一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2021.11.18大久保会長会見

【日 時】 2021年11月18日(木) 午後3時30分~4時

【場 所】 民放連地下ホール

 

○総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」について

◆記者:総務省で「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」が始まった。特に小規模中継局の設備共用やブロードバンド等での代替も検討項目にあがっているが、どのような議論になることを期待しているか。

◆大久保会長:総務省が中長期な視点で放送の将来像を議論する有識者会議を立ち上げたことは意義があると思う。自分たちの将来は自分たちで描く努力を続けるが、総務省で前向きな議論が行われることを期待している。有識者会議は放送設備について具体的に言及している。民放事業者の将来にかかわる重大な問題なので腰を据えて丁寧に議論してもらいたい。民放連の意見は12月のヒアリングの場で詳しく述べることにしたい。

◆記者:前向きな議論とは具体的にどのようなことを想定しているか。

◆大久保会長:民放事業者が社会的責任や公共的責任を果たしていくための議論や、放送が事業として成長できるような論議が進むことを期待している。

 

○ 放送のインターネット同時配信について

◆記者:日本テレビを皮切りに、民放キー局の同時配信が始まる。総務省「検討会」でも、民放大会での岸田総理や金子総務大臣の祝辞でも、放送番組のインターネット配信について期待を込めた話があった。個別の取り組みについては個社の経営判断としても、放送の同時配信が進んでいく方向性について、どのように見ているか。

◆大久保会長:先日の民放大会でも民放の70年の歴史を俯瞰する形で触れたが、民放は発足時から新しい技術を取り入れながら事業を進化させ、成長発展してきた。情報通信にかかわる技術の最先端を歩いてきた歴史だと思う。視聴者のニーズを見極めながら、各社がそれぞれの判断でデジタル技術をサービスに取り込む事業展開は時代の流れだと思う。個社の経営判断で行っている事業なので、民放連会長としてコメントすることは控えたいが、多くの人に活用され、新しい成長分野になってくれればと期待している。

◆記者:キー局が同時配信を始めるとローカル局に影響があると考えるが、調整はどうなのか。

◆大久保会長:各系列で調整が行われているのではないかと思う。

 

○ 北京冬季五輪について

◆記者:準備状況や放送枠の発表スケジュール、報道姿勢について教えてほしい。

◆大久保会長:五輪は国民的行事であり関心も高いので、視聴者の期待に応えられる放送を行うことができるようジャパンコンソーシアム(JC)として準備を進めている。出場チームが未定の競技もあるので、具体的な放送スケジュールや番組編成はもう少しお待ちいただきたい。IOCがコロナ対策をまとめたプレイブックを発表しているので、ルールを守りながら取材・報道を行い、視聴者の期待に応えたい。担当者もこうした思いで準備を進めていると思う。

 

○ NHKの社会実証について

◆記者:NHKの前田会長が民放大会で、テレビを持たない人を対象にした社会実証について知見を民放と共有するとし、「NHKが肥大化することはない」と断言したがどう受け止めたか。

◆大久保会長:前田会長の決意表明は心に響いた。その通り実行していただけると期待している。民放連はかねてからNHKに対し、三位一体の改革を迅速に進めてほしいと主張している。国民・視聴者の理解が得られる形でのNHK改革が進むと良いと思う。今後のNHK改革の行方を注目している。

◆記者:NHKがテレビを持たない人を対象に始める社会実証に関連し、総務省がパブリックコメントを始めた。民放連としてどのように対応するか。

◆大久保会長:放送計画委員会で意見をまとめる予定だ。12月上旬には意見を提出し、公表するのでお待ちいただきたい。

 

○この1年を振り返って

◆記者:今年を振り返っての所感を伺いたい。

◆大久保会長:まだ11月の半ばだが、今年もコロナに翻弄された一年だったと思う。ようやく全国的に感染状況が下火になってきたが、第6波への備えが必要だという指摘もある。制作現場には海外ロケができない、ソーシャルディスタンスを十分とらなくてはならない、観客を招いたスタジオ収録ができないなどの制約が残っている。今年の上半期は昨年落ち込んだ放送収入が回復したと思うが、コロナ以前に戻ったとは言えない。最終的な年度末決算は予測できないが昨年よりは改善すると思う。コロナ禍では視聴習慣にも変化が見られた。動画コンテンツを通信で利用する人が増えたと感じている。新しい日常、生活習慣の変化など、この2年間で起きたことが民間放送にどう影響するか関心を持ち、課題には迅速的確に対応していくことが必要だと思う。コロナ禍での東京五輪の開催には国民の中に賛否両論があったが、開催される以上はきちんとした中継を届けることがわれわれの使命であり、その責任は果たすことができたと思っている。東京五輪の教訓を踏まえて次の北京五輪にも取り組みたい。

 (了)