表彰番組・事績
日本民間放送連盟賞/2012年(平成24年)入選・事績
平成24年日本民間放送連盟賞 ”JBA Awards 2012” 入選・事績
- 番組部門
- ラジオ報道番組
- ラジオ教養番組
- ラジオエンターテインメント番組
- 最優秀 <琉球放送> RBCiラジオスペシャル 復帰40周年特別番組 ラジオドラマ「40才のタンカーユーエー」
- 優 秀 <青森放送> 伊奈かっぺい 旅の空うわの空 800回記念特別バージョン ノンフィクション?フィクション! 時空を超える旅 縄文の声が聞こえる
- 優 秀 <J-WAVE> DOCOMO SOUNDS OF STORY ~ASADA JIRO LIBRARY~
- 優 秀 <FM NACK5> スギテツのGRAND NACK RAILROAD
- 優 秀 <岐阜放送> 「帰ってきた ヤングスタジオ1430 -往年の深夜放送 一夜限りの復活-」
- 優 秀 <大阪放送> OBCベジスタワンダーランド
- 優 秀 <エフエム香川> ことひらどれじゃ~ハンティング番外編 「心の町」
- ラジオ生ワイド番組
- テレビ報道番組
- テレビ教養番組
- テレビエンターテインメント番組
- テレビドラマ番組〕
- CM部門
- ラジオCM 第1種(20秒以内)
- ラジオCM 第2種(21秒以上)
- 最優秀 <ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「出席簿」篇(40秒)
- 優 秀 <文化放送> ライオン スマイル40EXゴールド/冥土喫茶(40秒)
- 優 秀 <エフエム東京> キヤノンマーケティングジャパン 「走馬灯」篇(120秒)
- 優 秀 <エフエム東京> 味の素 イエモトのチャーハン(150秒)
- 優 秀 <エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「口癖」篇(60秒)
- 優 秀 <和歌山放送> 和歌山放送事業センター 和歌山放送カルチャースクール/△△歳・○○○○、□□□を…(70秒)
- 優 秀 <山口放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境~物に宿る思いを紡ぐ~(120秒)
- テレビCM
- 最優秀 <中京テレビ放送> 公共キャンペーン・スポット/イメージCM「忘れない」篇(120秒)
- 優 秀 <北海道放送> 統一キャンペーン・スポット/「守ろう地球環境」 STOP温暖化!メタンと牛とカシューナッツ(90秒)
- 優 秀 <中部日本放送> 自社媒体PRスポット/生まれてくれて ありがとう(75秒)
- 優 秀 <中部日本放送> 伊勢パールセンター 変わりものと言われて(90秒)
- 優 秀 <東海テレビ放送> 公共キャンペーン・スポット/交通事故で、死なない。死なせない。(120秒)
- 優 秀 <テレビ愛知> 自社媒体PRスポット/レンコン篇(90秒)
- 優 秀 <南日本放送> 自社媒体PRスポット/ふるさとたっぷりMBC~尾木場の田守人編~(90秒)
- 技術部門
- 特別表彰部門
番組部門
ラジオ報道番組
最優秀 <北海道放送> 凍えた部屋~姉妹の“孤立死”が問うもの~
プロデューサー 花里康生 ディレクター 岩下恵子、磯貝 拓 ナレーター 赤城敏正
近所づきあいも頼れる身寄りもない40代の姉妹が、凍えた都会のマンションで死後何日も経って見つかった。姉は区役所に3回も生活保護の相談をしていたが、役所側は対応に落ち度はないと主張する。相談の記録や担当職員の証言、友人の声などを丹念に積み上げ、姉妹が窮乏を極めていくさまを切迫感をもって描いた。二人の部屋を閉ざしたものは何か、なぜ救いの手は差し伸べられなかったかを問いかけ、警鐘を鳴らした意義は大きい。
優 秀 <ニッポン放送> ニッポン放送報道スペシャル『東日本大震災と視覚障がい者~またひとつ試練を越えて』
プロデューサー 上村貢聖 ディレクター 森田耕次 ナレーター 上柳昌彦 構成 桜林美佐
東日本大震災の際、視覚障がい者は、迫り来る危機がわからない、身動きがとれない、命は助かっても慣れない場所での避難生活に不自由が多い、などの苦難を経験した。平時でさえ困難に直面してきた人々が、震災による新たな試練を正面から受け止め、力強く生きるさまを、61歳の弱視の女性と全盲の少女の姿を通して追った。障がい者の視点から被災の実態を捉え直し、「あと少しの支援」とは何だったのかを深く考えさせる。
優 秀 <信越放送> SBCラジオスペシャル ふるさとをもう一度~ウィーンに響く「コカリナ」復興への誓い †
プロデューサー 長岡克彦 ディレクター 笠原公彦 技術 茂木裕光 ナレーター 牛山美耶子
木の楽器「コカリナ」の第一人者であり名づけ親でもある黒坂さんは、震災で焼け残った宮城県石巻市の1本の松を材料に、被災した地元の子どもたちのためにコカリナを作った。そして黒坂さんの提案で、全国の愛好者とともに5人の子どもたちがウィーン楽友協会ホールのステージに立つ。今後の復興を担う子どもたちのふるさとや海への想い、音楽とともに成長する姿に希望が見える。コカリナの澄んだ音色が心に染み入る作品である。
優 秀 <中部日本放送> ラジオ特集 隙間~おひとりさまを支える現場から †
プロデューサー 山室雅子 ディレクター 菅野光太郎 効果・編集 舘 一孝ほか、ナレーター 榊原忠美
名古屋市内のNPO「ぷらっとほーむ」は、一人暮らしの高齢者を支える活動を行っている。身の回りの世話から介護、そして看取ることもあり、家族に代わって一人の人間の人生を背負う。元名古屋市中区長である糸柳さんの同NPOでの活動に密着し、“おひとりさま”を取り巻く現状、認知症の高齢者を支えるための成年後見制度の不備、NPOに依存する行政の姿など、超高齢化社会の今日的課題を優れた構成により浮き彫りにした。
優 秀 <毎日放送> 報道特別番組『作業員が語る福島第一原発』 †
ディレクター 森崎俊雄 出演 水野晶子、上田崇順 技術 亀田悠一
原発事故の収束宣言は出されたが、政府や電力会社から知らされる原発の姿はどこまで真実に近いのか、多くの国民が不信感を募らせている。番組では、日々命を削りながら働いている原発作業員の貴重な証言から、原発内部の現実に迫った。仕事を失うおそれから重い口の作業員からは、信じがたい労働環境や雇用形態、驚くべき現場の実態が語られる。粘り強い取材で、何重もの下請け構造の問題にも光を当てた力作である。
優 秀 <南海放送> 四度目の被ばく~ビキニ事件から58年~ †
プロデューサー 松本直幸 ディレクター 伊東英朗 ナレーター 月岡 瞳 構成・編集 日野 聡
日本が被ばくしたのはヒロシマ、ナガサキ、フクシマだけではなかった。1954年にアメリカがビキニ環礁で6回もの水爆実験を行った際、「第五福竜丸」だけでなく、近くにいた多くの遠洋マグロ漁船が被ばくしていたのである。元高校教師による精力的な追跡調査をきっかけに、局としても2003年から高知船籍の漁船の取材を続けた結果、乗組員の多くが50代、60代で病死していることが判明。遺された妻や乗組員への丁寧なインタビューと緻密なデータが説得的で、埋もれた事実を掘り起こした意欲作である。
優 秀 <九州朝日放送> 原発マネーの代償 ~佐賀・玄海町 シナリオの誤算~ †
プロデューサー 花田明男 ディレクター 岡本郡治 編集 富山孝洋 録音 衛藤紀幸
かつて過疎と貧困に苦しんだ玄海町は、原発に夢を託し、「原発マネー」を得て大きな発展を遂げた。しかし現在、玄海原発は全原子炉が運転を停止し、再稼働の目処は立っていない。将来の財政不安から一刻も早い再稼働を切望する町長。町の予算の大半を占める交付金や税収、立派な公共施設の建設など、複雑な原発マネーの実態を多角的に取材し、村長が「脱原発」を宣言した茨城県東海村などとの対比も交えつつ、原発との依存関係からの脱却が困難な地元自治体の現実とこれからを鋭く見つめた。
ラジオ教養番組 †
最優秀 <中国放送> 核と向き合う ~ヒロシマからフクシマ~ †
プロデューサー 柏原清純 ディレクター 岡本 幸 番組進行 吉田 幸 出演者 肥田舜太郎
広島原爆忌の8月6日に「内部被曝」の専門家2人をゲストに招き、その危険性について対談。原爆による内部被曝経験者の証言や福島での原発事故について不安を持つ当事者の声を聞く生放送番組。内部被曝の実態がとても詳しく説明されており、知らない情報、知識を与えてくれる。原爆の被害を受けた広島ならではの視点を持った番組で、現在福島で起きている事態について改めて考えさせられる内容となっている。
優 秀 <青森放送> RABラジオスペシャル ドキュメンタリー 金正美の青春 詩人桜井哲夫との17年 †
ディレクター 三浦明子 ミキサー 川瀬光平 出演 桜井哲夫、金 正美
17年前、当時19歳の金正美は、大学の活動で訪れたハンセン病療養所で盲目の詩人桜井哲夫と出会う。祖父と孫娘のような関係になった二人。療養所から外出しての二人旅やローマ法王への謁見などを描き、桜井の詩と正美の話に取材カットを交え構成する。桜井の詩がうまく組み込まれており、彼の声を一生懸命に伝えようとしているのが感じられ、桜井流の生きていくうえでの哲学を教えてくれる。桜井と正美の魅力が見事に引き出されており、二人の生き方が心に染み入る作品である。
優 秀 <ニッポン放送> テレフォン人生相談 †
ディレクター 伊藤了子 パーソナリティ 市川森一、今井通子 回答者 大原敬子
40年以上の歴史を持つ長寿番組で、相談者が電話で悩みを伝え、回答者がそれに真摯に向き合い、解決の糸口を一緒になって探していく。冗長になりがちな相談を15分ほどの短い時間の中で、過不足なく伝えている構成は素晴らしく、回答者の親身な姿勢に感動を覚え、また回答自体にも納得させられる。これだけ長い間親しまれているのも理解ができ、ぜひ続いていってほしい番組である。
優 秀 <信越放送> 心から心へ 時代を超えて~唱歌・故郷 †
プロデューサー 西沢 透 ディレクター 中島拓生 ナビゲーター・シンガー 手仕事屋きち兵衛
ナビゲーターは長野県出身のシンガーソングライター、手仕事屋きち兵衛。唱歌「故郷」を「守り」「受け継ぎ」「伝える」がテーマ。長野県中野市出身で「故郷」の作詞者・高野辰之の関係者へインタビューした内容ときち兵衛の語りを交えて構成した。きち兵衛の語りにとても惹かれる番組である。また、「故郷」という日本人なら誰でも知っている歌を取り上げており、日本人の琴線に触れる聴きごたえ十分の作品である。
優 秀 <東海ラジオ放送> よみがえる話芸 節談説教 †
プロデューサー 秋田和典 ディレクター 松波宏治 構成 高橋真裕美 技術 杉浦 実
僧侶が言葉に抑揚をつけ身振り手振りを交えながら信仰の啓蒙のために行う「節談説教」。名古屋の住職・祖父江省念がこれを講じた30年前のテープが自社の番組保存用ロッカーから見つかった。その歴史を伝え、後継者として活動する人や説教を聴く人を取材し、魅力や現代における意義を探る。ともすれば地味になりそうなテーマであるが、講談師の神田京子が面白おかしく伝えていて聴きやすい。あまり馴染みのない「説教」だが、話芸の源流といわれる「節談説教」について理解を深めることができ、知識を豊かにする番組である。
優 秀 <毎日放送> 春山満の若者よ、だまされるな! †
プロデューサー 今道 彰 アシスタントディレクター 磯野順子 出演 春山 満、和泉夏子
難病により車椅子生活を送る春山満氏がメインパーソナリティを務め、失意と再興の体験で得た生きるためのエッセンスをメッセージにして提示する番組。若者だけでなく、幅広い世代から反響が寄せられる。春山氏の言葉には説得力があり、ひしひしと伝わる彼の力強さにパワーをもらうことが出来る。構成がシンプルでメッセージも明瞭なため、分かりやすい。
優 秀 <エフエム鹿児島> 鹿児島弁で若衆と語いもそ †
プロデューサー・ナレーター 中村 香 ディレクター 松下順一 出演者 ありまゆき、新坂恵梨
新聞に投稿された鹿児島弁についての小学生の作文がきっかけとなって作られた番組。鹿児島内外の人に鹿児島弁のイメージをインタビューした内容と、鹿児島弁で繰り広げられる遊びを紹介しながら、「若い人も年配の人ももっと鹿児島弁で語り合いましょう」というテーマで進行していく。出演者の爽やかな声や掛け合いに引き込まれ、元気になる番組である。鹿児島の言葉や県民の様子がよく表されていて面白く、聴き入ってしまう。
ラジオエンターテインメント番組 †
最優秀 <琉球放送> RBCiラジオスペシャル 復帰40周年特別番組 ラジオドラマ「40才のタンカーユーエー」 †
プロデューサー 比嘉京子 ディレクター 宮國宏美 脚本・演出 小波津正光 出演 仲座健太
本土に復帰して40年経った沖縄を舞台に、復帰の年に生まれた「復帰っ子」で宜野湾市で喫茶店を営む主人公の日常を切り取ったラジオドラマ。本土復帰とともに生きてきた復帰っ子世代の物語が、復帰前後の沖縄の世相を象徴する時々の音声と沖縄をテーマにした音楽を織り交ぜながら展開される。悲しい歴史を笑い飛ばしてきた沖縄の文化が伝わる完成度の高い作品。リスナーに「これを聞かせたい」という制作者の気概も伝わってくる。
優 秀 <青森放送> 伊奈かっぺい 旅の空うわの空 800回記念特別バージョン ノンフィクション?フィクション! 時空を超える旅 縄文の声が聞こえる †
プロデューサー・ディレクター 渡辺英彦 企画・出演 伊奈かっぺい 出演 松崎菊也 脚本・出演 今野 仁
放送800回を記念して、縄文遺跡・青森県三内丸山遺跡にちなみ、縄文土器の縄目を題材に嘘八百を放送した奇想天外な生ラジオドラマ。伊奈かっぺいが以前から懇意にしていた縄文学者が、「縄文土器の縄目に規則性があり、文字であることを発見した」と言うのだが、リスナーは放送を聞いていくうちに奇妙な展開であることに気づいていく。虚と実の際をバランスよく進み、リスナーを引き付けるエンターテインメントの王道を歩む作品である。
優 秀 <J-WAVE> DOCOMO SOUNDS OF STORY ~ASADA JIRO LIBRARY~ †
プロデューサー 宇治啓之 ディレクター 戸田健太郎 構成 大塚和宏 出演者 杏
週替わりのゲストがストーリーテラーを担当し、小説家・浅田次郎の短編小説の数々に触れる機会を提供する番組。渾身のリーディングとその物語にイメージされる楽曲がコラージュされ、いわゆるラジオ朗読番組とは一線を画す魅力あふれる音世界を紡ぎ出していく。タイミングの良い音楽と効果音の使用で、浅田次郎の世界を音の力で魅力的に伝えることに成功している。
優 秀 <FM NACK5> スギテツのGRAND NACK RAILROAD †
プロデューサー 清水 誠 ディレクター 三國 游 出演 杉浦哲郎、岡田鉄平
古くから鉄道にゆかりのある大宮に本社を構えるFM NACK5ならではの、鉄道をテーマにした番組。鉄道ファンの「スギテツ」こと杉浦哲郎と岡田鉄平のふたりが、鉄道と音楽を連結させる。今回は、多くの鉄道の車内アナウンスの英語バージョンを担当しているクリステル・チアリをゲストに招き、車内アナウンスにまつわる興味深いエピソードを紹介。音中心の優れた構成で、鉄道ファンでなくとも楽しめる番組である。
優 秀 <岐阜放送> 「帰ってきた ヤングスタジオ1430 -往年の深夜放送 一夜限りの復活-」 †
ディレクター 竹林良樹 アナウンサー 伊藤伸久
ラジオファンの語り草となっていた「ヤングスタジオ1430」が、岐阜放送の開局50年記念特別番組の一部として一夜限りで復活した。70~80年代の岐阜の中高生に絶大な支持を得ていた番組を、当時のリスナーからの投稿を紹介しつつ、パーソナリティが回顧する。単に昔を振り返るだけでなく、今後のラジオの在り方のヒントなども探っていく。パーソナリティの力、言葉の力、ラジオの力が伝わり、あらためて若者向けの深夜放送を待望させる作品である。
優 秀 <大阪放送> OBCベジスタワンダーランド †
プロデューサー 納谷有可里 ディレクター 中川さよ子 出演 和田麻実子、樹リューリ
ラジオ大阪のアイドルまみりんが、「野菜の王様・ベジキング」から、食べることの大切さ、食に関する正しい知識、健康な体作りのヒントなどをゲーム感覚で学んで行く番組。全国の子供たちへのインタビューからは、「食」に関する地域の特色や文化が垣間見られる。構成と演出に工夫がされ、教育と娯楽が融合した番組である。幅広いリスナーに向けた企画が光る。
優 秀 <エフエム香川> ことひらどれじゃ~ハンティング番外編 「心の町」 †
プロデューサー 蒲野誠一 取材・スクリプト・パーソナリティ 甲山万友美
琴平の町に魅かれて集まった人たちの足跡を追って、明治・幕末・戦後の時代へと迷い込み、平安時代さながらの「例大祭」を楽しむうちに現代に戻ってくるという、時空を超えた紀行番組。丁寧に選んだ言葉の力により、歴史的にも文化的にも奥が深く、広がりのある琴平の景色が見えてくる。地域の歴史を紹介するお手本のような番組で、リスナーに琴平への旅情をいざなう。
ラジオ生ワイド番組 †
優 秀 <東北放送> ロジャー大葉のラジオな気分 †
プロデューサー 伊香由美子 ディレクター 坂戸貴之 パーソナリティ ロジャー大葉 リポーター 川野目亭南天
月~金/13時~16時の放送。東北放送は震災後の昨年6月から、宮城県内各地の避難所や仮設住宅などをアナウンサーが訪問するミニイベント「キャンドルナイト」を行ってきた。この日は、津波の被害が大きかった東松島市の仮設住宅でのイベントの模様を紹介。あわせて市町村の支援情報やリスナーからの防災のアイデアを放送した。パーソナリティとリポーターの役割分担がしっかりと作られている。その場の雰囲気をうまく引き出しながら、必要な生活情報をポンポンと的確に入れている。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 久米 宏 ラジオなんですけど †
出演 久米 宏 プロデューサー 池田卓生 ディレクター 長谷川和正、星 迅
土曜日/13時~14時55分の放送。この日は久米 宏の石巻の街からの震災レポート。5日間の滞在中にインタビューした人数は、石巻駅で出会った乗客、商店街の楽器店・精肉店の店主、小学生、女川町の病院の警備員、石巻漁港の競りで働く人々、途方に暮れて海岸沿いを歩く老人など99人。その一部だが、意図的な編集などを行わずそのまま放送した。被災地にいま暮らす人々の、その生活の場を歩き、話しかけることで、被災地の暗さと明るさと希望を全部合わせた感じをメディアに乗せている。
優 秀 <山梨放送> Talk魂765 GO!GO!イチ 「やまなし涼活のススメ」 †
プロデューサー 浅川俊介 ディレクター 若尾佳那 パーソナリティ 難波紀伝 リポーター 角田郁帆
月~金/13時~16時29分の放送。トークテーマへのメッセージを募集し、リスナーとの「双方向」を意識した昼ワイド。「涼活」とは節電を意識して涼しく過ごす活動のこと。この日は環境生理学の専門家を招き、盆地の地形でとりわけ暑い山梨の夏を涼しく楽しく過ごす方法を考えた。構成がしっかりしており、聴きやすく分かりやすい。ゲストをうまく番組に取り込んでいる。
優 秀 <エフエム愛知> サンデー・エクスプレス 子どもたちの心の音 ~被災地 陸前高田・石巻より~ †
プロデューサー 植田英樹 構成 高橋真裕美 出演者 内藤 聡、矢野きよ実
日曜日/6時30分~8時30分の放送。この日は陸前高田の子どもたちが書いた「書」と子どもたちの笑顔いっぱいの「写真パネル」を展示した作品展を紹介。ゲストの矢野きよ実はラジオパーソナリティで書道家。書で子どもたちの心を癒やすボランティア活動を行ってきた。その思いを内藤 聡が問いかけながら、名古屋からは距離のある被災地とどのように向き合えばよいのかを考えた。書というラジオでは伝え辛いものを通じて子どもたちの気持ちを伝えようというチャレンジが成功している。
優 秀 <大阪放送> 高岡美樹のべっぴんラジオ †
プロデューサー 内田 修 ディレクター 竹中淳子 パーソナリティ 高岡美樹 アシスタントディレクター 吉岡あゆみ
月~木/15時05分~17時30分の放送。関西のおねえちゃん、高岡美樹が健康、美、生活情報、お得情報、芸能情報などを生活感たっぷり、好奇心満載で伝える。東京スカイツリーが開業したこの日は、大阪らしい反骨精神で開業100周年が間近の通天閣・新世界にスポットを当てた。「聞いて想像して行動」というラジオならではのアプローチに成功しており、リスナーに「改めて通天閣に行ってみたい」と思わせる。
優 秀 <南海放送> やのひろみのゴゴモリ!! ~愛媛の行商モノガタリ~ †
プロデューサー 日野 聡 ディレクター 真田嘉雄 パーソナリティ やのひろみ
月~木/13時45分~16時50分の放送。水・木のプレゼンターをやのひろみが務める。この日は街で聞こえる行商の声の裏側にある「思い」や「エピソード」を紹介することで、商売以外の「何か」を探すことを試みた。行商や移動販売を行う人たちやお客さんの声を集めるうちに「何か」とは「互いを思う気持ち」であることが分かってくる。パーソナリティの親しみやすさと話を広げる力量、ディレクターの事前準備による情報量の豊富さが光る。
優 秀 <九州朝日放送> PAO~N †
プロデューサー 窪田雅美 ディレクター 佐藤雅昭 出演者 沢田幸二、中島浩二
月~金/13時~17時の放送。1990年に一旦終了した中高生向けの夜ワイド番組を2003年にお昼のワイド番組として復活させ、今では40代となった当時のリスナーをコアターゲットに制作。幅広い話題にパーソナリティの独自の解釈や意見を交えながら、フリートーク主体の番組構成を行う。この週の1週間を通してのメッセージテーマは「わが家の年代物選手権」。この日は出演者から「実家には西郷隆盛直筆の掛け軸がある」との発言が飛び出し、この「お宝話」をプロの技で素晴らしく展開。生放送ならではのドキドキ感を感じさせる。
テレビ報道番組 †
最優秀 <東海テレビ放送> 死刑弁護人 †
プロデューサー 阿武野勝彦 ディレクター 齊藤潤一 撮影 岩井彰彦 編集 山本哲二
安田好弘弁護士のもとには死刑事件の弁護依頼が集まる。裁判が重大局面を迎えると依頼が持ち込まれ、彼はそれを断れないという。時に激しいバッシングを受けながらも、社会が「凶悪犯」と認定した被告の弁護を引き受ける理由や、死刑制度に反対する理由を、これまでに彼が携わった事件の数々をたどりながら解き明かしていく。優れた構成で、安田弁護士にスポットを当てつつ、日本の司法制度や死刑制度が抱える問題を浮かび上がらせている。
優 秀 <福島中央テレビ> 原発水素爆発 わたしたちはどう伝えたのか Ⅱ †
プロデューサー 佐藤 崇 ディレクター 小林典子 編集・撮影 野地宣良 ナレーター 徳光雅英
東日本大震災発生の翌日、福島中央テレビはメディアで唯一、東京電力福島第一原発1号機の水素爆発の瞬間を撮影した。映像以外に情報がない中、この状況を地元放送局としてどのように伝えるべきか苦悶しながらも、緊急放送を始めた。未曾有の大震災と原発事故に、地元福島のメディアとして何ができ、何ができなかったのかを真摯に自己検証し、今後の災害対応のあり方を考える。被災地域の放送局ならではの映像による臨場感が伝わる。
優 秀 <TBSテレビ> JNNルポルタージュ「3・11大震災 記者たちの眼差し」 †
プロデューサー 岩城浩幸、秋山浩之 ディレクター 武田弘克、深井慎一郎
東日本大震災の発生以来、全国から被災地に派遣されたJNNの記者たちの心の軌跡がつづられたドキュメンタリー。9人の記者の取材成果をオムニバス形式で記録した。被災地に立って何を思い、どんな心境で取材を続けたのか、主観と客観の狭間にある記者の心のつぶやきが視聴者の耳に残る。記者それぞれの震災報道に対する問題意識が光り、目の前のものにしっかりと対峙し、発信しようとする姿勢が伺える。
優 秀 <新潟総合テレビ> お米のあした~農業の未来を耕せ~ †
プロデューサー 小林 淳 ディレクター 鷲津史彦 構成 石井 彰 撮影・編集 山田龍太郎
米価の下落や消費量の減少など、日本のコメを取り巻く環境は激変している。海外輸出に活路を求める農家がいるなかで、国内市場に目を向け、コメに付加価値を付けた商品開発やコメを身近に感じてもらう活動をしている農家を取り上げた。食事制限者でも食べられるアルファ米やスイーツの開発を進め、全国に売り込むことで日本のコメの生きる道を探る。明日の農業という重く難しいテーマを、登場人物の前向きな懸命さで明るく描き、日本の農業について改めて考えるきっかけを与える。
優 秀 <朝日放送> 復興の狭間で~神戸 まちづくりの教訓~ †
プロデューサー 矢島大介 ディレクター 西村美智子 撮影 利満正三 ナレーター 宮城さつき
阪神大震災の復興のために、巨額の税金が神戸市長田区の再開発地区に投じられた。しかし、震災から17年たった今、復興のシンボルとして建てられた高層ビル内の中はシャッターが閉まり、ビルに開業した商店主は多額の借金に苦しめられている。一方、東日本大震災で被災した気仙沼でも、住民の声を反映しないまま復興の計画が進んでいく。「復興災害」が日本中どこでも起こり得る問題であることを伝え、復興の街づくりの在り方を問いかけている。
優 秀 <日本海テレビ放送> 鐘の音の響く里で †
プロデューサー 古川重樹 ディレクター 河野信一郎 撮影 澤田一宏 編集 黒田道則
過疎化と高齢化が進む山寺では住職のなり手が減り、お寺の鐘の音が響かなくなっている。鳥取県日南町山上地区でも一時期鐘の音が消えたが、住民の「寂しいね」という声に応え、お寺の周りに住む男たちが「カネナリカイ」を結成した。都合のつく時だけ鐘を鳴らせばよい、という簡単な申し合わせがあるだけだが、おかげで今日も鐘の文化が守られ続けている。ほのぼのとした笑いを交えながら、鐘の音を通してつながる地域の人々の心地よい暖かさと個性を表現することに成功している。
優 秀 <琉球朝日放送> 枯れ葉剤を浴びた島 ~ベトナムと沖縄 元米軍人の証言~ †
プロデューサー 謝花 尚 ディレクター 島袋夏子 撮影・編集 新垣康之 撮影助手 高江洲昌祥
ベトナム戦争で被害をもたらした枯れ葉剤が沖縄でも使用されていたという退役米軍人たちの証言が波紋を広げている。重い後遺症に苦しむ彼らは、米国政府に枯れ葉剤被害の補償を求めているが、そのほとんどが「枯れ葉剤の貯蔵、もしくは使用を示す情報は記録にない」という理由で認められていない。枯れ葉剤を例に沖縄の米軍基地が抱える問題を改めて浮き彫りにし、米軍に土地を提供することがどういうことなのか再考を促している。
テレビ教養番組 †
最優秀 <読売テレビ放送> 仰げば尊し †
ディレクター 小俵靖之 撮影 西川 亮 編集 苧玉和也 ナレーター 川田裕美
兵庫県内の工業高校の定時制で体育を担当する三輪 光先生は、全国制覇を果たした柔道部の顧問。派手なジャージに身を包み、ネオン街を闊歩する異色の先生だ。指導する部員はエリート選手ではなく、中学時代に荒れた生活を送っていた者も少なくない。先生と生徒や保護者との激しいぶつかり合いを2年間にわたって取材した。師弟の心のふれあいをうまく描き、生徒たちの表情の変化を捉えている。テンポのよい展開で信頼関係や人間関係を物語り、見終わったあとには深い感動を呼ぶ。
優 秀 <福島放送> 闘う先生 †
プロデューサー 宇野英人 ディレクター 高橋良明
原発事故後も南相馬に残って診察を続ける産婦人科の高橋亨平医師(73歳)。月に20件以上あったお産は一時は月1件のペースになった。「子どもの生まれない街に未来はない」と、仲間と自費で妊婦の自宅の除染を続けている。自らもがんと診断され、抗がん剤を射ちながら闘い続ける姿に密着。地域医療を守る姿を伝える。訥弁な医師の切々たる思いが、地元局でなければ撮れない映像から感銘とともに伝わってくる。
優 秀 <WOWOW> ノンフィクションW スケッチトラベル~「トイ・ストーリー3」を作った男が生んだもうひとつのストーリー †
制作統括 大村英治 プロデューサー 岩島未央子、高橋典代 ディレクター 上田結木
2011年10月、一冊のスケッチブックがブリュッセルでオークションにかけられた。世界的な絵本作家、イラストレーター、漫画家ら71人がリレーで腕を奮った。このチャリティー目的のプロジェクトを立ち上げたのは、アメリカで活躍中のアート・ディレクター、堤 大介。スケッチブックの足かけ5年の「旅」の足跡を追う。アーティストたちの世界観、人生観が連歌のように綴られている。最先端のアートやカルチャーシーンが見られる楽しさがある。
優 秀 <長野放送> NBS月曜スペシャル どうだい 元気にしとるかい ~村民と共に医師池田 忠さん~ †
構成・プロデューサー 春原晴久 ディレクター 東澤鈴美 撮影 吉川勝義 ナレーター 寺瀬今日子
人口1,800人の長野県泰阜村の診療所に、鹿児島から単身赴任してきた池田 忠医師(63歳)。患者の9割が70歳以上の高齢者で、その生活を壊さないようにと「在宅医療」に力を注いでいる。最後は自身も父の介護に郷里に戻る医師の、地域医療への情熱と村民とのふれあいを2年間に渡って追った。医師の姿と背中が、決して声高ではないが、家族・地域とは…、老い・死とは…、看取りとは、そして人間の生き方とは…と、過疎地が直面するさまざまな問題を訴えかける。
優 秀 <東海テレビ放送> 長良川ド根性 ~河口堰と漁師の半世紀~ †
プロデューサー 阿武野勝彦 ディレクター 片本武志 撮影 田中聖介 編集 奥田 繁
賛否を二分して総工費1,500億円を投じて建設された長良川河口堰。運用が始まって16年が経つが、今や無駄な事業と批判されている。最後まで建設に反対してきた三重県桑名市の漁師たちを軸に、愛知県と名古屋市が翻って唱え始めた堰の開閉問題の根底に焦点を合わせ、ぶれる政治と社会を照射する。静かで自然なカメラワークと淡々と押し付けがましくないが狙いがはっきりしているナレーションで、制作者の思いが番組の中にしっかりあることが分かる。
優 秀 <山陰中央テレビ> 夢の始まり ~甘くてしょっぱい かりんとう人生~ †
プロデューサー 山根 収 ディレクター 藤谷裕介 構成作家 関 盛秀 撮影 加藤俊之
阿部雄悦さん(70歳)は宮城県女川町でかりんとう工房を経営し、全国の福祉施設に製品や生地を卸し、障害者に雇用の場も提供していた。大震災で工房と自宅を失ったが、がれきの中から業務用ミキサーを見つけ、スタッフの郷里である鳥取県伯耆町に単身移ってきた。自身と被災地の復興に進む1年を追った。市井の魅力的な人物を、悲しい中にもユーモアを交えて描いている。障害者雇用に関する制度やデータも適宜紹介し、よい教材にもなっている。
優 秀 <テレビ長崎> 鋼の絆 ~島原の鍛冶屋5人兄弟~ †
プロデューサー 大浦 勝 ディレクター 藤井 聡 撮影・編集 黒木 誠 ナレーター 原田知世
長崎県島原市で江戸時代から9代続く鍛冶屋、吉光。営むのは最年長91歳、平均年齢81歳の5人兄弟。良いものを造り売る喜びを満喫し、いつもチャレンジ精神を持って創意工夫を重ねている。夢を語る兄弟の、力を合わせ仕事に励む日常に迫った。「生涯現役」の言葉そのままの兄弟と美しい包丁の姿が、仕事の誇りと楽しさを表現している。
テレビエンターテインメント番組 †
最優秀 <フジテレビジョン> ほこ×たて †
チーフプロデューサー 石川綾一 総合演出 石田昌浩 構成 鈴木おさむ MC タカアンドトシ
「絶対に穴の開かない金属」vs「なんにでも穴をあけるドリル」というような、矛盾する両者の対決を楽しむエンターテインメント番組。矛盾対決以外にも新しい見方の対決を用意し、家族そろって楽しめる内容となっている。日本が世界に誇るモノづくりを丁寧に分かりやすく放送している。また、ひとつひとつのテロップにも工夫が施されており、様々な面で視聴者を飽きさせないような番組作りをしていることが感じられる。
優 秀 <山形放送> ごっつぉ あるよー ~倉子ばあちゃんとリヤカー~ †
プロデューサー 伊藤清隆 ディレクター 金内 忠 撮影 村山 猛 ナレーター 小坂憲央
山形県庄内地方で魚をリヤカーに積んで行商する女性を「アバさん」と呼ぶ。番組では82歳になる鶴岡市由良地区のアバさん、佐藤倉子さんの働きぶりや生活に迫り、仕入れた魚を売って回る倉子さんとそれを買うお得意さんの結びつきを映し出す。人情満載の、これこそ日本人といえる作品である。日本の高齢者の元気をよく伝えており、短尺ではあるが、うまく構成されまとめられている。
優 秀 <信越放送> SBCスペシャル 明日のたんぼ †
プロデューサー 久保正彰 ディレクター 池上英樹 撮影 原 隆 編集 和田秀一
生産効率の悪い山間地で米を作り続ける元気で若い農家、竹内昭芳さん。高齢化などを理由に近所の人からも田んぼを任せられ、今では百枚以上を管理している。大変な作業だが、「自分のふるさとの風景を守りたい」という思いで農業に励む。しかし、そこに日本のTPP交渉への参加のニュースが舞い込み、竹内さんの頭にも不安がよぎる。 農業に打ち込む竹内さんの姿や思いに感動した。映像では田んぼや米の美しさが上手く表現されており、大変な農作業とその合間にある日常の楽しみがよく描けている。
優 秀 <テレビ金沢> 笑いの湯 ~29世帯の共同風呂~ †
プロデューサー 金本進一 ディレクター 佐藤優子 撮影・編集 白澤友朗 語り 久米 明
64世帯246人が暮らす石川県かほく市鉢伏地区。過疎化と高齢化が進む日本の典型的なこの田舎に、大正時代から続き日本最後といわれる共同風呂がある。共同風呂存続の危機など、鉢伏地区の様々な出来事をユーモアを交えて描く。丁寧な取材によって、幸せそうな登場人物の顔がうまくとらえられている。庶民的な住民の暮らしを描いており、淡々とした日常の中に心温まる場面がみられる。忘れていた日常が思い起こされ、懐かしさが感じられる作品である。
優 秀 <関西テレビ放送> THE GOLDEN BATTLE~トップアスリートが対決!絶対にありえない4番勝負~ †
プロデューサー 木村智紀 ディレクター 島本元信
「そんな対決、ありなの!?」をキーワードに、異なる競技のアスリート同士を対決させる。トップアスリート同士がそれぞれの競技の特性を生かしながら真剣勝負をする番組で、想像もしなかった夢の対決の結果を予想しながら、一緒に盛り上がることができる。対決の組み合わせによって想像以上の面白さを生むことを証明した番組である。普段では見られないスポーツ選手の裏側や、競技ごとの特徴が分かる楽しい内容である。
優 秀 <山口放送> 駐在さんの「はいチーズ!」 ふるさとの笑顔の便り †
プロデューサー 渡部雅史 ディレクター 佐々木聰 撮影 山本健二 音声 綿野光士
山口県周南市須金地区の駐在さん、山弘道さん。カメラを片手に巡回。住民のお年寄りの笑顔を撮影し、ハガキにしてその人の親戚に送っている。駐在さんとお年寄りたちの素朴な触れ合いをとらえ、住人の半分が高齢者という須金地区の今を伝える。撮影者の視線が素晴らしい作品である。人物に寄り添って撮っており、住民の自然な表情を映し出している。また、ハガキを親戚に送るなど、限界集落の問題に向き合うためのアイデアを与えてくれる番組ともいえる。
優 秀 <長崎放送> 天まで上げろ~212年目のコッコデショ~ †
プロデューサー 大田壽満夫 ディレクター 二見玲雄 撮影・編集 加藤宏幸 ナレーター 平松誠四郎
長崎市の「諏訪神社」の例祭、長崎くんちで、樺島町は「コッコデショ」という演物を演じる。36人の担ぎ手の男たちが1トンもの神輿を宙に投げ上げ受けとめる。出し物は59町が交代で披露するため、7年に一度しかその機会は回ってこない。担ぎ手を選ぶオーディションから本番までの10ヵ月を描く。祭りの細部に迫って撮られていて、汗の匂いが伝わってくるような臨場感溢れる番組である。現地に行って祭りを実際に見てみたくなるような気分にさせられる。
テレビドラマ番組〕 †
最優秀 <WOWOW> WOWOW開局20周年記念番組 三谷幸喜「short cut」 †
脚本・監督 三谷幸喜 チーフプロデューサー 青木泰憲 プロデューサー 徳田雄久、藤田知久
結婚10年の冷め切った夫婦が、妻の故郷の山中で車が故障し立ち往生してしまう。「街への近道(short cut)」という妻の言葉を信じて渋々付いて歩く夫は、慣れない山道に災難続き。妻も道に迷ったと言い、不平不満の応酬となる。だが次第に、野生児のように生き生きと振る舞う妻の意外な一面に夫は惚れ直し、妻は掘り出したタイムカプセルから幼い頃の「将来の夢」を見つけ、理想の相手が夫であったと気づく。長く険しい山道を抜けて国道が見えた頃には、穏やかに微笑みあう二人の姿があった。脚本家・映画監督の三谷幸喜による初のテレビドラマ監督作。「舞台とドラマの融合」をコンセプトに、全編屋外ロケーションで113分間の「完全ワンシーン・ワンカット」に挑戦した。臨場感溢れる画期的な試みであるとともに、夫婦の何気ない会話にみえるちょっとした笑いや男女の機微が味わい深く描かれ、最後まで目が離せない。舞台や通常のドラマとは違うさまざまな困難を、知恵と気力で乗り越えた力作である。
優 秀 <日本テレビ放送網>妖怪人間ベム †
プロデューサー 河野英裕、大倉寛子、小泉 守 演出 狩山俊輔 脚本 西田征史
妖怪人間ベム、ベラ、ベロの3人は、普段は人間として暮らしているが、怒りや悲しみなどで気持ちが高ぶると醜い妖怪の姿に戻ってしまう。正義感から人間を助けては恐れ嫌われてきた彼らは、「早く人間になりたい」と願い、その手がかりを探していく。 1968年に放送されたアニメを実写化。善悪、明暗、表裏、気高さと愚かさをあわせ持つ混濁した存在である人間を、妖怪人間という“非人間”を通して見つめた。一見、荒唐無稽な設定でありながら、優れたキャスティングと脚本で、被差別者の哀しみや「人間とは何か」「人として生きるとは何か」といった重いテーマがしっかりと胸に響く。人間の本質に真摯に向き合い、人間への信頼と期待をあらゆる世代に訴えかける奥深い作品である。
優 秀 <フジテレビジョン> ストロベリーナイト †
編成企画 成河広明 プロデュース 高丸雅隆、江森浩子 演出 佐藤祐市 脚本 龍居由佳里、黒岩 勉
警視庁捜査一課殺人犯捜査係の班長、姫川玲子と彼女を取り巻く刑事たちが凶悪事件に挑む。覚せい剤使用の痕跡のある男性が死亡する症例が次々と発生。姫川は連続殺人を疑い捜査を開始する。薬物テロ説も囁かれる中、姫川班はオンラインゲームとの関連性を突き止め、総理大臣のブレーンである大物医師に任意同行を求めるが、見込み違い。ライバル刑事が調べていた暴力団抗争の線も消えた時、大物医師の高校生の娘が浮かび上がる。誉田哲也の人気小説が原作。完璧でなくヒーローでもない姫川が、時に感情をぶつけながら奮闘する真摯な姿が魅力的。個性を持った刑事たちが姫川を支え、持ち場をしっかりと果たすチームワークが清々しく、刑事ドラマの枠を超え、職業ドラマ、人間ドラマとしても見応えがある。テンポ良い脚本と映像による作品全体の自然なリズム感も秀逸である。
優 秀 <毎日放送> MBS開局60周年記念 新春ドラマ特別企画 花嫁の父 †
演出・プロデュース 竹園 元 脚本 井沢 満 音楽 渡辺俊幸 出演 柳葉敏郎 ほか
新潟県・山古志に住む生まれつき耳が聞こえない美音は、障がいが原因で破談となった傷心を癒すために訪れた東京で、浅草の船宿の青年・丸と出会い、次第に惹かれあう。丸の一途な求婚に戸惑う美音。山古志の父を独りにできない、4歳の時に亡くなった母を父から奪ったのは自分の障がいのせいではないかとの思いがあった。しかし時を重ね、父、丸、そして周囲の人々の温かい心に触れながら、嫁ぐ日を迎える。娘の幸せを願う父の想い、父を慕う娘の気持ち、そして想いが深いゆえにぶつかり合う父娘の情愛が切ないほどに伝わってくる。登場人物たちの抑えた演技が、心の機微を際立たせ、一つ一つの台詞の力を感じさせる。練られた脚本やキャスティング、リアルな手話や三味線の演奏、四季折々の美しい風景など、妥協のない作り込みが作品の高い完成度に表れている。未来につながる希望が見える、温かな感動にひたれる作品である。
優 秀 <関西テレビ放送> ピロートーク ベッドの思惑 †
プロデューサー・演出 木村弥寿彦 脚本 小林弘利 撮影 中山秀一 出演 田畑智子 ほか
恋も仕事もキャリアを積んだ独身OLあかりは、32歳の誕生日を前に念願の一人暮らしを始める。買ったばかりのセミダブルベッドには、「男ができる前に、男ができても構わない体制を整える」との“思惑”があった。ベッドを前に妄想は膨らむばかりだが、結婚に至りそうな男、その気になる相手はなかなか現れない。田辺聖子の小説をもとに現代風にアレンジ。恋愛を夢みては焦ったり落ち込んだりする“今どきの大阪女”の本音トークが、ユーモアたっぷりの関西弁で繰り広げられ、もう一人の“自分”と掛け合いさせる演出も絶妙。あえて手抜き感を狙った深夜放送的なセットも斬新で、ほどよい脱力感のある楽しい番組に仕上がっている。
CM部門 †
ラジオCM 第1種(20秒以内) †
最優秀 <朝日放送> 二階堂酒造 大分むぎ焼酎二階堂/好きな音 篇(20秒) †
プロデューサー 野本友恵 プランナー 北田 淳 ディレクター 村上正道(ビー・ジー・エム・サービス) コピー 森田一成(ビッグフェイス)
“トク トク トク トク……”、焼酎がボトルから流れ出る、あの音。なぜか、友人と話している最中に、そんな音が聞こえてくる。「えっ、なに、なに~?」と不思議がる友人に、本人はケータイを取り出し、「はい、もしもし~」と話し始める。着信音にしてしまうほど、好きな味、好きな音なのだ。効果的に“音”を使いながら、商品の魅力も伝え、さらにハッピーな気持ちにさせてくれる、ラジオCMの見本のような作品。
優 秀 <文化放送> 日本製粉 小麦粉/おき手紙(20秒) †
プロデューサー・ディレクター 見目幸伸 プランナー 橋本庸介 ミキサー 上原裕司 企画 白石仁司
妻は夫に置き手紙を残し、友達と2週間のハワイ旅行に出かけてしまった。手紙には「私が留守のあいだ、お好み焼きでもパスタでも天ぷらでも自由に食べられるよう“小麦粉”を置いていきますね」と書いてあった。夫は一言、「自由すぎるだろ……」。いまどきの熟年夫婦事情で笑わせながら、“さまざまな料理に使える”という商品特長もさりげなくアピールしている。
優 秀 <ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「告白」篇(20秒) †
プロデューサー 高橋晶子、林 尚司(電通) ディレクター 松田哲雄(サウンドマン) コピー 佐藤延夫(ロケットペンシル)
愛の告白を、ワット数で表現していく。100ワットの告白は、とても元気に「愛してる!!」。50ワットの告白はやや元気に、4ワットの場合はささやくように。すごく良い雰囲気になったところで、最後に「電気を消して」と一言。省エネを実行すると、家族の愛も深まるのだった。どうせなら節電を楽しもうというメッセージを、あやしい雰囲気を醸し出しながら伝える演出が楽しい。
優 秀 <エフエム東京> 味の素 クノール スープDELI/きょうの夫婦 その3(20秒) †
クリエイティブディレクター 石井利始(アサツー ディ・ケイ) ディレクター 林屋創一 コピー 渋谷三紀(アサツー ディ・ケイ) 出演 内田春菊(ノックアウト)ほか
リビングで交わされる夫婦の会話。「もう一回結婚式やりたいなぁ」と語る妻に、どうして、と尋ねる夫。すると妻は「一生愛し続けますか?って聞かれたら………、正直に言う」とつぶやく。最後に「あったかいスープで夫婦関係もあっためたい」とのナレーションで締める。妻が正直にどんなことを言おうとしているのか、リスナーそれぞれが思わず考えてしまう構成となっており、コピーの巧みさが光る。
優 秀 <信越放送> 宮坂醸造 創業350周年(20秒) †
プロデューサー 田中穂積 ディレクター 松田 隆(アンチテーゼ)
宮坂醸造は1662年に創業し、350周年を迎えた。仕込みからたった1年でこんなにうまいお酒ができるのですか、という問いに、「いやぁ、この味になるまでに350年かかっています」と語る職人さん。熟練した蔵人による精緻な仕事ぶりが言葉から伝わる。老舗でなければできないCMであり、1日1日を大事にしているというモノづくりの姿勢が、うまく表現されている。
優 秀 <中部日本放送> 花田時計店 時計/雨香 ~豊かな時間~(20秒) †
プロデューサー 山室雅子 ディレクター 森合康行 ナレーター 渡邊美香 音響効果 今井志のぶ(東海サウンド)
あいにくの天気、足元が悪い――など、雨には外出を避けたくなるような言葉がある。しかし、昔の人たちは、花の香りが高くなると言われる雨の日を選んで、出かけたという。「雨香(うこう)」という言葉を紹介しながら、スピード・効率の求められる現代でも、先人たちが楽しんだ“豊かな時間”を感じてほしい、と訴える。メッセージが印象的で、企業のイメージアップに貢献している。
優 秀 <エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「見つけたら」篇(20秒) †
プロデューサー 小田切武史 ディレクター・コピー 森田一成(ビッグフェイス) 出演 下間都代子(グループエコー)ほか
タクシーで繰り広げられる、運転手とお客さんの会話。どこまで行きますかとの問いに、「とりあえず、まっすぐ行って…」とお客さん。さらに「EVタクシーがみつかったら、そこで止めてください」と伝えるのだった。そこまでしなくても、EVタクシーはスマホのアプリで呼び出せることをPRする。EVタクシーに乗るという新しい選択肢があることを、コンパクトに伝えることに成功している。
ラジオCM 第2種(21秒以上) †
最優秀 <ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「出席簿」篇(40秒) †
プロデューサー 高橋晶子、林 尚司(電通) ディレクター 松田哲雄(サウンドマン) コピー 廣瀬 大(電通)
先生が「青山」「海野」「小川」と出欠を取り始めると、「はい!」と元気な返事が返ってくる。「清水」「畠山」と続くが、「最近、見ません」「ぐれました」との返答。「森」にいたっては、「消えました!」と生徒全員から言われてしまうのだった。名前を通じて、日本人が豊かな自然の中で暮らしてきたことを気づかせてくれるとともに、その自然が危機に瀕している現状を訴える構成が見事だ。
優 秀 <文化放送> ライオン スマイル40EXゴールド/冥土喫茶(40秒) †
プロデューサー・ディレクター・コピー 見目幸伸 プランナー 原 敏生 ミキサー 上原裕司
初めて“メイド喫茶”を訪れた男性。ハートのオムライスを注文すると、代わりに焼き飯を勧められたり、メイドのカチューシャが三角形だったり、何か雰囲気が違う。実は、そこは高齢の女性たちがお出迎えする“冥土喫茶”だったのだ……。目の疲れから看板を見間違えた主人公とメイドとの思わず笑ってしまうやり取りを通して、商品特性を巧みに訴えている。
優 秀 <エフエム東京> キヤノンマーケティングジャパン 「走馬灯」篇(120秒) †
プロデューサー 林屋創一 ディレクター 山口景子 コピー 井田万樹子(ペープロ) ミキサー 安田慎一(Weed)
階段を踏み外した男性の頭に、それまでの人生が走馬灯のように駆け巡る。その映像には奥さんの声でナレーションがついており、すべてが奥さん目線で一方的に語られてしまう。挙句の果てに、最後は「人生に、たくさんの、思い出を。ENJOY! PHOTO & MOVIE」とのナレーションで締めくくられる。斬新な手法を用いて、写真と映像の大切さを訴えかけるCMで、脚本のうまさが評価された。亡くなったと思わせたあとに、意識が戻り、「俺の走馬灯にコマーシャルがついてたぞ」との一言が、また笑わせてくれる。
優 秀 <エフエム東京> 味の素 イエモトのチャーハン(150秒) †
ディレクター 林屋創一 コピー 三井明子(アサツー ディ・ケイ) 出演者 立川談春(オフィス フラジール) クリエイティブディレクター 早乙女修(アサツー ディ・ケイ)
2011年に亡くなった落語家・立川談志を弟子の立川談春が語る。空腹の弟子たちを見かねて、汗を流して10人前のチャーハンを炒めてくれたにもかかわらず、師匠の分を考えずに平らげてしまい、怒らせたことがあるという。食事を通じた、師匠と弟子との心温まるエピソードにより、“食生活を応援する”という企業姿勢を、うまく伝えている。「俺はやっぱり、なんだなぁ~腹いっぱい食って死にてえね」と話す人間味あふれる談志の声が心に残るCMである。
優 秀 <エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「口癖」篇(60秒) †
プロデューサー 小田切武史 ディレクター・コピー 森田一成(ビッグフェイス) 出演 Fジャパン(リコモーション)、関 敬(同)
EV(電気自動車)タクシーがスマホで呼び出せることを、若い男性の2人の掛け合いで軽妙に伝えるCM。さんざん語ったあとに、「よう知らんけど」と付け加える大阪人のクセをネタに、スマホ呼びだしの利便性に加えて、渋滞の減少や、CO2削減という環境面の利点までを、無理なく簡潔に盛り込んだ点が評価された。
優 秀 <和歌山放送> 和歌山放送事業センター 和歌山放送カルチャースクール/△△歳・○○○○、□□□を…(70秒) †
プロデューサー・ディレクター・コピー・作曲 三宅良治 ディレクター 鶴岡さなえ(グループエコー) 出演者 福山秀見(グループエコー)、柘植義信
カルチャースクールのCM。小さい男の子の「ごさい。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。はじめて、さっきょくを、する」という声に続き、「14歳、樋口一葉、塾に入門し、和歌・古典を学ぶ」と少女のハキハキとした声。年齢を重ねていく声色により、95歳で衆院選に出馬した尾崎行雄まで10名の偉人たちの事績を、その時の年齢とともに伝える。「いくつになっても“適齢期”です。あなたも始めませんか?」というメッセージが背中を押し、勇気や元気を聴取者に与えてくれる。
優 秀 <山口放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境~物に宿る思いを紡ぐ~(120秒) †
プロデューサー 藤田史博 ディレクター 大谷陽子 ナレーター 小野口奈々 ミキサー 寺岡岳男
山口市に住む関ヨシミさん(77歳)は、使用済みの古い布団の綿から糸を紡ぎ、娘のシャツを仕立てている。元となる布団は、50年前に嫁入り道具として母親が作ってくれたもの。12枚の布団から仕立てた200枚を超えるシャツは、着られなくなると、布巾や雑巾とし、最後は灰にして畑の肥料にする。物を大切にし、物に宿る母の“思い”を娘へとつなぐ姿が胸に迫る、環境キャンペーンCMである。
テレビCM †
最優秀 <中京テレビ放送> 公共キャンペーン・スポット/イメージCM「忘れない」篇(120秒) †
プロデューサー 青木繁治 ディレクター 久保田孝(プロアップ) サウンドエフェクト 宮田勝司(ミックスアップ)
書家・矢野きよ実さんは、東日本大震災以来、被災地の子どもたちの“心の支援”を行っている。体育館に集まった子どもたちに「心にあるもの、好きな言葉でいいから、そのまま書いてみよう」と矢野さんは呼びかける。紙いっぱいに書かれた「めいっぱい笑え」「がんばっぺし」「家族」「父」など数々の作品。力みなぎる文字からは、子どもたちのそれぞれの思いがあふれ出る。書の持つ力をあらためて感じることのできる、感動的な作品になっている。
優 秀 <北海道放送> 統一キャンペーン・スポット/「守ろう地球環境」 STOP温暖化!メタンと牛とカシューナッツ(90秒) †
プロデューサー 波多野真義 ディレクター 粥川 暁 アナウンサー(気象予報士) 近藤 肇 撮影 本間義久(HBCフレックス)
二酸化炭素の25倍もの温室効果を持つ「メタンガス」を取り上げたキャンペーンCM。北海道のとある池を覆っている氷に穴を空け、火をかざすと、メタンガスによる火柱があがる。この冒頭の映像で関心を引き付け、その排出量の20%は実は“牛のゲップ”であるという事実を明らかにする。さらに、北海道大学大学院が、ナッツの殻から抽出した油を牛の飼料に使うと、メタンを劇的に削減できることを発見したと伝える。異色な視点から温暖化を捉え、地元での最新の研究成果をも紹介する優れた作品である。
優 秀 <中部日本放送> 自社媒体PRスポット/生まれてくれて ありがとう(75秒) †
プロデューサー 藤井 稔 ディレクター・ナレーター 森合康行 撮影 川瀬荘司(東海ビデオシステム) 音響効果 今井志のぶ(東海サウンド)
松永知恵美さんは、出産の瞬間をカメラに収めるバース・フォトグラファー。へその緒が付いたまま泣く赤ちゃん、指をくわえお母さんに頭を撫でられる赤ちゃん。次々と映し出されるインパクトある写真にくぎ付けになってしまう。そんな写真はお母さんの宝物でもあり、かけがえのない命の大切さを教えてくれる。ラストカットは、7歳に成長した子どもとお母さん。親子の絆や命の大切さが心に響き、「ずっといっしょに ぴたっCBC」というキャッチコピーが生きる。
優 秀 <中部日本放送> 伊勢パールセンター 変わりものと言われて(90秒) †
プロデューサー 藤井 稔 ディレクター 柴田知宏 ナレーター 古川枝里子 撮影 市原泰則(スクラッチ)
三重県に「伊勢パールセンター」という見物客の多いちょっと変わった真珠店がある。店主の小西蔀さん(76歳)は、産業廃棄物になる丸くならなかった真珠の失敗作を使って、人や動物に見立てたユニークな作品を作りお店に展示している。視聴者がワクワクする数々の作品で、お店の魅力をアピールしており、「買わなくてもいいから、見に来てよ!」というナレーションに、思わず行ってみたくなってしまう。
優 秀 <東海テレビ放送> 公共キャンペーン・スポット/交通事故で、死なない。死なせない。(120秒) †
エグゼクティブプロデューサー 喜多 功 プロデューサー 土方宏史 クリエイティブディレクター 都築 徹(電通中部支社)
ディレクター 清水淳之介(シースリーフィルム)
交通事故死の削減を訴えるキャンペーン・スポット。交通事故被害者の遺族、加害者のインタビューなどが続いた後、持ち主がいなくなった、被害者の履物が次々と映し出される。4歳の子どもの上履き、大人のサンダル、少年の運動靴……。思わず目をそらしたくなってしまう遺品の数々をあえて捉えることで、“交通事故をなくしたい”という強い意志が伝わってくる。
優 秀 <テレビ愛知> 自社媒体PRスポット/レンコン篇(90秒) †
プロデューサー 服田康宏 ディレクター 難波江孝之
愛知県愛西市で収穫されるレンコンは、通常10個の穴が空いている。元気いっぱいにレンコンを掘り、穴の数を数える楽しそうな子どもたち。レンコンの穴を覗いている子どもたちには、どんな風景が見えているのだろうか。「10からいいもの見えるはず」とのメッセージが自社のチャンネルナンバーと素直に結びつく、ほのぼのとした心温まる自社PRスポットである。
優 秀 <南日本放送> 自社媒体PRスポット/ふるさとたっぷりMBC~尾木場の田守人編~(90秒) †
プロデューサー 有迫貴史 ディレクター 朝立明子 ナレーター 美坂理恵 撮影 江夏 豊(ライコー)
鹿児島県の西に位置する尾木場集落に広がる棚田。過疎化による山の荒廃などで少しずつ変化する環境の中、この美しい棚田を夫婦2人で守ってきたのは、野上操さん(85歳)だ。昭和20年に受け継ぎ、2年前に奥さんを亡くした現在も、「生きている間は頑張らないとね」と静かに決意を語る。農村のきれいな風景を通して、日本の農業を支えている地方の高齢化などの問題を、さりげなく、視聴者に投げかけている。
技術部門 †
最優秀 <日本テレビ放送網> 位相調光制御対応LED駆動装置の開発およびフラッドライトの実用化 †
研究・開発担当者 牧野鉄雄、小寺勝馬
従来の位相制御式調光器に直接接続でき、電球型照明と親和性のある調光特性を持ったLED駆動装置を独自開発し、これを汎用品の高効率拡散LEDパネルと組み合わせ、高機能かつ安価なLEDフラッドライトを実用化した。これにより、スタジオ等の既存調光設備を改修することなく、低消費電力で操作性に優れたLEDフラッドライトを導入可能とし、テレビ制作技術の効率化と照明設備の高度化に大きく貢献した。
優 秀 <TBSテレビ> 各種同録ユニットと多点同時再生マルチビューアの開発 †
研究・開発担当者 松川 仁、五藤寛丈
テレビ局内の各所で必要な同録再生機能を統合し、各種の映像音声信号等を統一形式で記録する同録ユニットと、PCで多数の同録ユニットを同期再生できるマルチビューアソフトを開発・実用化し、VANCや平均ラウドネス値の記録・解析にも対応した。これにより、シンプルで高機能な同録再生システムを実現・製品化し、テレビ送出の監視強化や障害対応の迅速化を図るなど、テレビ送出業務の高度化に貢献した。
優 秀 <テレビ朝日> 新ANNEXネットワークの構築 †
研究・開発担当者 堀淵惣一郎、高柳英晃、鈴木博史
系列局・クロスネット局間において各種データや番組素材を伝送するIPネットワークを大幅刷新し、帯域保証型の回線2面(2キャリア)を両主系として、キー局へ同時6回線、系列全局間で同時2回線のHD生中継が可能なネットワークを構築した。これにより、安定した報道素材の生中継や放送素材のファイル交換、大災害時の重要データの確実な伝送が可能となり、テレビ番組制作の高度化・効率化に貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン> 取材カメラ用 SDカードスクランブラーの開発 †
研究・開発担当者 保谷和宏、木村好信、西川 寛、鈴木健司
報道取材現場で用いる民生用ビデオカメラ(SDメモリーカード記録)に装着するアダプターとして、カメラ側の特別な仕様変更を必要とせずにSDメモリーカード全体を簡易暗号化する、スクランブル装置を開発・実用化した。これにより、簡易型取材カメラの機動性を損なうことなく、取材映像の秘匿性を担保することが可能となり、テレビ番組制作の効率化に貢献した。
優 秀 <毎日放送> つなげばすぐに使える「シンプルTS MUX」の開発 †
研究・開発担当者 山本一義、柴山武英
取材ヘリコプターの更新にあたり、既存製品をベースに小型・軽量化を図るとともに、機内情報(ヘリコプターの位置情報やシステム情報)の伝送も可能としつつ、複雑な設定が不要で誰でも簡単に多重伝送が可能なTSマルチプレクサを開発・実用化した。これにより、取材ヘリコプターの安全運航に求められる機能を実現するとともに、FPU中継等における多重伝送の利便性を向上させ、テレビ中継技術の高度化に貢献した。
優 秀 <読売テレビ放送> マスター改修なしで番組単位の平均ラウドネス値測定が可能!!「ラウドマスター」の開発 †
研究・開発担当者 松田慎一郎、中島良隆、谷知紀英、辻 智仁
本年10月からのラウドネス管理の運用開始に向け、ステーションロゴ照合と無音検出を併用して番組/CMの切り分けを行う手法を独自開発し、テレビ放送波を受信して番組/CMごとの平均ラウドネス値を測定するシステムを実用化した。これにより、マスター改修を行うことなく、送出された番組/CMの平均ラウドネス値を測定・解析することが容易になり、テレビ制作・送出業務の効率化に貢献した。
優 秀 <関西テレビ放送> ヘリコプターの空撮カメラ追尾システム・伝送プロフィール表示システムの開発 †
研究・開発担当者 宮島祥晃
本社デスクや空撮カメラマンが決めた撮影ポイントを双方に通知でき、ボタン1つでそのポイントに空撮カメラを追尾させるシステムと、条件の良い受信基地局を選択するための伝送プロフィール(伝送路地形断面図)表示システムを開発・実用化した。これにより、撮影と伝送の両面で空撮取材の利便性や速報性が向上し、取材時間の短縮による安全性向上にもつながるなど、テレビ制作技術の高度化に貢献した。
特別表彰部門 †
青少年向け番組 †
最優秀 <長野放送> NBS月曜スペシャル 大きくなあれ ~蓼科の高原学校・70日間の成長日記~ †
構成・プロデューサー 春原晴久 ディレクター・撮影・編集 湯澤沙織 撮影・編集 籏本 豊 ナレーター 唐澤昌子
長野県蓼科高原にある諏訪市立蓼科保養学園。ここでは、入園を希望した小学5年生の児童が親元を離れ、70日間の集団生活を送る。児童らは、友達と寝食を共にする生活の中で、自立心や協調性、規則正しい生活習慣を身につけていく。平成23年10月に入園した36人の70日間を追い、友達や先生の励ましを受けながら成長していく姿を描いた。長期間にわたり密着した丁寧な取材から、子どもたちが家族や友人の大切さを学びながら、少しずつ成長していく過程が見えてくる。教育のあり方や、家族、親子の絆について改めて考えさせる作品である。
優 秀 <札幌テレビ放送> 「D!アンビシャス~ 帯広児童劇団 舞台で育む親子の絆」 †
プロデューサー 飯島寿之 ディレクター 荒田雄一 撮影 寒河江透 編集 吉田香澄
帯広児童劇団の稽古場に演出家の石田昌志さんの声が響く。公演に向けた稽古から本番までの劇団の様子を取り上げた。厳しいながらも、石井さんの「一人の脱落者も出さず、代役も立てない」という信念が、子どもたちに自分に与えられた役を果たそうとする強い自覚を促す。保護者もまた、衣装やチケット販売など、舞台裏の準備を務め、演劇を通して子どもを育てていく。子どもは懸命な大人の姿から学び、大人もまた子どもから刺激を受ける。子どもの成長する力に接しながら、親も成長していく姿が描かれている。
優 秀 <テレビ山梨> ウッティ発!新体操ボーイズ ~汗と涙と努力の日々~ †
プロデューサー 平岡 豊 ディレクター 山田純史
平成23年度の新入部員の加入により、久々に団体競技出場に必要な6人以上の部員が揃った山梨県立甲府工業高校男子新体操部。インターハイ出場をかけた関東大会から、強化合宿、そして強豪校がひしめくインターハイまでの間、名門復活を目指して監督やOBの指導のもと、厳しい練習に耐えながら成長していく生徒の姿を追いかけた。男子新体操には、華麗なタンブリングや豪快な組技など、女子新体操とは一味異なる魅力がある。スポーツを通じた仲間づくりの素晴らしさを感じさせ、自分たちなりの目標を持って努力することの大切さを伝える。
優 秀 <中京テレビ放送> ゴリ夢中こどもの日スペシャル まつりそだち ~神事の復活とまちの絆~ †
プロデューサー 横尾亮太 ディレクター 宇野祐司、畑本将嗣
京都祇園祭、秩父夜祭とならび、日本三大美祭のひとつに数えられる高山祭。絢爛豪華な屋台が町を練り歩き、からくり奉納や伝統芸能などが繰り広げられる。祭りの準備期間と当日にガレッジセールのゴリが高山を訪ね、祭りを成功させようとする町の人々の思いに触れた。町にはおよそ50年前に途絶えた子供たちによる神事「神楽舞」を復活させようという挑戦があった。「まちの絆」を育みつづける「まつりの存在意義」を感じさせるとともに、大人から子供へと文化が継承され、子どもたちが地域の文化に触れながら健やかに成長していく様子をうかがうことができる作品である。
優 秀 <南日本放送> ど~んと鹿児島 社長は高校生 ~鹿児島修学館高校 文化祭~ †
プロデューサー 有迫貴史 ディレクター 武藤 久 撮影 牧 尚聖 ナレーター 笹田美樹
鹿児島市の修学館高校で「株式会社プログラム」という特別授業が始まった。文化祭の模擬店を株式会社と同じ形態で運営し、企業経営を疑似体験する。大学に入るためだけの教育ではなく、実社会で起こりうることを体験し、生き抜く力を育むことが目的である。生徒たちは、社長、副社長、人事部長、生産部長などをつとめるが、互いの立場からの経営への思いと苦悩、葛藤が「企業」に渦巻いていく。自分の責任で発言する難しさや人と協力することの喜びを感じ、仲間と一緒に働くことで自分自身とも向き合い始める。社会で生きる上では様々な力が必要であることを見る者にも改めて気づかせてくれる。
放送と公共性 †
最優秀 <テレビ信州> 武道必修化による柔道事故について †
実施責任者 平坂雄二
武道必修化で柔道が中学校の授業に採用されるなか、テレビ信州は、柔道教室での事故の取材をきっかけに、柔道による子供たちの重大事故が他のスポーツに比べて突出して多く、その事実がほとんど知られていないことを明らかにした。2010年からニュースで報道を続け、さらに全国放送を含む3つの番組を制作、フランスの取材も交えながら柔道事故の実態と安全対策の必要性を訴え続けた。武道必修化の問題は全国的に認知されるようになり、文部科学省は必修化直前に安全管理徹底の通達を出した。自ら問題を発掘し多角的な視点から地道な取材を続けてきたこと、また、長野県だけでなく全国に発信し、社会を動かす成果を残したことが高く評価された。
優 秀 <エフエム仙台> Date fm Hope for MIYAGI †
実施責任者 澁谷彰一
エフエム仙台は、震災直後から1年続けてきた「Pray for MIYAGI」という復興支援キャンペーンを一歩踏み出すための震災復興応援プロジェクト「Date fm Hope for MIYAGI」として本年3月に改めてスタートした。ラジオカーが県内に13局あるすべてのコミュニティFM・臨時災害FMをまわり、放送関係者の活動や被災地の今を伝えた。同社は、現在もコミュニティFMなどと取材等で交流を続けている。県域のFM局がコミュニティーFMと日常的に連携するという取り組みが、これからのラジオ局のひとつのあり方を示すものと評価された。
優 秀 <静岡第一テレビ> SDTビデオリポータークラブ設立30周年 †
実施責任者 諸星正彦
県内のアマチュアビデオカメラマンで作る組織「SDTビデオリポータークラブ」は、昨年設立30周年を迎えた。静岡第一テレビは、「地域の情報はその地元の人の手で発信を」との趣旨から、会員の投稿作品を放送しており、放送された作品に編集担当スタッフがアドバイスを添付して返却するなど、映像文化の向上にも一役買っている。また、地元の話題の放送は、各自治体から「街おこし、村おこし」の一助になると感謝されている。多くの局が同じような活動を試みる中、静岡第一テレビが地道な活動を長年継続しているのは、会社をあげて取り組んできた結果と評価された。
優 秀 <朝日放送> 「古文書が語る巨大津波」シリーズと一連の報道活動 †
実施責任者 木戸崇之
先人が遺した貴重な教訓である古文書の記述と地質学を融合することで、過去の地震の実像をあぶり出す。朝日放送で東日本大震災直後のニュース企画からスタートした一連の番組は、「地質考古学」という新しい学問分野に光を当て、日本の歴史が大災害とともにあることを訴えた。地元大阪の歴史博物館での特別展示に番組提供した。制作者の視点が明快で、あまり知られていない事例をアニメやCGでわかりやすく伝えており、人々に訴える力をもつキャンペーンと評価された。あいまいな点を正直に視聴者に開陳していることも高評価につながった。
優 秀 <福岡放送> STOP!!飲酒運転キャンペーン †
実施責任者 田中俊憲
繰り返される飲酒運転に対し、福岡放送では、飲酒運転関連の報道に継続的に取り組んできた。ニュースでの放送回数は500回を超え、それらをまとめたドキュメンタリー番組を3本制作。これらのキャンペーンの結果、遺族などによる飲酒運転撲滅の活動は広がりをみせ、福岡県では全国初の罰則を盛り込んだ条例が成立、事故件数が減少した。また、同社の番組は高校の授業の教材としても活用されている。制作者が放送の力を信じて追及している姿、毎日続けるという継続の力、それが成果を生んでいることが評価された。