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(報道発表)裁判員制度スタートから4年を迎えての報道委員長声明について
一般社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=井上 弘・TBSテレビ会長〕は、裁判員制度のスタートから4年を迎えて、以下のとおり、開かれた司法の実現を求める、島田昌幸・報道委員長〔テレビ東京社長〕の声明を発表いたしましたので、お知らせいたします。
平成25年5月21日
より開かれた裁判員制度の実現に向けて
~ 制度スタートから4年を迎えて ~
裁判員制度開始から本日で4年が経過しました。その間、さまざまな事件に真摯に向き合ってこられた裁判員の方々に対し敬意を表するとともに、報道機関の取材に対してご協力いただいた皆さまにお礼を申しあげます。
いわゆる3年経過後の見直しの一環として行われている法務省や最高裁の検討会等での検証をみても、全国各地の裁判所で実施されている裁判員裁判の実務には少なからず課題があることは明白で、裁判員経験者を含め広く国民の意見を聞いて、制度面のみならず運用面での改善の検討を進めていく必要があると考えます。
われわれ民放事業者は、これまでも、国民レベルで裁判員制度全般のチェックができるようになるためには、公判前、公判中、公判後と裁判過程の情報が全面的に開示されることが必要であると主張してきました。なかでも、判決後の記者会見などを通じて裁判員を経験した方々の感想や考え、苦悩された思いなどが有りのままに社会に伝わり全国民に共有されることが極めて重要であり、真に開かれた裁判員制度を実現する第一歩になると考えます。裁判員経験者から発せられる言葉は、将来、裁判員になりうるすべての方々にとっても大変貴重な情報となるものです。
しかしながら、裁判所内で行われる裁判終了直後の会見では、冒頭の無音での撮影を除いて会見の内容は録音も録画もできません。これは、制度開始時に「暫定的」な扱いとしてやむなく裁判所と合意した方法で、再三、録音・録画ができる通常の会見の状態に戻すことを要請していますが、実現には至っていません。このため、裁判員経験者の方々には、あらためて別の場所で会見をお願いするなどのご負担を受け入れていただいているのが現状です。われわれは、会見のあり方の改善に向けて、引き続き、裁判所に対する働きかけを続けてまいります。
なお、われわれは、取材を受けていただく方々との信頼関係がなによりも重要であることを念頭に置いて日々取材を行っております。したがって、収録を望まない方まで収録することはありません。
われわれは、国民の知る権利に応える報道機関としての使命と責任をあらためて自覚するとともに、裁判員裁判の長期化や、裁判員への負担が過度に大きくなる事案も明るみに出るなか、より開かれた司法の実現に向けて鋭意取り組みを続けてまいります。
日本民間放送連盟・報道委員長 島 田 昌 幸
この件に関する問い合わせ先:民放連〔番組部〕