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(報道発表)「犯罪被害者等基本計画案(骨子)」に対する民放連意見について
2005年9月7日
「犯罪被害者等基本計画案(骨子)」に対する民放連意見について
社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=日枝 久・フジテレビジョン 会長〕は5日、政府の意見募集に応じて、犯罪被害者等基本計画案(骨子)に対して意見(別紙)を提出しましたので、お知らせいたします。本意見は、報道委員会〔委員長=石黒大山・東海テレビ放送社長〕で検討した結果を踏まえてまとめたもので、警察が事件に関する記者発表を行う際に、犯罪被害者等に関しても実名とするよう求めたものです。
犯罪被害者等基本計画は、犯罪被害者等基本法に基づいて制定するもので、内閣府はその案を8月12日に公表し、一般を対象に意見募集を行っていました。
犯罪被害者等基本計画案(骨子。以下「計画案」)は、Ⅱの第2の2「安全の確保」の中の「今後講じていく施策」(2)のエで、警察による被害者の氏名の発表について、実名とするか匿名とするかは「個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮していく」としている。
われわれは報道機関として、警察による被害者の氏名の発表は実名を原則とすべきであるとこれまで主張してきた。こうした観点から、この部分の記述を「実名原則を踏まえつつ、適切な発表内容となるよう努めていく」と修正するよう求める。
われわれは、被害者が常に実名で報道されるべきだと主張しているわけではない。警察の発表は実名を原則とし、実際の報道で実名とするか匿名とするかの判断を報道機関の自主性・自律性に任せることを求めている。日本民間放送連盟は報道指針のなかで「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る。事件・事故・災害の被害者、家族、関係者に対し、節度をもった姿勢で接する」ことを掲げている。このようにわれわれは、犯罪被害者の取材、報道にあたっては、名誉・プライバシーに十分、配慮しているとともに、今後も取材のあり方に研鑽を重ねる方針である。
こうした倫理的規範を掲げた報道機関の自律的判断を信頼し、その判断に委ねていかなければ、犯罪の実態を正確に市民に伝え、犯罪捜査の適法性や妥当性を検証する活動は、基本から阻害されることになる。ひいては民主主義社会の根幹である市民の知る権利が奪われることにもなりかねない。
こうした考えから、計画案の上記部分の記述を修正するよう強く求める。
この件に関する問い合わせ:民放連[番組部]