一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

大久保会長会見

【日 時】 平成30年9月20日(木) 午後2時~2時30分

【場 所】 民放連・地下ホール

 

NHKの常時同時配信について

◆記者:NHKの常時同時配信に対する民放連の考え方をうかがいたい。

◆大久保会長:総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」の第二次取りまとめ案は、NHKの常時同時配信に一定の合理性があるとしつつ、① インターネット活用業務が適切に実施されるための措置、② ガバナンス改革、③ 業務全体の見直し、④ 受信料の体系・水準の見直しが条件・前提である、としている。こうした考え方は民放連が求めてきたものであり、適切だと評価している。7月の諸課題検討会でNHKは「真摯に受けとめ、具体的な対応を検討する」と述べており、検討のボールはNHKにある。民放連としては、NHKがどのように取り組み、条件・前提をクリアするのか、それを伺ってから民放連の考え方をあらためて整理することになる。これまで民放連は意見書などで、NHKのインターネット活用業務のあり方について意見を述べてきた。主なものを挙げると、「受信料財源で行うNHKのインターネット活用業務が市場の競争を阻害しないようにすること」「実施費用を受信料収入の2.5%を上限とする現行の基準は今後とも堅持すること」「区分経理で厳格に管理すること」などをNHKに求めてきた。これらの点は重要なポイントであり、今後、必要に応じてということになるが、NHKに対する要望という形で、あらためて民放連の考えを伝える場面があるのではないか。

◆記者:実施費用を受信料収入の2.5%を上限とするのは現実的にはかなり厳しいと思われるが、これはNHKの肥大化を阻止したいという趣旨なのか。

◆大久保会長:NHKのインターネット活用業務の拡大は民間放送だけでなく、新聞・通信といった民間事業と競合する可能性を高めるので、抑制的に事業を展開していただきたいということだ。民放連は、かねてからNHKの業務は民業を圧迫しないように、野放図な肥大化はしないようにと申しあげてきた。このような基本的な考え方の中で、あらためてお願いしたい、ということだ。

 

 

「共通プラットフォーム」について

◆記者:在京キー5社とNHKで「デジタル6社会」という組織が設置されたとの一部報道があったが、共通プラットフォームや配信基盤について具体的にどのような協議が進められているのか。

◆大久保会長:民放連としての取り組みではないので、会長の立場で私から申しあげることはないのだが、基本的な考え方として、特定のテーマについて結論を出すのではなく、キー5社とNHKの自由な意見交換の場として、放送と通信の融合時代におけるNHKと民放の協調領域のあり方を検討していくと聞いている。こうした意見交換を通じて相互理解を深めることは意義があると受けとめている。

◆記者:「規制改革推進会議」第3次答申に盛り込まれた、テレビ番組をインターネット配信する「共通プラットフォーム」についての考え方をあらためてうかがいたい。

◆大久保会長:「共通プラットフォーム」をどうイメージするか、参加するかどうか、それは個別各社の判断に委ねられるものであり、民放連として何か言えるものではない。すぐれて経営に関わる問題だとの前提で申しあげるが、一般論で考えれば、「共通プラットフォーム」を構築して利用者の利便性を高め、コストをシェアすることには一定の合理性があると考えられるし、だからこそ「規制改革推進会議」第3次答申でも提案があったのだろう。見逃し配信については、在京・在阪の民放テレビ9社が「公式テレビポータルサイト」として、TVerを運営している。一方、常時同時配信については「現時点では事業性を見出せない」との意見が民放事業者の大勢を占めている。今後どうなっていくかは、基本的には各社の経営判断が大前提だと理解していただきたい。

◆記者:TVerへのNHKの参加に期待するのか。

◆大久保会長:民放連の取り組みではないので会長としての発言は難しいが、TVerが発展・成長していく中で、民放だけでなくNHKのコンテンツも見ることができるようにと期待されてきたのだと思うし、私もそう考えている。現在のTVerは見逃し配信のためのサイトであり、その性格が変わるようであれば、関係各社の間で協議が必要ではないか。

◆記者:総務省の諸課題検討会の「第二次取りまとめ(案)」には、「他事業者との連携・協力等の確保」とあるが、NHKとの協議の中で、TVer参加への手応えを感じているのか。

◆大久保会長:まずはNHKの考えを聞いたうえで、ということではあるが、TVerの成長・発展の手助けになってくれるのであれば、参加していただきたいと思う。

◆記者:インターネット配信には、同時配信、見逃し配信、アーカイブ配信の3種があるが、利用者側にとって区別はなく、同じだと思う。一緒になれば便利だと思うが、どのようにお考えか。

◆大久保会長:私たちは民放事業者なので、利用者の利便性を第一に考えるが、事業性の有無も考えて判断することになる。

◆記者:同時配信は現時点では事業性が見出せないので難しいということか。

◆会長:そうだと考える。

 

 

ラジオの活性化ついて

◆記者:先日、民放ラジオ101局特番が放送されたが、民放ラジオの活性化について、どのようにお考えか。

◆大久保会長:ラジオ委員会では、若者をはじめとする新規リスナー獲得のため、安室奈美恵さんがゲスト出演する民放ラジオ101局特番を9月8日から10日にかけて放送した。事前にラジオを通じて呼びかけ、特設サイトで安室奈美恵さんへのメッセージおよびリクエスト曲を募集したところ、非常に多くの応募があったとのことだ。番組の内容について、ツイッターや多くのメディアで大変高い評価をいただいていると聞いている。ラジオの活性化のため、このような話題性のある番組を放送することは重要だと思う。また、通常のラジオ受信機に加え、スマートフォンやAIスピーカーなど、ラジオを聴くことのできるデバイスも増えている。このようなデバイスを効果的に利用して番組をリスナーに届けることが、ラジオの活性化につながるものと期待している。

 

 

憲法改正国民投票CMについて

◆記者:憲法改正の国民投票をめぐり、テレビCM規制のあり方が議論されているが、どのようにお考えか。また、自主規制について、民放連で検討が進んでいるのか。。

◆大久保会長:憲法改正国民投票運動のテレビCMのあり方について、私たちに検討が投げかけられており、国会の検討の場に招かれて説明も行った。本日開催した理事会で、この問題を担当する放送基準審議会から検討状況の報告があった。その中で、民放連として一律にCMの量的規制はしない方向で検討を進めていくとの説明があり、これを了承した。民放連がCM量についてどのような自主規制を行うのか、との問いに対して、現時点の考えを確認したものだ。今後、この基本的な考え方に沿って番組・CM全般の論点を検討していく。

 

 

ローカル局の経営基盤強化について

◆記者:総務省の諸課題検討会の「第二次取りまとめ(案)」には「ローカル局の経営基盤強化に関する検討」が記述されているほか、自民党の中でも同様の議論が行われている。国や行政の支援について、具体的な考えがあればお聞かせ願いたい。

◆大久保会長:自民党の中でどのような論議がされているのか、そこを確認してから検討を進めたい。ローカル局は各社自立して経営しているので、それぞれの経営の選択肢が増えるのならばよいが、経営判断を制約するようなことであれば困る。ローカル局を応援してくれるものだと期待しているし、民放連として共通して要望することがまとまればお願いすることもあるだろうが、現時点ではまとまったものはない。

 

 

(了)