一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2021.03.18大久保会長会見

【日 時】 2021年3月18日(木) 午後3時~3時30分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○ 会員各社の決算について

◆記者:新型コロナウイルスの影響で各社厳しい決算が予想されるが、今後の見通しを含めて所感を伺いたい。

◆大久保会長:民放連研究所が1月末に発表した予測では2020年度の地上波民放の売上高はテレビで14.5%減、ラジオは16.4%減である。いずれもリーマンショック時を上回る過去最大の落ち込みが予測されている。各社の決算見通しなどを見ても大変厳しい状況が伺われる。今後の見通しだが、研究所による予測では、2021年度はテレビ6.9%増、ラジオ1.5%増と増加には転じるが、20年度の下げ幅をカバーできるところまではいかない状況だ。ただ最近発表されている経済見通しは上方修正が多く、テレビスポットも少しプラス基調になっているようだ。少しずつではあるが状況が改善されつつあると感じている。2021年度がどうなるかは、ワクチン接種の状況も大きな要素になると思う。テレビ、ラジオとも研究所の厳しい予測を上回る(回復の)状況になることを期待している。

 

○ 総務省官僚の会食報道について

◆記者:一連の総務官僚の会食報道をどう見ているか。

◆大久保会長:総務省において調査委員会を設置して調査がなされるとのことなので、その結果を見守りたい。

◆記者:民放連役職員と総務官僚の会食の事実はあるのか。

◆大久保会長:私自身でいえば、民放連会長としていろいろな方々と会い、さまざまなかたちで意見交換をすることはある。民放事業がおかれている状況を理解していただくことは、民放連会長としての役割の一つだと考えている。個別具体的なことについては回答を控える。民放連の役職員について、不適切な接待等の事実があるとは承知していない。

◆記者:意見交換があるとのことだが、会費の扱いはどうなっているか。

◆大久保会長:いろいろなかたちでの意見交換の場があるため、一律にお答えすることは難しい。個別具体的なことについては回答を控える。

 

○ 東京オリンピックについて

◆記者:東京オリンピックの開催形式が決まらない状況についてどう考えているか。中継を予定する民放各社に影響はあるか。

◆大久保会長:コロナ対策をはじめ、従前とは異なる様々な事態を想定しなければならないことは事実である。民放事業者はいかなる状況にも対応できるよう、引き続き準備を進め、国民の期待に応えるオリンピック放送を行っていきたいと考えている。

 

○ 会員社の番組問題等について

◆記者:日本テレビの「スッキリ」で、アイヌ民族を傷つける不適切な表現があったとして、同社は謝罪を行った。民放連会長としてこの問題についてのコメントや感想を伺いたい。

◆大久保会長:日本テレビの会長としてお答えする。3月12日に放送した日本テレビ「スッキリ」内で、アイヌ民族の方々を傷つける不適切な表現があった。アイヌ民族の皆さま、関係者の皆さまに心よりお詫び申しあげる。このようなことが二度と起きないよう再発防止に努めるとともに、アイヌ民族の皆さまの歴史や文化、伝統を理解し、メディアとしてそれを広く伝える取り組みを進めていく。

◆記者:原因究明や再発防止策について、当該社から後日説明があるのか。

◆大久保会長:どこに原因があったのか、どういった再発防止策を講じているのかについては日本テレビに質問してほしい。

◆記者:会員社において社員との不適切な関係やパワハラ疑惑により社長が退任する事案があったが、どのように受け止めているか。

◆大久保会長:一般論として言えば、コンプライアンスの遵守はすべての企業経営者に重要な規律であると考えている。

 

○ 放送法改正について

◆記者:放送法改正案が国会に提出された。NHKの中間持株会社制度や、中継局に関する民放との連携などあるが、会長の所感をうかがいたい。

◆大久保会長:民放連はこれまでNHKの業務・受信料・ガバナンスの三位一体改革に賛意を表明してきた。中間持株会社制度はガバナンス向上の手段であるので、これによりNHKのガバナンスの向上が達成されるかどうかを一番注目している。事後の検証も不可欠である。民放との連携で言えば、中継局の問題などがある。これまで民放連は条件不利地域のユニバーサルサービスにつながる放送ネットワークの維持など、放送文化全体の発展に裨益する受信料の使い方があってしかるべきではないかと要望してきた。放送法改正が成立し、そうした方向で具体的に動き出せばありがたいと思う。法改正の成立後、NHKとの間で意見交換などして進めていきたいと思っている。

 

○ 著作権法改正について

◆記者:今国会に提出されている著作権法改正案について、どのような期待を持っているか。

◆大久保会長:著作権法改正案は制度面から放送事業者のインターネット配信の権利処理の円滑化を目指すものであり、期待している。法改正だけではなく、運用面でもしっかりとした仕組みや取り組みが必要だと考えている。インターネット事業にどのように取り組むかや、同時配信に取り組む事業者が増えるかどうかは各社の経営判断によるところである。民放連は引き続き経営に参考になる情報を提供していく。

 

○ メディア業界におけるジェンダーギャップについて

◆記者:メディア業界のジェンダーギャップをめぐって、メディア労組4団体が女性役員比率の向上を民放連や新聞協会などに要請している。当社が在局キー局や新聞社にアンケートしたところ、新入社員の女性比率は4割から5割だが、管理職や役員となると1割から2割程度だった。女性の役員を増やす方策は経営判断になると思うが、どうしたらよいと考えるか。

◆大久保会長:各社の人事登用の考え方であり私から申しあげることはない。民放連について言えば、役員は会員各社の代表者の中からお願いしている。そうした仕組みにおいて民放連の女性役員の比率を上げることは、民放連の在り方そのものに関わってくるため簡単ではない。各社において女性が重要な役職に就く事例は増えており、女性の活躍の機会を増やすことに熱心に取り組んでいると思う。早晩、結果が見えてくることになるのではないか。

 (了)