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(報道発表)裁判員制度開始2周年にあたっての報道委員長声明について
社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=広瀬道貞・テレビ朝日顧問〕は5月21日に裁判員制度が開始2周年を迎えるにあたり、以下のとおり、開かれた司法の実現を求める、田孝治報道委員長〔読売テレビ放送代表取締役会長〕の声明を発表いたしましたので、お知らせいたします。
裁判員制度がスタートし、2年が経過しました。この間、われわれ民放連加盟社は、報道機関の一翼を担うものとして、この制度の趣旨が正しく理解され、検証が重ねられるためには、司法判断に至る過程や理由が社会全体で共有されることが求められるとの認識のもと、取材・報道に取り組んできました。
制度開始当初こそは、新制度が始まったこと自体に注目が集まりましたが、その後、完全否認事件や社会の耳目を集めた事件など重大事件の裁判も相次いでいます。この結果、長期に及ぶ審理や、死刑か無罪かの究極の判断が迫られる裁判、さらに、一審の裁判員裁判で無罪判決が上級審で逆転有罪になるなど、制度のあり方をより深く検証する必要性が改めて浮き彫りになってきています。われわれは、日本の社会に「国民の司法参加」が名実ともに実現し、定着するためには、全国民がチェックできるよう裁判の過程が全面的に可視化されることが重要だと考えます。
その一つとして、裁判員裁判を経験された方々の生の声を広く伝えることは大変有意義です。これまでも、取材に協力してくださった多くの方々の思いを映像と音声を通じ、直接伝えることができました。しかしながら、現在、裁判終了直後の記者会見では、冒頭の無音撮影を除き録音・録画を行うことができず、視聴者、国民の皆さんにはあまり知られていないことですが、一度目の会見後に再度、補足取材を行って収録をお願いするため、二度の負担をかけることとなっています。こうしたことを無くすために、われわれは、終了直後の会見で録音・録画が認められるべきだと考えます。もちろん、収録されることを望まない裁判員経験者の方までを収録することはありません。
さらに、本来、自由が保障されるべき会見での発言についても、守秘義務の名のもとに裁判所による制止事例が相次いでいます。発言をどのように報道するのかは報道機関が責任を負うもので、憲法21条の趣旨からも会見中の発言制止はあるべきではありません。また、各裁判所で判断のばらつきが見られていることや、裁判所職員がその判断を下している実態も問題です。
これらの改善に向け、われわれは裁判所側への働きかけを継続していく所存です。
裁判員制度開始2周年を機に、われわれは、放送事業者の使命・責任をあらためて認識するとともに、報道活動を通じて国民の皆さんに開かれた司法の実現に向けて努力してまいります。
この件に関する問い合わせ先:民放連〔番組部〕