一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2025.12.18早河会長定例会見

【日 時】 2025年12月18日(木) 午後2時30分~3時5分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○2025年を振り返って

◆記者:2025年を振り返っての所感を聞かせてほしい。

◆早河会長:前会長の辞任を受け、本年5月から本日までフジテレビ事案の対応に追われた。私を委員長とし、副会長および専務理事を委員とする「人権尊重・コンプライアンス等特別委員会」や「ジェンダー平等推進プロジェクト」(座長=檜原副会長)などを設置し、人権尊重・コンプライアンス徹底のための取り組みを進めてきた。「民間放送におけるビジネスと人権対応ガイドブック」の作成や経営トップを対象とした人権に関する講演会も行った。

 ガバナンスに関する取り組みは、総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」の審議動向を注視しつつ、民放連としては「民間放送のコーポレート・ガバナンス強化策」を取りまとめ、各局の具体的な取り組みに役立つ指針の策定や、定款変更、「ガバナンス検証審議会」の設置などの取り組みを進めた。

 人権尊重、コンプライアンス徹底、ガバナンス強化の取り組みは不断の努力が必要だ。視聴者や広告主をはじめとするステークホルダーの信頼を二度と裏切ることがないよう、民放連としても引き続き各種取り組みを進めていく。ガバナンス検証審議会は来年4月からスタートすることになる。

 11月6日の臨時総会でフジテレビの理事復帰を承認し、同社の清水社長が副会長に就いたことにも触れておきたい。

◆記者:民放連会長に就任以来、特に取り組んできたことや反省点があれば教えてほしい。

◆早河会長:フジテレビ事案によって広告出稿が長期にわたり止まり、広告主や視聴者からの信頼が大きく揺らいだことは反省すべきことだ。民放連会長に就任以来、ガバナンス強化などの対応策に取り組んできた。放送が正しい道を歩むための非常に重要な案件に直面し、学ぶこともあった。このようなことを二度と起こさないようにしなければならない。なぜなら、通常の放送に影響が出るからだ。放送は我々のビジネスであり使命でもある。ガバナンスが揺らぐと放送そのものが壊れてしまう。それは我々の存在意義がなくなるということなのだと実感した。

 

○ミラノ・コルティナ冬季オリンピックへの期待と取り組み

◆記者:ミラノ・コルティナ冬季オリンピックへの期待と取り組みについて教えてほしい。

◆早河会長:民放各局は冬季競技の魅力を視聴者に届けるべく、日本人選手の活躍が期待される注目競技を中心に毎日生中継を行う。

 昨年のパリオリンピックに続いてのヨーロッパ開催で、今回は日本との時差はマイナス8時間となる。深夜・早朝帯に行われる競技も多いが、ぜひテレビを通じて躍動する選手たちに声援を送ってほしい。民放各系列では、視聴しやすい夕方から24時頃までの時間帯で多くの種目を編成している。

 パリオリンピックに続き、TVerで各種目の予選や海外選手の活躍も含め、多くの競技のライブ配信を行うほか、ハイライト動画や「追いかけ再生」も用意する。時差の影響で生中継の視聴を断念せざるを得ない視聴者にも、オリンピックとの接点を持ってもらえるよう、民放として努めたい。

 オリンピックに限らず、WBC、FIFAワールドカップなどの国際的な大規模スポーツイベントの放映権料は高騰し続けており、地上波テレビでの放送が年々難しくなっているのが現実だ。スポーツの裾野拡大といった面からも、地上波テレビで放送することは重要と考えているが、採算を度外視するわけにもいかない。スポーツライツの問題は非常に難しい判断を迫られている。

 

○WBC

◆記者:NetflixによるWBCの独占配信について、日本テレビが制作に協力するようだが、受け止めを教えてほしい。

◆早河会長:民放連が関わる話ではないが、Netflixには技術面の課題があったのだと推測する。日本テレビのビジネス上の判断だと受け止めている。

◆記者:ディレイ放送を含めて、地上波での放送が実現できないことをどう考えるか。

◆早河会長:今回大会の地上波放送は難しいだろう。第1回大会から放送してきて、前回大会の日本ラウンドは約9,000万人が視聴したとのデータもある。大会の成長に尽力してきた自負はある。これまでは子どもやお年寄りがワンタッチで熱戦を見られる機会があったが、その形が変わる。誰もが情報に平等にアクセスできるというユニバーサル・アクセス権の見地に立てば、放送も何らかの形で関わるべきではないかとの思いはある。

 

○フジテレビ事案から約1年

◆記者:フジテレビ事案から約1年が経つが、民放業界はどのような変化があったか。

◆早河会長:他の在京キー局に大きな変化はないように感じる。ただ、フジテレビへの広告出稿が大幅に減少した関係で、営業的には他局にプラスに作用した面はある。

 フジテレビ事案をきっかけに、放送の公共的な役割を果たすためには“経営がしっかりしていなければならない”“人権侵害はあってはならない”“コンプライアンス遵守は徹底しなければならない”ということを噛みしめた。放送事業者としての責任をあらためて痛感した。

 

○中継局の共同利用

◆記者:中継局の共同利用について民放とNHKは基本合意に達したが、早河会長の所感を教えてほしい。

◆早河会長:民放とNHKが合意し、必要な法改正も行った当初案がキャンセルとなったことには驚いたが、今回の案で合意することができた。NHKに何らかの事情があったのだろうが、中継局を順調に稼働させていくことが重要だ。

 

○国分太一氏を巡る日本テレビの対応

◆記者:国分太一氏を巡る日本テレビの対応をどのように評価しているか。

◆早河会長:国分氏と日本テレビの一連のやり取りの詳細を把握していないのでコメントは難しい。日本テレビは第三者委員会を設置して自社の責任で対応しているので、民放連としてはその推移を見守っている。

 

○放送事業者のガバナンス確保に関する総務省検討会の取りまとめ案について

◆記者:総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」の取りまとめ案には、行政が放送に関与できるような内容が含まれていた。行政による放送への介入が強まる懸念があるが、会長の受け止めを聞かせてほしい。

◆早河会長:放送の公共的な役割が果たせなくなるような重大事案が発生した場合に報告を求めるとの趣旨であり、行政が平時から関与することは書かれていないと認識している。第一に民放連による自主自律を基にした対応があり、その後に行政としての判断があるのだろう。検討会では、放送事業者や民放連による自主自律の取り組みを重視するとの意見は構成員の間で共通だったと思う。自主自律の精神を大事にするとの前提を繰り返し表現している取りまとめ案だと受け止めている。

◆記者:民放連として強く反対する内容ではないとの認識か。

◆早河会長:意見募集に対する民放連意見では(行政の関与は)抑制的であるべき旨は指摘することになるだろう。

◆記者:重大な事案は今後検討される“一定の基準”で判断されるが、基準はどうあるべきか。

◆堀木専務理事:基準の作り方によっては行政の恣意的な関与を招く可能性がある。取りまとめ案を見る限り、ガバナンス不全による重大な事案によって経理的基礎が脅かされ、放送局の存立が危機を迎えるくらいでないと発動しないと理解している。現時点での懸念点は今回の意見募集に対する民放連意見で指摘するが、具体的には今後、総務省が作成する省令や告示などを見なければわからない。恣意的な運用を招く懸念があったり、自主自律を逸脱するような内容だった場合には反対することになるだろう。

 

(了)