一般社団法人 日本民間放送連盟

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トピックス

井上会長年頭あいさつ

 一般社団法人 日本民間放送連盟

会 長  井 上   弘

 

 

 

謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 

 今年の放送界の話題としては、なんといってもスポーツの2大イベント、2月のピョンチャン冬季オリンピック、そして6月から7月にかけてのワールドカップサッカー・ロシア大会の開催が挙げられるでしょう。いずれの大会も日本チーム・日本人選手の活躍が期待されており、国民が楽しみにしているイベントです。民放はNHKと一緒にジャパンコンソーシアム(JC)を組織し、万全の態勢で放送をお届けできるよう、準備を進めております。工夫をこらしたスポーツ中継に、ご期待いただきたいと思います。

また、民放テレビ局によるインターネットでのオリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」をさらに充実させ、さまざまな場所やデバイスでオリンピックを楽しんでいただけるよう、対応を進めております。こちらも、ぜひご覧いただきたいと思っております。

 

放送の信頼性

 昨年はアメリカのトランプ政権の発足や韓国のパククネ前大統領の逮捕、北朝鮮によるミサイル発射や核実験などのほか、国内でも解散・総選挙や野党分裂、そして異常気象や自然災害など、大きなニュースが多かった一年であったと思います。このような事態の急変においては、放送はいち早く正確な情報を提供し、いわゆる「フェイクニュース」の流布による不安や混乱を防がなくてはなりません。そのためには、これは従来より不断に行ってきたことではありますが、一層の綿密な取材、そしてニュースソースの確認など「ファクトチェック」を行い、信頼される放送を行う必要があります。年頭にあたり、あらためてこのことを肝に銘じたいと思います。

 私たち放送事業者は、長年にわたって視聴者・聴取者の信頼を得るべく努力を重ねてきました。特に災害時において、国民の生命・財産を守るため、割り当てられた国民共有の財産である電波を有効に利用し、公正・公平に、安定した放送サービスを提供するという極めて公共性の高い役割を果たしていると自負しております。現在、電波利用料制度の見直しについても議論されておりますが、そのような視点を踏まえて検討していただくことを強く希望しております。

 

新しい技術への対応

 12月には、いよいよBSによる4K・8K実用放送がスタートします。放送設備の対応や受信機の普及など、まだまだ課題はたくさんありますが、新しい放送が無事にスタートし、軌道に乗ることを願っております。

 また、テレビ番組のインターネット配信については、民放事業者も積極的に取り組んでおり、TVerなどの新しい動きも定着してまいりました。著作権等の権利処理問題やローカル局への影響など、まだ解決すべき課題は多くありますが、関係者の知恵を集め、一歩ずつ前へ進めていきたいと思います。

 

NHKとの協力

 NHKとはJCを組織して一緒にスポーツ放送を行っているほか、ラジオでも若年層リスナー獲得のためのキャンペーンを展開し、その一環としてラジコでNHKラジオを実験的に配信するなど、共同で課題の解決にあたる体制が構築されております。

 一方で、昨年はNHKの常時同時配信について広く議論が重ねられました。ネット配信はあくまでも補完であり、独占的な受信料収入で運営されるNHKには、慎重な事業展開をお願いしたいと思います。

 放送の二元体制をさらに発展させるべく、これからも協力し、互いに切磋琢磨していきたいと考えております。

 

放送の役割

 放送は、報道だけでなく、バラエティーやドラマ、スポーツなど、人々の心を豊かにし、楽しませ、明日への活力を生み出す役割を担っています。これは、インターネットなど新たな伝達手段が普及しても変わることのない、放送の大切な機能、役割です。このことを自覚して、放送に携わっていただきたいと思います。

 作家の故・井上ひさし氏は常々、「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く」とおっしゃっていました。これは、私たち放送に携わる者にとっても、常に心がけるべきことをうまく表現していると思います。私はここに「そして、正確に」という言葉を付け加えて、新年の心構えとしたいと思います。

 

 今年も昨年同様、皆さまにとって充実した一年になりますこと、そして放送界にとって良い年であることを願っております。