表彰番組・事績
第11回日本放送文化大賞
テレビ・グランプリ
山口放送/奥底の悲しみ ~戦後70年、引揚げ者の記憶~
■放送日時:2015年5月30日(土)13:00~14:10
■番組内容:太平洋戦争の敗戦を機に、本土への引き揚げを余儀なくされたのは軍人だけでなく、これまで築き上げてきた資産を放棄し、着の身着のままの一般の人々だった。全国で5番目に多い41万人の引揚者を迎えた山口県仙崎港の引揚援護局の記録にある「特殊夫人」の文字。この見慣れない文字は、旧満州でソ連軍の性暴力を受けた女性被害者を意味する。当事者の記憶の奥底には、70年間、家族にすら打ち明けられなかった、深い悲しみが沈んでいた。
■スタッフ:渡部雅史(プロデューサー)、佐々木聰(ディレクター)、山本透(撮影)
■中央審査・審査講評:生存者の語りと丹念で忠実な取材をベースに、封印された事実に鋭く迫り、戦争という体験が一人の人間にどれほど重くのしかかるのかを映像の力で示した力作。母親が被害に遭った男性が、戦後70年を経てタブー視され密かに処理されてきた事実を語る際に見せる“笑いながら泣く、泣きながら笑う”という複雑な感情を、カメラは捉える。笑っていなければ生きていけないほどの奥底の深い悲しみ、負の世界を発掘し、描き出した貴重なドキュメンタリーである。
テレビ・準グランプリ
毎日放送/映像’15 家族づくり~子どもたちと里親の一年
■放送日時:2015年3月30日(月)0:50~1:50
■番組内容:町工場の3階の自宅で、様々な理由で親と暮らせない子どもを育てる里親として、40年間で80人近い子どもを育ててきた永井さん夫婦。巣立っていった里子たちがいつでも帰ってきて働けるようにとの思いから、老齢になっても町工場を続けている。血の繋がりがなくとも信じ合い支え合っていく者同士が家族なのだと教えられる。奮闘する永井さん夫婦の里親ぶりと、もがき苦しみながらも前を向こうとする子供たちの姿を、ユーモアとペーソスを交えて描いた。
■スタッフ:大牟田聡(プロデューサー)、坪井兵輔(ディレクター)、倉本圭太(撮影)、山内博貴(編集)、田中徳朗(録音)、佐藤公彦(選曲)、秋山美里(タイトル)
■出演者:宮城さつき(ナレーター)
■中央審査・審査講評:里親制度を社会問題としてジャーナリスティックに捉えず、あえて老夫婦を通して様々な問題を透かして見せる手法で作られた優れたドキュメンタリー。取材者が絶妙な距離感で被写体と長期間向き合い、付かず離れず撮影した結果が凝縮された力強く生き生きとした映像は、視聴者を圧倒させる。家族という普遍的なテーマに、どっしりと腰を据えて向き合った優れた番組である。
ラジオ・グランプリ
CROSS FM/HAPPY HOUSE ~The family's starting point~
■放送日時:2015年5月30日(土)18:00~19:00
■番組内容:地元を愛し続け、福岡から世界にも活躍の場を広げたロックバンド「SHEENA & THE ROKKETS」のリーダー鮎川誠さんへのロングインタビュー番組。2月に亡くなった妻でボーカルのシーナさんの49日法要のため、彼女の故郷であり新婚当時に過ごした北九州市若松に帰ってきた鮎川誠さんが、2人の出会いやシーナさんのボーカリストとしての36年間の生きざま、さらにはあまり知られていない妻、母としての姿などを熱い思いをこめて語る。
■スタッフ:江本祐一(プロデューサー)、栗田善太郎(ディレクター)
■出演者:SHEENA & THE ROKKETS、栗田善太郎
■中央審査・審査講評:ロックファンや“シナロケ”ファンには垂涎の番組だが、ロックと無縁の人でも鮎川誠さんの味のある博多弁に思わず聞き入ってしまう。“シナロケ”の原点ともいえる若松の実家で行われたインタビューは、まさに番組タイトルである「HAPPY HOUSE」を象徴しており、2人の出会いからはじまる一つ一つのエピソードに引き込まれる。「SHEENA & THE ROKKETS」の名前の由来など、鮎川誠さん自身の口から語られる数々の逸話は日本ロック史を編むうえでも資料的な価値がある。
ラジオ・準グランプリ
朝日放送/三木鶏郎に挑む!平成の仕事師たち
■放送日時:2015年5月24日(日)20:00~21:00
■番組内容:昭和26年の民放開局に伴い日本初のCMソングを手がけた草分け的存在で、戦後日本のエンターテインメント界を牽引した三木鶏郎の生誕100周年を記念した番組。CMソングを耳にしたことはあっても、あまり名前を知られていない三木鶏郎の人物像に、彼から強い影響を受けたキダ・タローさん・伊藤アキラさんの話を通して迫る。三木鶏郎が制作したCMソングのメドレーや、2人がCMソングの開祖に捧げるために新たに書き下ろした三木鶏郎をPRするCMソングをスタジオ生演奏で披露する。
■スタッフ:藤井武夫(プロデューサー)、石原正也、西池大樹、中田好美(ディレクター)、姫路まさのり(構成作家)
■出演者:キダ・タロー、伊藤アキラ、ヒロド歩美、ダークダックス遠山一、中村メイコ、畑中ふう
■中央審査・審査講評:戦後日本の放送史を語るうえで欠かすことのできない存在でありながら、あまり表舞台に出てこない三木鶏郎をフィーチャーした素晴らしい企画。三木鶏郎の魅力が存分に描かれ、聴き終わった後に彼のことをもっと知りたくなる。単に偉人の紹介にとどまらず、生演奏などオリジナリティあふれるコンテンツが散りばめられており、ラジオ番組として純粋に楽しく聴くことができる。
テレビ・グランプリ候補番組・概要紹介
〔北海道・東北地区〕
宮城テレビ放送/ミヤギテレビ報道特別番組「いつも心に青空を~我ら社会人応援団~」
■放送日時:2014年8月24日(日)15:00~15:55
■番組内容:仙台市に住む平了さんは、震災後、自分にしかできないことで一人でも多くの被災者を元気にしたいという思いから、高校時代に応援団長を務めた経験を生かし地元の社会人による「青空応援団」を結成する。硬派なオジサン応援団は、“応援してほしい”という依頼者のもとへ無償で駆けつけ、震災時に世界中からあたたかいエールをもらったことへの恩返しの意もこめて、力いっぱいのエールを送る。
■スタッフ:渡邊司(プロデューサー)、佐々木博正(ディレクター)
■出演者:平了さん、青空応援団
〔東京地区〕
TBSテレビ/戦後70年 千の証言スペシャル 私の街も戦場だった
■放送日時:2015年3月9日(月)21:00~23:04
■番組内容:太平洋戦争時、米軍の戦闘機に搭載され、機銃の引き金をひくと撮影がはじまる「ガンカメラ」に保存された映像は、日本中のさまざまな街が戦争に巻き込まれていた事実を明らかにした。ドキュメンタリードラマを織り交ぜ、狙われた民間人、撃ったアメリカ軍兵士双方を取材し、「勝っても負けても悲しい」戦争そのものの本質を伝える。
■スタッフ:田代秀樹、松井督治(プロデューサー)、山岡陽輔(総合演出)、住友洋介、宮本晴代、菅野浩志、高橋史子(ディレクター)
■出演者:佐藤浩市
〔関東・甲信越・静岡地区〕
信越放送/SBCスペシャル 確証~初証言・松本サリン事件20年~
■放送日時:2014年7月2日(水)19:00~19:56
■番組内容:オウム真理教が引き起こした松本サリン事件から20年を節目に、事件の真相に迫った。第一通報者であったがために容疑者扱いされ、追い込まれていった河野さん一家の苦悩とともに、事件以来、初めて取材に応じた当時の捜査指揮官の証言をもとに、長く伏せられてきた捜査の内幕を描く。
■スタッフ:長岡克彦(プロデューサー)、清水秀行、湯本和寛(取材)、齊藤茂一(ナレーター)、太田哲郎(撮影)、地福秀二(編集)
■広告主:キッセイ薬品工業、ホクト、長野電子工業 ほか
〔中部・北陸地区〕
福井テレビジョン放送/私を覚えていてください 素敵な日本人へ
■放送日時:2015年5月30日(土)10:00~10:55
■番組内容:第二次世界大戦時、リトアニア日本領事館の杉原千畝が、本国の命令に背いて発給したビザで、約6千人のユダヤ人たちがヨーロッパを脱出。「杉原サバイバー」と呼ばれる彼らは、船で福井県敦賀港に逃げ延びた。温かく迎え入れ、逃亡の手助けをしてくれた日本人の姿は、75年の時を経た今も風化することなく、彼らの心に深く刻まれている。彼らの証言から、偏見と差別が生み出した「20世紀最大の悲劇」と、日本人としての誇りを見つめる。
■スタッフ:谷口維雄(プロデューサー)、畑祐一郎(ディレクター)、斎藤佳典(編集)、石田ひかり(ナレーション)
■出演者:シカゴ・マーカンタイル取引所名誉会長 レオ・メラメド氏ほか
〔近畿地区〕
毎日放送/映像’15 家族づくり~子どもたちと里親の一年
■放送日時:2015年3月30日(月)0:50~1:50
■番組内容:親と暮らせない子どもを育てる里親として大阪在住の老夫婦は、40年間で80人近い子どもを育ててきた。家族の温もりを知らない子どもたちと、彼らを真の家族として受け入れようとする里親夫婦の泣き笑いの日常を通じ、幼い子どもたちが直面する現状や課題を浮き彫りにする。
■スタッフ:大牟田聡(プロデューサー)、坪井兵輔(ディレクター)、倉本圭太(撮影)、山内博貴(編集)、田中徳朗(録音)、佐藤公彦(選曲)、秋山美里(タイトル)
■出演者:宮城さつき(ナレーター)
〔中国・四国地区〕
山口放送/奥底の悲しみ ~戦後70年、引揚げ者の記憶~
■放送日時:2015年5月30日(土)13:00~14:10
■番組内容:太平洋戦争の敗戦を機に、外地に暮らす660万人の日本人が、本土への引き揚げを余儀なくされた。41万人の引揚者を受け入れた仙崎引揚擁護局の記録の中に見つけた「特殊夫人」という見慣れない文字。それが何を意味するのかという取材を通して、70年間語られることのなかった当事者たちの「奥底の悲しみ」が明らかになる。
■スタッフ:渡部雅史(プロデューサー)、佐々木聰(ディレクター)、山本透(撮影)
〔九州・沖縄地区〕
熊本県民テレビ/現場発!「産みの選択 ~命と医療のはざまで~」
■放送日時:2015年5月29日(金)1:59~2:39
■番組内容:医学の進歩は、簡易な検査で出生前胎児の健康確認を容易にしたと同時に、「産みの選択」という新たな問題をもたらした。一人の女性の葛藤と決断、そして、その女性を支える家族と医師たちを通じ、現代医療がもたらした苦悩を描き、命について、家族の幸せについて問いかける。
■スタッフ:大木真美(プロデューサー)、畑中香保里(ディレクター)、立花正生(撮影・編集)、楠本智章、緒方信昭(撮影)
ラジオ・グランプリ候補番組・概要紹介
〔北海道・東北地区〕
東北放送/この光は消さない ~マリンピアは不滅です~
■放送日時:2015年5月30日(土)19:00~19:55
■番組内容:多くの人に惜しまれつつ88年間の営業に幕を下ろしたマリンピア松島水族館の隠れたドラマを関係者の証言からひもとく。生き物の飼育にまつわる試行錯誤や東日本大震災から1カ月半で再開したことなどのエピソードを、昭和44年から経営に携わった西條社長や勤続38年の飼育員の生の声でつづる。
■スタッフ:根本宣彦(プロデューサー)、佐々木淳吾(ディレクター)、長田英之(ミキサー)安東理紗(ナレーション)
■出演者:西條直彦、神宮潤一
■広告主:ティーバイティーガレージ
〔東京地区〕
文化放送/スタア伝説・永遠の高倉健
■放送日時:2014年12月10日(水)19:00~20:00
■番組内容:日本を代表する映画俳優・高倉健さんの追悼特別番組。昭和30年代に文化放送でオンエアした健さん出演のラジオドラマの音源をはじめ、山田洋次監督や武田鉄矢さんら共演者が語るエピソードなどを交えながら、数々の出演作品を紹介し、故人の偉大な足跡を振り返る。
■スタッフ:斉藤清人(プロデューサー)、岩田清、永野英二(ディレクター)
■出演者:吉田照美、佐藤利明
〔関東・甲信越・静岡地区〕
山梨放送/都留文科大学Presents YBSラジオ スペシャルドラマ 生と死の狭間に~戦場ジャーナリスト山本美香
■放送日時:2015年5月30日(土)18:00~18:57
■番組内容:取材先のシリアで銃弾に倒れ、45年の生涯を閉じた戦場ジャーナリスト山本美香さんの生きざまをたどるドキュメンタリードラマ。母校の演劇部の学生らがドラマに参加し、美香さんの両親やパートナーである佐藤和孝さんのインタビューも織り交ぜながら彼女の残したメッセージを伝える。
■スタッフ:石川治(制作統括)、大久保達朗(ディレクター)、成田はじめ(脚本)、江良純市(スーパーバイザー)
■出演者:藤原紀香、渡辺克己、丸茂富喜子、山本孝治、山本和子、佐藤和孝、酒井康宜
■広告主:都留文科大学、富岳物産、山梨交通
〔中部・北陸地区〕
福井放送/FBCラジオ特別番組 祖父が残した手紙~父と子でたどる戦後70年~
■放送日時:2015年5月31日(日)21:00~21:45
■番組内容:祖父が残した古い手紙を手がかりに、父と協力して太平洋戦争で戦死した祖父の足跡をたどる。最期の地となった台湾で、航空戦の状況を目撃した人に会い、祖父の墜落現場で手を合わせることができた。戦争の記憶が失われていくなか、語り継ぐことの大切さを伝える。
■スタッフ:清田精二(チーフプロデューサー)、福本実(プロデューサー)、久保田守(ディレクター)、岩本和弘(ナレーター)、大谷敏夫(音効)
■出演者:池水通洋
〔近畿地区〕
朝日放送/三木鶏郎に挑む!平成の仕事師たち
■放送日時:2015年5月24日(日)20:00~21:00
■番組内容:民放開局に伴い日本初のCMソングを手がけた三木鶏郎生誕100周年番組。三木鶏郎に強い影響を受けたキダ・タローさん・伊藤アキラさんの話を通して才能にあふれた人物像に迫る。スタジオでは三木鶏郎が制作したCMソングのメドレーや、新たに書き下ろした三木鶏郎自身をPRするCMソングを生演奏で披露する。
■スタッフ:藤井武夫(プロデューサー)、石原正也、西池大樹、中田好美(ディレクター)、姫路まさのり(構成作家)
■出演者:キダ・タロー、伊藤アキラ、ヒロド歩美、ダークダックス遠山一、中村メイコ、畑中ふう
〔中国・四国地区〕
山口放送/ニッポン人でなく、アメリカ人でもなく…自分らしく
■放送日時:2015年5月31日(日)19:00~19:55
■番組内容:元アメリカ兵の黒人の父と日本人の母を持つ女性シンガーのウィリアムズさんは、その見た目からコンプレックスを抱いていた。彼女を支えたのは、音楽と被爆者でありながら懸命に自分を育ててくれた祖母の明るさであった。自分のルーツと向き合い、シンガーとしての「自分の道」を見つけるまでの姿を描く。
■スタッフ:黒瀬哲成(プロデューサー)、谷本啓之(ディレクター)、竹重雅則(ナレーター)
■出演者:ヴァレンシア・ウィリアムズ、原田政子
〔九州・沖縄地区〕
CROSS FM/HAPPY HOUSE ~The family's starting point~
■放送日時:2015年5月30日(土)18:00~19:00
■番組内容:ロックバンド「SHEENA & THE ROKKETS」のリーダー鮎川誠さんへのインタビューを中心に、2月に亡くなった妻でボーカルのシーナさんの人生を振り返る。地元福岡を愛し、36年間ボーカリストとして走り続けたシーナさんへの熱い思いが語られる。
■スタッフ:江本祐一(プロデューサー)、栗田善太郎(ディレクター)
■出演者:SHEENA & THE ROKKETS、栗田善太郎