一般社団法人 日本民間放送連盟

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よりよい放送のために

「青少年と放送」問題への対応策(1999年6月決定)

民放連は1999年6月、以下の「『青少年と放送』問題への対応策」を決定しました。

 


 

「青少年と放送」問題への対応について
 
放送基準審議会
 

 放送基準審議会は昨年6月「番組規制に関する特別部会」を設置し、青少年と放送をめぐる問題について、さまざまな調査研究と検討を行ってきた。その結果、青少年の問題行動に対して放送が直接の影響を与えるものではないとしても、公共の電波を預かる放送事業者として、何らかの"青少年のための番組向上策と自主規制"を行う必要があると考えるに至った。本来、こうした問題は、番組制作に携わる人々が「自分の子どもに見せたくないものは作らない」と考えれば解決できることであるが、放送と視聴者との信頼関係を強めるため、より"目に見える"形の対応を打ち出すこととした。こうした観点に立ち、次のとおり申し合わせるとともに、取り組みへのご協力をお願いする。

 

Ⅰ.「青少年と放送」に関する申し合わせ

 

1.各局で考査機能をより強化するとともに、番組の制作、社員研修などにおいて番組基準(放送基準)とくに児童・青少年への配慮を順守・徹底する。

 

2.昨年度末に刊行した民放連・放送倫理ブックレット「児童・青少年」をもとに、番組制作上の児童・青少年への配慮を深める。

 

3.日本PTAや視聴者などとの交流を積極的に行う。

 

4.「青少年と放送に関する調査研究会」提言を踏まえ、次項Ⅱの取り組みを行う。

 

Ⅱ.「青少年と放送に関する調査研究会」提言に沿った取り組み

 

1.青少年向けの放送番組の充実

(1) 「少なくとも週3時間の放送」について
 放送番組調査会見解の「青少年の知識や理解力を高め、情操を豊かにする番組を各放送事業者は少なくとも週3時間放送する」について、民放各テレビ局がそれぞれの特色を生かして独自に実施する。本年10月までに実施することとし、どの番組が該当するかを各局で発表する。

(2) 民放・NHK共同企画について
 民放テレビ各系列とNHKの輪番により、青少年向けの(あるいは青少年について考える)シリーズ番組を放送する。年間2本とし、1本はNHK、もう1本を年ごとに民放5系列の輪番で制作・放送し、相互に再放送を行う。

 

2.メディア・リテラシーの向上

 「テレビをはじめとするメディアのもつ特性を把握し、内容を的確に理解する能力と自立した判断力を身につける」取り組みに、放送事業者として協力する。具体的には、視聴者側で教材として使える番組を民放連で制作し、各局から放送する。

 

3.青少年と放送に関する調査等の推進

 昨年度は民放連で「テレビと児童・青少年に関する調査」を実施し、3月8日に報告シンポジウムを開催したが、本年度以降は、大学等の研究機関に委託するなどして、より高度の中長期的調査研究を実施する。

 

4.第三者機関等の活用

 NHKと協議のうえ、放送番組向上協議会の中に、"青少年と放送委員会"(仮称)を新設する。本年度は、民放連とNHKで準備委員会を設けてその役割や委員構成などを検討し、来年度からの立ち上げとする。

 

5.放送時間帯の配慮

(1) 民放連放送基準の順守徹底
 民放連放送基準の新設条文(第18条)「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する」を順守徹底する。

(2) 具体的時間帯の設定(10月から実施)  民放連の「テレビと児童・青少年に関する調査」結果や各種視聴率データなどを踏まえ、17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する。
 ただし、具体的にどの番組をどの時間帯に放送するかは各局で判断する。

 なお、21時以降および休日の児童および青少年の視聴については、その保護者の方々にも一定の責任を担うことをお願いしたい。

 

6.番組に関する情報提供の充実

 欧米のレイティングのような表示は、不正確である上、かえって青少年の好奇心をあおる恐れもあるため、実施しない。ただし、暴力・性などの表現について児童・青少年への配慮が不可欠と各放送事業者が判断した場合、次の方法などによる「事前表示」を行う。
①テロップやスーパーインポーズによる文字表示の方法。
②番組宣伝枠を使用する方法。
③映画番組の事前解説枠で説明する方法。
④活字媒体、インターネット等を通じて番組の情報を提供する方法。

 

Ⅲ.会員各社への要望

 民放連放送基準と「テレビと児童・青少年に関する調査」結果に基づき、民放連会員各社に以下の4項目への取り組みを要望する。

 

1.アニメ番組は、未就学児童を含む児童が数多く視聴していることを、とくに意識して制作していただきたい。

 

2.児童・青少年の視聴率が高いドラマなどの番組のなかで、他人の人格を認めることの重要さを訴えるなど、情操面の啓発に力を入れていただきたい。

 

3.バラエティ番組や学校を舞台とした番組などで、「いじめ」を肯定的に取り扱わないよう留意していただきたい。

 

4.人気タレントの言葉づかい、振る舞いについては、児童・青少年に模倣されやすいので、慎重に取り扱っていただきたい。

以上