会長会見
2020.03.19大久保会長会見
【日 時】 2020年3月19日(木) 午後3時~3時30分
【場 所】 ホテルニューオータニ・芙蓉中の間
1期目の総括と次期への抱負
◆記者:2期目となる会長に推薦されたが、1期目の2年間の総括と2期目への抱負をうかがいたい。
◆大久保会長:総括や抱負を述べるにはまだ時期が早い。一昨年の6月に民放連の会長に就任し、最初に検討を始めた「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」のゴールを今年の6月としている。しっかりとした成果を上げられるよう中身の濃い検討を進めている。これに関連し、放送コンテンツの海外展開を一層積極的に進めるため、新たに「コンテンツ海外展開委員会」を新設することを考えている。理事会の承認を経て6月の定時総会後に発足し活動を開始することになる。
新型コロナウイルスの影響について
◆記者:新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックの中止が取りざたされているが、準備に影響等は生じているか。
◆大久保会長:影響がないわけではないが、IOCは予定通り開催するとの声明を発表しているので、これに基づき開催に向け怠りなく準備をしていく。仮定のことに具体的に言及できる段階ではないが、さまざまな事態を想定しながら開催に向けてしっかりと準備を進めていると思う。
◆記者:新型コロナウイルス対策でイベントの自粛や規模縮小が相次いでいる。放送局の主催イベントも対応を迫られていると思う。民放全体にどのような影響が出ているか。
◆大久保会長:番組制作やイベントなどさまざまな事業に影響があると思う。各社ともコロナウイルスにうつらない、うつさないための工夫や努力を重ねている。観客を入れずに収録する番組が増えたり、人の移動を制限する国や地域が急速に増えたことで海外ロケが難しくなったりしているなどの影響があるとも聞いている。経営面への影響も少なからずあると想像している。ただ、放送事業者にはこうした時こそ正確な情報を伝えていくメディアとしての公共的な役割があり、放送を止めることはできない。各社ともさまざまな工夫をしながら放送を続け、国民が必要とする情報を届ける使命を果たせるよう取り組んでいると思う。
◆記者:新型コロナウイルスの影響で、(在宅率が増えていることなどにより)テレビの視聴率が上がっているといったデータや報告はあるか。
◆大久保会長:ビデオリサーチの世帯視聴率、個人視聴率ともに少し上がっていると聞いたことがあるが、その原因が新型コロナウイルスだと言える材料は持ち合わせていない。
◆記者:新型コロナウイルスに関するテレビ報道に対して、内閣府が公式ツイッターで番組を名指しして反論する事例があったが、どのように考えるか。
◆大久保会長:個別の番組をめぐってのやり取りに私の立場からコメントすることは控えたい。
NHKについて
◆記者:NHKが3月から「NHKプラス」(放送同時配信、見逃し番組配信)の試行的運用を始めたが、どのように受け止めているか。
◆大久保会長:新しいサービスであり、国民・視聴者がどのように受け止めているのか知りたい。運用して初めて分かる課題や視聴者動向などもあるのではないか。NHKには視聴者の利用状況や権利処理の方法などについて情報を開示していただき、データも含めて民放とも知見を共有してほしい。
◆記者:在京キー局がこの秋に向けて同時配信に向けた取り組みを進めていると聞いている。「NHKプラス」がスタートしたこともあり、同時配信に関するフェーズが変わってきていると感じているか。
◆大久保会長:在京キー局が検討する同時配信に、民放連会長の立場でお話しできることはない。事業性の観点からメリットとデメリットを勘案して、各社が経営判断すると思う。
◆記者:新たに就任した前田会長にはどのような舵取りを期待するか。
◆大久保会長:就任してすぐに民放連へ挨拶に来られたのでお会いした。民放とNHKの放送における二元体制を維持し、それぞれの役割と責任を果たしていくために、競争と協調の関係を発展させたい。
「日本の広告費」と新たな視聴率調査について
◆記者:3月11日に電通が発表した「日本の広告費」によると、2019年にインターネット広告費がテレビ広告費を抜いたとある。このことの受け止めを聞かせてほしい。
◆大久保会長:かねてから民放連の研究所も予測しており、そのとおりの結果になった。一つの節目としてこういう時代が来たと冷静に受け止めている。テレビの媒体としての価値を向上させ、インターネットとは違う放送の優位性を広告主にお伝えし、民放の財政的基盤である広告収入をしっかりと維持していきたい。コンテンツの内容を高めることなどにも力を注ぎたい。なお、インターネット広告費にはテレビ局が行う広告付きネット配信の広告費も含まれている。これをさらに拡大する努力も放送事業者にはこれまで以上に必要だと考えている。
◆記者:4月からビデオリサーチの新視聴率が全国各地で導入されるが、これをどう受け止めているか。
◆大久保会長:ビデオリサーチが実施する視聴率調査のあり方について民放連で検討しているわけではないので、コメントは控えたい。テレビの媒体価値をどう証明し、高めていくかは、ビデオリサーチの指標をどう生かしていくかを含め、各社がそれぞれ検討しているものと思う。
ラジオについて
◆記者:3月15日にラジコがスタートして10年を迎えた。ユーザーも増え、ひとつのマスメディアに成長したと思うが、どのように受け止めているか。
◆大久保会長:ラジオ事業が全体としては厳しい中で、ラジコが新しい成長分野を切り開いてくれた。ユーザーに定着しているのが見て取れるのはとても良いことだと思う。今後もラジコやラジスマが普及していくことを期待している。
(了)