会長会見
2025.9.18早河会長定例会見
【日 時】 2025年9月18日(木) 午後3時30分~4時15分
【場 所】 民放連地下ホール
○民放事業者のガバナンスに関する民放連の検討状況について
◆記者:民放事業者のガバナンスに関する民放連の検討状況を教えてほしい。
◆早河会長:本日の理事会で「民間放送のコーポレート・ガバナンス強化に関する基本的考え方(案)」を承認した。本来、ガバナンス強化は各社がそれぞれに取り組むものであり、実際に個社の経営判断で適切に進められているが、フジテレビの事案を契機に、民間放送全体のガバナンスのあり方が疑問視された。実際にCM出稿の停止や、総務省が検討会を設置するなど、民放経営の根幹に関わる動きが起き、業界としての取り組みが求められている状況にある。社会からの疑念を払拭し、民間放送が信頼できる情報の発信主体としてあり続けるためには、必要な強化策を自ら講じる必要があると判断し基本的考え方を整理した。
◆堀木専務理事:「基本的考え方(案)」の主な内容は、▽会員社がより信頼される存在になることを目指して「民間放送ガバナンス指針」(仮称)を制定する、▽民放連の定款を変更し、会員社のコーポレート・ガバナンス向上にかかわる活動を実施することを明確にする、▽会員社のガバナンス向上の支援とともに、会員社のガバナンス不全が民間放送全体の信頼を傷つけるような事態に備えて、外部専門家を議長とする「ガバナンス検証審議会」(仮称)を新設する――というものだ。
9月中に行われる、総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」で説明する予定だが、同検討会の構成員などから意見が出ることも考えられる。本日の理事会では“案”として承認いただいたので、さまざまな意見を参考にしながらさらにブラッシュアップしていきたい。
◆早河会長:関連して、フジテレビの民放連理事・副会長への復帰を検討している件を報告する。理事の選任は総会の決議事項であるため、本年の民放大会の前日(11月6日)に臨時総会を開催して審議することを想定している。
◆堀木専務理事:1月27日のフジテレビの会見後に、当時の港社長がフジテレビ社長を辞任し、それに伴い同日付で民放連の理事・副会長も辞任した。その後、4月2日の緊急対策委員会で、清水社長から「当分の間、理事・副会長職を自粛したい」との申し出があり、緊急対策委員会としてこれを了承した。
本日の理事会前に開催した緊急対策委員会で、フジテレビの理事・副会長への復帰を協議した結果、「復帰が適当」として、所定の手続きを進めることとした。フジテレビからは、人権・コンプライアンス・ガバナンス体制の確立に向けた強化策の進捗状況について説明を受けてきたが、8月28日に公表された、フジテレビの「再生・改革に向けた8つの強化策」において、8策すべて「実行済み」となったことなどを踏まえて、体制が整ったと評価した。
◆早河会長:緊急人権アクションの取り組みについても報告する。同アクションを強力に推進するために、私が委員長を務め、副会長と専務理事を委員とする「人権尊重・コンプライアンス等特別委員会」を5月22日に設置した。下部組織として、同委員会委員社のコンプライアンス担当役員などで構成する「人権尊重・コンプライアンス等特別部会」を置き、業界全体としての人権救済メカニズムの検討など実務的な検討を進めている。
一方で、フジテレビ事案をめぐっては民放業界におけるジェンダーバイアス、ジェンダーギャップが背景にあると指摘されていることから、同委員会の下部組織として、ニッポン放送の檜原社長を座長とする「ジェンダー平等推進プロジェクト」を設置し、民放業界における男性優位の構造を改革するための提言を行うことを目的に議論を進めている。
◆記者:民放連はフジテレビに対して定款に基づく処分は行っていないと理解してよいか。
◆堀木専務理事:そのとおりだ。
◆記者:いつ決めたのか。
◆堀木専務理事:4月2日の緊急対策委員会で、会長名による文書で厳重注意を行うことを決めた。
◆記者:遠藤前会長のもとで決めたのか。
◆堀木専務理事:そのとおりだ。
◆記者:定款に基づく処分を行わなかった理由を聞きたい。
◆堀木専務理事:会長社で起きた事案であったことの影響は排除できないが、放送史上、前例のない事案だった。同事案に関する論点が拡大していく中で判断を下すのは難しかった。また、民放連の現行の定款では、経営問題によって会員社を除名することが想定されていない。過去に行った除名処分は、(ねつ造放送により)放送倫理の向上という民放連の目的に反したとの理由や、いわゆるCMの間引き事件の際に民放連の調査に虚偽の回答を行い、民放連の名誉を傷つけたとの理由で行った。
◆記者:定款変更後は、ガバナンスに関する不祥事も処分対象になるのか。
◆早河会長:具体的なことは協議中だ。
◆記者:フジテレビに対して処分を行わなかったのは妥当だと考えるか。
◆早河会長:難しい質問だ。長期間に渡ってCM出稿が停止するという放送史上初の事案だった。民放連が歯切れよく判断するのは困難だったと思う。
◆記者:「基本的考え方(案)」で社会の納得を得られると思うか。
◆早河会長:民放事業者の経営の根幹を揺るがす事態に対して再発防止策を講じるのは、個社だけでなく民放連の責任でもある。オブザーバーとして参加している総務省検討会で意見交換をしながら、求められるガバナンスの形を作っていきたい。我々自身もさまざまな角度から議論して、二度と同様の事案を発生させないという「基本的考え方(案)」がまとまったということだ。
◆記者:総務省検討会では、事案発生時に報告徴求を可能にすることや免許期間の短縮などの議論が行われているが、早河会長の受け止めを教えてほしい。
◆早河会長:同検討会の取りまとめに向けたプロセスの中で議論が行われていると承知している。
◆堀木専務理事:減収によって経営状況が厳しくなった場合の措置に関する意見がある一方で、自主自律を基本に考えたいとの意見もある。さまざまな意見交換を経て議論は収斂していくものと認識している。
○中継局の共同利用について
◆記者:中継局の共同利用に関して、NHKから現在検討しているスキームを撤回する旨の申し入れがあったと思うが、民放側の受け止めを教えてほしい。
◆早河会長:現時点では推移を見守るとしか言えない。稲葉NHK会長は昨日の会見で、▽事業の枠組みの見直しを検討している、▽現行の計画では採算が取れないので、代替案を検討して民放側と協議したい――などの意向を示したと承知している。民放と一緒に数年かけて積み上げてきた計画なので、民放側としては突然の通告に失望しつつ、NHKに説明を求めている状況だと思う。現時点で代替案に関する説明は受けていない。
○BS4Kについて
◆記者:総務省検討会でTBSホールディングスが、BS4Kから撤退して配信に移行したいとの意向を事実上示した。早河会長の受け止めを教えてほしい。
◆早河会長:BS放送の将来的な経営を考えると支出削減を検討する必要がある。BS4Kにかかる費用や設備投資が大きいというのは各局の共通認識だと思う。このままBS4Kの事業を継続するのはしんどいのではないかとの声があることは承知している。
○WBCについて
◆記者:NetflixがWBCの独占配信契約を獲得したことについて受け止めを教えてほしい。
◆早河会長:基本的には個社の契約の話だが、放送と配信の関係において重要な要素が含まれているので回答する。昨日、NPBの榊原コミッショナーが“5,000万人から6,000万人が視聴可能だった環境が失われるのは極めて重大な問題”と強調したうえで、Netflixは今後の交渉にネガティブな姿勢を示していると述べたそうだ。米国で行われる準々決勝以降の試合を日本のゴールデンタイムにディレイで放送する余地はないか、という個人的な思いはあるが、Netflixが権利を開放するとは考えにくい。民放はこれまで同大会を盛り上げてきたので、できるだけ多くの方が視聴できる環境を整えたいがハードルは高いだろう。
◆記者:大型スポーツイベントの放映権の高騰をどう考えているか。
◆早河会長:非常に厳しい。1984年のロサンゼルスオリンピック開催の際、資金を確保するために放送権料が高騰してからその傾向が続いており、それが最も厳しく表れるのがオリンピックやサッカーW杯だ。番組制作費には限りがあるので、スポーツばかりに振り分けると報道などの予算を削減しなければならない。今後、あらゆるスポーツはさまざまなメディアの組み合わせによって視聴されることになるだろう。
(了)




