会長会見
2023.03.16遠藤会長定例会見
【日 時】 2023年3月16日(木) 午後3時~3時30分
【場 所】 ホテルニューオータニ
○SVOD事業者の動きについて
◆記者:U-NEXTとParaviが統合する。SVODの統廃合や連携をどのように見ているか。放送事業者に影響はあるか。
◆遠藤会長:前回の会見でもお話したが、SVODの事業は市場規模に比べてプレーヤーが多く、非常に熾烈な状況が続いているのだと思う。個社の事業戦略にはコメントを差し控えるが、TBSテレビとテレビ東京は社長会見で、「シナジー効果を生かしてコンテンツを届けていきたい」といったことを話されていたと聞いている。厳しい生き残り競争は続いていくと思うが幸い放送局には長年培ったコンテンツ制作能力がある。それを生かして頑張っていきたい。
○リアルタイム配信について
◆記者:キー局のリアルタイム配信が本格化して4月で1年が経過する。現状の評価を教えてほしい。
◆遠藤会長:各局の動画配信プラットフォーム、TVerの見逃し配信と同時配信、この3つがそろったことで、テレビ視聴は時間的にも空間的にも広がりが出て視聴の自由度が増した。視聴者にとって、これまで以上に立体的にテレビ放送を楽しんでいただける状況になった。普段テレビをご覧にならない方にも視聴チャンスが生まれていることは非常に喜ばしい。今後も各局が視聴者のニーズを把握し、権利処理の問題もクリアにしながら一番良いコンテンツを見ていただくよう努めると思う。
○NHKのインターネット活用業務について
◆記者:総務省検討会で、NHKのインターネット活用業務を必須業務化する流れで議論が進んでいるが、どのように受け止めているか。
◆遠藤会長:必須業務化という概念だけが先行するのは望ましくない。必須業務化するとどうなるのかについて、NHKの考えを聞きたい。例えば理解増進情報の考え方やインターネットでの受信料を将来的にどう考えるのか、予算のキャップをどうするのかなど、ある程度の考えを示してもらったほうが議論が進むのではないか。
○政治的公平について
◆記者:政治的公平に関する国会での議論をどのように見ているか。
◆遠藤会長:行政文書の真贋について今、精査しているところだと思うのでコメントは控えたい。
◆記者:政治からの独立についてどのように考えているか。
◆遠藤会長:放送法は放送事業者の自主・自律を大原則としており、番組内容に関する政治や行政の関与はあってはならないと考えている。
◆記者:電波法との関係についてどのように考えているか。
◆遠藤会長:2016年の総務大臣答弁の際、民放連の井上会長は会見で、放送法は放送事業者の自主・自律を大原則とする法律であり、公権力の介入は抑制的であるべきだといった趣旨を述べ、放送全体を見て判断してほしいと述べた。そうした考えに変わりはない。放送事業者が政治的公平に十分に留意し続けることが公平さを守ることに帰着すると思う。
◆記者:野党は補充的解釈を撤回すべきと主張しているがどのように考えているか。
◆遠藤会長:議論の端緒が真贋を問われている行政文書であるので、コメントは控えたい。
◆記者:民放各局では動揺や委縮は無いという理解か。
◆遠藤会長:2016年の総務大臣答弁以降も、報道情報番組に関わる部分が委縮したとは思っていない。
○視聴覚障害者向け放送について
◆記者:字幕付きCMの普及状況についてどのように見ているか。
◆遠藤会長:実際に障害を持たれている方が、放送を体験するためにどのようなことが必要なのかについて、質の問題をより一層考えることが必要だ。健常者の想像力だけで考えるのではなく、当事者の意見を聞くことが大事だ。
◆記者:手話言語での放送についてどのように考えているか。
◆遠藤会長:例えば手話のワイプのサイズが小さくて見づらいといった声が障害者の方からあると聞いている。放送事業者は単に取り組むだけではなく、想像力を持つことが必要だと思う。
○ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について
◆記者:WBCが盛り上がりを見せている。今後の期待や日本代表へのエールを聞かせてほしい。
◆遠藤会長:日の丸がかかると日本国民は盛り上がるという第一印象。準々決勝以降はいっそうゲームの緊迫が増すので、より多くの方がご覧になると思う。サッカーのワールドカップの時も感じたが、テレビ離れが指摘される中でも放送にはこんなに力があると再確認できる、放送人としては非常に嬉しいイベントであるし、このドリームチームで世界一を目指してほしい。
(了)