一般社団法人 日本民間放送連盟

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第67回民間放送全国大会/大久保会長あいさつ

 日本民間放送連盟会長の大久保でございます。主催者を代表いたしまして、一言ご挨拶を申しあげます。

 本日は、ご多忙の中、私たちが日頃ご指導、ご支援をいただいております各界の皆さまに、多数、ご臨席をいただいております。高市総務大臣、上田NHK会長はじめ、壇上と会場の双方のご来賓の皆さまに、心より御礼申しあげます。また、ビデオ・メッセージをお寄せいただきました安倍内閣総理大臣に厚く御礼を申しあげます。

 

 今年もまた、全国各地で自然災害が相次いでいます。特に台風19号とその後の豪雨は、東日本の広い範囲に甚大な被害をもたらしました。被災された皆さんに、心よりお見舞いを申しあげます。

 台風の襲来にあたり、在京キー局をはじめ関係各局は、気象庁の大雨特別警報を受けて台風上陸前の早い段階から、L字画面や特番の編成などで素早く対応し、最大限の警戒を呼びかけました。また、その後の被災状況や復興に向けた動きについても、長期にわたって精力的な取材と報道を続けています。

 厳しい状況の中で、持てる力を総動員して災害報道に当たった各放送局の皆さんに心より敬意を表します。国民の生命・財産を守るこうした報道が、放送事業者に期待される重要な公共的役割であることを、皆さまと共に確認したいと思います。

 

 また、放送事業者には、正確で国民に信頼される情報を伝えることによって、健全な世論の形成、健全な民主主義の発展を支えるという、大きな社会的責任があることも改めて肝に銘じておきたいと思います。

 間違ったり、歪められたりした情報や、他人を傷つける無責任な情報がインターネットによって、いとも簡単に拡散してしまう今日、私たち放送メディアの役割はますます重くなっています。国民の信頼を失うことのないよう、日々、自らを律し、自らを磨いていくことを、互いに誓い合いたいと思います。

 

 さて、この1年を振り返ってみますと、昨年12月には「4K8K衛星放送」がスタートし、放送の歴史に新たな1ページが加わりました。インターネットなどデジタル技術の活用についても、各社のさまざまな取り組みが進んでいます。

 民放連では昨年7月に、「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」を公表して、具体化を進めてきました。

 広告主の関心が高いテレビの視聴指標については、営業委員会の研究プロジェクトチームが広告主の皆さまの考え方をうかがい、さらに米国の事情を現地調査して、その成果を9月の全社会議で報告しました。

 ラジオに関しては、放送計画委員会が、AM放送の「FM転換」または「AMとFMの併用」を可能とする制度整備を求め、総務省の報告書に盛り込んでいただきました。AM放送事業者にとっては、経営の選択肢が増える道筋が見えてきたのではないでしょうか。

 また、民放各社の人材採用支援事業の一環として新たなウェブサイトを構築したほか、サイバーセキュリティ対策の強化のためにセミナーの開催や訓練、演習を実施しました。

 国会で論議されている「憲法改正国民投票運動に関するテレビCM」の問題については、民放連の「基本姿勢」と「CMなどの取り扱いに関する考査ガイドライン」を定め、会員各社が適切に運用できるように、社内論議の支援策を固めました。

 この問題に関する国会の論議は、今後も続くことが予想されますので、民放連として、引き続き適切に対応してまいります。

 

 さて、最近の大きな懸念は、スポット収入の落ち込みです。民放連の研究所は先月、2019年度のテレビとラジオの営業収入の見通しを改訂し、テレビは 2.8%減、ラジオは2%減といずれも下方修正しました。こうした状況がさらに続けば、民放各社の経営に重大な影響が及びます。それぞれの地域で広告宣伝のニーズを掘り起こす創意工夫が求められています。

 また、広告媒体としての放送の価値を広告主の皆さまに再認識してもらう必要があり、そのために、デジタルデータの充実などの対策も急がなければなりません。民放連としても、各社の経営判断に役立つ有益な情報を収集し、提供していきますので、会員各社のご理解とご協力をお願い申しあげます。

 

 情報通信技術の進歩は一段と加速しています。間もなく本格化する超高速、低遅延、そして、多数の同時接続が可能な通信の5Gの時代においては、放送と通信の垣根は一段と低くなります。言うまでもなく、私たち民放事業者と巨大な外国資本のプラットフォーマーや動画配信事業者との競争は、これまで以上に激しくなることでしょう。

 これに勝つには、国内の民放事業者が、放送の分野では互いにライバルであっても、インターネットの分野においては可能な限り連携し、結束することが重要だと思います。

 来年の東京オリンピックに向けて、在京キー局5社を中心に、いま「一緒にやろう」をメーンテーマとしたさまざまな民放共同企画が進んでいます。「史上、最も美しい五輪」をめざして、「ゴミを捨てたくなるゴミ箱」の開発、設置といった街をきれいにする社会貢献キャンペーンも、その一つです。そこには、「テレビの価値を一緒になって高めよう」というテレビマンの熱い思いがいっぱい詰まっています。

 民放史上初の、本格的な、このオリンピック共同企画の実現に大きな拍手を送りたいと思います。そして、インターネット事業の分野でも、民放共同の取り組みが一層、増えることを強く期待しています。ラグビーの日本代表ではありませんが、私たちも可能な分野で「ワンチーム」でありたいと思います。

 NHKとは、この1年、協調分野が増えました。日本の放送事業の根幹である「放送の二元体制」を維持し、発展させていくためには、今後もNHKと民放の連携、協力がとても重要です。

 NHKの同時配信に関しては、受信料で運営される公共放送の目的や使命、視聴者のニーズに照らして、真に必要な業務かどうかをよく精査し、民間事業と競合しないよう、また、NHKの過度の肥大化が進まないよう、節度をもって抑制的に運営していただきたい、と要望しているところです。

 

 本日は、令和の新時代の最初の民放大会です。民放事業者にとって、令和時代の前途は決して平たんではないと思いますが、変化を恐れず、立ち止まることなく、勇気と使命感を持って、共に放送の明るい未来を切り開いていきましょう。

 

 最後になりましたが、本大会の成功のためにご尽力いただいた亀山・民放大会委員長をはじめ、各社の関係者の皆さまに心より感謝を申しあげます。

 ご清聴ありがとうございました。

 

 

2019年11月6日

                   一般社団法人 日本民間放送連盟

会 長  大久保 好 男