の「放送基準審議会」で、一般論として各社で共通に留意していただく放送倫理上の考え方をまとめているところだ。
BPO審議案件の「検証番組」配信について
◆記者:民放連会員社の番組における『米軍ヘリパッド建設に対する抗議行動』の取り上げ方について反発の声が上がり、BPO・放送倫理検証委員会で審議入りとなった問題で、同番組の制作会社が独自の「検証番組」をインターネットで配信したが、これをどう考えるのか。
◆井上会長:この場で私からコメントすることはない。放送された番組については、BPO・放送倫理検証委員会が審議入りしており、その結果を待ちたいと思う。
メディアへの圧力について
◆記者:米国務省が先日発表した人権報告書において、昨年、高市総務大臣が、放送局が放送法の定める「政治的公平」への違反を重ねた場合には「電波停止を命じる」ことに言及したことに関し、政権によるメディアへの圧力強化の懸念が高まったと指摘したが、これをどう考えるのか。
◆井上会長:高市総務大臣の発言は行政としての法解釈を述べたものであり、従来にもあった解釈だと思う。民放連の会員社から、大臣の発言によって、取材・報道に関して何らかの脅威や制約を感じたとの報告は聞いていない。
(了)