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(報道発表)裁判員制度スタートから5年を迎えての報道委員長声明について
一般社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=井上 弘・TBSテレビ会長〕は、裁判員制度のスタートから5年を迎えて、以下のとおり、開かれた司法の実現を求める、島田昌幸・報道委員長〔テレビ東京社長〕の声明を発表いたしましたので、お知らせいたします。
平成26年5月21日
裁判員制度のさらなる充実を目指して
~ 制度スタートから5年を迎えて ~
裁判員制度のスタートから節目の5年を迎えました。これまでに多くの裁判員裁判が開かれ、多くの方々が裁判員として審理に加わりました。
この間、21件の死刑判決が出るなど、裁判員制度では誰もが重大な事件の審理に加わる可能性があり、われわれ民放事業者は、あらためて、裁判員経験者の方々の感想や考え、苦悩された思いなどをありのままに広く社会に伝えることが重要であると考えます。これは、より開かれた司法を目指す裁判員制度本来の狙いを実現する一助になるものです。
われわれは制度開始時に、裁判が終了した直後に裁判所内で行われる裁判員経験者の方々の会見については、冒頭の無音での撮影を除いて会見の内容は録音も録画も行わないことを、裁判所と「暫定的」な扱いとして合意しました。
しかしながら、制度開始から5年がたち、開かれた司法を目指すという制度本来の趣旨からも、録画・録音ができる通常の会見の状態に戻す機は熟したと考えます。当然のことながら、われわれは取材を受けていただく方々との信頼関係をなによりも重視しており、収録を望まない方まで収録することはありませんし、裁判員経験者の方々に過度にご負担をおかけすることもいたしません。
最高裁判所が実施した国民の意識調査では、裁判員として刑事裁判に参加したくない、あるいはあまり参加したくないと回答した方が全体の8割を超えています。この結果には、最高裁の寺田逸郎長官も、先日の憲法記念日の際の会見のなかで、「重く受け止めなければいけない」としたうえで、裁判員を経験した方のアンケートでは良い経験をしたとする回答率が高く、そのギャップを埋めていかなければならない旨の発言をされました。
この意識調査では裁判員裁判について国民の大多数がテレビ、ラジオの報道から情報を得ているとの結果があることも考えれば、放送をはじめメディアを通じて裁判員経験者の思いを伝えることにより、制度のさらなる周知を図る必要性があると考えます。裁判に至る前の取り調べの可視化や司法取引の導入などの議論も行われているなか、捜査から起訴、裁判へと続く刑事司法の改革を進めるうえで、裁判員経験者の声を広く社会に伝えることは、この改革に欠かせないものだと考えます。
われわれは、国民の知る権利に応える報道機関としての使命と責任を果たすべく、より開かれた司法の実現に向けた取り組みを続けてまいります。
日本民間放送連盟 報道委員長 島 田 昌 幸
この件に関する問い合わせ先:民放連〔番組部〕