一般社団法人 日本民間放送連盟

MEMBER'S ROOM
  • サイトマップ
  • お問い合わせ
  • ENGLISH PAGE

トピックス

大久保会長年頭あいさつ

 

 一般社団法人 日本民間放送連盟

  会 長  大 久 保 好 男

 

 

謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 

昨年は、「放送の役割や在り方」を、あらためて考えさせられた一年でした。多くの災害が発生し、国民・視聴者への安心・安全情報の提供という放送の役割をあらためて実感しましたが、加えて、政府の「規制改革推進会議」の第3次答申や総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」での審議、そして自民党・情報通信戦略調査会「放送法の改正に関する小委員会」の提言など、放送の在り方そのものを根本から見直すような動きや議論がありました。しかし、放送の将来像は、放送事業者が自ら考え、切り拓いていくものです。平成から新しい時代に移りゆく節目の年頭にあたり、私たちが考えていかなくてはならない課題と展望について、所感を述べたいと思います。

 

放送の役割

昨年も、地震や台風、集中豪雨といった自然災害がたくさん発生しましたが、その都度、民放事業者は、国民の生命と財産を守る情報の発信に全力を挙げました。ネット上では、フェイクニュースや真偽のはっきりしない情報がたくさん紛れ込んでいます。健全な世論形成、健全な民主主義の発展に悪影響を与えかねません。こうした情報に惑わされないためには、事実に基づいた、正確で公平な情報を絶え間なく送り届けるメディアの存在が不可欠です。そして、それこそが私たち民放事業者の役割であり、こんな時代だからこそ、その社会的責任は、ますます重くなっていると思います。

膨大な情報の中から人々に伝えるべき情報を選び、取材し、編集して提供する。フェイクニュースなどに惑わされることがないよう、正確な情報を、迅速に、そしてわかりやすく伝える。多様化するメディア環境の中で、報道だけでなくドラマやバラエティーも含めて、テレビやラジオがその魅力を再発見してもらい、愛され、選ばれる存在となれるよう、変化を恐れずに挑戦していかなくてはならないと思っています。

 

新しい技術への対応

昨年の12月、新4K8K衛星放送がスタートしました。NHKの常時同時配信に向けた動きも進んでいますし、インターネットの活用については、TVerなど共同の取り組みに加え、民放各社でもそれぞれ独自の対応を進めています。民放事業者は、先端技術を積極的に取り入れて放送サービスを向上させていくとともに、「信頼されるメディア」としての公共的使命を果たし、これからも国民・視聴者の期待に応えたいと考えています。昨年も多くの方々が被害にあわれた自然災害に際して、放送が果たした役割をあらためて思い起こしていただきたいと思います。インターネットやSNSにより、モバイル端末に多様なサービス、さまざまな情報の提供が可能になった昨今、放送法にもとづく規律ある放送の役割はこれまで以上に重要になったと言えるのではないでしょうか。

来年の東京オリンピック・パラリンピックに続き、2025年には大阪で万国博覧会が開催されることとなりました。これらのビッグイベントをきっかけに、放送・通信分野でも新しい技術が加速度的に生活の中に浸透していくことでしょう。「視聴者ファースト」の精神を忘れずに、インターネットや4K放送をはじめとした技術革新、それがもたらすライフスタイルや価値観の変化に的確に対応していくことが重要だと考えています。

 

NHKとの協力

NHKの上田会長からは「民放との放送の二元体制を大事にする」という説明を繰り返しいただいていますし、意思の疎通も十分にとれています。来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックをはじめ、スポーツ放送やネット配信の問題などで私たちとNHKが協調できる領域もあります。放送界の自主・自律の精神のあらわれである放送倫理・番組向上機構(BPO)につきましても、共に協力してまいります。協力と健全な競争によって、日本の放送文化の向上に貢献していきたいと考えています。

 

放送の将来に向けて

昨年7月に公表した「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」は、放送の未来像は自分たちの手で描くという強い意思のあらわれです。現在、各委員会で担当分野の施策を鋭意検討しておりますので、ご期待いただきたいと思います。

放送の将来を考えると、コンテンツの海外展開にも積極的に取り組む必要があります。国内の人口減少が続き、マーケットが縮小しつつあることを考慮すれば、成長分野を海外展開に求めることは、時代の流れだと考えます。「挑む勇気と使命感」を合言葉に、これからの時代に立ち向かっていきたいと思っています。

 

今年も、皆さまにとって充実した一年になりますこと、そして放送界にとって明るい年になりますことを願って、新年のごあいさつといたします。