一般社団法人 日本民間放送連盟

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(報道発表)裁判員制度のスタートから3年を迎えての報道委員長声明について

2012年5月21日
日本民間放送連盟
 
裁判員制度のスタートから3年を迎えての報道委員長声明について

 一般社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=井上 弘・TBSテレビ会長〕は、裁判員制度のスタートから3年を迎えて、以下のとおり、開かれた司法の実現を求める、島田昌幸・報道委員長〔テレビ東京社長〕の声明を発表いたしましたので、お知らせいたします。


平成24年5月21日
「裁判員制度のスタートから3年を迎えて」

 平成21年5月に裁判員制度がスタートしてから、本日で満3年となりました。裁判員制度は、一般の人々のさまざまな経験や常識が裁判に反映され、より良い刑事裁判が行われることを目的とした制度です。最高裁判所の資料によると、今年1月までに28万人以上の候補者が選定され、そのなかから選ばれた裁判員、あるいは補充裁判員の数は2万5千人にも及ぶとのことです。選挙権のある人は誰でも裁判員候補者名簿に載る可能性があり、裁判員に選任されることについて心づもりが必要であることや、裁判が公平・公正に行われたかどうかなど制度全般の検証ができるようにするためにも、裁判員を経験された方々の感想や考え、判断に苦悩された思いなどが有りのままに社会に伝わり、国民全体に共有されることが極めて重要です。われわれ民放事業者は、裁判員制度がスタートする前から、公判前、公判中、公判後のすべての過程で情報が開示される「司法制度の可視化」を訴えていますが、裁判員経験者による裁判後の記者会見も「可視化」されるべきものの一つとして重要なものです。

 裁判が終了した直後、裁判所内で行われる裁判員経験者による記者会見では、冒頭の無音での撮影を除いて会見の内容は録音も録画もできません。これは、制度のスタート時に、裁判員経験者の方々への負担を考慮したことや、裁判所内での混乱を回避するための「暫定的」な取り扱いとして、今のかたちで裁判所側と合意したことによるものです。このため、報道機関側は会見終了後に別途会見を開催し、裁判員経験者の方々に改めての出席をお願いし、多くの場合には会場の移動といった負担も受け入れていただいたうえで、貴重な経験談を収録することが行われています。裁判所が裁判員等経験者に対して行ったアンケート調査をつぶさにみると、ごく一部に報道機関との向き合い方に多少戸惑った様子が窺える回答があるものの、裁判員経験者の声をもっと報道してほしいとの意見も見受けられます。この機会に改めて、裁判が終了した直後の会見で、通常の会見と同様に録音・録画が可能となるよう求めます。裁判員経験者の負担をより軽減するためにも、裁判員経験者の率直な意見を聞くためにも、記者会見は二度に分けず、一度で終了できればと考えます。もちろん、収録を望まない方まで収録することはありません。

 今年に入り100日にも及ぶ長期の裁判が行われ、被告側が無罪を主張するなかで死刑判決が下されました。裁判員の方々の肉体的、精神的な負担は如何ばかりであったでしょうか。活字やナレーションで裁判員経験者の発言を伝えることも重要ですが、肉声や表情があれば、その思いはより国民の心に響くものと思います。
 われわれ民放事業者は、引き続き、報道機関の使命と責任に思いをいたし、「開かれた司法」の実現に向けた取り組みを続けていく所存です。そのなかで、この記者会見の改善についても裁判所への働きかけを続けてまいります。

 
日本民間放送連盟・報道委員長 島 田 昌 幸

この件に関する問い合わせ先:民放連〔番組部〕