一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2022.06.10遠藤会長会見

【日 時】 2022年6月10日(金) 午後4時~4時40分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○会長就任の抱負

◆記者:会長就任の抱負をうかがいたい。

◆遠藤会長:私自身、放送業界に40年以上身を置いているが、民放で働く人たちの体感時間の流れは年々速くなっていると感じる。特にこの数年はかつて経験したことのないスピードで我々を取り巻く環境が変化し続けている。これに伴い5年先、10年先のビジネスモデルが、昔と違い簡単には見通せなくなった印象を持っている。この時期の会長職は、岐路において正しい未来を選択する大きな責任があると改めて痛感している。この激動の時期を逆にチャンスと捉え、多くの方々のご指導、ご協力を頂きながら放送の価値の最大化を図り、そしてそれを多くの方々に知ってもらうことを目標に、今までの知識、経験などさまざまなものを動員して会長の業務に邁進したい。

◆記者:民放各社の前年度決算を見ると、コロナ禍から回復しつつあるように見えるが、今後の民放経営にとって何が重要課題と考えているか。

◆遠藤会長:ウクライナ情勢や円安の影響があり今年度も先行きは不透明だ。民放連研究所が今年3月に実施した経営課題に関する会員社アンケートによると、「設備投資・更新」が一番にあがっている。テレビ社は地デジ移行から10年以上が経過し送信設備が更新時期を迎えつつあり、ラジオ社ではAMからFMへの転換の課題がある。放送ネットワークインフラの対応を今後どうしていくかは、総務省検討会でも議論が進んでいるので民放連としてもしっかり対応していきたい。

◆記者:テレビ離れ、ラジオ離れが指摘されているが、民放連会長としてどのように取り組んでいくつもりか。

◆遠藤会長:個人的にはテレビ離れやラジオ離れはデバイスの問題ではないと思う。面白いものは支持され、そうでないものは背を向けられるのはどのデバイスであっても同じだ。まずは各社が創意工夫して、視聴者やリスナーに楽しんでもらえるコンテンツを作り続けることや、信頼される情報を提供し続けていくことが大事だ。民放連としては、各社が番組制作に十分な投資ができるようにするために、経営環境を整備し、あわせて放送の価値の最大化に尽力したい。大久保前会長の時代から、▽過小評価されているテレビの媒体価値に関する実証研究と、広告主へのアピール、▽視聴データの利活用に関するルール作り、▽ラジオでは若年層を中心とする新規リスナーの獲得に向けたキャンペーン――など、多くの施策を展開してきた。こうした施策を引き継ぎ、次なる対応を副会長のみなさんと相談しながら考えていきたい。

◆記者:大久保前会長が取り組んだ「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」をどのように継承していくか。

◆遠藤会長:放送の価値を最大限引き上げ、内外に伝えることが私の最大の仕事だと思う。それを構成するピースの一番目がテクノロジーの進歩に柔軟に対処していくことで、二番目は放送の信頼性の堅持だと思う。三番目は放送の多様性。放送番組の多様性だけでなく、デバイスや技術の進化に対応する多様性もある。こうしたことを満たしていくことが大事だ。

◆記者:民放とNHKの二元体制の中、NHKとの向き合いをどのように考えているか。

◆遠藤会長:以前からNHKとは意見交換を行ってきたが、これまで以上にさまざまな場面で話をすることが増えていくと思う。

◆記者:現在のローカル局の経営の厳しさはどのような点に起因していると考えているか。

◆遠藤会長:さまざまな要因があると思う。キー局を含めた放送収入の不振もあるし、ネットを含めた競合相手の出現もある。ローカル局の経営基盤強化は民放連のコアなテーマなので、インフラ設備の共有などで少しでも負担が軽くなるようなことを考えていきたい。

◆記者:放送の強みをどのように考えているか。

◆遠藤会長:報道や情報分野では信頼性の点だと思うし、それを堅持していかなくてはならない。エンターテインメント分野では競合相手と余暇の奪い合いに直面している。危機感はあるが、放送の力の発揮のしどころでもあると思う。

◆記者:自身のキャリアを民放連会長としてどのように発揮したいと考えているか。

◆遠藤会長:さまざまな部署を経験してきたので、その集大成が民放連会長職だと思う。これまでの42年のキャリアを生かしたいし、そうでなければ務まらないと思う。民放界はかつてに比べ協調領域が増えた。民放全体でスクラムを組んで取り組んでいかなければ突破できないことが増えた。そこに注力するのが私のミッションだ。

◆記者:放送業界を志した理由とこれまでの一番印象に残った仕事は何か。

◆遠藤会長:映画の助監督のアルバイトをしていたので、映画会社に関心があったが、当時は採用がなかった。映像の世界に入るためにテレビ局に入社した。印象に残った仕事は数多くあるが、テレビマンとして「明日何が起きるかわからない」ことが最もエキサイティングだった。

◆記者:仕事をするうえで心がけていることがあれば教えてほしい。

◆遠藤会長:トラブルが起きてしまう原因のひとつは、自分の意志を速度と納得感を持って相手に伝えていないことだと思う。きちんとしたコミュニケーションをスピードを持って行うことが大事だ。

 

○ BPOについて

◆記者:毎日放送の維新幹部出演バラエティー番組に関連し、BPO放送倫理検証委員会が6月2日に委員長談話を発表した。参院選が近づく中、この内容について民放連はどのように受け止めているか。

◆遠藤会長:今回の委員長談話では、「政治をめぐる放送において視聴率偏重の人選がされていないか」「異なる視点の提示がないなど、質的公平性が担保されていない番組が制作されていないか」などについて、広く業界全体に対して指摘を受けたと認識している。委員長談話で指摘を受けた点を真摯に受け止め、会員各社に共有するとともに、自社の番組を再確認していただくようお願いしている。本日開催した「会員協議会」の場でも、放送基準審議会議長から直接、会員各社の代表者に対し同様のお願いを行った。

◆記者:自民党の情報通信戦略調査会でBPOをめぐる検討が進んでいることについてどのように考えているか。

◆遠藤会長:BPOにとっては、放送への苦情や放送倫理上の問題に対する「独立した第三者の立場」というところが重要だ。BPOの3つの委員会の委員の人選に放送事業者は直接かかわっておらず、その中でBPOの機能や第三者性の担保は十分発揮されている。

 

○ 自殺報道について

◆記者:来年の4月に施行する放送基準に自殺に関する記述を盛り込む方針のようだが、この背景をどう受け止めているか。

◆遠藤会長:番組における「自殺」の取り扱いに関しては、近年、著名人の自殺と、その報道を見た方々に与える影響が大きな問題となったものと認識している。「民放連 放送基準」の改正にあたり、複数の条文にわたって、自殺の誘引を避けるための配慮を盛り込んだ。本日開催した「会員協議会」で、放送基準審議会議長から改めて会員全社に対し、自殺報道に関して注意喚起を行っている。

 

○テレビ放送のインターネット同時配信について

◆記者:NHKの社会実証に対する受け止めや要望があれば教えてほしい。

◆遠藤会長:NHKだけでなく民放にとっても、テレビをあまりご覧にならない層に対するリーチは今日的な問題だと認識している。受信料制度との関係も踏まえ、NHKが社会実証で得られた結果をどのような形で実際のサービスに反映していく考えなのか注目している。

◆記者:民放のインターネットの展開の現状をどのように総括しているか。

◆遠藤会長:ビジネスとして育てていかなくてはならない部分だ。権利者の方々とのご相談も必要だと思う。

(了)