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(報道発表)武力攻撃事態法成立に対する緊急声明について
社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=日枝 久・フジテレビジョン会長〕は、本日(6月6日)午前の参議院本会議で武力攻撃事態法案が可決・成立したことに対し、在京キイ5局の報道委員による記者会見を開き、「武力攻撃事態法成立に対する緊急声明」を発表いたしました。
声明では、「有事であっても、国民の知る権利に応える自由な報道が不可欠であり、『指定公共機関制度』によって、これが妨げられることがあってはならない」などとしております。
本日、武力攻撃事態法案が参議院本会議で可決・成立したが、この法律によって、有事において放送局を「指定公共機関」として政府に協力させる枠組みができた。しかしながら、有事であっても、国民の知る権利に応える自由な報道が不可欠であり、「指定公共機関制度」によってこれが妨げられることがあってはならない。
再三、表明しているとおり、われわれ民間放送が視聴者の生命・財産にかかわる緊急情報を速報することは言うまでもない。われわれはその社会的な責任を十二分に自覚している。この責任は国民に対してわれわれが直接負っているものであり、放送内容を政府の指揮にゆだねる理由とはならない。
政府は国会において「報道の自由を侵す考えはない」「放送局が自ら放送計画を立てる」と答弁しているが、放送計画について政府と事前に協議する義務を放送局に課す制度を構想しており、事前協議を通じて放送に介入する道は残されている。また、放送を要請する内容についても「武力攻撃事態の状況の推移」というあいまいな表現で説明しており、真に「緊急情報」に限定されたものとなるかどうかは不明である。
こうした懸念が払拭されない限り、放送局を指定公共機関とすることは受け入れがたい。政府は、武力攻撃事態法第3条に憲法21条(言論・表現の自由)の最大限の尊重が明記されたことを踏まえ、今後の国民保護法制のなかで、報道の自由が侵されないことを法律上で具体的に示すべきである。
これまでの民放連の意見表明
- 武力攻撃事態法案による指定公共機関制度に対する意見(2002年7月18日)
- 武力攻撃事態法案による放送分野の指定公共機関制度についての申し入れ(2003年5月6日)
- 武力攻撃事態法案の衆院通過にあたっての氏家報道委員長のコメント(2003年5月15日)
この件に関する問い合わせ:民放連 番組部、会長室